韓国『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』体験記



この夏、帝国劇場にて本邦初上演される『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。ひと足お先に開幕(3月5日千穐楽)したソウル・ブルースクエアでの公演を観劇してまいりました。開演前からあれこれ楽しめる、テーマパークのようなワクワク感!


「真実」 「美」 「自由」 ──そして何よりも、「愛」
トニー賞10部門受賞の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツに続いて、アジアプレミア公演が行われているのが、ここソウル。劇場の中はまさにムーラン・ルージュ! 敷き詰められた赤いカーペットに座席も赤の帝劇で『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』って最高じゃないですか!と期待が膨らみつつ、まずはこちらでのショーをどっぷりたっぷり楽しむことに。



2階より

公演が行われるのは、数々の人気作が上演されているブルースクエア 新韓カードホール。



ブルースクエアの名前の通り青を基調としたモダンな劇場ですが、建物内は。








ムーラン・ルージュの情熱的な赤の世界!




客席開場前からお客様が集まりキャストボードやフォトスポットで記念写真を撮る!そんな光景があちこちで繰り広げられています。プリクラのようなフォトマティックコーナーにも長い行列ができていました。


さらにロビーにはサティーンのドレッシングルームが出現! 自由に座って写真を撮れます。





そのなかでもひときわ長い行列ができ、大人気フォトスポットだったのがこちら。



舞台上にも現れる作品の象徴、真っ赤なハート形のセット(ミニ版)です!このハートの中に入ってパチリと一枚! これはいい思い出になりそうです。バレンタインシーズンに訪れたこともあり、この日は若いカップルがたくさん!


もちろんロビー内の柱にはキャストの扮装フォトがあり、今日はどの方かな~と眺める楽しみも! 一緒に記念撮影も!




Wクリスチャン&Wサティーンを集めてみました


と、ここまでが客席入場前のお楽しみ!!
韓国では客席への扉でチケットチェック(もぎり)が行われます。つまりここまでのロビーのあれこれは当日チケットをお持ちでない方も見ることができるのです。(と言ってもざっと見る限りみなさん、この回にご観劇の様子でした)

いよいよ客席へ!



象さんとついに対面!
(2階客席より)


象さんを見上げる
(1階客席より)


下手側には赤い風車!
フランス語で赤い風車を意味する“ムーラン・ルージュ”の象徴


このような景色が広がります!


フォトスポットにもあったセット(本物だ!)


煌めくシャンデリア
(1階客席より)


ちなみに劇場内のお写真はキャストが登場するプレショーが始まるまでOKでした(開演10分前)。プレショーでは、衣裳をまとったキャスト(=ムーラン・ルージュで働くダンサーたち)が観客(=ムーラン・ルージュの客)を挑発するかのようにゆっくりとたっぷりと動き、退廃的なムードを振りまきながら私たちを作品世界へいざないます。もうここからは身をゆだねるしかない!

物語の舞台は1899年、パリ。
自由を愛するボヘミアンに憧れる作家志望のアメリカの青年クリスチャン。貧しくとも才能と情熱にあふれた仲間、画家のロートレックやパリ随一のタンゴダンサーのサンティアゴとの出会をきっかけに、ナイトクラブ ムーラン・ルージュのミュージカルショーの作曲を手掛けることに。ムーラン・ルージュを訪れたクリスチャンは、そこで光り輝くスター、サティーンと恋に落ちる。しかしその華やかさとは裏腹にムーラン・ルージュは経営難に直面、窮地を救うためにサティーンは裕福な貴族 デューク(モンロス公爵)に近づこうとし──。果たしてクリスチャンとサティーンの恋の行方は。
さらにはサティーンには病魔が忍び寄り……。


