【宙乗り!本水!早替り!】大阪松竹座『五月花形歌舞伎』上演中【夜の部観劇レポート】

5/15追記♪ 

【公演ダイジェスト動画が届きました!】




本水を使った立廻り、そして早替りの連続に客席が沸き立ちます!
(夜の部『怪談乳房榎』より、うわばみ三次に扮した中村勘九郎さん)


 市川猿之助さん、中村勘九郎さん、中村七之助さんが8年ぶりに大阪にて顔合わせ!

 スペクタクルな仕掛け満載! それだけではない、役者の魅力もいっぱい! の五月花形歌舞伎が大阪松竹座にて上演中です(5月26日まで)。

 昼の部は、公演中に市川猿之助さんが宙乗り1000回目を迎えることでも話題の『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』と、京と浪花そして江戸の廓の様子を楽しくみせる舞踊『戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)』

 そして夜の部は、三角関係の果てにみせる娘の決心が切ない『野崎村(のざきむら)』と、早替りの連続に本水を使った立廻りなど、舞台から目を離せない仕掛け満載の『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)』

 歌舞伎の魅力がいっぱいに詰まった大阪松竹座「五月花形歌舞伎」の見どころを、猿之助さん、勘九郎さん、七之助さんのコメント&舞台写真つき観劇レポートでお届けいたします!



大阪松竹座では8年ぶりの顔合わせとなるお三方。
「役者としての成長期をともに過ごした特別な存在」(七之助さん)
「お互い、おじさんになったなあ…と」(勘九郎さん)
「なんないよ。僕は、ね(笑)」(猿之助さん)
(写真左から中村七之助さん、市川猿之助さん、中村勘九郎さん)



【初日公演終了後、囲み取材が行われました】

「無事に初日を終えられてほっとしています」と開口一番に猿之助さんがそう語るほど、宙乗りや本水を使った立廻りなど大掛かりな仕掛けが多いこの公演。

 期間中に宙乗り1000回目を迎える猿之助さんは「1000回ってひとくちに言うけれど、よく飛んだなと。ただやみくもに飛んでもだめ。宙乗りが溶け込むような作品をきっちりと作らないと」と語り、さらに「河内屋さん(三世實川延若)から中村屋さんに伝わってつくり上げられた『怪談乳房榎』も、猿翁のおじが何度もやった『金幣猿島郡』も、先人たちが工夫して作ったもので、非常に洗練されている。どちらもよくできた作品だと思います。昼の部は『戻駕色相肩』、夜の部は『野崎村』と大阪ゆかりの作品もあって、狂言立てがいい。夜は8時に終わるし(笑)。すごくいい公演だなと自画自賛しています」と、この「五月花形歌舞伎」の魅力を教えてくれました。



昼の部『金幣猿島郡 双面道成寺』
写真左から中村七之助さん、中村勘九郎さん、中村歌昇さん、市川猿之助さん


昼の部『戻駕色相肩』
写真左から、中村歌昇さん、中村勘九郎さん、中村児太郎さん


 「大阪のお客様はほんとうに反応がいいので、やっていて楽しい」という勘九郎さん。夜の部『怪談乳房榎』ではあっと驚く早替りの連続で客席を沸かせます。「(早替りを得意とする)猿之助さんが早替りをしないで、私が早替りをする。こんな贅沢なことはないですよ。いい思いをさせてもらっていますね」

 大阪松竹座では8年ぶりの共演となるお三方ですが、「ブランクは感じない」(猿之助さん)とのこと。16歳の頃から兄・勘九郎さん、そして猿之助さんとともに「浅草歌舞伎」で奮闘していた七之助さんは「役者としての成長期、一番感受性が豊かで、いろいろなことを教わって人前で初めて演るという経験をした時期をともに過ごした特別な存在。久しぶりに会ってもすっとできる。ぱぱぱっと決められる。あの空気感は今から作ろうと思ってもぜったいにできないと思う」と3人の絆、チームワークの良さを感じさせるエピソードを披露してくれました。

