ミュージカル『GREASE』取材会レポート~会見&PV撮影リハーサル~

 革ジャンとグリースで固めたリーゼント、50’sのファッションとキラーチューン、圧巻のダンスで彩られた恋と友情の物語、青春学園ミュージカルの金字塔『GREASE』

 10月30日のシアター1010公演を皮切りに、御園座公演を経て、11月11日よりシアタークリエで上演! その後は、新歌舞伎座公演、そして12月19日の相模女子大学グリーンホールでの大千穐楽まで、若きカンパニーが駆け抜けます。




 演出家・主要キャストによる会見とPV撮影リハーサルの模様が公開されました。

 まずは、主人公ダニー役:三浦宏規さん、ヒロインのサンディ役:屋比久知奈さん、ダニーがリーダーを務める男子不良グループT-Birdsのメンバーのケニッキー役:有澤樟太郎さん、サンディが加入する女子不良グループPink Ladiesのリーダーリッゾ役:田村芽実さん、翻訳・訳詞・演出の上田一豪さんがご登壇された会見レポートをどうぞ!


【役作りは食生活から⁉】

──お稽古も順調に進まれているとのことですがいかがですか。まずは“フランス帰り”のお二人から。(三浦さん、屋比久さんは、しばし『GREASE』の世界を離れ『レ・ミゼラブル』松本公演にご出演されていました)



三浦さん)
 衝撃的なスピードで稽古が進んでおります(笑)。フランスへ行く前に1幕を通し、帰ってからさらに稽古を進め、昨日までにざっくりとではありますが2幕も通しました。通してみると酸欠状態!ここから反復練習を重ねスタミナ面も強化しながら、物語をしっかりと深め繋げていくという段階です。あと、僕が言うのもなんですが、稽古場で一番元気なのは一豪さんです。自ら踊って僕らを活気づけてくれています!



屋比久さん)
 作品の空気感、全体像が見えてきたところで、みなさんにお見せできる日が楽しみになってきました。体力的な面も含め、まだまだ乗り越えなくてはならない壁もたくさんありますが、ここから気合を入れ直して作品を深めていきたいと思います。



有澤さん)
 稽古開始の日から、「明日が本番なのかな」というくらいの勢いで稽古しています(笑)。この作品の空気感は、日本人にとってはちょっとなじみがないところがあるので、“うどんよりハンバーガー”な食生活で役作りをしています(笑)。

上田さん)
 僕も、今日はハンバーガーを食べてから来ました!

有澤さん)
 今日……おにぎりを食べて……



三浦さん)
 それはあかん!

場内:笑!!

有澤さん)
 食生活だけでなく(笑)、 演じる側も感覚を変えないといけない作品。目指すは説明のいらない楽しさ! そのためにスキルアップもし、説得力のある物語をお届けしたいと思います。



田村さん)
 毎日稽古場が楽しくて、仕事場なのですが青春しています。この作品は私たち“ステージ上の人間が楽しんでなんぼ”、稽古場から思いっきり楽しんで作品に向き合いたいと思います。


【キラキラした世界観と共感できる物語】

──上田演出版『GREASE』のこだわり、大切にしていることは。



上田さん)
 この作品は初演が1971年。およそ50年前に1958年当時を懐古して作られました。僕らから見るとだいぶ遠い時代です。そこには日本とアメリカの違いもありますが、ジェンダー観、価値観といった時代による違いもあります。でも、そういった違いを描きたいのでなく、若者たちの鬱屈したエネルギーを発散する過程を、ポジティブな音楽やダンスで伝えていこうというのが大前提としてあります。

 今、この作品を上演するにあたっては、現代のお客様に違和感を抱いてほしくない。時代や文化的な背景はお伝えするのですが、その中で生まれる恋や問題を解決していく過程は、今の人が見てもすとんと腑に落ちるようにしたいと思っています。

 また、『GREASE』といえば、まず思い出されるのが映画ではないでしょうか。僕もそうです。実は、元の上演台本と映画は結構違うのですが、あの映画のアイコニックなイメージを逸脱したくない。そこの整合性をとっていくために、使用楽曲などの権利的な問題も含めてスタッフが尽力してくれています。映画のキラキラした夢のような世界をお伝えしつつ、今の僕らも共感できる作品を目指しています。


【稽古場から青春】

──作品のキーワードのひとつが“青春”! 稽古場ではいかがですか。

三浦さん)
 稽古場でも(劇中の男女の不良グループ)T-BirdsとPink Ladiesさながらに、ずっと一緒にいます。学校みたい!

