祝・読売演劇大賞 最優秀男優賞受賞 中川晃教さんおけぴ単独インタビュー

 既報のとおり、先日、第24回読売演劇大賞 最優秀男優賞に輝いた中川晃教さんの受賞記念取材会が行われました。おけぴでは、取材会後に単独インタビューを敢行!『ジャージー・ボーイズ』のこと、そしてこれからのことをうかがいました。



【このムーブメント、作品が化ける瞬間っていうのは、決して一人では起こせなかった】


──改めまして、受賞おめでとうございます!

 ありがとうございます。
 公演前、公演中の応援はもちろん、ノミネートされてから受賞が発表されるまでの間も周囲の人の、『ジャージー・ボーイズ』を推す思いというか、波動のようなものがすごくて!『ジャージー・ボーイズ』、賞をとれ~~というような(笑)。本当にみなさんのおかげです。



──昨年1月にお話をうかがったときに「『ジャージー・ボーイズ』、フランキー・ヴァリ役にトキメキと運命を感じています」とおっしゃっていましたが、その気持ちは変わらず?

 「トキメキと運命を感じています」…か。うーん、トキメキと運命から始まって、それがだんだんトキメキだけではもたなくなり、運命というのも重たくなり…(笑)。違うところへ意識がいくというか、ハハハ。でも、僕の中ではまだ船出をしたばかりという感覚でもあり、再演に向けて、これから待ち受けているいろんなことがすごく楽しみ!

──夫婦関係みたいですね(笑)!

 すごく大きな、素敵な出会いという意味でも(笑)?!『ジャージー・ボーイズ』と出会ったことで、物事への取り組み方、考え方、もっと言うと生き方も変わったなと思っています。
 だから、再演では、初演ではどうあがいても精度を上げきれなかった部分を高められるように、まずはそれまでに自分にできることから頑張りたいな。



──『ジャージー・ボーイズ』で描かれているザ・フォー・シーズンズの物語。その中では、彼らが大衆により押し上げられたアーティストだという表現があります。日本版『ジャージー・ボーイズ』も観客の盛り上がり、支持というのが尋常でなかったように感じました。まさに、大衆が押し上げたというような…。

 その通りです!
 お客様もどんどんヒートアップし、「『ジャージー・ボーイズ』すごいんだってね!」と話題になっていくことに、わぁ!って新鮮に驚いていました(笑)。それと同時に、この盛り上がりにこたえるには、観に来てくれた方に絶対に「よかった!」と思っていただかないといけない、本物じゃなければいけないと思ったんです。そこで自分がやるべきことがより明確になったんです。
 あとは、このムーブメント、作品が化ける瞬間っていうのは、決して一人では起こせなかった。あの手ごわい共演者たち(笑)と一緒だったから、出来たんだと思います。


手ごわい共演者たちね…(チラチラとお顔が思い浮かんだりして…笑)


【僕は本物のエンターテイナーになりたい】


─デビュー15年目の節目に、素晴らしい出会いがありましたね!その結果としての受賞というのも、さらに特別な思いを抱かせるのではないでしょうか。

 シンガーソングライターとしてデビューした僕が、ミュージカルに出会い、『モーツァルト!』のヴォルフガング役でいきなり読売演劇大賞の優秀俳優賞、杉村春子賞(新人賞のような位置づけ)をいただきました。あの頃はその価値すらよくわかってなかったんです。そこから、自分が目指すものがより具体的になっていき、ひとつひとつの作品と向き合っていく中で得たものを糧に、15年歩んできました。その時間が間違っていなかったのかなって。

──目指すものとは。

 僕は本物のエンターテイナーになりたいんです。



──本物のエンターテイナーになるために。

 今、『精霊の守り人』(NHK)というドラマの収録中なのですが、そこにどうして自分が呼ばれたのだろうかと考えたとき、バランスという言葉が思い浮かびました。なんていうか歌がうまい、芝居がうまいといった突出した才能とはまた違う、バランスが求められているのかなって。エンターテインメント、ミュージカルって、好きなシンガーの歌を聞きにいくのとはちょっと違って、そこに何があるのか(完全には)わからなくてもワクワクする、興味がわく、足が向く、感動する!それが基本だと思うんです。

 今は、その選択肢も2.5次元系、小劇場系、オリジナル、そして、東宝ミュージカルのようなグランドミュージカルや劇団四季とたくさんある。きっともっともっとあるんだろうけど、その中でケンカしても仕方がないと思うんだよね。それぞれ個性があって、それを求めるお客様がいる。それをひとつのボウル(器)に集め、それが盛り上がったらすごく面白いよね!