 
「8年前に大阪に来たときも客席が熱狂していたのを思い出します。『怪談乳房榎』の傘の早替りのところ、雅行さん(勘九郎さん)が向こうからぱっと来たときに「待ってました!」と思ったけど、お客様もそう思って喜んでくださっているのがわかって嬉しかったですね」(猿之助さん)
「また来たいですね、大阪」(勘九郎さん)
「ねえ。呼んでくれるかな?」(猿之助さん)
「なんだか初日なのに楽(日)みたいな雰囲気になっちゃった(笑)」(勘九郎さん)





【レポ後半では夜の部観劇レポートをお届けいたします!】



 大店のお嬢さんお染と丁稚の久松が起こした“お染久松”心中事件の「脇役」ともいえる「久松の許嫁・お光」にスポットを当てた『野崎村』は、七之助さんがみせる田舎娘の健気な心の表現が見どころの切ないお話。

 梅が咲くのどかな野崎村を舞台に、許嫁の約束を交わした久松と夫婦になる日を待ち望むお光(中村七之助さん)と、久松の恋人で奉公先の箱入り娘・お染(中村児太郎さん)、そのお染を恋しく思う気持ちと、養父や奉公先への恩義、そして本物の妹のように育ったお光への思いとの間で苦しむ久松(中村歌昇さん)。子どもたちを心配する父・久作(坂東彌十郎さん)も加わって、それぞれの心情が丁寧に描かれます。


祝言を前にウキウキする気持ち、恋のライバル登場に動揺して思わず意地悪してしまう娘心…七之助さんがいきいきと演じるお光ちゃんがなんとも魅力的! 
(写真左から中村七之助さん、坂東彌十郎さん、中村歌昇さん)
 


 お光の登場場面、七之助さんの圧倒的なかわいらしさ! 小首をかしげる姿、自分の祝言のための祝い膳を自ら用意するウキウキとした様子…このあとの展開を知っているからこそ、涙なしには見られないお光ちゃんの笑顔です。

 きびきびとした働き者のお光と、振袖姿でおっとりとしたお嬢様・お染。同じ若い娘でもキャラクターの全く異なるふたり。それぞれ演じる七之助さん、児太郎さんがどのように彼女たちの境遇、性格、思いを表現するのか、ぜひご注目くださいね。どこまでも優しく、と同時に「優柔不断!」と思わず言いたくなってしまう優男・久松役の歌昇さんも好演です。

 久松との結婚を心待ちにしながら、お染との関係、ふたりの覚悟を知ってしまったお光が取った行動とは…? これはもう涙を拭うハンカチ必携! 恋する若者3人それぞれが「思い切った」先に待ち受けるものとは。お光の心情と対比するようにどこまでものどかな野崎村の風景が心に染み込みます。




 そしてお待ちかね! 勘九郎さん三役早替りも鮮やかな『怪談乳房榎』。大阪では平成3年以来、26年ぶりの上演となり、勘九郎さんの主演ではもちろん大阪初御目見得!

 とにかく早替りに次ぐ早替りで、勘九郎さんが舞台裏を走り回っている様子まで目に浮かぶようなこのお芝居。勘九郎さんが演じるのは、妻を騙し取られた上に殺害され幽霊となる絵師・重信と、純朴な下男・正助、そしてごろつきのうわばみ三次の三役。どの役もまったくちがうキャラクターで、登場するたびに「え? これも勘九郎さん!?」と驚くことうけあい。その早替りの早さといったら…おけぴスタッフ、一回目の早替りにかかった秒数を頭の中で数えてみました。結果は約6秒! …が、これで驚いてはいけません。このあと、え?どうやって!? と目を疑いたくなるような花道での一瞬の早替り、そして本水を使った滝壺のなかでの早替りなど、拍手喝采ポイント多数! 

