無観客のライブ配信で話題に
ユーモアと洒落た雰囲気、そして深い余韻を残す名作 撮影:瀬戸秀美
『コッペリア』は、現代バレエの巨匠ローラン・プティがマルセイユ・バレエ時代の 1975 年に発表し、古典からストーリーを大胆に読みかえた画期的な新演出で全世界の話題となりました。プティ自身が演じたコッペリウスの名演が今でも語り継がれる、彼の代表作です。プティ作品ならではのエスプリが全編にちりばめられ、一度見たら忘れられない印象的なラストが心に残ります。小粋で遊び心に溢れたプティ・マジックによる極上のエンターテインメントをどうぞご堪能ください。
小粋でおしゃれなプティ・ワールド
長閑な農村から、衛兵や街の娘たちで賑わう都会に舞台を移したプティ版『コッペリア』。主役のスワニルダとフランツの繰り広げるおしゃれな恋の駆け引きからプティ独特のコケティッシュな振付、洒落っ気が効いた美術・衣裳と、舞台の至るところまでプティ・ワールドをお楽しみいただけます。
撮影:瀬戸秀美
ユーモアの中に隠された、普遍的な愛と孤独というテーマ
パリジャンらしいユーモアに溢れた楽しい『コッペリア』ですが、実は多くの示唆に富んだ作品でもあります。原典版と異なる重要な設定のひとつが、老人形師のコッペリウスがスワニルダに恋しているという点。彼を通して、人の愛とは何かといった普遍的な問いが浮かび上がってきます。
全体を通して、スワニルダとフランツの溌溂とした若々しさと、老紳士コッペリウスの哀歓や孤独感が対照的に描かれており、ラストには何度見ても忘れられない印象的な幕切れが待ち受けています。
ものがたり
人気者の衛兵たちと街の女の子で賑わうマルセイユの広場。
スワニルダはフランツに夢中だが、フランツの方は気もそぞろ。彼は、コッペリウスの家のバルコニーに座っているクールな美少女コッペリアに心惹かれているのだ。「彼を惑わすコッペリアってどんな女の子なの?」居てもたっていられないスワニルダは、コッペリウスが落とした鍵を拾い、その留守宅に友人たちと忍び込む……。
撮影:瀬戸秀美
『コッペリア』はおけぴスタッフも大好きな作品。
前回の無観客配信(全キャストを4日間無観客公演にてライブ配信し、16.7 万人を超える視聴者が楽しみました!)では、同じ振付、音楽にもかかわらず踊り手によって感じることが少しずつ変わるということを改めて実感しました。どれが正解というのではなく、きらめきや若さ、一途な思い、いたずら心…人間の無邪気さと残酷さといったある種の本質を描いているからこその違い=それぞれの魅力となるのではないでしょうか。それはきっと受け取る側が違えばまた変わってくるのでしょう。たとえば、はじめて観たときより、スワニルダとフランツといった若者たちのキラキラが眩しすぎて…気づくとコッペリウスにシンパシーを感じるようになっていたり…。その行動だけを見るとちょっと引くような(ごめんなさい)ところもありますが、その心の奥にある孤独や純粋さもまた誰の中にもあるもの。それをしっかりと見せてくれた山本隆之さん、中島駿野さんのコッペリウスとの再会も楽しみです。マルク・ルホワ=カラタユードさんによる指揮で生まれる音楽世界との融合にもワクワク♪
こちらは前回公演に向けてお話を伺った記事です!
新国立劇場バレエ団『コッペリア』池田理沙子さん&奥村康祐さんインタビュー(2021年掲載)
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました