『CLUB SEVEN-ZERO-』蘭乃はなさんインタビュー


 「笑い」「かっこいい」「美」も全てがつまったエンタテインメントの玉手箱!
 
 トータルクリエーター玉野和紀さん率いる個性豊かなメンバーが、歌にダンス、スケッチ(コント!?)、オリジナルのミニ・ミュージカルまで、さまざまな顔をみせるショーステージCLUB SEVEN-ZERO-がいよいよ開幕! 
(プレビュー公演はシアター1010にて5月26日から28日まで。6月3・4日の大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演を経て、6月8日から22日までシアタークリエにて上演)

 「ZERO」と副題がついた今回は、シーズン初期からの“レジェンドメンバー”玉野和紀さん、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんが5年ぶりに集結! 3rd以来となる香寿たつきさん、6th以来となる原田優一さん、そして今回初参加の蘭乃はなさんもあわせて「7名=SEVEN」の精鋭メンバーが集まり、一部内容が異なるAバージョン・Bバージョン、2パターンでの上演です。

 宝塚歌劇団花組のトップ娘役として、その高い身体能力と可憐なイメージを活かして活躍。退団後は2年連続でミュージカル『エリザベート』に出演、タイトルロールのエリザベート役を務めた蘭乃はなさんが、大ネタ小ネタ満載で“ボケ”のスキルを大いに求められるクラブセブンにどう立ち向かうのか!? お姫様的イメージを裏切るその真の姿とは…? 公演の見どころ、共演者のみなさまとのエピソード、今後の展望までたっぷりと語っていただきました。





──まずは出演が決まったときの率直な感想から教えてください。

 実は『CLUB SEVEN』の舞台を拝見したことがなかったんです。でもこれまでに10回続いているシリーズで、さらに派生作品(SHOW HOUSE『GEM CLUB』)も生まれるほどの人気作。そこに呼んでいただいたことは純粋に嬉しかったですし、歌と踊りだけの作品じゃないよ、と聞いて「あ、なんだか楽しそうだな」と(笑)。


──まさにその「歌と踊りだけではない」ところが『CLUB SEVEN』シリーズの魅力ですよね。キャストの皆さまが本気の“ネタ”を見せてくれる「スケッチ」パートには、さまざまなキャラクターが登場しますが、蘭乃さんはどんな役柄を演じるのでしょうか?

 いろいろやらせていただくのですが、私の中での一番は…「蚊」ですね。


──元トップ娘役の蘭乃はなさんが「蚊」…。

 「蚊」、です(笑)。そもそも私自身のなかに「コントをやってみたい」という願望がずっとあったんです。小中学生時代に見ていた『笑う犬の冒険』といったコント番組も大好きでしたし。ですから今回「蚊のかぶりもの」をかぶったときに湧き上がった喜びもひとしおでした!




──宝塚時代に着ていた豪華な衣装とはまた違う興奮が「蚊のかぶりもの」にあったわけですね(笑)。今回AバージョンとBバージョンの2パターン上演になりますが、蘭乃さんの「蚊」が登場するのは?

 「蚊」のスケッチが登場するのは「家族」をテーマにしたAバージョン。西村さんと吉野さんと私が蚊の家族で、東山さんと香寿さんにいじめられる設定です。うってかわってBバージョンのテーマは「恋愛」。原田さんと色っぽく踊るシーンから始まります。その後から吉野さんが出てきて…「ともすると、三角関係!?」といった展開になります。


──単なる三角関係ではないわけですね。ABバージョンどちらも見逃せないものになりそうです。共演者のみなさまの“ネタ”“ボケ”にはついていけていますか?

 とにかくもう吉野さんが…(笑)。共演させていただくのは初めてですが、“ただならぬおもしろさ”をずっと客席から感じていました。今回一緒にお稽古をしていて「やはり客席で感じたものは間違っていなかった」と。独特の存在感に“凄み”を感じました。同じスケッチに出ることが多いので、とにかく今は吉野さんのおもしろさに全力で乗っかっていくのに必死です。稽古場で一番うれしいのは、私の“ボケ”でみなさんが笑ってくれるとき。「おもしろいって言ってもらえた! やったー!(喜)」って(笑)。


──恒例の二幕冒頭のミニ・ミュージカルではどんな役柄を演じられるのでしょうか?

 香寿さん演じる女優のメアリーに憧れて、劇場の下働きに入るマーガレットという女の子を演じます。タータンさん(香寿たつきさん)は、私が宝塚を見始めた頃のトップスターさん。私がこの世界に入るきっかけになったおひとりでもありますので、お話の中での関係性は現実にもリンクする部分があります。自分のリアルなものも作品に反映させられるなと思いながら演じています。


──おふたりが出演されていた『エリザベート』とはまったくちがう関係性での共演になりますね。稽古場での香寿さんの印象は?