有澤さん)
 自然にそういう関係性ができています。

屋比久さん)
 女性キャストは個性がバラバラ、共通点があるようでない、ないようである(笑)、とてもバランスのいい5人です。話していても楽しいですし、お互いにリスペクトできる関係。それが作品にもうまく出せればと思います。

田村さん)
 相手役のケニッキー役の有澤さんは、年上の方なのにすごく気さくに接してくださって、毎日楽しいです。



三浦さん)
 年上の方!!(笑)

有澤さん)
 そんなに変わらなくない?

田村さん)
 3つ違うんです



有澤さん)
 確かに年上です(笑)。 

場内:笑!!

屋比久さん)
 稽古場も、こんな風に明るくポジティブなエネルギーが満ちているんです!


──T−Birds、Pink Ladies内の雰囲気は。なにかエピソードなどあれば。

有澤さん)
 宏規の振り覚えのスピードが尋常でない! 僕たちが1日かけたものをわずか1時間ですから! さすがの宏規も1時間ではヤバいだろうと思っていたら、さわやかな顔で覚えましたからね。自分が情けなくなる……

三浦さん)
 どうした?

有澤さん)
 いや、宏規と仕事するのは久しぶり。3年前はまだ子どもっぽさもあったのが、今や自信に満ちて、ポジティブで、みんなに愛される人に……ここまで立派に……



三浦さん)
 何を言っているかちょっとよくわからなくなってきた(笑)。

有澤さん)
 褒めてるの!

三浦さん)
 ありがとうございます(笑)。話を戻して、T-Birdsは不良グループのメンバーという役柄もあってか、お互いに「お前どのくらいできるんだ」なんて空気も。この“仲間でもありライバルでもある”という意識、仲は良いけれど決して馴れ合うのではなく、切磋琢磨していきたいと思います。ちなみに振り入れの日の夜は、しんどすぎて悪夢を見ました(笑)。Pink Ladiesはどう?

屋比久さん)
 ワイワイ楽しそうなT-Birdsを見て、「何を話しているんだろうね」「元気そうで何よりだね」と話しています(笑)。女性陣は割と落ち着いているのですが、みんなおやつをつまむのが好きなので、お菓子を持ち寄り分け合っています。

田村さん)
 こういう時期なのでケータリングもないので、小分けの駄菓子を買ってきてみんなの机に置いておくんです。



屋比久さん)
 毎朝、誰かから何かが置いてある、あったかいメンバーです。あとは突然めいめい(田村さん)が変顔大会を始めたりして和ませてくれます(笑)。



【ダニーの登場にキュンとなる、あの感じ。ミュージカルでもあります!】

──本作の魅力のひとつ、時代を反映したファッションについて。お気に入りのポイントなどありましたら!



三浦さん)
 やっぱり髪ですよね。僕自身、これまで生きてきた中でこういう髪型にしたことはないのですが(笑)。おじいちゃんが毎日ポマードをつけてリーゼントにしていたのを見ていたので、意外となじみはあります。もし、本番でヘアセットを自分たちでやることになったら、おじいちゃんにアドバイスをもらおうかな(笑)。(リーゼントは)僕に似合うかはさて置き、カッコイイと思いますよ!

有澤さん)
 革ジャンにデニムにリーゼントというファッションは、自分の好きなことに素直に、真っ直ぐ突き進む若者たちを象徴していると思います。だからこのファッションを身にまとうと気持ちが引き締まります。お気に入りはダニーの黒シャツ。



三浦さん)
 この黒T?



有澤さん)
 ちょっとシャツの首が詰まっているところと、インしているところ。映画でも全身黒で統一したダニーのファッションがすごく好き。ケニッキーの衣裳も好きですが、イチ押しはダニー。今回、本当にダニーがカッコイイんですよ。わかりやすくカッコいい! 映画でのダニーの登場にキュンとなる、あの感じ。ミュージカルでもありますので、ダニー登場の場面も注目してください。

三浦さん)
 ケニッキーの最高のソロナンバーもね!



屋比久さん)
 サンディの持つ清楚なイメージの衣裳。あまりこういう格好はしたことがないので、まだちょっとそわそわしていますが、かわいい衣裳が着られることは嬉しいです。ストーリーが進むにつれて、サンディ自身も変化し、違う一面を見せます。その時の衣裳も楽しみです。



田村さん)
 『GREASE』の舞台となる時代の空気感やファッションが好きなので、着ることができて嬉しいです。ウエストもキュッと絞ってスカートもタイト、“おしゃれは我慢”の時代。服に自分を寄せていこうと、稽古場でも腹筋をするなど頑張っています(笑)。


