ミュージカル『キングアーサー』稽古場歌唱シーン配信レポート、
【コメント編】に続いてお届けするのは、全7曲の大盤振る舞い【歌唱披露編】です。
【ダイジェスト映像追加掲載】
稽古場公開、いよいよスタートです。
1曲目はメレアガン役・伊礼彼方さんの登場です。
M6:
奪われた光 はプレイベントでも披露されましたが、今回はアンサンブルキャストの力強いダンスやアクロバット(スゴイ運動量!)も加わってパワーアップ! 本作の振付はKAORIaliveさんです! 感情も音域も突き抜けた、芝居面でも歌唱面でもタフな一曲。こうして伊礼さんのパワフル歌唱で一気に“キングアーサー”の世界へ! 本番ではあのお衣裳を纏っての歌唱、いったいどうなるのか! 楽しみ!
続いてはアーサー役・浦井健治さん、アーサーを導く魔術師マーリン役・石川禅さんによるM7:
私は誰なのか 。
エクスカリバーを引き抜き、手にしたことで期せずして王となったアーサーの戸惑いと葛藤。この時点では青さをにじませる浦井さんのアーサー、重厚感たっぷりな歌声で導く石川禅さんのマーリン、そしてアーサーを守護する狼と鹿(精霊のような雰囲気です)を演じるのは工藤広夢さんと長澤風海さんです。お二人の流れるような動きがマーリンの言う「魂と妖精の世界」を表しています。
このM6とM7、渇望してもエクスカリバーを抜くことができなかったメレアガンの歌うナンバーの激しさと期せずして抜くことができ王となったアーサーが吐露する戸惑い、タイプの違う葛藤のコントラストが鮮やか。運命って。
3曲目は、アーサーの異父姉であるモルガン役の安蘭けいさんを中心にM15:
報いを受けなさい。
まずアンサンブルのスタンバイがなんだかすごいです。リフトや逆立ち(⁉)でスタートなのです(写真1枚目)。「罪の報いを受けろ」というモルガンの憎しみ、復讐の炎が強いビートに乗せて描かれます。アンサンブルのみなさんを操るような安蘭モルガンの迫力! そこに現れるベッドにいるのはアーサーと妻となったグィネヴィア(浦井さん、小南満佑子さん)、寄り添うのは侍女レイア。レイアをしなやかにキレキレに表現するのは碓井菜央さん(『ジャック・ザ・リッパー』でも光っていました!)。呪文を唱えた後のモルガンとグィネヴィアのシンクロ……その意味は!
4曲目はM19:
約束 、アーサーがグィネヴィアの手でランスロットをアーサー王の騎士に任命せよと命じる場面の楽曲です。ランスロット役は平間壮一さん、グィネヴィア役は宮澤佐江さん、アーサーの甥で側近として忠誠を誓うガウェイン役は小林亮太さん。
思いを押し殺し忠誠を誓うランスロット、揺れる思いを抱えるグィネヴィア、永遠の誓い、約束を歌うアーサー。浦井アーサーの歌声に、迷いの中にも王の力強さが宿り始めます。その後の展開を考えると非常に複雑な場面。それが激しさと時折訪れる静寂にも似た“動と静”のコントラストで表現されます。運命に翻弄される人々の物語を一度見て、リピート観劇したときにさらにさらにグッとくる場面になると予想(気が早すぎる!!)
続いてはビッグナンバーM26:
アーサーの誓い。
敵を打ち破ったアーサー、最後の使命は民に平和をもたらす聖杯を探し出すこと。アーサーが円卓の騎士たちを集め、その任務を勇敢な騎士ランスロットに託すナンバーです。ランスロットを我が分身と称し、彼に厚い信頼を寄せるアーサー、命をささげると誓うランスロット。二人の心に嘘はない。そしてそこに居るのは平和を希求する「王」そのものになっている、浦井アーサー。ランスロット役は太田基裕さん、ガウェイン役は小林さん、アーサーの異母兄で執事として仕えるケイ役は東山光明さん、マーリン役は石川さんです。
6曲目は太田さんのランスロット、小南さんのグィネヴィアによるM27:
愛じゃないみたいに。
甘く切ない楽曲です。聖杯を探し出す任務を遂行するため旅に出ようとするランスロット、見送るグィネヴィアが心の内をついに……。太田さんの甘い歌声で始まるも、これは愛ではないとそれを打ち消そうとする二人。切ない。でも、どんなに心を欺いてもメロディがすべてを物語ってしまっている!! これには思わず、「続きが見たくなるね!」と伊礼さんからこちらの心を見透かしたかのような声がかかりました。
お待たせしました、この日の最後の曲M28:
誓いなさいに登場するのは加藤和樹さん!
この楽曲で加藤メレアガンが手を組むのは安蘭モルガン。スタンバイの時点で「俺とキャラクターが違いすぎるぞ」(伊礼さん)「そりゃそうだろ!」(加藤さん)、Wメレアガンのやり取りに和むものの、楽曲が始まると! 二人で手を組み、約束、永遠の誓い、運命、過ち……これまでのすべて(歌詞の中にもこれまでのキーワード的な単語が登場!)を奪い取りたいという野心あふれる大迫力ナンバーです。冒頭の楽曲とは違う、低音を響かせるメレアガンの凄みが伝わります。
安蘭さん、加藤さんの存在感はもちろん、「ここからまだまだ進化すると思いますが、アンサンブルキャストのみなさんのパフォーマンスも素晴らしい」というご紹介の通り、これ、生で見たらすごくテンションが上がるだろうなとゾクゾクします。
また、各曲の間にはノートの時間も。立ち位置や目線など細かな調整が加えられていきます。ちょっとした立ち位置の変化が力関係をより一層際立たせて見せたり、人間関係を象徴したり。その積み重ねによって、伝わる演劇に育っていくのですね。
最後に日本版の演出を手掛けるのはオ・ルピナさんのコメントをご紹介いたします。
演出:オ・ルピナさん
ミュージカル『キングアーサー』を待ってくださっている皆様、ありがとうございます。
本当に幸せな気持ちで俳優のみなさんと一緒に稽古しております。
公演が始まる日まで、私たちみんな安全に楽しく稽古をして皆様に会えるように頑張ります。皆様も健康に気をつけてください。劇場でお会いできることを楽しみにしています。
◆全キャスト総勢39名、ここから一ヶ月、さらにブラッシュアップするカンパニーの熱気が伝わる配信でした!!
ミュージカル『キングアーサー』プレイベントおけぴレポートはこちら【コメント編】ミュージカル『キングアーサー』稽古場配信レポートはこちら
写真提供:ホリプロ 撮影:田中亜紀
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人