【概要】
ウディ・アレンによる映画「カイロの紫のバラ」にインスパイアされ、KERAが2016年に書き下ろした『キネマと恋人』。1930年代、架空の日本の港町に舞台を置き換え、映画が最大の娯楽だった時代に、映画に恋する一人の女性の銀幕俳優への淡い恋心をめぐって起こる騒動をロマンチック・コメディとして描き出しました。売れない映画俳優・高木高助役と、高助が映画の中で演じてスクリーンから現実の世界へ抜け出す間坂(まさか)寅蔵役の二役を妻夫木聡、映画に恋するヒロインの森口ハルコ役を緒川たまき、ハルコの妹ミチル役をともさかりえが演じるほか、映像監修に劇団☆新感線の『髑髏城の七人』シーズン「花」「鳥」「風」「月」「極」での映像も手がけた上田大樹、振付にカンパニー・デラシネラの小野寺修二も参加するなど初演時のキャスト・スタッフが再び集結し、夢の舞台が世田谷パブリックシアターに立ち上がります。【あらすじ】
昭和11年(1936年)、秋。東京から遠く遠く離れた、日本のどこかにある小さな島の小さな港町。この町唯一の映画館では、東京で封切られてから半年遅れて、ようやく新作映画がかかる。今日もスクリーンを見つめるひとりの女性ハルコ(緒川たまき)。同じ映画を何度も鑑賞するハルコに気づいた登場人物・寅蔵(妻夫木聡)は、あろうことかスクリーンから現実の世界へと飛び出し、彼女を連れ出してしまう。寅蔵を演じた俳優の高木(妻夫木聡・二役)は騒動を聞きつけ、なんとか寅蔵を映画の中へ戻すべく2人を探し始めるが―――。映画「カイロの紫のバラ」
1985年製作、1986年日本公開。監督・脚本ウディ・アレンによる映画。舞台は1930年代、アメリカのニュージャージー州。失業中の夫モンク(ダニー・アイエロ)に代わり、ウェイトレスをして家計を支えるセシリア(ミア・ファロー)。彼女のささやかな楽しみは映画館に通うこと。今は上映中の映画「カイロの紫のバラ」に夢中になって通い詰めています。そんなある日、映画の登場人物トム(ジェフ・ダニエルズ※トム役を演じる俳優ギルとの二役)は突如セシリアに語りかけます。さらにあろうことかモノクロのスクリーンから抜け出て、カラフルな現実の世界へと降り立ったことで、映画館や映画業界を巻き込んだ大騒動になります。そこにトムを演じた俳優ギル(ジェフ・ダニエルズ※二役)も現れて、セシリア、トム、ギルは不思議な三角関係に陥り、事態はますます混乱していき・・・。最終的にギルはセシリアを残してハリウッドに戻ってしまいます。失意のセシリアは、以前のように映画館の席に着いて、新作「トップ・ハット」のフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのダンスを見つめます。
【2016年・初演時受賞歴】
第4回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞第51回紀伊國屋演劇賞個人賞(台本・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチ)第68回読売文学賞(台本ケラリーノ・サンドロヴィッチ)【プロフィール】