幕が開いたら最後まで!Show Must Go On!
舞台の上はひと波乱、舞台の裏は大騒動! ミュージカル、演劇文化の普及を目的として始まった一般社団法人 映画演劇文化協会の
“ハロー・ミュージカル!プロジェクト”全国ツアー。第1弾の
『王様と私』(2012~14年、松平健、紫吹淳、はいだしょうこ ほか)、第2弾の
『南太平洋』(2015年、16年、藤原紀香、別所哲也、太川陽介 ほか)に続いて、第3弾となる今回はミュージカル・コメディの名作
『キス・ミー・ケイト』が登場!全国各地で上演されます。
【製作発表レポート】
主要キャストのみなさんが扮装姿でご登壇、大変華やかな製作発表会見が行われました。コメントとともにそれぞれの
役どころと
劇中劇での役どころをご紹介いたします。
<松平健さん>フレッド:ショウの主演・演出・プロデューサーと大活躍。しかし私財をなげうっているので、すかんぴん寸前。新人女優ロイスに気があるが、元妻リリーともいい雰囲気。劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』ではペトルーチオ役:お金に目がなく、持参金目当てでじゃじゃ馬キャタリーナと結婚、じゃじゃ馬ならしに乗り出す。「私にとって3年ぶりのミュージカルとなる本作はとにかく楽しい芝居です。
フレッド役を演じる上で一番大事にしているのは元夫婦の関係。似た者同士、すぐケンカになるのですが、その根底にはいつも愛ある。なかなか本心を言えず、逆のことを言ってしまう。そんな二人の愛を大切にしたいと思います。プロデューサー兼演出家、何しろあわただしい役です。たくさんある歌でしっかりと伝えられるようにがんばります。
本プロジェクトでは、初めてミュージカルをご覧になるという方も多くいらっしゃると思います。多くの方にミュージカルの楽しさを知っていただくということを念頭において、我々もがんばりたいと思います」
<一路真輝さん>2002年、2003年に続いて14年ぶりにリリー役に挑みます。
リリー:主演女優。フレッドの元妻で、離婚後もかつての思いがくすぶっている模様。ハウエル将軍は現在の恋人。劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』ではキャタリーナ役:じゃじゃ馬娘でペトルーチオと無理やり結婚させられる。「14年ぶりのリリー役、あえて新作に臨むような心意気で台本を読みました。松平さんとは初共演、素敵な大きな胸をお借りして新しい作品として取り組んでいきたいと思います。
演じる上では、別れた夫婦がまた仕事場で出会って甦る感情が丁寧に描かれているところに面白さを感じています。傍から見たら「仲いいんじゃん!」って思うのに、当人同士が気づいていなくて(笑)。お互いに新しいパートナーもいるし…、ちょっとかわいい男と女の関係、駆け引きを出していけたらと思います。
このプロジェクトについは、実は松平さんがご出演されていた『王様と私』を地元の愛知で拝見しました。そのときに客席の雰囲気、会場に入ってくるとき、幕間、お帰りのみなさんの楽しそうなお顔を目の当たりにし、本当に素敵なプロジェクトだと思いました。あのとき私が客席で感じた幸せを、今度は舞台の上からお伝えできると思うと楽しみで仕方がありません」
<平方元基さん>ビル:二枚目俳優。ロイスの恋人で、ギャンブル中毒。大負けして書いた借用書に勝手にフレッドの名前をサインしてしまう。これが後々大きなトラブルを引き起こしてしまうのだが、本人はいたってマイペース。劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』ではルーセンショー役:ビアンカへ求婚しており、旧友のペトルーチオにじゃじゃ馬ならしを持ちかける。「このような歴史的な作品に出演させいただくこと、そして素晴らしい先輩方と一緒にミュージカル・コメディをやれることを、心から楽しみにしています。ミュージカルをあまり見たことがないという方にもミュージカルの楽しさをしっかりとお届けできるように精進してまいります。
ビルという役は、お調子者で博打好き、チャラい男です(笑)。でも、演出の上島さんからは「そこら辺のお兄ちゃんにならないように気をつけて」と言われました。今っぽいお兄ちゃんにならないようにがんばりたいと思います。劇の中の♪トム,ディック・オア・ハリーというポップなナンバーでは、僕も少し踊らせていただくので楽しみにしています」
<水夏希さん>ロイス:フレッドに抜擢された新人女優。フレッドから好意を持たれているが、ビルが恋人。しかしハウエル将軍とも何かワケあり?!男性陣からモテモテの憎めないキャラクター。劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』ではビアンカ役:キャタリーナの妹で、美人でおとなしい街の人気者。ルーセンショーと結婚する。 「古き良き時代の王道ミュージカル。素晴らしい音楽に包まれて、毎日楽しくお稽古しています。劇中ではモテキ到来!イケメンに囲まれて…(笑)。
演じるのは可愛さと色気で世の中を渡ってきたという女性。キャラクター的、ドタバタコメディ的になりがちですが、ピュアにスターを夢見てビルを愛している女の子をちゃんと身体と心の真ん中において、その上で表現がコメディタッチになったらいいなと思っています。
ツアーで周る各地のみなさんに、日常を忘れ、明日からの元気がわくような時間を過ごしていただけるようにがんばります」
<川﨑麻世さん>ハウエル将軍:リリーの恋人。軍人だが政界進出をもくろむ共和党員。「初めてこの作品に出演しますが、とにかく面白いです。先日の本読み稽古でも、劇中劇の『じゃじゃ馬ならし』での一路さんのヒステリックさに、私生活で散々じゃじゃ馬ならしをしてきた僕は…(笑)。楽しませていただきました。
