博多座「二月花形歌舞伎」【平 岳大さん取材会レポート】

猿之助さんと平さんの初日コメントと、歌舞伎座初!猿之助さんの宙乗り豆まき写真が届きました

市川猿之助さん主演の博多座「二月花形歌舞伎」に
スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』に続き歌舞伎2作目の挑戦となる
平 岳大さんがご出演!


博多座を華やかに彩る「二月花形歌舞伎」。
昼の部は、昭和の大スターが演じてきた名作で、”命をかけた友情物語”「男の花道」
まるで宝塚のレビューのようになるかも?!な
新作舞踊「艶姿澤瀉祭(はですがたおもだかまつり)」の二本立て!
夜の部は、妖しく美しいスリリングな復讐・冒険活劇の
雪之丞変化(ゆきのうじょうへんげ)」。
宙乗りや、原作にはない蘭学者・狐軒先生で登場する平さんなど見所盛り沢山です。

そんな楽しみな博多座「二月花形歌舞伎」に出演される
平 岳大さんを囲んでの合同取材会レポートをお届けします。


──猿之助さんとの出会いを教えてください

猿之助さんとは学年は違うのですが同じ学校だったんです。
そのころ僕はサッカーに夢中だったので、
もちろん存在は存じ上げていたんですが、接点はありませんでした。
声をかけていただいたきっかけは、僕が世界ウルルン滞在記というテレビ番組に出演させていただいた回をちょうど猿之助さんがご覧になっていたらしく、
その時に一緒にやってみたいと思ったそうなんです。
『ワンピース』に呼んでいただけたのは、身体が大きかったからでしょうか(笑)

『ワンピース』は、僕が演じていたエースを探しにいくストーリーなので、
弟ルフィー役の猿之助さんとの絡みは終盤だけなのですが
最後にそこまで溜めていた気持ちを吐露する場面で
僕が、ここぞ!と気持ちを高めていくと、猿之助さんは必ずそれよりずっと上を行くんですよ。

猿之助さんは試練を与えてくださる人で。
『ワンピース』で殺陣の後に海老反りになるシーンがあったのですが、
毎回アドバイスをいただいていました。その後も投げっ放しにせず、
いつも見ていてくださっていたが嬉しかったですね。
「今日はここまで手がきましたね、昨日はこなかったですけど」とか、
ぴりっとした一言なんですけど(笑)
こちらも見られているなという緊張感が緩まなかったですね。
そして、猿之助さんのアドバイス通りにやると本当にうまくいくんです。頼もしく感じることばかりで、いろいろ教えていただいております。

──今回、歌舞伎は2回目となりますが新しく見せたいものは

新しいものばかりですね(笑)
こんなにやるんですかっていうくらい盛り沢山です。
「艶姿澤瀉祭(はですがたおもだかまつり)」では、なんと僕がフラメンコを踊るんですよ。
といってもいきなり踊るのではなく、殺陣の中の流れでフラメンコになるのですが。
猿之助さんの頭の中ではどういう流れにもっていくのか完璧に形ができあがってるんでしょうね。いいアイディアだなと思っています。

──前回の明治座での「男の花道」では市川中車さんが土生玄碩(はぶげんせき)を演じていましたが同じ役をやるということで意識するところはありますか

残念ながら、中車さんの玄碩は拝見していないんですが、中車さんとは身体つきがまず違うので、アプローチも違うのではないかとは思っています。
僕が拝見した「男の花道」は、中村福助さんと中村梅雀さんが演られていた時で
とても大人な雰囲気だという印象でした。だからまずは自分があの演目を演じるなんて!という驚きがありましたね。
玄碩という役は、医学のこと以外は無頓着というか世間知らず。
良く言えば純粋で、悪く言えば、ぬけてるというか紙一重なんですよね(笑)。
そういった人物の面白さや愛嬌を出せればよいなと思っています。

