桜花昇ぼるさんインタビュー 『桜花昇ぼる=真田幸村 10周年記念 トーク&ライブ 「いざっ!」』開催



 元OSK日本歌劇団トップスター桜花昇ぼるさんが、劇団在団中から幾度となく演じてきた【真田幸村】

 桜花さんと幸村が出会ってからちょうど10年となる節目の年に、これまでの「桜花=幸村」の足跡を振り返り、新たな幸村像を提示する記念イベント『桜花昇ぼる=真田幸村 10周年記念 トーク&ライブ 「いざっ!」が開催されます(7月28日に大阪・近鉄アート館)。

 数度にわたる解散の危機など、OSK日本歌劇団の苦難の時代をトップスターとして率いた桜花さん。その明るい笑顔の裏には、真田家復興、そして豊臣のために戦った幸村と自らを重ねる運命的な出会いがありました。

 OSK時代の相手役・朝香櫻子さん、退団後に共演した元宝塚歌劇団星組の鳴海じゅんさん、そしてOSK同期の娘役、沙月梨乃さんら迎えて、過去の幸村作品の主題歌、劇中歌やトークを交えて10年を振り返るパートと、北林佐和子さんによる書き下ろし戯曲で“その後の幸村”をみせるオリジナルの一人芝居で構成されるスペシャルなステージ。

 1日限りの舞台に挑む桜花昇ぼるさんに、幸村にかける思いをお聞きしてまいりました。
 


強さと優しさ、まっすぐな思い
幸村が持つイメージと重なるような桜花昇ぼるさん



【幸村との出会いは“運命”】


──幸村役と出会って10年。節目となる年に、記念イベントが開催されます。

 初めて幸村役を演じたのは2007年(New OSK日本歌劇団『真田幸村〜夢・燃ゆる〜』)。当時、近鉄さんの経営から離れたOSKを存続させるために先輩方が立ち上がり「New OSK」として活動を始めていましたが、やはり経営は厳しく、劇団員たちの給料も出ない状態。とにかく、これはもう続かへんやろうと悩んでいたときに、この幸村役に巡り合わせていただいたんです。「真田家再興」とまでは行かないかもしれませんが、この役に巡り合い、常に励まされながらOSK人生を生き抜いてきました。それが(OSK日本歌劇団の)創立95周年につながっているのかと思うと、本当に感慨深い思いです。


──運命的な出会いだったんですね。

 OSK存続活動をしていた2003年頃に大阪に住まいを移したんです。もともと大阪で生まれた劇団なので、本拠地を大阪に戻そうということで。劇団の存続活動で朝から晩まで走り回っていて、当時住んでいた奈良の家に帰るのも大変でしたし。それで転居することにしたんですが、引っ越し先がたまたま真田幸村が戦死した地と言われている安居神社(安井神社/安居天満宮)さんの近くでした。外部出演でご一緒した役者の先輩に勧められたこともあって、特に深く考えずにお参りに通っていたんですが、それから少ししてこの役に出会うことができて…本当に運命やな、と。私にとっては人生を救ってくれた役。OSKという劇団も幸村に救ってもらったと思っています。







【10年を振り返るパフォーマンスと、“未来の幸村”を感じる新作一人芝居】


──10年間の「桜花=幸村」の軌跡を振り返る記念イベントですが、どのような構成になりそうでしょうか? 

 休憩なしの90分間で、大まかに三部構成になっています。まずはOSK時代の二作品(『真田幸村〜夢・燃ゆる〜』『真田幸村〜我が心 炎のごとく〜』)から主題歌、劇中歌を。当時、相手役を務めてくれた朝香櫻子(現・OSK日本歌劇団特別専科)も途中から加わって一緒にパフォーマンスする予定です。次のコーナーでは「桜花=幸村」の生みの親であります北川央先生(大阪城天守閣館長)とのトーク、続いてOSK卒業後に演じた『大阪城パラディオン 将星☆真田幸村』『永遠のカンパニージャ』からの曲を元宝塚の鳴海じゅんさん、そしてOSKの同期でもある沙月梨乃とパフォーマンスさせていただきます。『大阪城パラディオン』では後藤又兵衛役を演じた鳴海さんですが、『永遠のカンパニージャ』ではその又兵衛を討ったとも伝えられている伊達政宗の先鋒・片倉小十郎役を演じています。小十郎と幸村は敵対する関係ですが、お互いに武将として認めあっていたらしく、幸村は自分の娘・阿梅(おうめ)を小十郎に託しているんです。そこからロマンスが生まれ、阿梅が小十郎に大切にされて生きていったというストーリーを、鳴海さん、沙月と3人でイタリアのミラノ万博で披露しました。そこからご縁がつながりまして、小十郎に縁(ゆかり)のある宮城県白石市で、白石市オリジナルミュージカル『永遠のカンパニージャ』という作品が生まれたんです。幸村との出会いから、どんどんご縁がつながり、新しい作品が生まれ、さらに派生していったその足跡を、劇中歌や主題歌を通してお楽しみいただければと思います。
 

──衣装などは、当時のものをそのまま使われるのですか?

