「才能が宿るのは肉体なのか? 魂なのか?」 “音楽の天才”モーツァルトが駆け抜けた、歓喜と苦悩の35年の生涯をミュージカル界最強のクリエイター&キャスト陣で舞台上に立ち上げた、大人気作品『モーツァルト!』(『M!』)が開幕です!
山崎育三郎さん、古川雄大さん
タイトルロールのヴォルフガング・モーツァルト役には
山崎育三郎さんと
古川雄大さん(Wキャスト)、舞台にとどまらず、映像、音楽と幅広い活躍でノリに乗っているおふたり。モーツァルトの前に立ちはだかる権力者・コロレド大司教役には
山口祐一郎さん、モーツァルトの父レオポルト役には
市村正親さん。ヴォルフガング役のおふたりとレジェンドたちの競演、役を通したぶつかり合いも大きな見どころとなるでしょう。そして、日本初演以来演出を手掛ける
小池修一郎さんにより、2018年にリニューアルされた最新演出バージョンが再演でどう深められたのかにも注目です。初演から約20年を経ても進化が止まらない、『M!』の新たな旅が始まります!
初日を前に、ヴォルフガング・モーツァルト役の山崎育三郎さんと古川雄大さん(Wキャスト)ご登壇の囲み取材が行われました。互いの信頼関係、充実の稽古の様子が伝わる取材の模様をレポートいたします。
【『モーツァルト!』初日前囲み取材】
──いよいよ初日です。 山崎さん) コロナ禍の中ということで、稽古場ではずっとマスクを着けるなど、今までに経験したことのないような稽古でした。 劇場入りし、舞台上で初めてマスクを外して声を出しましたが、それまでのマスクをしての稽古は、高地トレーニングのようで、貧血になりそうなくらいしんどくて……鍛えられました。でも、しんどかった分、強くなりました。
そして、実はこの赤いコートですが、今回、新調していただきました!これを着ると気持ちが高まります!
──このタイミングでの新調というのは。山崎さん) 昨年、朝ドラに出た効果で作ってもらえたのかな。雄大もね。
──「エール」効果でしょうか(笑)。着心地はいかがですか。古川さん) とても気持ちがいいです。朝ドラのおかげで、こうして新しく作っていただき(笑)。ミュージックティーチャーとプリンスがWキャストとしてバトルするというのも、今期の見どころになるかもしれませんね。
──映像でも舞台でも共演、おふたりの関係性に変化、深化は。古川さん) 映像でも舞台でもふたりの関係は全く変わりません。育三郎さんは優しく頼れる先輩で、今回の稽古場でもたくさん助けていただきました。 3年ぶりの『M!』は、小池先生もより良い作品を目指して新たな演出をつけてくださり、変わった部分もあります。作品自体が進化し続ける、その中で僕もどうにか進化したいと思い、目の前で素晴らしいヴォルフガングを演じる育三郎さんからなにか盗めないか、学ぶ気持ちで稽古をしてきました。
特に歌の面で、僕がわからないところはとにかく育三郎さんに聞く、すると「こうしてみたら」と的確なアドバイスをたくさんくれます。お芝居についても、お互いの意見を交換し合いながら作ってきました。育三郎さんと、Wキャストとして高め合うことができたことをありがたく思います。
山崎さん) こんな風に、雄大は僕をすごく先輩扱いをしてきますが、年齢は1歳しか変わらないんですよ(笑)。僕が長くやっているというだけで、同世代。一緒に作品を、エンタメ界を盛り上げていきたい仲間です。そして、Wキャストといってもそれぞれのヴォルフガング、雄大のヴォルフガングも3年前からとても進化しています。彼はもともと自分で考えて深めていくタイプだと思いますが、今回、役作りについていろいろなことを相談しながら稽古を重ねてきました。
僕自身は、24歳からこの役をやらせていただき、今年35歳。11年目を迎えますが、再演ごとに自分の変化に気づかされます。こういう表現ができるようになったんだという発見やそれまでは特別意識していなかったシーンで突然グッとくるようになったり……自分の変化も楽しんでやっています。
──進化を続ける作品、カンパニーですね。山崎さん) 市村パパは、11年一緒にやらせていただいていますが、今回の声の艶はスゴイ!若返り⁉ なんでしょうか、今まで以上にキラキラ艶のある声で歌い上げていることに感動しています。
古川さん) 本当にそうなんです! 市村さん、今回はいつも以上に気合が入っていらっしゃいます。あの年齢になっても進化が止まらないのは恐ろしいとも思いますし(笑)、ああなりたいという憧れもあります。
──舞台は体力勝負でもあります。古川さんは、お食事はちゃんと?古川さん) 食事はちゃんと摂っております(笑)。前回のことを心配されてのご質問だと思いますが、あの時は糖質制限をしていた時期で。この大変な舞台をしながら糖質制限というのは、今思うと考えられないのですが、今はたくさん食べて、筋肉に必要なアミノ酸もたくさん摂取し、万全の体制で臨みます。
山崎さん) 稽古場で一緒に筋トレしているんです。ふたりとも身体がひと回り大きくなりました。筋トレに励むのは、ケガをしないためにというのが大きいです。ヴォルフガング役は動きがかなり激しいので、30代半ばになると筋肉の支えがないとケガに繋がってしまう恐れがあるので。
──モーツァルトは音楽の天才!お互いのココが天才というところは。古川さん) やっぱり歌、ずば抜けています。ミュージカル、ポップス、育三郎さんはどちらの歌唱表現も素晴らしいので……そんな人見たことないので、天才。
山崎さん) 雄大はストイックな努力の天才。デビューからの進化がスゴイ。ヴォルフガング役でも、僕の想像をはるかに超えた表現力を発揮し、その裏には雄大の努力がある。自らそれを掴みにいっている、本当に努力家です、彼は。
──コロナ禍、不安や、逆に心の支えとなるのは。山崎さん) 舞台稽古が始まって、ようやくキャストの顔を見ることができました。新しいメンバー、それこそ一番近くでお芝居をする子役のアマデちゃんたちも、まだ顔を見たばかりで初日を迎えることがすごく新鮮です。また、明日なにが起きるかわからないという時代の中で舞台に立つにあたっては、一回一回の公演が千穐楽、これが最後でもいいと思えるようなところを目指してやりたいと思っています。そして、とにかく公演が無事に千穐楽まで走り抜けられるようにと思っています。
──では最後に、おふたりからみなさんへエールを!古川さん) 3年ぶりの『モーツァルト!』、僕自身も、作品としても、進化していると思いますので、たくさんの方に見ていただきたいです!ご期待ください。
山崎さん) こういう状況だからこそ届けられるものがあると信じています。今は、劇場に足を運んでくださるすべての方が闘っている状態だと思います。ヴォルフガングが自分の人生を全うする、自分の運命と闘っていく姿を通して、お客様を少しでも元気づけられたら、それがエールになれば嬉しく思います。
★こぼれ話★やり取りが絶妙なおふたりです!
古川さん)稽古場では筋肉トークのほかにくだらない冗談を言い合っています。お互いの笑いのセンスが似ているというか。
山崎さん)(ボソッと)それはどうなんだろう。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人