演出家にも「それは芝居か?地か?」といわれましたが、それがわからないくらいのリアル感があれば成功かな。
演じるのはアメリカ陸軍の将軍。恋愛のために地位を利用して…今だとちょっと問題になってしまいそうなところもありますが、その情熱やテンションが大事なのかな。男としての情熱や強引さをちゃんと出したいと思います」
<ちあきしんさん>本作の歌唱指導も務められます。
ハッティー:リリーの付き人。身の回りの世話を焼いている。「実は、私も14年前の本作にアンサンブルとして出演していました。今回、ハッティー役で戻ってこられてよかったです。リリーを公私ともに見守る役です。また、この作品では歌唱指導も担当していますが、コール・ポーターによる、そのままジャズのスタンダードになるような名曲たちをしっかりとお届けできるようお手伝いしていこうと思います。
そして、本作はバックステージもの。幕開きの「またショウがはじまる」は裏方のハッティーが歌います。そこにはミュージカルの世界は裏方のみなさんがしっかりと支えているという意味合いがあるのではないでしょうか」
<太川陽介さん、杉山英司さん(スギちゃん)>ギャング(男1・男2):ビルがサインした借用書から、フレッドの元に取り立てにやってくる。しかしフレッドに丸めこまれ協力することに。『じゃじゃ馬ならし』にもうっかり出演。なぜか名前が不明。「僕も14年ぶりなんです。でも、前をなぞることだけはしたくありません。今回の本読みでもまずはニュートラルにやって、上島さんからのレクチャーで役を作ろうと思っています。そして、今回のパートナーはスギちゃんです。どんなギャングになるか楽しみにしています。ふたりのナンバー、♪パクろうシェイクスピアはうまくハモれるかな(笑)。僕たちギャングが出たときに、いかに瞬時に空気を変えられるかを考えています。
このプロジェクトの前作『南太平洋』にも参加しましたが、お客様があったかいんです。拍手も大都市とはまた違うものがあって。また喜んでもらえたらいいな」
「私を抜擢ということは、みなさんミュージカルというものを変えようとされているのかなと感じています(笑)。普段は「ワイルドだろ」ということでやっていますが、今回はギャングということで「ワルいだろ」とやっていこうと思っている次第です…。今日もなかなか厳しい戦いになりそうですね(笑)。頑張りますのでよろしくお願いします。
演じる上では、怖い感じを出したいのですが、私は私生活で怒るということがなくて…。しっかりとドスをきかせたいです」
最後は
演出の上島雪夫さん。
「『南太平洋』に続いて演出を担当します。『キス・ミー・ケイト』はアメリカが正義と明日を信じていた時代の名作です。そして歌と踊りと笑いに満ち溢れた作品です。
腐心しているのは、劇中劇がシェイクスピアであること。劇中1940年代と現代日本の何と何がリンクしているのかが、わかりづらいところもある。どこの都市の誰が見ても、何が行われているのか、シェイクスピアと劇中の何が繋がっていて、人間の何が面白いのかがわかるようにシンプルかつスピーディに創りたい。ある劇団がアメリカの田舎に行って上演するお話ですが、我々のこの劇団もそれぞれの土地の方に楽しんでいただけるように創っていきたいと思います」
【あらすじ】
ボルティモアの劇場、『じゃじゃ馬ならし』の初日。脚本・演出・主演・プロデューサーのフレッド(松平健)は大忙し。抜擢したロイス(水夏希)に気があるし、相手役の「元妻」リリー(一路真輝)ともいい雰囲気…。やがてひとつの花束が、大騒動を巻き起こす。
ロイスの恋人ビル(平方元基)は、今日もギャンブルで大負け、フレッドの名前を使い借用書にサインする。やがて借金の取り立てに、ギャング(太川陽介・杉山英司)が楽屋にご来場。
開幕。(リリー演じる)キャタリーナはじゃじゃ馬娘、(ロイス演じる)妹ビアンカを先に結婚させることはできず、父親は大弱り。そこへ(フレッド演じる)ペトルーチオが、持参金つきならOKと、じゃじゃ馬ならしに名乗りを上げた…
舞台裏でアクシデント!リリーは激怒し「今カレ」のハウエル将軍(川崎麻世)まで登場。あわや公演中止か!機転を利かせたフレッドは、「公演できないと借金が払えなくなる…」とギャングを味方につけてしまう。波乱含みの『じゃじゃ馬ならし』、さてはて結末は…。
【『キス・ミー・ケイト』の歴史】
本作は、1948年に初演されたブロードウェイミュージカル(49年のトニー賞受賞)。1953年には映画化もされています。
日本では、東宝ミュージカルとして1966年に宝田明さん&江利チエミさんのコンビで初演。1985年には立川光貴さん&倍賞千恵子さんコンビで、2002年に一路真輝さん&今井清隆さん、2003年に一路真輝さん&鈴木綜馬さん(現:鈴木壮麻さん)で上演。今回は14年ぶりの上演となります。
また、宝塚でも1988年に大浦みずきさん&ひびき美都さんのお披露目公演として上演。
【『キス・ミー・ケイト』の魅力】
ミュージカルといえば歌、ダンス、お芝居!まずは歌から…、作詞作曲はジャズの巨匠コール・ポーター。『ソウ・イン・ラブ』『またショウがはじまる』などの名曲を堪能できます。そんな極上ミュージカルナンバーに乗せた軽快なダンスも必見。さらにシェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』が元になった劇中劇とバックステージが時系列を合わせた見事な展開を見せるなど、お芝居パートも本当によくできているんです!!まさに古き良きスタンダードミュージカルなのです!
【フォト】
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人