 勘九郎さんの奮闘に加え、もうひとつの見どころは「あまり演じたことがない」という悪役に意欲十分の猿之助さんの浪江役。色悪に扮する猿之助さん、これがまたなんとも魅力的なんです。浪江という役、とにかく悪い、卑怯なヤツなんですが、猿之助さんが演じるとどことなく愛嬌を感じさせる部分も。このことがのちに浪江の妻となる重信の妻お関(七之助さん)の心情にも、妙なリアリティを感じさせて、芝居をぐっと味わい深いものにしています。早替りを“しない”猿之助さんの、珍しい色悪。レアな姿が見られるのは、(今のところ)当月の大阪松竹座だけ。ファンの皆様、お見逃しなく! 



『怪談乳房榎』より、三役を早替りで演じる勘九郎さんのうわばみ三次と、「悪役、しかも色悪は珍しい」という猿之助さんの磯貝浪江


 タイトルに「三世實川延若より直伝されたる十八世中村勘三郎から習い覚えし」と付け加えてあるように、三遊亭円朝による江戸を舞台にした怪談仇討ち噺を、上方出身の二世實川延若(当時は延二郎)が初めて歌舞伎として上演。三世延若に引き継がれ、延若から手ほどきを受けた勘九郎さんの父、十八世中村勘三郎が上演を重ね、中村屋の人気演目として定着した『怪談乳房榎』。父から受け継いだ早替り三役、2月に歌舞伎座で初舞台を踏んだ勘九郎さんのお子さん2人(三代目中村勘太郎、二代目中村長三郎)も憧れの眼差しで見ているようで…

「自宅のシャワーを滝に見立ててふたりで立廻りをしています(笑)。僕たち(勘九郎さんと七之助さん)も子供のころ全く同じことをやっていたんですよ」(勘九郎さん)

 観るものを喜ばせようとするサービス精神たっぷりのエンターテインメント歌舞伎。その心意気は次の世代までしっかりと繋がっていきそうですね!

 中村屋に受け継がれていく『怪談乳房榎』を大阪で体感できる「五月花形歌舞伎」は5月26日まで大阪松竹座にて上演中。昼夜とも当日10時から幕見席も(12日昼公演除く)販売予定。詳細はこちらをご確認ください。


<こぼれ話>
猿之助さんは宙乗り1000回! 勘九郎さんも本水1000回を目指す…?
「大阪松竹座の水がね、意外と冷たいんですよ。毎回滝行をしている気分。でもお客様から熱い声援をいただいて、だんだん水の冷たさも気にならなくなってきました」(勘九郎さん)
「本水1000回ね」(猿之助さん)
「あの役者、水をよく使うねーって?」(勘九郎さん)
「水も滴るいい男、だからね(笑)」(猿之助さん)


<こぼれ話2>
江戸を舞台にした『怪談乳房榎』。
高田、落合など東京の地名が出てきますが、土地勘のない方もご安心を! 
イヤホンガイドを借りれば「これは今でいうスカイツリーのあたり」というように、わかりやすく教えてくれますよ。地名の由来などのプチ情報もあり、歌舞伎を見ながら東京観光をしている気分にもなれるかも?
イヤホンガイド公式サイトも今月の公演紹介など楽しい読み物がいっぱいです♪



【公演情報】
大阪松竹座新築開場二十周年記念「五月花形歌舞伎」
平成29年5月2日(火)~26日(金)
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時~

<昼の部>
一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)

三代猿之助四十八撰の内
二、金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)
大喜利所作事 双面道成寺(ふたおもてどうじょうじ)
市川猿之助宙乗り相勤め申し候

<夜の部>
一、野崎村(のざきむら)

三世實川延若より直伝されたる
十八世中村勘三郎から習い覚えし
二、怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)
中村勘九郎三役早替りにて相勤め申し候


公演情報詳細
大阪松竹座


写真提供:松竹株式会社
おけぴ取材班:mamiko  監修:おけぴ管理人

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