ダニエル・カトナー(Daniel Kutner)さん| おけぴ管理人インタビュー#15 | チケット救済 | 公演紹介 | 観劇ノススメ | 検索 | 使い方(FAQ) | サイトマップ | トップ |


ダニエル・カトナーさんは、33歳という若さながら、 巨匠ハロルド・プリンスの演出助手、共同演出家として8年のキャリアを持ち、 プリンス氏の一番弟子の呼び声も高い新進気鋭の演出家です。 今回、「みんな我が子」の演出で日本初デビューのダニエル・カトナーさんに、 演出家になるまでの道のりから、今回の作品への想いまで、 たっぷりとお伺いさせていただきました!

お生まれはどちらですか?舞台は小さい頃からご覧になっていたのですか?

アメリカのフィラデルフィアで育ちました。 フィラデルフィアにも演劇コミュニティはあったのですが、 家族でよくニューヨークの舞台を観に足を運びました。 父が大好きだったので特にミュージカルは! 幼少の頃の記憶は、そんなに鮮明に覚えてはいないのですが、 舞台の事だけはとてもハッキリ覚えています! 9歳でコーラスラインを観たなーとか、 10歳でミー&マイガール、 エニシング・ゴーズも観たなーとかね!

最初から演出家志望だったのでしょうか?

演技もしましたよ。アメリカでは、演技から入る仲間がほとんどです。 真っ直ぐに演出家になる人はいなくて、みんななんとなく演技から始めて、 そこから自分の専門性を見出して枝分かれしていきます。

自分が俳優として優秀かどうかはわかりませんが、 芝居を大所高所から見ることが出来るようになった時、 その一部である俳優でいるより、大きな絵を動かす事の方が満足度が高くなっていったんです。 ちょっとコントロールフリークな所もあってね(笑)

大学のシアタープログラムで、ディレクターにお願いしたんです。 「金銭的援助はまったくいらないから、スタジオを貸して欲しい。 キャスティングをして宣伝して自分で演出してみたい。」って。 そしたら、すごくサポートしてくれて、A.R.ガーニーの「カクテルアワー」を演出することになりました。 ディレクターが僕達、生徒にたくさんチャンスをくれる自由な先生だった ことも大きく影響したと思います。
(※A.R.ガーニー・・・「ラブ・レターズ」で有名なアメリカの劇作家)

演出家の資質とはなんだと思いますか?

ビジョンを持つことはもちろん大事だし、 プロダクションが立ち上がる前から自分の中で 視覚的に組み立てられる能力は必要だけれど、 おそらく多岐にわたって「知っている」ことだと思います。
技術・衣装・演技…それぞれについて必要最低限知っておく必要はあるでしょうね。 また、そうでないと多くの人をまとめるのは難しいかもしれません。 私の場合は、自分の専門分野外のことまで広く興味があったのでそれは助けになったと思います。

ダニエルさんの演出手法とは?

役者さんの視点から入ります。
役者さんとのコミュニケーションありきなので、 まず台本を読んで、それぞれの役に自分を置き換えます。 この辺は自分が演者であったことが活きている気もしますね。 演出家は役者さんの信頼を一瞬にして勝ち得ないといけません。 じゃないと、その後がたいへんです!(笑顔)

本作「みんな我が子」ではどのようなアプローチを?

今までと大きくは違いません。
最初の一週間くらいはみんなでテーブルを囲んで本読みをして 一行一行、脚本を読み解いていきます。 これは、「自分は自分」でどんどん行かれてしまわないように。 みんなで同じ世界感を共有する目的でやっています。

役者の皆さんは優秀だから、 台詞を読んだだけでスッとその世界に入っていけることが多いんです。 ただ、ご存知のようにどれだけそれぞれの役者さん達が優秀であっても、 それを同じ芝居の中にまとめるということが大切なんですね。 優秀な個々の役者さん、役、それをすべて同じ世界の中に引きこむのが私の仕事ですね(笑顔)

役者さん達の魅力を引きだすコツというのはありますか?

個人として自分がポジティブな人間というのもあるかもしれませんが、 パフォーマーとして役者さんを見たときに必ず長所、自分が好むところがあるんです。 その人の資質からいいところ、役に合うところを見つけて、 必ずポジティブな場所からスタートしています。

でも今回は、とっても恵まれているなと最初から思っているです。 皆さん、素晴らしい役者さんであるだけでなく、 どのキャストもその役どころに本当にピッタリなんですよ!

ダニエルさんにとってのいい役者とは?

