★アフターイベント情報★
菅野こうめいさんと坂元健児さんの”FMDミュージカル講座”
8/6(日)17時、8/10(木)19時公演の終演後、
お二人によるミュージカル講座を行います!
どんな”講義”になるか…お楽しみに!! 2006年にソウル大学路で誕生した韓国創作ミュージカル
『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します』。
人生の岐路に立った女性が初恋の人を探す旅に出る。
相棒は「初恋探し株式会社」のさえない男の子。唯一の手掛かり「キム・ジョンウク」という名前を頼りに、果たして彼女は運命の人を見つけることができるのか。
韓国初演から10周年となる昨年、日本版が初演されたポップでキュートなミュージカルが、早くもこの夏、装いも新たに上演されます!
さえない男の子ミニョクと初恋の人キム・ジョンウクの2役にはジャニーズJr.の実力派高田翔さん、初恋探しの旅に出るヒロインに近年ミュージカルでも確かな存在感を示す玉置成実さん、その他全役(お父さん、お母さん、職場の上司から旅行ガイド、キュートな(?!)カフェ店員などなど…その数なんと24役!)をまるっと引き受けるマルチマンに坂元健児さんとキャストも一新。タイトルも
『Finding Mr.DESTINY』とちょっとおしゃれになりました♪
さっそく、新生『Finding Mr.DESTINY』のビジュアル撮影現場に潜入!
マルチマン役の坂元健児さんにお話をうかがいました。『1789 バスティーユの恋人たち』『ロミオ&ジュリエット』『パレード』…など、七色の歌声と高い身体能力、たぐいまれなるコメディセンスでミュージカル界を縦横無尽に駆け回る坂元さんがマルチマン!これは面白いことになりそうですね。では、インタビュースタートです。
──聞くところによると、(本作をご覧になり)マルチマン役に志願されたとか。 はい、昨年の日本初演公演がすごく面白くて。作品自体も楽しかったのですが、観ながら駒田一さんが演じていたマルチマンをやりたい!と強く思ったんです。以来、ずっとやりたいなと思っていました。
──坂元さんが感じたマルチマン役の魅力は。 “24役をやる”ということ。役者にとって、それは魅力以外のナニモノでもないですよ!
しかも、主軸となる主人公2人の恋愛ドラマが山あり谷ありで描かれる中で、僕が演じる役たちがさまざまな関わり方をするというところに面白さを感じました。
夏本番!8月の公演にピッタリなさわやかなブルーのジャケットがとってもお似合いです!
──坂元さんご自身、マルチマンのような役は初めてですか。
『レ・ミゼラブル』などのように、本役があって、そのほかにアンサンブルとしても出るということはあっても、あえて一人の人間がやっていることを前面に出すような役は初めてです。そもそもあまりないですよね。しかも、このマルチマンは(韓国でも)この作品から始まったと聞いて、さらに楽しみになりました。
──お母さん、お父さん、カフェ店員ジェシカにインドのガイドさん…本当に性別、年齢、国籍を超えたたくさんの役があります。どのようなアプローチを考えていらっしゃいますか。 この作品に限らず、僕は役を稽古場で作るタイプなんです。もちろん譜面や台本をいただいたら、稽古までに必要な準備はしますが、キャラクターについてはあまり作りすぎないようにしています。最初に頭のなかで考えたことって意外とたいしたことないんですよね(笑)。芝居の流れや、相手との呼吸、その場の状況でつかんでいけたらなと思っています。
──お稽古開始が楽しみですね。楽曲についてはどのようの印象をお持ちですか。 耳馴染みのよい楽しい曲が多いですよね。楽曲はシンプルな印象ですが、そこに芝居的な要素がたくさん入ってくるので役者次第で変わる、そんな面白さがあると思っています。曲自体の難しさは…。
