10/29追記!翻訳の小田島創志さん、演出の小川絵梨子さんからのメッセージが届きました。【公演NEWS】追加公演決定! 新国立劇場 演劇『タージマハルの衛兵』



シリーズ【ことぜん】Vol.3
タージマハルの衛兵 [日本初演]
追加公演決定



翻訳の小田島創志さん、演出の小川絵梨子さんからのメッセージが届きました。※10/29追記


◎翻訳 小田島創志さんからのメッセージ

 ラジヴ・ジョセフ『タージマハルの衛兵』は、「いま」を映し出す物語だ。たしかにこの芝居の舞台は1648年のインドだが、登場人物の2人、ムガル帝国の警備兵フマーユーンとバーブルか抱える葛藤は、地域や時代に限定されない普遍性を帯びている。完成間近のタージマハルを警備する彼らは、現代の若者のようで、どこにでもいそうな(しかし魅力にあふれた)キャラクターだ。そんな幼馴染2人組に下された、帝国からのとんでもない指令。それを前にした2人の言動の違いは、「組織」にどう向き合うかという悩ましい問いを、いまを生きる我々に突きつけてくる。家族や国家といった「組織」のなかで「個」は摩耗して、交換可能な機械の部品のようになっていく。しかし、その現状から抜け出したくても抜けられない。「個」と「組織」は切っても切れない関係にある。

 「個」と「組織」の危ういバランスは、「ジョーク」「発想」と「不寛容」の危ういバランスでもある。ジョークや発想に不寛容な社会は息苦しい。しかしジョークや発想は、ときに暴走する怖さをはらんでいる。不寛容だからこそ逆に想像力が刺激されるということもあるかもしれないし、言葉が全てジョークになってしまっては、何も伝わらなくなってしまう。その危ういバランスのなかを、フマーユーンとバーブルはどのように歩いていこうとするのだろうか。2人の会話に、ときに笑い、ときにはっとしながら、「いま」が凝縮された濃密な劇的空間を堪能してほしいと思っている。


◎演出 小川絵梨子さんからのメッセージ

 「ことぜん」シリーズの第三弾としてお届けする本作は、寓話性を持ったダークコメディです。
 完成間近のタージマハルの前で警備をしている若い衛兵二人が、この物語の主人公です。
 「歴史上もっとも美しい建築物」とされるタージマハルは、皇帝によって「完成するまで誰も見てはならない」とされていました。
 夜通しの警備中の二人は、自分たちの後ろにある「最も美しいもの」を振り返って見てみたい、けれど絶対に見てはならない……。
 個人の自由と、国家の一員としての責任の間で、若い二人の衛兵は葛藤を繰り返していきます。
 1600年代のインドが設定ですが、二人の主人公は我々と変わらぬ現代語を話し、我々と変わらのジレンマの中にいます。

 初めてこの台本を読んだとき、「絶対にやりたい」と思いました。二人の主人公が繰り広げる、可笑しくもどこか哀しいやりとりは、『ゴドーを待ちながら』のウラジーミルとエストラゴンや『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』のロズとギルを彷彿させました。そして大好きな『ゴドー』や『ロズギル』のように、この本もまた、人間の存在のあり方を問う普遍的な寓話です。大好きな本で、大好きなキャストのお二人と作品を創れることを、この上なく幸せに感じています。



<追加公演>
12月14日(土)17:00 開演
12月18日(水)19:00 開演



作:ラジヴ・ジョセフ 翻訳:小田島創志 演出:小川絵梨子
出演:成河 亀田佳明

公演HP

〈作品〉
 新国立劇場で2015 年12 月に上演された『バグダッド動物園のベンガルタイガー』の作家であるラジヴ・ジョセフが同年6 月に初演した『タージマハルの衛兵』を、ことぜんシリーズの第3弾として日本初演いたします。

 タージマハル建設中のムガル帝国。その完成前夜から始まる物語の登場人物は、フマーユーンとバーブル、たった2 人。タージマハルの建設現場で夜通し警備をする、幼馴染でもあるふたりの会話からは、美と権力、支配者とレジスタンス、国への忠誠と個人の尊厳など、多くの問題をはらみ、時間が経つにつれて次第にスリリングになっていきます。ある枠組みの中に生きる人間が抱える、普遍的な葛藤を描く物語。

〈あらすじ〉
 1648 年、ムガル帝国のアグラ。建設中のタージマハルの前。「建設期間中は誰もタージマハルを見てはならない」と、皇帝からのお達しがあった頃。

 ついにタージマハルのお披露目の日の前日、夜通しで警備についている、フマーユーンとバーブル。二人は幼い頃からの親友であり、現在は軍に入隊をしている。警備中はタージマハルに背を向け、沈黙のまま直立不動でなくてはならない。だが、空想家のバーブルは黙っていられなくなり、律儀に立ち続けるフマーユーンに話しかけてしまう。二人の会話はまるで「ゴドーを待ちながら」の二人のように、もしくは「ローゼンクランツとギルデンスターン」の二人のように、とりとめのない言葉の応酬のようでありながら、二人の人間の差を描き出して行く。やがて二人は、バーブルが不用意に発した一言を発端に、あまりにも理不尽で悲劇的な状況に追い込まれていく……。



【公演情報】
新国立劇場『タージマハルの衛兵』
2019年12月7日(土)~23日(月)@新国立劇場 小劇場
12月2日、3日:プレビュー公演

作:ラジヴ・ジョセフ
翻訳:小田島創志
演出:小川絵梨子

出演:成河 亀田佳明

この記事は公演主催者からの情報提供によりおけぴネットが作成しました

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