 玉野さんから無茶振りをされて、困っているタータンさん…こんなことを言っていいのかわかりませんが、すごく可愛らしいんです! もちろん歌とダンスでみせるショーパートは、ほんとうに素敵で。やはり男役トップスターさんだった余裕と言いますか、力いっぱいに踊るだけではない“ヌケ感”がかっこいいです。私はどちらかというと一生懸命に力いっぱい踊るほうに行きがちなので、これを機会にちょっと今までとは違ったお客様を魅了する技を学ばせていただきたいなと思っています。Bバージョンでは一瞬だけ「ザ・宝塚!」な場面もありますので、幻の共演を楽しんでいただけるかと。


──笑いを封印したかっこいいショーパートも『CLUB SEVEN』の魅力のひとつだと思います。蘭乃さんの歌やダンスはどんな感じになりそうでしょうか?

 笑いを封印した場面…? (しばし考え込む蘭乃さん) あ、今年大ヒットした某ミュージカル映画をイメージした場面では、ジャズっぽい振付でまずタータンさんと私が、途中からは男性陣が出てきて踊ります。そこはしっかりとかっこよく美しくみせたいです。




──蘭乃さんといえば、宝塚時代から高い身体能力を活かしたダイナミックなリフトなどもお得意でした。男性と組んで踊るようになり、なにか変わったことはありますか?


 宝塚時代はやはり女性同士でしたので、娘役も自分で動いて力を使うことが必要でした。リフトで相手に体重をのせるタイミングも大事でしたし。今回はそこまで大きなリフト技はありませんが、よく言われるのは「自分で動かないで」ということ。「変に動かれると却ってやりづらいし、やりがいもない」と(笑)。確かにこちらが体の力を抜くと、お互いに最小限の力でリフトすることができるんです。だからリードされるときは相手の方にお任せするぞ、と。そこは宝塚時代との大きな違いですね。
 それからミニ・ミュージカルのなかで吉野さんと少しだけ一緒に踊る場面があるのですが、ぐっと引き寄せられたときに足が床につかないという現象を初めて体験しました。ここまで背が高い方と踊るのは初めてでしたので、いままでにない体験ですごくドキドキしましたね。


──歌に関してはいかがでしょうか。昭和テイストになるという噂も聞きましたが…

 昭和のアイドルの方々の曲が多いです。例えば私は南沙織さんの曲を歌います。そのバックダンサーで踊ってくださるのが玉野さんと東山さん。豪華なんです。豪華なんですけど、今まで一度も3人の振りが合ったことがなくて(笑)。


──玉野作品は『CROSS HEART/クロスハート』に続き二作目ですが、ご自身では「蘭乃はな」のどんな部分が評価されての連続起用だと思われますか?

 実は玉野さんからずっと「らん(蘭乃)は痩せ過ぎだ」と言われているんです。でも私、けっこう筋肉がありますし、自分ではそんなに痩せすぎだとは思っていないので、「なんでそんなに仰るんですか!」と言い返してしまったことがあって。そうしたら玉野さんから「らんのことが好きだからだよ!」と告白されちゃいました(笑)。だからきっと今回も私のことが好きだから呼んでくれたのではないかと思います(笑)。




──蘭乃さんの天真爛漫な魅力の一端、今のご発言でよく伝わりました(笑)。

 (笑)。真面目なことを言うと、先日「らんの色んな面を出したい」というお言葉をいただきました。そんな玉野さんのお気持ちにお応えできるよう頑張りたいです。ほんとうに玉野さんからの愛を感じる現場です。もちろん私だけでなくほかの出演者の方のことも全員、玉野さんは愛しているし、みんなも玉野さんのことが好き。稽古場で愛の応酬が続いています。


──愛あるメンバーに囲まれて『CLUB SEVEN-ZERO-』の世界がつくり上げられているんですね。…とはいえ、7人のキャストのみで歌にダンスにスケッチ、ミュージカル、そして名物の五十音順ヒットメドレーまでほぼノンストップの公演は、体力的にきついこともあるのでは。

 いまのところ、体力的には大丈夫ですが、まだ衣装をつけての通しをしていないので、ここから早替りが入ってくるとどうなるのかな、と。あとみなさんはこれまでの公演で稽古から本番、千秋楽まで一通り経験されていますから、全貌が見えている。その点、私は初参加でペース配分などがわからないぶん、どうなるんだろう…という不安は多少ありますね。


──休みなく稽古と公演が続く宝塚のトップ娘役を4年余り務め、退団後も2年連続で大作『エリザベート』のタイトルロールを演じるという経験をされた蘭乃さんですので、きっとこの『CLUB SEVEN-ZERO-』も笑顔で走り抜けられると期待しています。その笑顔を支える体力づくりや、心が落ち込んでしまったときの回復方法など、蘭乃さん的秘訣があれば教えていただけますか?


