舞台の上での “かけひき” から目が離せない!
写真左から:楊琳(やん りん)さん、桐生麻耶(きりゅう あさや)さん
物語の舞台は
ブロードウェイのショービジネス界。
かつて一世を風靡した鬼才演出家と新進女優、
そして元妻であるスター女優とのもつれ合う関係
……。
演出家の再起をかけた新作ショーの開幕寸前に起こった
“女優失踪事件” の真相とは!?
『カルディアの鷹』に続く、
OSK日本歌劇団の “あらたな挑戦” がさらに進化!
“芝居的魅力” にぐぐっとクローズアップした
「OSK Dramatic Theater(OSKドラマチックシアター)」の第二弾は、
物語のはじめから犯人がわかっている “刑事コロンボ” 方式の本格ミステリー。
『開演ベルは殺しのあとに〜刑事X 華麗なる事件簿〜』通し稽古レポート&桐生麻耶さん・楊琳さんインタビューをお届けいたします!!
華やかなショービジネス界に君臨する “鬼才演出家” ジェイを演じるのは
OSK日本歌劇団の “THE 男役” 桐生麻耶さん。
事件の真相を追う “天才刑事X(エックス)” ことアレックス役に
注目の若手スター楊琳さん。
物語の舞台はブロードウェイ。
レビューシーンも盛り込まれ、エンターテイメント感も満載です!
(写真手前:スター女優・クレア役の朝香櫻子さん)
大阪発・女性だけの歌劇団として
90年以上の歴史を紡いできたOSK日本歌劇団。
今回ご紹介するのは、
OSKと共にさまざまな挑戦を続けてきた演出家・北林佐和子さんが、
自身の劇団で上演してきたシリーズを、
桐生麻耶さんと楊琳さんのイメージに合わせてリライト&バージョンアップした、
大人の雰囲気たっぷりのミュージカル・サスペンス『開演ベルは殺しのあとに〜刑事X 華麗なる事件簿〜』。
劇場入り直前の稽古場で、
主演の
桐生麻耶さん、
楊琳さんにお話を聞いてまいりました!
OSKの歩みを支えてきたスターのひとり、桐生麻耶さんと
これからの活躍も楽しみな若手スター楊琳さん。
舞台上での相性もぴったりのおふたりです♪
――事件の鍵を握る天才演出家・ジェイを演じるのが桐生さん、事件の真相を求めてジェイを追い詰める刑事役が楊さんというキャスティングですね。
桐生:「楊が演じるエックス(=アレックス)は、
子供のころにある事件に巻き込まれたことがきっかけで刑事を志したという設定です。
普通だったらトラウマになってしまうような事件を経験しているにもかかわらず、
とても真っ直ぐなキャラクターで、明るいほうへと向かっていく役柄ですね。
一方、私が演じるジェイは、
歯車がひとつ狂ったことによって闇に落ちてしまう役(笑)。
でも人間って光と闇のどちらも持っている、表裏一体の存在なんだと思います。
お客様にはいい意味での不協和音を感じていただければと。
演出の北林先生には
“今のあなたには(ジェイのような)大人の部分、暗い部分が必要なのよ” と言われました。
とにかく動きを抑えて、内面からみせる演技をしなくてはならないんです。
正直、ストレスがたまります(笑)!
自分と役との共通点が全くない。
唯一、普段の自分に近いのはフィナーレのダンスシーンくらいでしょうか。
でもだからこそ、素晴らしいチャンスをもらえたと思っています。
これからOSKを引っ張っていく若手が、
しっかりと真ん中で役を演じていけるような場を与えてもらったことも嬉しいですし」
ジェイと新進女優・マリリン(舞美りらさん)とのシーンは
セリフには出さない内面の演技の連続!
楊:「ここまで “お芝居” に正面から向き合うことも、
セリフの量がこんなに多いのも、初めてのことなのでドキドキしています。
今はまだいくらがんばっても、
桐生さんの迫力や存在感に勝つことはできない。
ですから、背伸びをして不釣り合いに “がんばる” のではなく、
舞台の上で “エックスとして” ジェイに向かい合っていきたいなと思います。
まだときどき舞台の上で、
桐生さんのことを下級生の目からみてしまうことがあるんです。
本番までには、エックスとジェイとして存在できるようにしなくてはと。
セリフをしゃべらず、
“間(ま)” で緊張感を出さなければならない場面もむずかしいですね」
桐生:「ジェイとエックスの “かけひき” をみせる場面がとても多いんです。
お互いの呼吸を感じながら芝居をするというか、
ただセリフを覚えるだけではなくて、“その先のもの” を目指しています。
今はまだ舞台の上で何が起こるかわからない緊張感がありますね(笑)」
かなり “不思議な” キャラクターのエックスを演じる楊さん
かっこ良くキメるシーンとのギャップが素晴らしい♪
楊さんの演技を見つめる桐生さん
――昨年の公演
『Gift』の稽古場で、桐生さんが楊さんに “男役としての在り方” を伝えている姿が印象的でした。今回、おふたりで舞台の真ん中に立たれていて、なにか新しい気づきなどはありますか?
