12月8日、シアタークリエにて日本初演の幕を開けたミュージカル『オン・ユア・フィート!』。初日前会見、公開ゲネプロの模様をレポートいたします。
世界の歌姫グロリア・エステファンの半生を描いた本作(OYF!)。80~90年代にヒットチャートを席巻したグロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンのヒットナンバーで綴る歌・ダンス・ドラマの三拍子そろった“熱い”OYF!旋風が12月の東京を、そして真冬の日本を熱くする!
「平成最後の冬、『オン・ユア・フィート!』で一緒に盛り上がりましょう。東京公演千穐楽後は、博多、愛知、大阪梅田に参ります!」(朝夏まなとさん)
キューバで生まれ、革命後に家族そろってマイアミに移住したグロリア・エステファン。歌うことが大好きだった少女は、成長すると人前に出るのが苦手な内気な女性に。それでも歌への情熱は消えることはなく、やがてその才能が彼女をスターにする。
リトル・グロリア:リチャーズ・恵莉さん(藤巻杏慈さんとのWキャスト)♪CUANDO SALI DE CUBA(WHEN I LEFT CUBA)
♪TRADICIONのラストで、成長したグロリア登場!マイアミの太陽のような笑顔弾けるグロリア:朝夏まなとさん
活気あふれるナンバー!アンサンブルのみなさんに加えてラテンダンサーの大澤隆太郎さんと森田舞夢さんが劇場にラテン風を!(須藤大迪さん&髙橋莉瑚さんとのペアWキャスト)
写真右)引っ込み思案のグロリアの背中を押すおばあちゃんコンスエロ:久野綾希子さん
写真右)マイアミ・サウンド・マシーンのメンバーで、のちに夫となるエミリオ:渡辺大輔さん
エミリオはグロリアの歌声に惚れ込み、自身のバンドのヴォーカルに迎える。
写真右から2番目)歌手への夢に向かって歩み始めたグロリアを認めない母:一路真輝さん
そこには母の過去と、娘への深い思いが……。
公私ともに関係を深めていくグロリアとエミリオを認めない母。その後もエミリオと対立することが多いのですが……。それぞれにグロリアを深く愛する二人なのです。
「朝夏さんが演じているグロリアを見ていると、本当に母親の気持ちになります。この子が世に出て行くことを止めるべきか、後押しするべきか。葛藤しながらも、常に心の底ではグロリアを愛し、見守っている母親です。ラテン気質というのは、これまで演じてきた役にはあまりないのですが、朝夏さん、渡辺さん、素敵な二人に乗っかって、私も熱いラテンの血をお見せしたいと思います」(一路さん)「なかなか分かりあえなかったお母さんとようやく分かりあえたとき、稽古場から目頭が……。すべてを包み込む愛、母親ここにあり。一路さん演じる母あってのグロリアファミリーです」(渡辺さん)惹かれ合う二人
「愛する人、家族への愛情を包み隠さず100%、120%ぶつける。自分もエミリオから学ぶことがたくさんあります。(朝夏さんが)グロリアとして自分(エミリオ)を見つめる目が、本当に愛してくれている目で幸せです!それがお客様にも伝われば!」(渡辺さん)「大ちゃん(渡辺さん)はすごく真面目で、稽古場でもエミリオのことをずっと考えていました。芝居に入ると、素晴らしきコメディセンスと、パパ感がスゴイ。大きな包容力で、大きな私を包んでくれます(笑)」(朝夏さん)キューバ出身のアーティストが英語でラテンのダンスナンバーをリリースする。その壁を乗り越えて、ビッグヒットを記録 ♪CONGA
「グロリアの半生を描いた本作ですが、彼女と同じ人前に立ち表現する仕事をしている人間として、共感するところがあります。いいときも悪いときも、周りの人の支えによってステージに立つことができる。そこがドラマティックに描かれています。心情を丁寧に、繊細に表現したいと思います」(朝夏さん) グロリアとエミリオの成功譚というだけでなく、時代の波に翻弄されながらもたくましく生きる家族それぞれの人生が描かれているのが、OYF!のもう一つの魅力。
キューバ時代は優秀な警官、亡命後は米軍人としてベトナム戦争に従軍し、傷を負い、口をきくこともできない父ホセ:栗原英雄さんに寄り添う母:一路真輝さん
エミリオとの結婚への不安を打ち明けるグロリア。決して答えることのない父だが、父の深い思いがグロリアを包み込む幻想的なシーン♪WHEN SOMEONE COMES INTO YOUR LIFE
ハバナのラウンジで歌う若き日の母グロリア・ファハルド♪MI TIERRA
母もかつて歌手を志していた。グロリアが歌手になることを反対するのは、そのときの苦い経験からだったのです。
階段の上から、スポットライトを浴びる彼女を見つめるのは父ホセとおばあちゃん。才能がありながら諦めざるをえなかった娘をそばで見てきたおばあちゃん。コンスエロがグロリアを応援するのは、娘にしてあげられなかったことを孫娘にしてあげているのかな……。
グロリアの妹レベッカ:青野紗穂さん
役への思い、作品の魅力を語ったインタビューは
こちら写真中央)リトル・エミリオ:宏田力さん(木村咲哉さんとのWキャスト)
エミリオの母や祖父はキューバに残り、彼だけがアメリカへ渡った。「ふり返ってはならない」それが母の教え。
「君たちの国とは違う。君の名前を変えるんだ」との言葉に、いつも明るい笑顔のエミリオの表情が……。
ラテンマーケット、スペイン語での成功を経て、英語曲でアメリカのマーケットへ打って出るエミリオを阻む壁。彼らの音楽を英語歌詞でリリースすることは無謀だと言われるが、彼ら自身がラテン文化をもったアメリカ人なのです。自らのルーツへの誇りと、この国で生きていくこと。彼らの根底にある強さ、ファミリーの結束の本質を感じさせるシーンです。
葛藤や受け継がれる血、それを底抜けの明るさで表現する。それはエミリオだけでなく、グロリアや彼女の家族にとっても同じ。グロリアの音楽は彼女たち自身の人生そのものなのかもしれませんね。明るく、たくましく生きる人々の奏でる音楽に、ココロは躍り、カラダは踊りだす!!フィナーレはみんなで盛り上がっていきましょう!
♪REACH
栄光の階段を駆け上がったグロリアを襲う悲劇、そのとき……。
「さまざまな役を演じるアンサンブルのみなさんが終盤に歌う♪REACHも見どころ、聴きどころ。みんなの思いよ、届け!という素晴らしいシーンです。キャスト全員に注目してください」(渡辺さん)「朝夏さんは宝塚の後輩、なんと20年も違うんですね。冷静にすこし離れたところから母親目線、元上級生目線で彼女を見ているのですが、この通り“朝夏まなとここにあり”“グロリア・エステファンここにあり”という舞台です。宝塚ファンの方もミュージカルファンの方も楽しんでいただけると思います。素敵なグロリアとエミリオでしょう。若者たち頑張れ!」(一路さん)「バラードもノリノリのダンスナンバーも素敵!迫力ある熱いダンスも見どころです。フィナーレの各キャストが歌い繋いでいく♪MEGAMIXは、そんな素敵な楽曲がぎゅっと詰まっていますので、盛り上がりましょう」(朝夏さん)
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人