成河さんのメルマガ『male de songha 』会員募集中!2019/1/19追記
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◆ 現在『人間風車』ご出演中の成河さんのトークイベント(
メールマガジン「male de songha」(メール・ド・ソンハ)」会員限定)が行われました。昨年、各地で開催された「プチ一人会」のレポートを掲載したご縁で、今回もがっつりレポートいたします!
【開口一番】
僕はみなさんとお話がしたいんです!何を見て、何を感じて、そしてこれからどんな演劇を観たいのか。そんなことをたくさん話したい!本当は一人ひとりに聞いていきたいくらいなんです!
たくさんの方にご参加いただくとなると、なかなかお一人ずつと対話というのは難しいのですが、トークの間もその気持ちは溢れていました。トークイベントは事前にご参加のみなさんから寄せられた質問に答えていただく形で進みました。※人間風車、ネタバレには注意を払っていますが、まっさらな気持ちでの観劇を!という方はジャンプ(クリック→
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【2017年の『人間風車』~時代と空間を合わせる~】
まだご覧になっていない方もいらっしゃるということで、若干ふんわりトークとなりましたが、稽古、本番を通して成河さんはもちろんカンパニーのみなさんが大切にされてきたことをお話してくださいました。──取材で、今回の上演に際し「今、生きている人にとって嘘がないこと」を大切にされているとお話をされていましたが、もう少し具体的に伺えますか。 『人間風車』は1997年に後藤ひろひとさんが劇団 遊気舎に書き下ろし上演、その後2000年、2003年にはG2さん演出のパルコ版が上演されてきました。今回は河原雅彦さんの演出で14年ぶりの上演になります。
今回の上演は97年のもの、原形に近いといえます。端的に言うとパルコでの公演とはラストが異なります。感じ方は人それぞれでしょうが、「救いのあるラスト、平川という人物を通して浄化されて劇場を後にするようなものから、(原形に)戻す」、これは作者である後藤さんの選択です。つまり、“許されてはいけない”という終わり方にしたいということです。
稽古中にも後藤さんからたくさんのお話を聞き、その選択を全員が支持しました。いくら目をつぶっても消えないもの、これ、放射性廃棄物だなと思いましたね。決して消せない、許されないことがどこまで観客に刺さるのか、それがこの作品の核心である。河原さんのもとで、みんなが共通意識を持ち、そこを突き詰めていった稽古場でした。カタルシスや浄化があってのエンタメという考えもありますが、今回は「許されないこと」が僕ら、作る側の真実だと信じてやってきました。
もうひとつ大切にしたのは、観た人が「いやいや、そんなものじゃないわ、私たちの怒りや恨みは」と感じるような浅く陳腐なものはやるべきではないということ。それは本番を重ねながらもっともっと深め、それによって観ている方にもより強く突き刺さる。それを目指しています。
──売れない童話作家の平川という人物について。(彼の書く童話は奇想天外で子供に大人気、しかし保護者からは非難の嵐。でも、売れる売れないより純粋に子供が喜ぶもの、書きたいものを書いている。対象的な人物として親にウケる童話を書く友人も登場する)『人間風車』ゲネプロより
平川がどのような人物かについては、河原さんとたくさんディスカッションをしました。1つのポイントは“平川はどこまで天然なのか”。彼はあることをきっかけに恨み辛みの物語を書きます。その中で彼は登場人物に「これまで自分は他人を信じて生きてきたんだ」と語らせます。それは彼自身の思い。僕は、天然の人はそういうことを言わないと思うんですよね。彼はただ純粋にそう生きてきたのではなく、そうあるべきだと信じて生きてきた人なのではないか。そんな人物が裏切られ、崩壊していく。そう考えると平川という人物像が腑に落ちたんです。
漫画的な天然の純粋な愛すべき人、美しい人が壊れていくさまは胸を打つけれど、違うんじゃないかなって。平川については、今も、これからも(上演が終わるまで)考え続けていきます。
──今回は『人間風車』上演史上、もっとも広い劇場空間でもあります。 本音を言えば500人規模、それでも広いかな、欲を言えば(東京芸術劇場)地下のシアターイースト/ウエスト(300席ほど)とかで3か月ぐらいできると幸せですよね。でも、そこは役者の底力の見せどころ!この空間でも密度が逃げないようなやり方で、ぐいぐいやっていこうと思っています。
劇場空間と作品はとても密接です。この作品をやるにはこの劇場というあり方が理想ですがそれはきれいごとでなかなかそうはいきません。でも、どんな空間でも、その作品に必要な密度をもって届けることは常に心掛け、挑み続けています。
僕はつかこうへい先生のところでお芝居をやっていましたが、つかさんの芝居ではタイプライターを打つようにしゃべっていくんです。まず、劇場の後ろの四隅を意識します。あそこだなって(笑)。そして最後列にタイピングしていくように、一文字一文字届くように発するんです。それが適用する作品とそうでない作品がありますが、あのタイピング術はとても勉強になりました。
──劇場空間という点では、この春にご出演されていた『髑髏城の七人 Season花』のIHIステージアラウンド東京も特殊な空間でした。 ひとつはっきりしていることは…、体力はつきましたよね。そういうんじゃなくて?(笑)。なんていうのかな、「どんな空間でも密度で満たしてやる!」という野望は持っていましたが、それがとても難しかった。これは決してネガティブなことではなく、そんな戦い方をしてもしょうがないときもある。スペクタクルが必要なときもある。その空間で見せるべきものがあるということです。勉強になりました。そして、1300人のお客様と85回(85ステージ)出会うことができた。それはとても幸せなことでした。
ステージアラウンドと帝国劇場はね、「うわー、これどうしよう」というのが正直な感覚でしたよ(笑)。
【カーテンコールのお話】
──カーテンコールのときは、成河さん?役? みなさんはどちらであって欲しいのかな?