幕開きは“Welcome To The Moulin Rouge”! 観客を出迎えるのはLady M(ニニ、ラ・ショコラ、アラビア、ベイビードール)の4人と支配人ハロルド・ジドラー。もう、Lady Mのシルエットだけでしびれます。コルセットをキュッと締めてガーターベルトで……と、非常にセクシーな出で立ちですが最初にわき上がった感情は“カッコイイ”。誇り高くプロフェッショナルなLady MたちがLady Marmaladeをパンチの効いた歌声で届けます。そこからジドラーの掛け声とともに名物フレンチ・カンカンで大いに盛り上がる客席。とそこにお金持ちオーラ全開のデューク(モンロス公爵)が! デュークは、このあふれ出すノーブル感、長身、そしてもちろん美声……フランツ・ヨーゼフぶりのソン・ジュノさんではないですか! ソン・ジュノさんのデュークは紳士の仮面をかぶった卑劣な男、これがまた怖い。もうお一人のイ・チャンヨンさんは序盤からギラギラとした俺を怒らせたら怖いぞオーラだったので両者の圧の掛け方の違いも面白い! そこにボヘミアンのロートレック、サンティアゴ、そしてクリスチャン(ホン・グァンホさん)が登場!

そしていよいよムーラン・ルージュのスター、“クリスタル・ダイヤモンド”と称されるサティーンのご降臨と思いきや、しばしお預け! ここからのクリスチャンの語りで、彼の回顧録という物語の枠組みが観客にしっかりと受け渡されます。喧騒からの落ち着いたトーンでの語り、まずは台詞の説得力と求心力に拍手。派手なショーミュージカルの印象が強かったのですが、こうしていわゆる“1幕1場”で観客に必要なものを受け渡す、作りのしっかりとした王道の芝居構造です。

物語はクリスチャンとロートレックたちの出会いのエピソードへ。ホン・グァンホさんがサウンド・オブ・ミュージックを高らかに歌い上げ(誰が聞いても音楽の才能アリの歌声)、ロートレックたちの仲間に迎え入れられます。さらにボヘミアンたちの信条“Truth Beauty Freedom Love”では、We Are Youngをどこまでもどこまでも伸びやかに歌います! 観客も盛り上がりショーストップ! またイ・チョンジュさんの純粋一途、まっすぐな歌声の力強さもクリスチャンのキャラクターをしっかりと体現するものでした。サティーンとの関係性の見え方など、物語の登場人物の一人としてカチッとハマるチョンジュさんと作品全体を力強くけん引するグァンホさん。それぞれの存在感で若きクリスチャンの物語を成立させます。逆に演じる俳優の個性が反映される割合は高め!とも言えます。

ここでサティーン様の登場です。空中ブランコに座って天から舞い降りる~! IVYさんは可憐でキュート、キム・ジウさんは情に厚い姉御肌、ともに強さと弱さを併せ持つ魅力的なサティーン像を立ち上げています。そしてサティーンの聴かせどころのひとつは、苦悩を振り切って自らを鼓舞するFirework。マッシュ・アップ・ミュージカルの中でも、この曲はガッツリ一曲歌い上げです。ガッツリナンバーが続きます、ムーラン・ルージュと言えば……のYour Song! 甘さ控えめどころか大サービスのとろけるようなグァンホクリスチャンの歌い出しから、互いに愛を語り合うにしたがって熱を帯びていく二人の歌声。ポップス曲を繋いだ構成になっているとは言え、やはりその歌詞はキャラクターの感情の発露であり、それをメロディに乗せて歌う、まさしく“ミュージカル”なのだということを実感。(そして、この時点ではまだクリスチャンをデュークだと思っているサティーン。恋もビジネスと割り切っていた彼女の中に生まれた目の前にいる青年に対する恋心。それを証明するものがYour Songであり、のちのちYour Songによってあの確かな気持ちが蘇るという。隠しても隠しても消えることのない音楽が導く真実の愛!)

またソウルでの観劇ではお客様のリアクションもよく、笑いどころもショーストップも多々ありました。とくにクリスチャンをデュークだと思い込むというサティーンの大いなる勘違い(おちゃめ)と、それが判明した時のクリスチャンとのやり取り(「で、君はだれなの?」「僕はクリスチャンだよ(素)」といった感じ)には大きな笑いが。また、サティーンの部屋(象の間)に見知らぬ男(クリスチャン)がいることを訝しむデュークの機嫌を損なわないように、「ショーの打ち合わせをしていたのよ」と、突然、新作ショーのプレゼンを始めるシーンでは、クリスチャン、ロートレック、サンティアゴに加え、サティーンとジドラーまでもが即興芝居に加わり愉快な共犯関係が生まれるなどポップなシーンもたくさんあります。(映画でも大盛り上がりのシーン!ミュージカルでもご期待ください!)

