片岡愛之助さんがミュージカルに初挑戦! ブロードウェイの巨匠スティーヴン・ソンドハイムが作曲。1963年のトニー賞6部門を受賞し、映画化もされた傑作ミュージカルコメディが、個性豊かなキャストを迎えて“江戸版”に!?
片岡愛之助さん主演、宮本亜門さん演出のミュージカル『コメディ・トゥナイト! ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』製作発表記者会見の模様をレポートいたします♪
【ようこそ、ミュージカルの世界へ!】
『イントゥ・ザ・ウッズ』『スウィーニー・トッド』、そしてブロードウェイ上演&史上初の東洋人演出家作品としてトニー賞ノミネートも果たした『太平洋序曲』など、ソンドハイム作品と縁の深い宮本亜門さん。
1962年の初演からロングラン&リバイバルを重ねている大ヒットブロードウェイミュージカルを海外で、しかも設定を“お江戸”に移しての上演は
「史上初だと思います」と語ります。
「ソンドハイムから「なぜこれを江戸版にしてやらないんだ」とずっと言われていました。でもミュージカルは西洋のものというイメージがあってなかなか実現しなかった」とのことですが、
「松竹さんが勇気を出した(笑)」ことにより、お江戸版としての上演が決定。
「愛之助さんがミュージカルをやりたがっていると聞いて私は耳を疑いました(笑)。なぜなら正直…(ソンドハイムの)楽曲は難しいです! 愛之助さん、ようこそミュージカルの世界へ!」これまでにもシスティーナ歌舞伎など舞台上で歌を披露する機会はありましたが、本格的なミュージカルへの出演はこれが初めてという片岡愛之助さん。
「昔は歌舞伎にしか興味がなくて、ほかの同世代の役者たちが歌舞伎以外の舞台や映像作品などに出ているのを見て「歌舞伎だけでも大変なのに、すごいな」と思っていました(笑)」という愛之助さんですが、歌舞伎をもっと広く知ってもらうためにもいろいろな作品に出ようと決意して勉強を始めたところ、
「現代劇も映像作品も、歌舞伎と相通じる部分がある」と気がつき、
「歌舞伎は和製ミュージカル」という思いから歌唱レッスンを受けていたとのこと。初ミュージカルとはいえ、長年のレッスンの成果で舞台上で歌う準備はバッチリ! かと思いきや…
「ソンドハイムさんの曲は非常に難しゅうございます。(音程が)上がりたいところで下がるんですね。それでもこの作品はソンドハイムのなかでは簡単なほうと言われてズッコケました(笑)」 セリフの意味や内容を理解して演じることを前提に、
「歌舞伎のセリフも、言ってみれば歌のようなもの」と語る愛之助さん。
「わかりやすく言うと“音程”や、声の“出どころ”が大事」と明かしてくれました。
「町人と武士の役では、声の“出どころ”が違う。そういうあたりはミュージカルと(歌舞伎が)共通しているのではと思います」◆【計算されつくしたドタバタ喜劇が“江戸版”にぴったりきた】
ソンドハイム作品への思い入れは並々ならぬものがある宮本亜門さん
本作の大きな注目ポイントは、なんといっても舞台設定が古代ローマから江戸に移されていること。しかも歌舞伎役者である愛之助さんが主演ということで、どんな舞台になるのか興味がつきませんが…
「原作は古代ローマが舞台ですが、ローマ人やギリシャ人が作ったわけではなく、アメリカ人が“こんなローマがあったらおもしろいよね”というパロディ精神で作った作品です。ですから真面目にほんとうの“江戸”をやるのではなく、「こんな江戸があったらいいよね、おもしろいよね」という遊び心を持って作りたい」と亜門さん。
「歴史の先生に怒られちゃうような設定も敢えて入れています。こんなの江戸じゃないと言われてしまうかも(笑)。世界に向けて「日本ってこんなにおもしろい、楽しい世界を作れるんだ」と発信してきたいというのが僕の思い」 ソンドハイムには
「とにかく、あなたがやりたいようにやりなさい」と言われたと明かし、
「もとの台本が驚くほどよく出来ている。ドタバタもここまでやるか! というほど計算され尽くしていて、ゲラゲラ笑って楽しめる作品。このリズム感をぜったいに崩したくない」と意気込みます。
「これがまた江戸の設定にもぴったりくる。あのおっさん…いやおっさんって言っちゃだめですね(笑)、ソンドハイムが「江戸版でやれ」とあれだけ言っていた理由が台本と向き合ってわかりました」「ソンドハイムさんと亜門さんが親しかったからこそ不可能が可能になり実現した“江戸版”。そこに入れていただけて役者としてこの上ない幸せです」
物語をかき回す丁稚の丁吉を演じる愛之助さんに加え、その主人・比呂役の内博貴さん、比呂の恋のお相手役・平野綾さん、恋敵(?)役を鈴木壮麻さん&上山竜治さんがダブルキャストで演じるほか、「ミス・サイゴン」で本格的にミュージカルデビューされたダイアモンド☆ユカイさんが置屋の主人役で出演。さらにルー大柴さん、徳井優さん、松田美由紀さん、高橋ジョージさん…とテレビや舞台でお馴染みの顔ぶれが揃ったカンパニー。
「めちゃくちゃ個性の強い方ばかり。はたしてこれはまとまるのか? と心配しておりますが、これはもう亜門先生にまとめていただくしか…」(愛之助さん)
「私は今回、まとめる気はございません(笑)!」(亜門さん)
悲しい出来事は一切なし。自由を求める男が、主人の恋路のために策略をめぐらして…すったもんだの大騒ぎ…!
ブロードウェイ・ミュージカルの設定をまるごと“江戸”に変えて上演するという前代未聞のプロジェクト。
異色かつ必然のタッグが挑む“今宵は喜劇!”=『コメディ・トゥナイト!』は2017年3月4日(土)から28日(火)まで新橋演舞場にて上演。4月2日(日)から25日(火)まで大阪松竹座にて上演されます。
この記者会見の前日に台本をもらったという愛之助さん。
「台本はいただくまではワクワク、読んでみてセリフが多いとだんだんページをめくる手が重くなってくる(笑)。今回は稽古期間が比較的長くあるとはいえ、気を引き締めてかかりたい」(愛之助さん)
「セリフも動きも死ぬほどあります。そろそろ覚え始めたほうがいいですよ」(亜門さん)
「がんばります(笑)!」(愛之助さん)
おけぴ取材班:ayano mamiko おけぴ管理人(撮影)