今回は見得(みえ)をきることはないので、
もしかしたら、見得をきっていた『ワンピース』の方が歌舞伎の型をやっていたかもしれませんね。
でも、今回の歌舞伎らしいところといえば、殺陣(たて)をお見せできると思います。
お稽古が始まったばかりなので型を覚えている最中で、まだまだこれからですが
型を覚えつつ、でもあまり捉われすぎないように、ハートのある芝居の先に歌舞伎ならではの部分が出せたらいいなと思います。


──今回の公演での課題はありますか

最近のお芝居はテレビでも新劇でも、テンポ、テンポ、テンポ!とにかく早くしゃべる。
そして誇張よりはリアリティやナチュナルな素の部分を求められますが
歌舞伎はその真逆だと思うんです。たっぷり誇張してやる。
自分の気持ちに嘘をつかずに大きな表現をする、それが課題ですね。

──普段のお芝居と歌舞伎で違うところは

見せ方が違いますね。普段のお芝居では正面切って話すことははあまりないですが
歌舞伎は王道というか正面をきってセリフを話したりします。そこが歌舞伎らしいところだと思います。
ただ、歌舞伎もいつもの芝居も、ハートの部分は同じだと思います。
あまり歌舞伎の型を意識しすぎると自分が違う方向へ行ってしまうと思うので、
もちろん型ができた上で、自分の役の気持ちの部分をベースに
いつものお芝居と同じように役を作っていければと思っています。

──お父様の平幹二朗さんについて意識することは

父も歌舞伎とか型の好きな人で、なおかつ役に心があったので、
どんなふうに演じていたのかな、と父の演じた役のビデオを見直すことも多くなりました。
「男の花道」を演ることになって、あーせっかく聞こうと思ったのにっていう気持ちは確かにありますね。
でも生前は、僕が出演するものに関してはあまり口を出さない人でした。
やった後に、あれはよかったねとかポロっと言ってくれたことはありましたが。

──『ワンピース』で初の歌舞伎出演となりましたが歌舞伎の楽しかったところを教えてください

舞台稽古などでアイディアを出し合っているときに本当に驚いたんですが、
歌舞伎役者の方々は共通言語のように、代々の役者さんたちの工夫や知恵が、皆さんの身体の中に叩き込まれていらっしゃるんですね。
この演目のこの場面の踊りっていうと、皆さんすぐに「ああ!」って。僕は、「え、ええっ??」って思うばかりで(笑)


──最後に博多座の魅力を教えてください。

華やかな印象ですよね!活気に溢れていてワクワクします。
ご飯も美味しいですし(笑)
博多のお客様は、じーっと感じ入りながら見てくださる印象があるので楽しみです!



ーー
2月3日から2月26日まで、博多座で上演される「二月花形歌舞伎」。
ワンピースに続き2度目のタッグを組む市川猿之助さんと平岳大さんが、
「男の花道」で人気女方・加賀屋歌右衛門と名医・土生玄碩(はぶげんせき)として
どんな深い友情を魅せてくれるのか期待が膨らみます。
日本舞踊にどんな新しい世界が広がるのか楽しみな「艶姿澤瀉祭」や、
宙乗りなど趣向満載の「雪之丞変化」もお見逃しなく。

人情噺にエンターテイメント!ぜひ劇場でお楽しみください。


「男の花道」土生玄碩の扮装写真。キリッとした瞳が格好いい!



新着情報

2/3に初日を迎えた市川猿之助さんと平岳大さんから初日コメントが届きました。

【市川猿之助 さんコメント】
博多座に出演いたしますのは昨年4月のスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』以来となります。昨年の公演期間中に発生しました熊本地震の復興にはまだまだ時間がかかるかと思いますが、あの時の皆さんの思いに応える意味でも、またこうして博多座への出演が叶い嬉しく思っています。また少しでもお力添えができればと思います。

【平岳大さん コメント】
前回はスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』で出演させていただきまして、今回こういった作品に挑戦させていただくのは恐ろしい気持ちもありましたが、博多のお客様の温かい空気に背中を押していただきました。豆まきも含めて、お客様に喜んでいただけたようでホッとしています。

