2011年7月6日(水)
こまつ座 「父と暮せば」舞台稽古レポ
1994年、戦後49年目の年に誕生した二人芝居「父と暮せば」。
原爆投下から3年が経った広島を舞台に、図書館で働きながら静かに暮す一人の女性=美津江と彼女の前に突然姿を現した父=竹造が織り成す二人芝居。
テーマは深く重厚であるにもかかわらず、笑いも散りばめられ、前向きな明るさを感じることのできる、ぶれない明日へのメッセージが込められた井上ひさしさんの名作です。
父と娘を演じるのは、2008年からコンビを組む、辻萬長さんと栗田桃子さん。演出は初演より変わらず、鵜山仁さん。美津江が父を呼ぶ「おとったん」という言葉の響き。二人が話す広島方言のリズム。80分の舞台の中に言葉の贈り物がたくさん!
辻さん、栗田さんの台詞が心地よく、時に力強くストレートに伝わってきます。さらに、次の展開を期待させるような、場の転換の際の音楽も印象的♪
美津江の中に芽生えた恋心。
竹造は自ら「恋の応援団長!」を名乗り、必死でエールを送ります。あの手この手で美津江の恋を成就させようとする竹造が実にコミカル!二人の心情、表情の対比にもぜひご注目下さい。
美津江が想いを寄せる木下さんからもらったお饅頭に熱弁をふるう竹造。美津江「おとったんは饅頭に意味を求めすぎます!」
父娘のやりとりの中で、次第に明らかにされる美津江の心の内、それを知った竹造は・・・。おとったんの全身全霊のエール(願い)が劇場に響き渡ります。
登場人物二人で上演時間は80分と短いですが、とてもとても中身が濃く、ご年配の方にも、また若い方にもぜひ観て欲しい舞台です。おとったんのエールを劇場でぜひ受け取ってきてほしいです。
こまつ座「父と暮せば」の東京公演は8月17日から紀伊國屋サザンシアターにて。地方公演などの詳細は
こまつ座公演ホームページをご確認下さいませ。
おとったんの言葉を受け止めて、感じてきて下さい!
おけぴ稽古場取材班&撮影:chiaki 監修:
おけぴ管理人