(ここで緊急アンケート) 役であって欲しい方~。(パラパラと手が挙がる)とってもうれしい。自信を持って挙げて!役者さんであって欲しい人~、どっちなのかわからないのがいい人~。
(極端にどれかが多いということもなく、本当に人それぞれなんですね)
これは僕の感じ方ですが、観ているときはどちらかわからないのがいい。素の役者が見えるのも楽しいですけど。
天魔王は85回もありましたし、ちょっと極端な役でもあったのでいろいろやってみました。あとね、正直に告白します。平川の卑屈じゃないですけど、「小栗旬」、「山本耕史」ドーンでしょ…。「成河」イェーイはできなかった。なんだろうな、はい、はじめのころはイキっていました!でも、飽きました。そして、楽しもう!って。
『人間風車』ではミムラさんの笑顔のカーテンコールが素敵ですね。こちらが救われます。そうしたら加藤諒くんがすごい(思い詰めた)顔して出てきたりして(笑)。
演劇は虚実ない交ぜ、役と役者には薄皮が一枚あるような状態です。僕はカーテンコールの“さぁ、今どこでしょう感”が好きなんです(笑)。だからどんな顔をしていようとも心配しないでくださいね。カーテンコールが一番好きなので!演劇をやっていて何が一番楽しいかと聞かれると、僕はカーテンコールと答えます。
素が見たいなと言われると…どうしようかな、やってみようかな。でもね、それはもうちょっと大人になってからかな。いやもう大人なんだけど(笑)。
【身体能力と身体表現】
──成河さんは高い身体能力をお持ちですよね。 僕は運動音痴なんですよ。でも、野田秀樹さんに出会い身体能力と身体表現は違う、舞台で見せることは身体表現だということを教えていただきました。
空間をずらしたときにすごく速く見えたり、高く見えたりする。“差”と“イマジネーション”の相互作用です。だからこそ、お能の人がマッハ5の速度をスローでやるという表現が成り立つんです。僕自身、そこにとても興味がありますが、それはとりもなおさず昔から自分自身が身体をあまり使えなかったから。こうすると人より速く見えるとか、ハッタリが好きなんです。いわゆる舞台の外連味(けれんみ)ってやつです。そして、動きのヒントはコンテンポラリーダンスなどから得ることが多いですね。
だからみなさん、いろんな人に言ってくださいね。成河は運動音痴なんですよって(笑)。
【演劇のこれから】
──演劇の在り方、観客としてどのような姿勢で臨めばいいのでしょうか。 僕より長く深く演劇を愛してくださっている方がたくさんいらっしゃる前で、僕が偉そうに言っていいのかというのが本心ですが。
今いるこの場所は何なのだろうということはずっと考えています。そして、考え続けなくてはいけないと思っています。その時に思い出すのは、『春琴』という作品でご一緒したイギリスの演出家サイモン・マクバーニーの「芸術において、写真の発明によって絵画が自由になったという1つの考え方がある。だとすれば、映像(技術)の発達によって演劇は自由になるべきだ」という言葉です。
それがどういうことなのか、それは答えのないことかもしれません。でも、あらゆることが映像でできてしまう昨今、わざわざ時間を決めて、約束をして、お金を払って劇場へ行く。とっても面倒なことですよね。それでも、劇場へ行く。そこにはなにがあるのだろう。
僕が思うに、映画が画を観に行く行為だとすると、演劇は人に会いに行く行為なんです。実際に会ってはじめて伝わる、文字や画面からは読み取れない情報がある。僕らからしたら本当にそうなんですよ。うんと言ってくださったり、頷いてくださったり、笑いというものが一番わかりやすいかもしれません。逆に言えば、立ち上がって怒りだす、帰ることだってできるんです。するしないは別として、その可能性があることが一番の価値だと思います。会ってはじめて生まれる緊張感。それが舞台上と客席の間に無くなったら、こうしてわざわざ足を運ぶということは50年、100年したらなくなるかもしれない。それが、僕なりに考える双方向です。今もこうして対話しているんですよ!思いっきり一人でしゃべりまくっているけれど(笑)。だから僕はみなさんの話が聞きたい!
【最後に】
トークイベントなのですが、この膝つき合わせてしゃべっている感!!
日本の現代演劇史は浅い、歌舞伎の持つスターシステムが根底にあり、そこに西洋の文化が入ってきて、溶け合わないものをむりやりグチャグチャかき混ぜたようなもの。そこから出てきたものが、小劇場演劇だったりもする。いい意味で日本の演劇にはバラバラな地図があり、そこに正解・不正解はない。僕はそれを楽しいと思いますし、みなさんもいろんな演劇を好きで観ていらっしゃるでしょう。
日本で、日本語を使って劇をやることの何が面白くて、これからどうなっていきそうで、どうなって欲しいのか。そういうことをこれからも一緒に考えていきましょう!
『人間風車』は東京公演も、その後のツアー公演もあります。まだご覧になられていない方にはまっさらで来てほしいです。
今は前情報を入れやすい時代です、勝手に耳に入ってしまうということも。でも、僕個人の意見ですが、こと現代劇では何が起こるかわからない状態で客席に座ることが好きです。面白いですよー。特にこの作品では、気構えて見られるとこちらもやりづらいぜ!というところがありますし。そこから2度、3度と足を運んでくださる方はそれはそれで新しい楽しみ方が生まれるでしょう。キャスト、スタッフのみんなの心を一つにしてもっともっと突き詰めていきますので、どこまで行けるのか見届けてもらえると嬉しいです。
本日はありがとうございました。
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人