──とても間口が広いですよね。

 そう。そして、そういう要素が、『ジャージー・ボーイズ』にもあったと思うし、『フランケンシュタイン』にも『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』にも、『ビューティフル』にもあるよね。『ビューティフル』では、声優、音楽の世界で活躍するお二人がキャロル・キングを演じ、その脇をミュージカルで頑張っているわれわれが固める!そうやって、お客様に満足していただこう!と、みんなが一丸となって作り、届けるミュージカルって、ものすごい可能性を秘めている!今、キテるなって思えるんだよね。



──そして、その先に「ミュージカルを作る」というものがあるのですね。

 そこでは思いも大事だけど、それだけではダメだとも思っている。しっかりと作りたいんです。韓国ミュージカルがソフトとして輸出されているように、僕らが作るオリジナルミュージカルもアジア、そして世界へ向けて輸出できるようなクオリティにしたいんです。今は、そのために多くのことを吸収する時期だと思っています。そこは手堅くね(笑)。
 夢は大きく、現実は厳しく。でも、簡単に乗り越えられない壁だからこそ、僕は頑張れるんです。



──これからの中川さんからも目が離せません!では、最後に、ファンのみなさんにメッセージを!

 フランキー・ヴァリ、ビクター・フランケンシュタイン博士、スヌーピー、キャロル・キングと同時代を生き、共に切磋琢磨した職業作曲家バリー・マン…、近年、僕、中川晃教でありながら、作品の中で求められるいろんな人物になれることがすごく楽しいんです。そして、そう思えることが自分自身へのささやかなご褒美だと思っていました。そのなかで、運命とトキメキを感じる(笑)この作品でこのような賞をいただけたことは、この上ないご褒美です!

 『ジャージー・ボーイズ』のテーマのひとつは、終わらない青春。戦い続ける、生き続ける、歌い続ける…、その情熱の答えがそこにありました。ザ・フォー・シーズンズが大衆に支持され育てられたように、僕自身を、この作品を、ミュージカルというものを支えてくれるみなさんの存在を強く感じ、元気や勇気をもらっています。みなさんと一緒にミュージカルシーンを盛り上げていけるように、みなさんに感動を届けられるように、より一層精進します!これからも応援をよろしくお願いします!




──ありがとうございました。そして、あらためておめでとうございます!!


【さきどり『ビューティフル』トーク】


──『ビューティフル』おけぴ観劇会開催が決定しました!

 わーい!!
 このミュージカルの面白いところって、その時代をつくった職業作曲家、作詞家と呼ばれる人たちにスポットが当たっているところだと思うんだよね。日本だったら筒美京平さんとか松本隆さん、森雪之丞さんもそうだよね。そういう発想、目線って“朝ドラ”っぽくない?日本でも作ればいいのに!!

 そして、『ジャージー・ボーイズ』と同じコンセプトミュージカル、ブックレスだよね!『ビューティフル』という作品、バリー・マンという役と向き合う時間も、今からとても楽しみです。

──そう思うと、いつの日か、中川さんがミュージカルになる日も?!

 えっ!でも、フランキー・ヴァリにもなって、フランケンシュタイン博士にもなって、スヌーピーにも…やる人が大変じゃない?!



一同)笑!!

──(心の声)でも、実人生でそのすべてをやり遂げる中川さんって…やっぱり、君こそ奇跡(笑)!






記事中にも紹介した、昨年1月のインタビューのおまけトークでの中川さんのことば。

「このキャスティングって、じわじわくるよね。いやぁ、よくぞ!って感じ。
 特にミュージカルを見続けているお客さんほど“じわじわ”じゃないかな。
 このキャストのバランス、誰かが主演のミュージカルを作ろうじゃなくて、『ジャージー・ボーイズ』という作品を作ることを第一に考えられているよね」


 公演中はもとより、今回の受賞が決まったとき、ふとこの言葉が思い出されました。“じわじわ”からの“ビンゴ!”です!!

おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) おけぴ管理人(撮影) JB2016

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