『黒蜥蜴』製作発表レポート~ランウェイ・パフォーマンス「三島由紀夫に捧げるオマージュ」&会見~



 江戸川乱歩の長編探偵小説で、1961年に三島由紀夫が戯曲化した『黒蜥蜴』
 演出家デヴィッド・ルヴォーが、敬愛してやまない三島由紀夫が残した最高傑作戯曲の一つを、長年夢に描いてきた演出プランで実現!
 黒蜥蜴役には中谷美紀さん、明智小五郎役には井上芳雄さん、雨宮潤一役に成河さんなど、ワクワクのキャスティングでも話題です。

 2018年1月に開幕する注目作『黒蜥蜴』製作発表の様子をレポートいたします。


【ランウェイ・パフォーマンス『三島由紀夫に捧げるオマージュ』】

 この日、最初に行われたのはランウェイ・パフォーマンス。作品が持つグロテスク・ビューティーの世界を一足早く体感。レザーのドレスに身を包み、まさに黒蜥蜴の美しさ、強さ、妖しさで心をとらえる中谷美紀さん。








佇む明智小五郎






 それぞれの思惑渦巻く中、その中心に立つ黒蜥蜴。あの瞳で見つめられたら服従してしまう…。




【会見レポート】



演出:デヴィッド・ルヴォー

 20年ほど前、はじめて訪れた日本はとても謎めいていました。そして、夢を見るような作風を持った作家、三島由紀夫に魅了されました。劇作家でも小説家でも、彼のような作家には出会ったことがなかった。三島は日本を読み解く足掛かりにもなりました。

 三島はドリーマー、目覚めることを恐れていた人が、夢の中に出てくるイメージをモチーフにして小説を書いていたように感じます。ここで言う「夢」とは、必要のない情報や光景をカットしてしまうもの。しかも順番が不思議な順番になってしまうことも。人間の想像力のもつ深さと不思議さがひとつのカギとなるでしょう。

 本作には“美の概念”と“人間の不完全さ”、相反することが描かれている。そして、エロティシズムと死。これらは演劇を通して表現する永遠のテーマです。

 上演にあたっては、私には観客と作品の関係性を新たにし、今の私たちにわかりやすいように表現する責任がある。先ほどのショーから少し感じていただけたと思いますが、三島自身がとても興味を持っていた演劇と音楽を組み合わせました。本番でも生バンドの演奏を予定しています。エンターテイメントとしても楽しんでいただければと考えております。

 言葉にとらわれずに、言葉で描写されたものを剥ぎ取っていこうと思っています。まるで夢であるかのように突如人物やシチュエーションが浮かび上がる、映画のような技術もいくつか使っていきたい。

 プレ稽古としてワークショップを行いました。そこでは役者のもつ雰囲気、そして音楽性を拝見しました。役者は楽器のようなもの。どんな音を奏でるのか、本稽古がとても楽しみになりました。
 
(公演資料にも演出の構想が…)

 ホテルの部屋や、明智の探偵事務所、東京タワーなど、場面はさまざまありますが、今回の舞台は、古きよき時代のハリウッドの撮影スタジオのような場所で、展開させようと考えています。具体的な構造物をなるべく排除し、重要な部分だけを見せながら、『黒蜥蜴』の世界と同時代のハリウッドの、不思議なあでやかさを再現したいと思っています。


中谷美紀さん(緑川夫人/女賊・黒蜥蜴役)



──オファーを受けて
「『黒蜥蜴』のお話をいただいたとき、嬉しさと同時に恐れも大きく、はじめは尻込みしてしまいました。でも、ルヴォーさんにお会いしたところ、あたたかい眼差しで懐深く受け入れてくださるので自分の能力もかえりみず「イエス」と答えてしまいました。新しい旅をご一緒させていただけるような気がして。」

──本作の印象と役柄について
「明智と黒蜥蜴は写真の陰画と陽画、磁石のプラスとマイナスのように、惹かれ合い、けん制し合う。ワークショップでも相手を追いかけているのか追われているのかわからなくなることがありました。犯罪に憑りつかれたふたりによるロマンティックなラブストーリー、美しく残酷な物語です。

 黒蜥蜴という人物は、美に執着し、美におぼれ、美のためならどんな手段もいとわない。その執着ぶりは、私には心地良く感じられました。私も美しいものが大好きなので。ここで描かれる若さを保ちたいという美とは違い、私は朽ちていく者にも美を感じるのですが、それでもどこかで共感しています」


井上芳雄さん(私立探偵・明智小五郎役)




ルヴォー氏はこの表情

──オファーを受けて
「(ルヴォー氏演出の)ミュージカル『ルドルフ・ザ・ラストキス』の経験が鮮烈で忘れられません。ルヴォーさんに魔法をかけられたような稽古・公演期間でした。以来、もう一度魔法にかけられたいと思い続け、訪れたこのチャンス、なんとしてでもお引き受けしたかった。成河くんとは違ってね(笑)。(↓成河さんのコメントご参照ください)
 ルヴォーさんからも「もう王子様は十分でしょうから(笑)、新たなハードボイルド役を」と言って頂きましたので、精一杯のハードボイルドを頑張りたいと思います」