 北林佐和子先生の演出で、洋装やレビューの雰囲気も取り入れた衣装になりそうです。そして最後に幸村の扮装で、オリジナルの一人芝居を見ていただきます。


──今回のイベントのための新作、ということでしょうか?

 はい。“その後の幸村”をテーマに北林先生が書き下ろしてくださった新作です。真田幸村は大坂夏の陣で戦死したことになっていますが、密かに脱出し薩摩に落ち延びたという伝説があるんです。それに基づき「未来に生きよ」という思いを込めた一人芝居になりそうです。これまでの作品で音楽を手がけてくださった松岳一輝先生がギターを、舞台やコンサートなどでご一緒している元岡衛さんがピアノを、打打打団 天鼓の坂上享さんが和太鼓をそれぞれ生演奏してくださり、これまでの劇中歌も取り混ぜながら「これからの真田幸村」をお見せしたいと思っています。






【よりリアルな、父親としての幸村の思い】


──10年前に初めて演じたときと比べて、幸村に対する思いや印象などに変化はありましたか?

 まず10年間変わらずに根底にあるものとして、自分と幸村を重ね合わせて共感できる“まっすぐさ”があります。私、すごくぶきっちょ(不器用)な人間で、曲がったことが許せずに一直線に生きてしまう面があるんです。それが原因で人生の問題とぶつかってしまうこともあるのですが、きっと幸村もそんな人間だったのではないかと。昨年出させていただいたCDと写真集のタイトルも『真一文字』。家康の本陣に突撃するときに、幸村が本当に真一文字に切り込んでいったという資料が残っているそうで、この“真一文字に突き進む”というイメージが私にあっているのではないかと、北川先生につけていただいたタイトルです。このまっすぐ、真一文字というイメージは10年前から変わらずに持ち続けています。
 一方で、自分の中で少しずつ変わってきた、進化してきた幸村像もあります。OSK時代の作品は、あまり生々しい人間関係は描かれておらず、朝香が演じた幸村の相手役も人間ではなくツツジの花の精という設定でした。茶臼山に集まった赤備えの幸村の軍勢が、まるで真っ赤に咲いたツツジのようだったという記述からイメージされた、歌劇的なファンタジックな役柄だったんです。OSK卒業後に演じた幸村はもっとリアルに、男として、父親として生きているイメージです。自分の子どもを敵将に託すという設定もありましたし、父親になった幸村をどう演じるかというのが、(OSK時代との)大きな違いでした。OSKでは王子様的な役柄が多く、人の親を演じる機会はほとんどありませんでしたから。幸村っていっぱい奥さんがいて、子沢山なんですよね。けっこうがっつり男として生きてはったんやなーとか(笑)。


──よりリアルに、ひとりの人間として厚みのある幸村像に変化してきたんですね。

 父親としての幸村を思うことで、その子どもたちの縁(ゆかり)の地にお邪魔する機会も増えました。歌劇を見る機会が少ないという白石市での公演もとても喜んでいただけましたし、幸村の四女が嫁いだ秋田県由利本荘市の小学校の子どもたちの前で幸村の扮装でパフォーマンスをする機会をいただいたりもしました。行く先々で本当に暖かく歓迎していただいて…400年前に娘たちがお世話になって、幸せな毎日を送らせてもらったんだろうなと──幸村は実際には訪れていない土地ですが、幸村の姿を借りて私がお邪魔することで、日本全国でなんて愛されて大切にされている人物なんだろうと感じ、たくさんの感動とパワーをいただきました。


──子どもたちへの思いをお聞きしていると、桜花さんとお話しているのか、幸村と話しているのかわからなくなってきました…(笑)

 父親役を演じさせていただいたことは、OSKを卒業した後の自分にとって本当に大きなことでした。父親の気持ちってどんなんやろう? 私にできるのかな…と不安な気持ちもありました。特に『永遠のカンパニージャ』では小十郎がストーリーの中心で、幸村は脇にまわる。それを自分がどんな気持ちで演じるのだろうかと考えることもありました。でも実際に演じてみると、とにかく娘が可愛くて、愛おしくて…。愛する娘を、自分が認めた敵将に託す、それしか真田の血を残す方法はない、と自然に思えましたし、子どもを可愛く思う気持ちをひしひしと感じました。あとはこの感情をどう表現するのか、自分の演技力をもっと磨いて、幸村像にもっと厚みを持たせていきたい。それが今の課題ですね。