そして2/3の初日公演では、なんと博多座初!宙乗りで豆まきサプライズが行われました。

斜め宙乗りで客席の隅々まで豆を巻く市川猿之助さん(写真提供:博多座)

公演情報
博多座二月花形歌舞伎
2017年2月3日(金)~26日(日)@博多座

<昼の部 11:00〜>
一、
男の花道(おとこのはなみち)

二、
艶姿澤瀉祭(はですがたおもだかまつり)
市川猿之助宙乗り相勤め申し候

<みどころ>
昼の部は、日本の演劇史に残る名作『男の花道』と、新作舞踊『艶姿澤瀉祭』の二本立てという華やかな狂言立てです。
『男の花道』は、昭和16(1941)年に公開され、大ヒットした長谷川一夫主演の同名映画(小國英雄脚本、マキノ雅弘監督)を舞台化した作品。舞台での初演は、同37(1962)年の大阪新歌舞伎座で、主演は映画と同じ長谷川一夫でした。
 江戸時代の人気女方、加賀谷歌右衛門と名医・土生玄碩(はぶげんせき)の友情物語。二人とも実在の人物がモデルで、明治時代にはすでに講談の題材となり人気を博していたといいます。
 文化5年、大阪・道頓堀。中の芝居では歌右衛門の芝居が大当たり。しかしシーボルトからオランダ医学を学んだ名医、土生玄碩は、歌右衛門の目が悪いことを察知します。次第に目が見えなくなってくる歌右衛門は絶望のあまり死のうとしますが、玄碩の手術で完治、二人の間に厚い友情が生まれます。4年後、名実ともに名優となった歌右衛門は舞台の途中、玄碩の危急を知り…という展開です。
 猿之助による初演は平成22(2010)年5月の名古屋・御園座。命をかけた友情という古今東西、普遍のテーマをブラッシュアップし、娯楽性豊かな新しい歌舞伎作品として現代に蘇らせたのです。
 一方『艶姿澤瀉祭』は、“祭”というタイトルにふさわしく、日本舞踊を華やかにショーアップした“ザッツ・エンターテインメント”。平岳大も共演、豪華な顔合わせでお届けします。舞踊をラスベガスのショーで見るような感覚で楽しめる作品です。


<夜の部 16:00〜>
雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)
市川猿之助早替り並びに宙乗り相勤め申し候

<みどころ>
戦前戦後を通して大衆の絶大な支持を集めた名作を、エンターテインメント性たっぷりに舞台化した作品です。過去、長谷川一夫主演の舞台や映画が一世を風靡、宝塚歌劇団でも上演されるなど、歌舞伎役者、雪之丞の復讐の物語は圧倒的な人気を誇ってきました。
 猿之助扮する主人公、中村雪之丞は上方の人気女方。幼い頃、長崎奉行と悪徳商人の画策で、廻船問屋の父は濡れ衣を着せられて自害、母も殺されてしまいました。その復讐を誓う一子、雪太郎(雪之丞)の活躍が、妖しく美しく、冒険活劇を見るようにスリリングに描かれます。
 両親が亡くなってから15年後、美貌と芸で、上方の人気役者に成長した雪之丞は復讐を誓い、両親の仇を討つため剣の修業を積みます。師の脇田一松斎に奥義を授けられるほどの腕前になった雪之丞はやがて、江戸にお目見え、宿敵の土部三斎や広海屋らと出会い…。劇中、雪之丞と、土部三斎の娘、浪路との恋あり、女スリのお初、義賊・闇太郎の暗躍など、手に汗にぎる展開です。
 これまでの雪之丞作品にない宙乗りあり、古典歌舞伎の劇中劇ありと、猿之助らしい趣向満載の華やかな作品となりました。猿之助は、雪之丞と闇太郎の2役を演じ分けます。立役と女方を兼ねる役者らしい猿之助の魅力あふれる舞台です。


※『艶姿澤瀉祭』の「瀉」のつくりは正しくは"わかんむり"です。

博多座
公演詳細(歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」)

おけぴ取材班:ayano(文)おけぴ管理人(撮影) 監修:おけぴ管理人

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