 フィジカル的には週に一度、ジャイロトニックという体幹トレーニングに通って体を整えています。1時間程度のトレーニングですが、その間じっくりと自分の体と向き合うんです。肉体を通して自分と向き合う時間を作ることで、心の落ち着きにもつながっているかもしれません。それから気力が落ちてしまったときは、無理に上げても仕方がないので、落ちるところまでとことん落ちる(笑)。とにかく無理して「似非(えせ)ポジティブ」にだけはならないように気をつけています。「無理だ」「だめだ、できない」と思う自分をちゃんと認めてあげることも時には大事かなと。




──無理をせずに自然体で、ということですよね。そういったことを相談する相手はいらっしゃいますか? 宝塚時代は同期に妹さん(宙組娘役だったすみれ乃麗さん)がいらっしゃいましたが…

 妹には全部を相談しています(笑)。むしろ今のほうがたくさん相談にのってもらっているかもしれません。宝塚時代はお互いに自分のことで精一杯でしたので、相談するにしても「このリフトがうまくできないんだけど…」といった技術的なことばかりでしたが、いまはどんなことも安心して頼っています。すべて深い愛で受け止めてくれるので。


──稽古場では愛あるメンバーに囲まれ、ご家族の愛あるサポートもあり、「女優・蘭乃はな」はこれからもいい感じで進んでいきそうですね! この後の出演作も続々と発表されていますが、宝塚退団後、これまでの経験を通して改めて見えてきた舞台人としてのビジョンがあれば聞かせてください。

 宝塚時代は「娘役の理想像」に「蘭乃はな」を近づけることにすべてを注いできました。そのことに悔いはありませんが、理想の娘役になるというあまりにも大きな目標がありすぎて、自分自身の人間性の構築と言いますか、自分がいったいどんな人間なのかと考えることをおろそかにしていた部分もあったかと思います。退団した当初は、このまま舞台に立ち続けたいのかもわからない状態でしたが、2年連続で『エリザベート』に出演する機会をいただき、役を通して自分を見つめ直すことができました。そのおかげで「自分が考えていること」「感じていること」を、舞台で昇華させることによって、お客様の心に響くものが少しでもお届けできるのではないかと思うようになっています。
 『CLUB SEVEN-ZERO-』は玉野さんを中心にまるで劇団のような結束力のある現場です。宝塚を退団し、女優を続けていくのかもわからないまま、ただひたすらに役を演じることに没頭してきた3年間でしたが、この作品に出会い「やっぱり自分は舞台を作っていくことが好きなんだ」と再認識しました。演出の玉野さんだけではなくて、西村さんをはじめとしたメンバーも「ここはこうしたらもっと良くなる」「こっちのほうがおもしろい」と熱く話し合っていて。その姿を見ながら、改めて舞台の魅力を噛み締めています。「やっぱり舞台に立つことが好き」と思わせてくれた『CLUB SEVEN-ZERO-』。たくさんのお客様にご覧いただければ嬉しいです!









 「CLUB SEVENと言えば!」の定番ロングコート風衣裳を翻したかっこいいオープニングナンバーから、爆笑必至のスケッチの数々、CLUB SEVEN名物の50音順ヒットメドレー…オトナの全力遊び心満載・大娯楽エンタテイメント! それが『CLUB SEVEN-ZERO-』。

 レジェンドメンバーが集まるCLUB SEVENの集大成であり、新たな道の始まりでもある舞台に、フレッシュな風を吹き込む蘭乃はなさん。宝塚時代とはまたちがう、その魅力が開花するステージ初日が今から待ちきれません!


【蘭乃はなさんプロフィール】
2006年宝塚歌劇団入団。92期生。宙組公演『NEVER SAY GOODBYE』で初舞台を踏んだ後、月組に配属。『夢の浮橋』新人公演で初ヒロインを務める。2010年7月『麗しのサブリナ/EXCITER!!』で花組トップ娘役に就任。2014年11月『エリザベート 愛と死の輪舞』エリザベート役で退団。
2015年に東宝版『エリザベート』(帝国劇場)出演。翌2016年と2年続けてタイトルロール・エリザベート役を務めた。退団後の主な出演作は『LOVE LETTERS』『ENTERTAINMENT ORIGINAL MUSICAL SHOW「RHYTHM RHYTHM RHYTHM」』、『A NEW MUSICAL クロスハート』など。今後も『Pukul』、ミュージカル『舞妓はレディ』などへの出演が控える。

蘭乃はな オフィシャルブログ






【公演情報】
『CLUB SEVEN-ZERO-』
2017年6月8日-22日 シアタークリエ

プレビュー公演
2017年5月26日-28日 シアター1010

全国ツアー公演
2017年6月3日-4日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2017年6月23日 刈谷市総合文化センターアイリス

<脚本・構成・演出・振付>
玉野和紀

<出演>
玉野和紀
吉野圭吾
東山義久
西村直人
原田優一
蘭乃はな
香寿たつき

公演公式サイト

おけぴ取材班:mamiko(取材/文) hase(撮影)   監修:おけぴ管理人

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