桐生:「彼女(楊さん)はほんとうに芸事に対して真っ直ぐな人。
以前は、場面や役の好き嫌いが顔に出ていたんですけれど(笑)、
それが最近ではなくなってきましたね。
“ああ、今から舞台人として素晴らしい階段を登っていくんだろうな” と頼もしく思いますし、
ふたりで舞台の上に立つことに、私自身も刺激を受けています。
実は今回の公演ポスターのビジュアルも、賛否両論あったんです。
ほら、(上級生である)私が背中を向けていて、
エックス(楊さん)が正面を向いているとか
……(笑)。
でも先輩・後輩とかそういうことではなくて、大事なのは作品そのもの。
なおかつ、私たちはいまOSKをもっとたくさんの方に知っていただくために、
“新しいOSK” というものを模索しているところですから、
どんなことでも “やってみなくちゃ、わからない” という精神です。
いろいろと試してみないと、新しい道がひらけませんからね」
物語の中での2人の関係性をあらわすような公演ビジュアル
――役の雰囲気が出ていて、とても素敵なビジュアルだと思います!
我々観客からみるとおふたりとも役にピッタリというイメージですが、ご本人としてはかなりギャップを感じられているとか?
桐生:「ジェイは発散するところがぜんぜんない(笑)。
とにかく心の内にためて、ためて
……、
最後にエックスによって解放される、私はそう解釈しています。
はやく秘密を暴いてほしい、そう思っていたんじゃないかなって。
まあ、私本人とジェイとの共通点は全くないですね!」
楊:「でも外見のイメージは合っていますよね。
“大人の男” という感じで、見た目はピッタリです(笑)」
桐生:「内面と外面のギャップが激しいとよく言われます(笑)」
そうなんです!
大人の男のこんな表情にドキッとさせられちゃいます!
もちろんダンサー!な桐生さんもとってもかっこいい♪
――最後に、ずばりこの舞台の見どころを教えていただけますか?
桐生:「ふたりの駆け引き、その緊張感を感じていただきたい。
そのために、これからもっと芝居をつめていきたいです。
それから、今回はミュージカルサスペンスということで、
セリフと歌が入り組むようなシーンもあるんです。
その表現にもぜひ注目していただきたいですね」
楊:「お客様に、“OSKの芝居をもっと観たい!” と思っていただけるような作品にしたいんです。
今回は芝居の中に歌やダンスもありますし、OSKだからこそできる舞台だと思います。
レビューはもちろん、OSKならではのこういうお芝居ももっと上演してほしいと、
お客様に思っていただけるような舞台をおみせできれば。
自分でハードルを上げてしまいましたが(笑)、
言ってしまったからには
……がんばります!」
罪を犯した男と、彼を取り巻く女たちの愛と運命を、
大人の雰囲気たっぷりの歌と踊りをふんだんに取り入れて描くミュージカルサスペンス。
緊張感と笑い、そしてエンターテイメントショーとしての魅力がバランスよく盛り込まれた『開演ベルは殺しのあとに〜刑事X 華麗なる事件簿〜』は、いよいよ7月5日に初日の幕を明けます。
ショービジネス界が舞台だけに華やかなショーシーンも満載♪
事件について、なにか知っている様子のスター女優・クレア(朝香櫻子さん)
ベテラン・緋波亜紀さんの存在も舞台をガッチリと支えます!
(ダンスシーンのカッコよさも必見!!)
『カルディアの鷹』に続き、ドラマチックシアター出演の愛瀬光さん(写真右)。
演じるのはショーに投資する大富豪のパトロンです
この日、稽古の様子を拝見したのですが、
抑えた大人の色気を振りまく桐生さんのカッコよさ、
そしてエキセントリックな刑事役になりきる楊さん、
それぞれの魅力がぶつかり合い、融合して、
見応えたっぷりの舞台になっています!
OSKが誇るダンスシーンが盛り込まれているのも、嬉しいポイント♪
“歌劇” に馴染みのない、ミュージカルファンの皆さまもきっと楽しめると思いますよ!
桐生さん曰く “佐和子先生マジック” という、
北林佐和子さんによる “演劇ならではの魔法” のようなスマートな演出もお楽しみに。
さあ、開演ベルがなる前に急いで劇場へ!
進化し続けるOSKの新しい挑戦をお見逃しなく!!
おけぴ取材班:mamiko(文/撮影) 監修:おけぴ管理人