伝えた感情が届く人。
両極あると思うんですけれど、笑わせることができ泣かせることができる人。 演じているその人をみた時に、自分の琴線に触れ、 自分達の中にある何かを思い起こさせるような演技をする人じゃないでしょうか。

ちなみに日本語は、音としてどう聞こえますか? 親しんできたアーサーミラーの物語を日本語で聞くというのはどんな気分でしょうか?

(にっこりされて)とても不思議な気分だよ!
実は(このとき、ダニエルさんの横で通訳をしてくださっていた)伊藤美代子さんは、 ただの通訳さんではなくて本作の翻訳も務めてくれています。 一人二役をこなしてくれて、これ以上ない環境だし、 彼女がいないことは考えられません。 英語を日本語に訳すとき、日本語は英語より長くなりがちだけど、 二人で相談しながら、なるべく同じくらいの尺になるように、 言葉のリズムが崩れないように調整しているから、どんどんやり易くなってきています。

〜通訳の伊藤美代子さんのお話〜
通訳をしていても常日頃、なぜ日本語にするとこんなに長くなってしまうんだろう というのは感じていて。 英語でポンポンポンといきたい所なのに、 訳すと、意味ばかり追ってとリズムが崩れちゃったりするんですよね。 そういうことが、なるべくないように修正している最中です。

お話を伺っていると日本で演出するからといって
何か今までと違うことってあまりなさそうですよね?

まったくその通りですね! あ、わからないけれどね、まだ(お稽古始まって)二日目だからね(みんな笑) まだまだどうなるか分からないけれど、 今の感覚として本当にニューヨークでやっていときと変わらないです。 いや、むしろ、 伊藤美代子さんが通訳してくれている間に頭の中を整理する時間があるから もっとやり易いかな!このまま日本で演出家やろうかなー♪なんてね。

制作発表のとき、何かサプライズがあるとおっしゃっていたのですが、
もう少しヒントをいただけますか?

舞台美術・セットに関して、今回は結構違うということを言いたかったんです。 違うというのは、今まで「All my sons(みんな我が子)」 を上演してきたどのプロダクションとも大分違うということ。

今まで観てきたプロダクションはどこも、非常にリアルに作っています。 中西部のアメリカ、芝生がみえて、木が見えてというのが典型なんです。 でも、今回美術の堀尾幸男さんとは全然違う試みをしています。 それがとってもスリリング! すこーし抽象的で、少し象徴的な見せ方をしています。

それともう一つ、どれだけこの芝居が面白おかしいかってこと。 そうした箇所が作品に結構散りばめられているんです。 観た人は、登場人物たちを楽しめるんじゃないかと思います。

もちろんシリアスで暗い部分も多々ありますが、 悲劇が悲劇として作用するためには、 その役の人となりを理解しなければいけないかなと思うんです。 同調できないと理解もできないですから。

しばらくお忙しいとは思いますかが、日本で何か舞台をご覧になる予定はありますか?

ボス(ハロルド・プリンス氏)と劇場四季の「オペラ座の怪人」は観ると約束して来ました。 それと、前回来日したとき、テレビでやっていた宝塚に釘付けになったんです。 だから今回は絶対みたいと思うし、観られるものは正直全部観たいと思っています。

これから日本でやってみたいことはありますか?

日本でミュージカルを演出してみたいね!

是非に!最後に、「みんな我が子」の見所をお願いします!

(good questionと前置きをされ、しっかり考えられてから)
父親でいること、息子でいること、母親でいることがどれだけCOMPLEX(複雑)であるのか、 複雑な心のひだを受け取っていただけたらと思います。 そして希望的には、他の人の立場に立ったとき、 それがどれだけ複雑であるかを理解してもらえたらと思います。



【おけぴ管理人の編集後記】

テンションをこちらに合わせてくださりながら、 ボーダーレスに楽しく会話を弾ませてくれるダニエルさん。 まるで一緒にお茶をさせて頂いたような雰囲気で、 "演出家は一瞬にして役者の信頼を得る存在でなければはならない" というダニエルさんの言葉の意味を実感したおけぴ管理人でした。

ちなみに、日本に来て単純に驚いたこととかありますか?とお聞きしたところ、 稽古場に靴を脱いであがること!とのこと。 伊藤美代子さんがダニエルさんにあらかじめ伝えておいたそうなのですが、それでも驚かれたとか。 足のサイズが31cm(!)なので日本でスリッパは調達できず、 ニューヨークで買って来たものはベッドルームで履くような可愛らしいデザインなんだそうですよ♪

ダニエル・カトナーさん演出の「みんな我が子」は、 2011年12月2日より新国立劇場小劇場にて上演。
「みんな我が子」を知っている人は”悲劇”と 捕らえいる方が多いと思いますが、 コミカルなシーンや心温まるシーンなども多いです。 興奮の稽古場レポも近日UP!






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