──本作の印象と役柄について
「戦後すぐという時代も手伝い独特の世界を持つ作品です。エンターテインメント性が高く、まるでコントのようなシーンもあります。謎解きも「それで騙されるかな?」というようなところもありますが、それが成立しうる世界なのです。
 明智小五郎は日本一の探偵。犯罪に恋をして、犯罪からも愛されているという不思議な役です。黒蜥蜴は真逆の立場にいるのですが、ワークショップでこれはラブストーリーだと感じました。背筋がゾゾットするくらい魅力的な愛の形が生まれる予感がしています」


相楽樹さん(宝石商・岩瀬庄兵衛の娘、岩瀬早苗役)



「美輪明宏さんの舞台『黒蜥蜴』を観ていましたし、その後、ルヴォーさんとお会いする機会があり、この作品とは何かご縁があると感じていました。稽古ではたくさん刺激を受けて、たくさんへこたれて、また立ち上がって、それを繰り返しながら本番まで精度を高めていきたいです。私にとって挑戦です。見どころは、女性ならではの美を追求する中での、もどかしい恋愛です」


朝海ひかるさん(家政婦ひな役)



「お話をいただいたときは、まず『黒蜥蜴』という作品に出演できることに心躍りました。家政婦ひな役は、私の女優人生でも挑戦になると思います。作品については、やはりまずは三島由紀夫さん、美輪明宏さんのおふたりのお名前が浮かびます。エロティックでグロテスク、怖いもの見たさを刺激する魅力がありますよね。それがルヴォーさんのマジックでどうなるのか、私自身も楽しみです」


成河さん(黒蜥蜴の部下の美しい青年、雨宮潤一役)



「正直に言うと、最初にお話をいただいたときはお断りしました。僕、こう見えてもう36歳なんでね(笑)。というのも青年・雨宮は若く、フレッシュな役柄。とても純粋な美青年なんです。でも、ルヴォーさんご自身から、作品にかける意気込みをうかがい、それに胸を打たれお引き受けしました。今まで誰も観たことない三島由紀夫の世界が作れるのではないかと思ったのです。なけなしの美青年と純粋さでやっていこうと思います」



緑川=黒蜥蜴は言う。
「要するにあなたは報いられない戀(こい)をしてらっしゃる。犯罪に對(たい)する戀(こい)を」。
明智はすかさず切り返す。
「でも己惚れかもしれないが、僕はかう思うこともありますよ。僕は犯罪から戀(こい)されてゐるんだと」

美の狩人・黒蜥蜴VS.名探偵・明智小五郎の勝負の新たな幕が上がるのは2018年1月です!


【公演情報】
『黒蜥蜴』
2018年1月9日(火)-28日(日)@日生劇場
2018年2月1日(木)-5日(月)@梅田芸術劇場メインホール

<スタッフ>
原作:江戸川乱歩
脚本:三島由紀夫
演出:デヴィッド・ルヴォー

<キャスト>
中谷美紀  井上芳雄  /  相楽樹 朝海ひかる たかお鷹  /  成河

一倉千夏 内堀律子 岡本温子 加藤貴彦 ケイン鈴木 鈴木陽丈 滝沢花野 長尾哲平
萩原悠 松澤匠 真瀬はるか 三永武明 宮菜穂子 村井成仁 安福毅 山田由梨 吉田悟郎
ダンサー:小松詩乃 松尾望 (50音順)

<あらすじ>
一代で財を築いた宝石商・岩瀬庄兵衛は、娘の早苗を誘拐するという脅迫状に脅え、私立探偵の明智小五郎を雇う。
大阪のホテルに身を潜める父娘の隣室には、岩瀬の店の上客である緑川夫人が宿泊していたが、実は彼女こそ、誘拐予告をした張本人の女賊・黒蜥蜴。
黒蜥蜴は、部下の美しい青年・雨宮を早苗に紹介すると見せかけ彼女を奪い去ると、そうとは知らずに犯人を警戒し続ける明智の前に、何食わぬ顔で現れる。
クールでいながら、「犯罪」へのロマンティックな憧れを隠さない明智に魅入られた緑川=黒蜥蜴は言う。
「要するにあなたは報いられない戀(こい)をしてらっしゃる。犯罪に對(たい)する戀(こい)を」。
明智はすかさず切り返す。
「でも己惚れかもしれないが、僕はかう思うこともありますよ。僕は犯罪から戀(こい)されてゐるんだと」
自信に満ちたその態度を裏打ちするかのように、明智は見事に早苗を奪還してみせる。
が、黒蜥蜴は怯まない。美の狩人・黒蜥蜴VS.名探偵・明智小五郎の勝負は、報われない結末に向かってさらにヒートアップしてゆく…。

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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