──今(取材時)取り組まれているのが、音域、メロディ共に超難曲ぞろいと言われる『パレード』※ですからね。ではここで少し『パレード』のお話を。いろいろとうかがいたいところですが、まずは2幕、坂元さん演じるジム・コンリーが歌う「ブルース:土砂降りの中で」という楽曲にはシビれました。 あれ、楽譜(ボーカル譜)がないんですよ。台本に歌詞はあるのですが、そこには「アドリブ」って書いてあるんです(笑)。
──えっ?! 決められた音符がないんですよ。変な言い方ですが、勝手に作ったんです(笑)。楽譜に落とすために一応書かれている音符はあったのですが、それもだれかのアドリブで出来たもの。それだとなんていうかオーソドックス過ぎて面白味がないというか。だから僕が自分で考えながら、変えさせてもらいました。
──わき上がる感情をメロディにしたような、まさに芝居歌ですね。 そうそう。そもそもあの曲は農作業の鼻歌のようなところから派生しているようなところがあるので、「アドリブ」になっていたんじゃないかな。
──驚きと尊敬で一瞬フリーズしてしまいました。さて、そのジム・コンリー役は坂元さんの新境地との声も多く聞かれますが。 よく言われますが、本人はそんなに特別な意識はないんですよね。
──この役に限らず、『1789 バスティーユの恋人たち』でのラマール、『ロミオ&ジュリエット』の神父など、近年、つぎつぎにそれまで見たことのない坂元さんに出会っているような気がします。 うーん、なんですかね。この年齢になったからかもしれないけれど、最近はわりと演技プラン、キャラクター作りを任されることが多くなったように感じます。特にラマール役はこうしたほうが面白いかなと自分発信でセリフを変えさせてもらったりして、あの仕上がりになりました(笑)。ほかにもそういう機会は増えていますね。そうやって広がりのある役ができるようになってきたのかな。
もちろん、作品によっては台本に書かれているそのままを忠実にやったほうがいいときもあります。ただ、僕らは海外の作品を翻訳して上演することが多いので、常にその作品の枠の中でベストを探すという作業はします。どうしても最初の段階では、「てにをは」が不自然だったり、倒置法が多すぎたり、妙に「我々~」が多かったり…実際にしゃべってみると全然会話っぽくないということがあるんですよね。ミュージカルでも芝居は会話が基本なので、なるべく日常会話に近くなるように自分から提案する。そこでもこれまでいろんな作品や役を経験してきたことが役立っているように感じます。
──さまざまな経験を経た今、このマルチマン役に挑まれるのですね!ますます楽しみになりました。大人の魅力も!!
そうですね。このタイミングでよかったかな。きっと10年前だったら、また違う難しさがあったでしょうね。いろいろ試してみたいと思います。
──そして、この作品は120分ノンストップで繰り広げられます。体力作りは…坂元さんはすでにバッチリという感じですね! 体力作りは、日ごろから筋トレをしていますが、あまりに筋肉が大きくなって…プロデューサーから筋トレ禁止令が出ました(笑)。
──共演者のお二人、高田翔さん、玉置成実さんとは。 玉置さんとは、昨年、ミュージカルコンサートでご一緒しましたが、作品としては初共演。高田くんは今日が初対面です。まだ少しお話しただけですが、ちょっとした(笑)共通点もあったりして!フレッシュな顔合わせで、僕らならではの色を出せたらっと思っています。
──演出の菅野こうめいさんとは『冒険者たち~The Gamba 9~』以来ですね。 こうめいさんの演出は、ひとつひとつのお芝居を丁寧に積み重ねていくような感じなんです。そして、作品がどんどん膨らんでいって、豊かに大きくなっていく。一緒にやっていた今拓哉さんと「すごくいい感じだね」とよく話していたことを覚えています。またご一緒できること、すごく楽しみです。僕ら3人のキャストとこうめいさんの演出で素敵な作品にしたいと思います!
※『パレード』
20世紀初頭のアメリカで実際にあった冤罪を題材にしたミュージカル。坂元さんは物語のキーパーソンの一人、裁判で偽証をし、主人公レオを罪に陥れる黒人の清掃員ジム・コンリーを演じました。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人