──桜花さんにとって幸村役は10年と言わず、ライフワークになりそうですね。

 10年演じ続けて、幸村が戦死したと言われる年齢にだんだん近づいていきましたが、北川先生からも、幸村の年齢を超えても演じ続けてくださいと言っていただいています。私自身もまだまだ叶えたい夢、目標があるので、それに向かって歩き続けたいと思います。そのひとつとして乗馬のレッスンも初めたんです。いつか幸村が馬にまたがって登場して、そのままパフォーマンスしたいという夢があるのですが、これがなかなか一筋縄では行かなくて…(笑)。ほかにもやりたいことはたくさんあって、夢が膨らみます。


──舞台の上でも、舞台の外でもご縁がつながって実現した10周年記念イベント。最後に公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。

 幸村を演じて10年、こんなお祝いのようなイベントをさせていただけるなんて思ってもいなくて、台本を開いたときに涙が出ました。ここに至るまでに本当にたくさんの方が携わってくださいました。出会わせていただきましたみなさんと400年、もしかしたらもっと昔からの深いご縁なのかなあ…なんて思いながら、感謝して舞台を作ってきました。これまでの作品のエッセンス、匂いを感じて、その足跡を辿っていただける舞台になると思います。
 これまで幸村の縁(ゆかり)の土地にたくさんお邪魔させていただきましたが、薩摩落ち伝説のある鹿児島にはまだ行ったことがないんです。幸村のお墓や、真田にちなんだ地名があったりもするそうなので、ぜひ公演前に訪れたいと思っています。薩摩落ち伝説に込められているのは「前を向いて生きよ」「真田の魂を活かせ」というメッセージ。「幸村は永遠に不滅だ」という思いを込めて、これまでの作品を応援してくださった方はもちろん、以前の作品を見たことがない方にも楽しんでいただけるようなイベントにしたいと思っています。

──未来へと向かう幸村と桜花さんが、ますます重なって見えます。これまでの足跡と、新たな幸村像を楽しめるイベント、期待しています!







 「桜花=幸村」の過去と未来が交錯する特別なステージ。『桜花昇ぼる=真田幸村 10周年記念 トーク&ライブ 「いざっ!」は、7月28日(金)13時/18時の2回のみの公演です。

 公演詳細は劇場公式サイトごご参照ください。

 桜花昇ぼるさん公式ブログはこちら


【こぼれ話♪】
公演が開催される近鉄アート館がある阿倍野・天王寺は、幸村とも縁の深い土地柄。桜花さんにアート館近くのおすすめスポットをお聞きしました♪
「それはやっぱり幸村との運命を感じた、幸村戦死の地と言われる安居神社。それから茶臼山の周りも綺麗に整備されて公園として開放されています。OSK時代には茶臼山で芝居の稽古をしたこともあるんです(笑)。当時はもっと鬱蒼と木が茂っていて…でも場力(ばぢから)を吸収するために劇団員のみんなと自主練をしに行きました。家で台本を開いていてもなかなか覚えられないしセリフに魂が入らないんです。やっぱり実際の場に行って、言葉に魂を込めることが大事、と北川先生から教えていただいて、実践していました。それから敵方が陣をはった場所ですが一心寺さんとか…このあたりは寺町で、良い“気”が溢れる場所がたくさんあります。大阪城にある大坂夏の陣の様子を描いた金屏風には四天王寺西門前に幸村が陣をはっている様子が描かれています。四天王寺は聖徳太子にも縁がありますし。(桜花さん、聖徳太子も演じてらっしゃいます!) 真田幸村は聖徳太子の生まれ変わりだと、どこかで耳にしたことがある気がするんですが、私は自分の身体を通して、本当にそうなのかもしれないと感じることがあります。四天王寺さんもおすすめスポットですね」



【公演情報】
桜花昇ぼる=真田幸村 10周年記念トーク&ライブ『いざっ!』
2017年7月28日(金)13時/18時

構成・演出 北林佐和子
企画・監修 北川央(大阪城天守閣館長)
出演者:桜花昇ぼる(元OSK日本歌劇団トップスター) 
鳴海じゅん(元宝塚歌劇団) 
沙月梨乃(元OSK日本歌劇団) 
朝香櫻子(OSK日本歌劇団特別専科) 
坂上享(打打打団 天鼓)

音楽・ギター 松岳一輝
ピアノ 元岡衛

劇場公式サイト

おけぴ取材班:mamiko(文/撮影)  監修:おけぴ管理人

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