【歌って踊る楽しいミュージカル、心躍らせてお楽しみください】

──続いては、この時代の音楽についてはいかがでしょうか。

上田さん)
 耳なじみがよく、わかりやすい音楽。頭を使って聞くというより、ビートを感じるような曲が多い。もちろんそこに乗せる歌詞で何を伝えるかというのは、また別の話になってきますが。今はミュージカルのスタイルも多様化していますが、『GREASE』は「日常でも歌って踊ってなんだか楽しいよね!」というスタイルの元になったような作品です。そのエネルギーを感じて欲しいと思います。一方で、バラードもいいメロディが多いので、そちらも見どころ・聴きどころです。

三浦さん)
 イントロドンしたらすぐにわかるのではというほどの印象的な名曲ぞろい。聴いていると踊りたくなるというか、実際、踊っているんですけど(笑)。しかも今回は生演奏! それも一段階ギアが上がります。お客様も客席で踊ることはできないですが、心躍らせて楽しんでください。

屋比久さん)
『GREASE』のキャッチーな音楽に、さらにカッコいいダンスがついているので“観ても楽しい音楽”です。アクセントやリズムの取り方、動きは、今、私たちになじみのある音楽と違うところもありますが、この作品の世界観、空気感を作るためにとても大切なところ。慣れたほうに行くのではなく、その時代のリズムを音楽や踊りから作っていければと思います。

有澤さん)
 実家に帰った時に家族、特におじいちゃんやおばあちゃんと『GREASE』の音楽の話で盛り上がりました。音楽の話でというのは初めてのことで、とても嬉しかったです。稽古していても、身体が自然に動き出す……音楽に助けられているところがあります。

田村さん)
 すごくビートの早い曲も、すごいテクニックが必要な曲もない。それって一見簡単なように思えますが、その分、演じ手が歌詞の行間、音楽の“間”を感情表現で埋めていかないと成立しない。表現の選択肢を与えられていることは嬉しくもありますが、しっかりと選び取っていかないとお客さまには伝わらないという怖さも感じています。真摯に音楽や作品に向き合っていこうと思います!


──最後に三浦さんからメッセージを。

三浦さん)
 このような雰囲気で(笑)、毎日楽しく稽古が進んでいます。10月30日から始まる本番に向けて、信頼する一豪さん、そして素敵な仲間たちと、僕たちの『GREASE』を作り上げていきます。みなさんに『GREASE』チームのパワー、元気をお届けできるようにここからさらに頑張ります!



 世代を超えて魅了する音楽、エネルギッシュなダンス、若者たちの意思表示でもあるファッション……青春物語を彩る様々な魅力が詰まったミュージカル『GREASE』。2021年の世の中も大いに活気づけてくれそうな期待が膨らむ会見でした。


 続いて行われたのは、PV撮影リハーサル取材! カメラリハーサルに潜入です。撮影には会見キャストに加えてT-Birdsメンバーの内海啓貴さん、神里優希さん、皇希さん、Pink Ladiesの城妃美伶さん、MARIA-Eさん、まりあさんも登場!カラフルでパワフルなパフォーマンスを披露してくださいました(といっても、これはまだカメラテスト!)










 ミュージカル『GREASE』の世界を凝縮させたノンストップの名曲メドレーは圧巻! 本番はもちろん、PVの完成も楽しみになる取材班でした。

【公演情報】
ミュージカル『GREASE(グリース)』
2021年11月11日(木)~12月5日(日)@シアタークリエ

東京・北千住公演:2021年10月30日(土)~31日(日)@シアター1010
愛知公演:2021年11月4日(木)~7日(日)@御園座
大阪公演:2021年12月9日(木)~12日(日)@新歌舞伎座
神奈川公演:2021年12月17日(金)~19日(日)@相模女子大学グリーンホール

作:ジム・ジェイコブス/ウォーレン・ケイシー
翻訳・訳詞・演出:上田一豪

<出演>
ダニー:三浦宏規  サンディ:屋比久知奈
ケニッキー:有澤樟太郎
ドゥ―ティー:内海啓貴
マーティー:城妃美伶
ジャン:MARIA-E
フレンチー:まりあ
ソニー:神里優希
ロジャー:皇希
リッゾ:田村芽実

ティーンエンジェル(※50音順 日替わり出演)
石井一孝 上口耕平 太田基裕 こがけん 斎藤 司(トレンディエンジェル) 原田優一

ミセス・リンチ:可知寛子 ヴィンス・フォンテーン: 加藤潤一

石井千賀 篠本りの 髙橋莉瑚 濱平奈津美 八尋雪綺
加藤翔多郎 高瀬雄史 福島海太 ユーリック武蔵

製作:東宝

作品公式HP:https://www.tohostage.com/grease/
公式Twitter:https://twitter.com/crea_GREASE

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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