一幕ラストはビッグナンバーでありビックリナンバーでもある、超絶マッシュアップでお届けする"Elephant Love Medley"。これでもかと愛のナンバーを織り込んだシーンを七色の声とはまさにこのことかという、甘く強く優しく激しい歌声で盛り上げ、最後はまさかの境地まで達して幕。


2幕はニニとサンティアゴの情熱的なデュエットダンス“Backstage Romance”で始まり、物語はどんどん激しさを増していきます。ムーラン・ルージュを守るためにデュークのもとへと決めたサティーン、嫉妬の念に押し殺されそうになるクリスチャン、なんとしてもサティーンを手に入れようとするデューク……それぞれの思惑が絡み合い、物語は深い深いところへ。そしてサティーンに忍び寄る病魔。このそれぞれの感情が混沌とし、激情のシーンになるといよいよ韓国ミュージカルの本領発揮といった感じ。天井を突き破るような声のパワー、リミッターを外した感情表現、韓ミュー浴びたーを実感。もちろん韓国での公演も、完全レプリカ上演なのですが、開幕から1か月以上が経っておりますのでそこはお国柄というものも出てくるのでしょう。歌の殴り合い、その重みも痛みも切なさもぜんぶまとめて気持ちいい! この高揚感、最高!

と怒涛の展開を見せる物語の展開をより鮮明に映し出すのが照明。愛と憎しみ、繁栄と没落、富と貧しさ、自由と支配、真実と嘘、生と死……ムーラン・ルージュの表舞台と舞台裏で繰り広げられる二項対立、光と闇を鮮やかに照らし出します。それこそが花の都パリの華やかさと夜の世界、社会の縮図なのかもしれません。


また、ドラマという点では、サティーンとジドラーの同志愛、サティーンとロートレックの互いを深く思いやる友愛(これを友愛と記す切なさや。チェ・ホジュンさん、チョン・ウォンヨンさんによるロートレックの♪Nature Boyはハンカチ必須のナンバーでした。ふと不自由な脚をさする、その仕草ひとつが名演!)、サティーンとニニたち踊り子たちとの家族愛、ニニとサンティアゴの燃え上がるような愛、さまざまな愛の形が登場します。クリスチャンのサティーンへの愛はただただ真っ直ぐ、サティーンはクリスチャンを救うがために彼を拒む、それも愛。そして財力ですべて、サティーンすらも所有しようとするデュークの歪んだ愛も含めて。

やがて物語はクライマックスへ──そこは見てのお楽しみ。
Hey sista, go sista, soul sista, flow sista……、これはひと夜の幻だったのか。そんなことを感じるフィナーレの余韻にしっとりと浸る……ヒマはありません!
ショーはまだまだ続く、フィナーレのあとは"More More More! (Encore)"でもうひと盛り上がり! 欲張りなおけぴスタッフも大満足! そして帰り道はレディ・ガガのBad Romance「RA-RA-AH-AH-AH~」が頭をぐるぐる回りながらの帰り道でした。


ちなみにキャストを変えて、1階、2階から観劇しましたが、1階では地続きのエネルギーで“そこに生きる人間”を感じ、2階ではいわゆる『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を象徴する“青い象と赤い風車と光り輝く電飾”という額縁ごと味わう醍醐味を堪能。そんな空間でした。

あの夜に感じた冬のソウルの寒さも忘れる高揚感。ドラマティックな恋物語に華やかなショー、心に残るワクワクの残響は理屈を超えたもの。これはムーラン・ルージュ観劇というより、ムーラン・ルージュ体験! この感覚、クセになりそうです!




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この夏の超話題作!
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』@帝国劇場にて
❤おけぴ観劇会開催❤

2023年7月8日(土)18時 →3/17(金)15時〆で抽選受付中
2023年7月27日(木)18時 →3/17(金)15時〆で抽選受付中
2023年8月5日(土)18時 →3/25(土)15時〆で抽選受付中

詳細はこちらから



【公演情報】
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』
2022年12月20日 ~2023年3月5日@ブルースクエア新韓カードホール
(12月16日~ プレビュー公演)

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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