2022年1月28日にLINE CUBE SHIBUYAで開催される
『Japan Musical Festival2022』(以下、JMF2022)において実現する新たな形のステージング。ミュージカル界をけん引する中川晃教さんと井上芳雄さんが挑むのは、舞台上の最新スクリーンFusion Wallに投影された井上さんとリアルな中川さんの競演! その舞台裏、収録現場にて取材会が行われました。
(海宝直人さんも、この技術を用いた映像での出演をされます)「僕ら作り手もリアルとバーチャルで、お客様も客席と配信やライブビューイングで、どちらも様々なスタイルで参加し、融合して作り上げる。JMF2022は、その出発点」──中川晃教さん「100%ではないけど0%でもなくて、50%なのか70%なのか、感じ方はお客様次第ですが、従来とは異なる同時性の楽しみ方ができるのかな」──井上芳雄さん まず行われたのはデモ歌唱。このように井上さんが歌う様子を収録し、それがスクリーンに投影されるとのこと。
「今は二人で歌いましたが、本番は井上さんがホログラムとして現れ、僕が生で一緒に歌います。はじめての経験です」(中川さん)
【合同インタビュー】
──お二人のお付き合いも20年、改めてお互いの存在は。井上さん)
ミュージカル『モーツァルト!』での幸運な出会い。そこから20年を経て、現在も演劇界、ミュージカル界で頑張っている仲間、同志という存在。僕の方がちょっと年上ですが、年々その差は感じなくなってきている気がしています。アッキーは逞しいですし、頼もしい。今回、このような企画をやろう!集まろう!という声を発信していることにも刺激を受けています。中川さん) 音楽畑からミュージカルの世界に飛び込んだ僕と、ミュージカルの王道を歩んできた井上さんが『モーツァルト!』で出会った。すごく運命的な出会いだったと思います。そこで二人でヴォルフガングという役を作っていき、誕生した『モーツァルト!』は素晴らしいキャスト、スタッフのみなさん、そしてお客様のおかげで、20年経った今も多くの方に愛される作品になりました。そんなことを感じる20年の時間です。
さきほど井上さんは僕のことを頼もしいと言ってくれましたが、僕にとっては舞台・ミュージカルが世の中に広く知られるためにお茶の間にアプローチする、それをけん引しているのが井上さんだと思っています。僕だけでなく、たくさんの仲間たちがその背中を追いながらミュージカルが多くの方に広がっていく喜びを感じています。
──JMF2022に対する思い、そこに映像出演される井上さん。映像出演もリアルと3D映像の融合という新しい形ですが、出演に際してはどのような口説き文句が。井上さん)
別の仕事でアッキーに会ったとき、「ひとつよろしく!」と(笑)。本当は僕も会場で歌えればよかったのですが、公演中でそれが叶わず。それこそ20年の仲なので、アッキーが何かやろうとしているのならできる限りのことしたい、協力したい気持ちはいつも持っているので、ぜひぜひという感じでした。妻もお世話になっていますし(笑)。中川さん) まさかのホログラムで登場だよね。
井上さん)
思いもよらない展開でした。これまでにも映像でメッセージを送るなどはありましたが、このような形ははじめて。いいなと思ったのは、ではこれを全編ホログラム映像でやろうとするのではなく、フェス、コンサートのワンシーンにそれを使うということ。お客様も僕らもこういうやり方があるんだということがわかり、それが次に繋がっていく。こうして新たな試みに参加させてもらえることにワクワクしています。──中川さんは、これまでにも「いつか日本でもミュージカル・フェスティバルを開催したい」とお話されていましたが、ついに実現します。中川さん) 韓国で開催された3万人規模の野外ミュージカル・フェスに日本人として初めて参加させていただいた時、このようなフェスをいつか日本でもできたらという夢を抱きました。(
フェス参加直後の中川さんインタビュー記事)それがこうして結実します。そこでのホログラムでの出演、共演という新たな試みに参加してくれる井上さんに感謝しています。本番に向けての事前作業、収録を終えた今、僕たちの関係性があってこそ成立するということを実感しています。
お客様に、井上さんが実際にここにいるのではと思っていただけるような時間、空間をお届けするために、本番では僕がホログラムの井上さんと息の合ったやりとりをしなくてはならないのですが、それも含めて新しい試みを楽しみにしていただきたいと思います。
──念願のフェス、その初回に井上さんは欠かせなかった。中川さん) 井上さんも様々なことに挑戦している。昨年は42時間……
井上さん)
42時間は長い! 4時間と銘打って、結果5時間※。なんか42時間の後だと短いみたいになるでしょ!しょぼくなるみたいな紹介やめて!!(笑)※井上芳雄 by MYSELF SPECIAL “LIVE" 20th Anniversary Festival! ~裏切らない芳雄4時間フェス~中川さん) 笑!! ごめんごめん(笑)。でも、先にあれだけのことをやろうと動いて、実現させているのはすごいこと。そこからも繋がっているんですよ。(井上さんに向かって)ねっ!
井上さん)
きっとみんなやりたいという思いはある。でも、やはり実現に漕ぎつけることはなかなか難しい。自分の思いだけではできないですし。協力してくれる方、制作の方がいらっしゃらないと成立しないこと。こうして第一回のJMFが実現するのは、たくさんの方を巻き込むことのできるアッキーの求心力や魅力によるところが大きいと感じています。──本日行われた収録を振り返っていかがですか。井上さん)
歌唱自体は、『モーツァルト!』をやらせてもらっている時よりも今の方が歌っているのではというほど、最近二人でよく歌わせていただいているので(笑)。いつもと変わらず楽しかったです。でも、アッキーは、本番で僕のホログラムと歌うので、また違う感覚になると思うんです。公演後、どうだったか感想を聞きたいですね。内容は言えませんが、トークの収録も普通にしました。映像の僕とアッキーが自然にトークしていたらすごく面白いことになりますよね。果たしてどうなるのか、グダグダになるかもしれませんが(笑)、それも含めて初の試みだからね。中川さん) 頑張ります! ミュージカル楽曲というのは、その一曲に込められたストーリーがすごい。それを毎回、コンサートでの歌唱においても、僕らでないと表現できない完成形をお届けできるようにという気持ちで取り組んでいます。そして今回、また新たな形ができそうです。いつまでもゴールってないんだな、頂上に着いたと思うと、また次なる頂が見え、そこはスタートラインなんですよね。そんな気持ちになりました。
井上さん)
今回、撮った映像があるから忙しい時は「この映像で」と送ったりして、ホログラムで“いい商売”ができるのではないかとも思いますね(笑)。中川さん) 笑!! 僕らは夢を届けていきます!!
──このコンサートで用いられる技術、最新スクリーン“Fusion Wall”が、今後どうミュージカル界、エンタメ界に影響を及ぼすとお考えですか。中川さん) 魔法のようなスクリーンに魔法の光で投影することで、井上さんが現れるという話を聞いたとき、最初は微妙で“ちょっと恥ずかしい感じ”になってしまったらどうしようと疑ってしまったんです。心配だったのはその精度。でも、Fusion Wall の開発チーム、クリエイターの方々が作業するファクトリーを見学させてもらったら、その精度にもうびっくり! これをどう使って、どんなエンタメが作れるのか、新しい可能性が広がりました。
井上さん)
演劇は同時性、その場に一緒にいて楽しむというのが最大の魅力。その意味では、今回、生身の僕はそこにいないのですが、その場には投影されている。なんて言うか、100%ではないけど0%でもなくて、50%なのか70%なのか、感じ方はお客様次第ですが、従来とは異なる同時性の楽しみ方ができるのかなと思います。アッキーも言ったように、そう思えるほど精度が高い。今お話をしていて、以前、ラスベガスでシルク・ドゥ・ソレイユの「マイケル・ジャクソン ONE」というショーを観たことを思い出しました。その時すでに亡くなっていたマイケルがホログラムで出てきて、僕らはショーを楽しむ。最新技術によって広がる可能性、それは舞台の良さを消すものではなく、むしろ増やすものだと考えています。
実際に生のアッキーと映像の僕を配信で見るとどうなるんだろう。もしかしたらどちらがリアルかわからないくらいのことが起こるかもしれない。面白いことになりそう!中川さん) JMF2022は本当にゼロからイチを作っていく作業の積み重ねです。僕ら作り手もリアルとバーチャルで、お客様も客席と配信やライブビューイングで、どちらも様々なスタイルで参加し、融合して作り上げる。JMF2022は、その出発点。その結果としてミュージカルが盛り上がるように、多くの方に応援していただけたらと思っています。
お二人が切り拓く新たな世界!
一体どんなステージになるのか、期待しかないっ!
Japan Musical Festival とは(HPより)
ミュージカル界のトップを走る豪華キャストが集結する夢のコンサートが実現します!
実力派から若手、2.5次元など様々なジャンルからもキャストが集い、
最高のエンタテインメントショーを創り上げます。
ミュージカルファンが聴きたい名曲や2022年期待のミュージカルからも話題の曲をいち早く紹介します。
さらに、舞台上にアバターを出現させるなど、
最新の映像技術を用いたステージングで、従来のコンサートのイメージを超えた、
特別な体験を味わっていただきます。
より多くの方々に素晴らしさを知っていただき、ミュージカルの新時代の幕開けを予感させる
新たなフェスの誕生にどうぞご期待ください。
Fusion Wall とは(HPより)
従来(通常)のスクリーンに、プロジェクターで映像を投影する要領でFUSION WALLに投影すると「物体が立体的に浮き上がり、その場に存在するように見える」3D映像として映し出すことができる、特殊なスクリーンとなります。大きな特徴としては透過性が非常に高く、スクリーン奥に存在する物体やアクターと極限まで融合ができ、未来型の演出が可能となっています。大型のホールや舞台で大画面でのホログラム映像の投影が実現します。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人