【水戸芸術館へワンデイトリップ】未来サポートプロジェクトvol.5『赤シャツ』稽古場レポート

観劇ニュース Vol.3

~美しい日本語を堪能~

おけぴ観劇レポコーナー、和モノ目白押し!
“和モノ”って風情や佇まい、所作も魅力ですが、なんと言っても日本語のリズムや響きが耳に、心に心地よいですよね。タイプの違う“和モノ”お楽しみください。
上野東京ライン開業でググッと便利に!
開館25周年を迎えた水戸芸術館へワンデイトリップ♪

常磐線特急はこの3月から品川まで延長になりました。(それ以前は上野まででした)品川駅から水戸までは約1時間25分、東京駅から約1時間15分、上野駅から約1時間10分程度です。あらら、意外や意外、水戸近し!
そこから街を散策しながら15分少々…やってきました水戸芸術館。


水戸芸術館
地域の憩いの場・広場


芝生広場を囲むような形でコンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーの3つの専用空間があり、音楽、演劇、美術の各分野において、自主企画による事業を行い国内外で活躍するアーティストの多彩な催し物を紹介しています。

また、地元茨城県出身の若いアーティストに、この劇場を利用して新しい可能性にチャレンジしてもらおうという企画「未来サポートプロジェクト」などを通して地域の文化活性化にも積極的に取り組んでいます。
このようにして地元出身の方々が活躍する姿を見ることが、その後に続く若い世代の憧れや目標となり発展していく…素敵です!



未来サポートプロジェクトvol.5『赤シャツ』稽古場レポート


未来サポートプロジェクトも初回公演『息子たち』(2014年1月)から回を重ねて第5弾!
今年6月にはマキノノゾミさん作、西川信廣さん演出の『赤シャツ』が上演されます。
演劇部門芸術監督の高橋知伽江さんが、マキノさんがかつて青年座に書き下ろしたこの作品に惚れこんで上演の運びとなったとのこと期待も膨らみます!
東京の喧騒を離れ、じっくりと作品と向かい合う稽古場の様子をレポートいたします。


四国の城下町を舞台にした大人の青春物語『赤シャツ』。
登場人物は山嵐、野だいこ、うらなりにマドンナ…えっ、それって夏目漱石の小説「坊っちゃん」じゃないの?!とお思いの方も多くいらっしゃると思います。
でも…この物語の主人公は漱石を重ね合わせたと言われる赤シャツなのです!


赤シャツ役:大沢健さん

「坊っちゃん」の中では敵役の赤シャツを主人公に置く、視点をくるりとひっくり返したマキノノゾミさんの文人評伝物『赤シャツ』。
本読み稽古を拝見しましたが、その面白さにヤラレマシタ~!!

個性豊かなキャラクターが織りなす人間ドラマが絶品。
強気に出るけれど内心は動揺していたり、明るく振舞いつつ心は沈んでいたりなど、微妙な心理を丁寧に積み上げていくていねいな作品作りの司令塔・演出は文学座の西川信廣さん。
本読みですので、台本を片手に読んでいく(セリフを発していく)のですが、その人物が「何を話すか」に加え「どう話すか」を突き詰めていく地道な作業です。
同じ言葉でもその裏にある心理を紐解くと、全く異なる印象を受ける。気が付くと登場人物それぞれに共感、共鳴してくるのです。
そして、休憩時間に口をついたのは「赤シャツ、イイ男!わかるわかるその気持ち!」。


教頭である赤シャツは学校でただ一人の帝大卒の文学士。「坊っちゃん」の中では気弱な英語教師うらなりから婚約者のマドンナを横取りするザ敵役ではありますが、その辺の事情もどうやらいろいろとありそうな…。
大沢健さんの中間管理職的な苦悩の赤シャツ、新鮮です!思い悩む姿、心理に自然とシンクロします!!

また、料理屋番頭の塩谷亮さん、赤シャツの弟役の大内真智さん、野だいこ役の小林祐介さん、うらなり役の澤田考司さんは地元のみなさまにはお馴染の劇団ACM(Acting Company Mito)の座員さん!それにしても、本当にこの作品、濃い~キャラクター揃いですね。
そして、○○ぞなもし~の言いまわしに代表されるお国訛りも耳に心地よいものです。


写真左より)うらなり役:澤田考司さん、赤シャツ役:大沢健さん


写真左より)赤シャツの弟役:大内真智さん、うらなり役:澤田考司さん
弟が抱える思い、うらなりの思い…グッときました。


マドンナ役には未来サポートプロジェクトで選ばれた桑原由樹さん、舞台初挑戦!このマドンナ像もちょっと違う香りが…乞うご期待ぞなもし~!(間違った使い方でしたらあしからず・笑)


写真左から)マドンナ役:桑原由樹さん、野だいこ役:小林祐介さん


そして、この方がひと言発した瞬間、そのしゃがれ声の主を思わず二度見してしまったのが赤シャツ家の下女ウシ役の春風ひとみさんです。
ぶっきらぼうな口調ですが、何でもお見通し、大きな愛情で旦那様=赤シャツを見守る下女。それでいて立ち聞き常習、しかも赤シャツにばれている(笑)。そんなお茶目さもある春風さんのウシの味わい、お楽しみに!


ウシ役:春風ひとみさん

ウシと芸者小鈴(渡辺樹里さん)のそれぞれが抱えるドラマ、それゆえの芯の強さもとても印象的でした。このように一人一人の人物描写が温かいのです!
他にも茨城県出身の平塚真介さんが俘虜(ふりょ)となったロシア人将校ウラジーミル役としてご出演、さらには坊っちゃん役(声のみ)で同じく茨城出身の渡辺徹さんが参加されます。
このように出演者オーディションで選ばれた茨城出身の俳優さんたちも大いに活躍するんですよ。

茨城在住でないキャスト・スタッフのみなさんも水戸に長期滞在して稽古を重ねているとのこと、日常に流されることなく創作にじっくりと向き合う…向き合わざるを得ない(?!)この贅沢な環境は舞台を作る側にとってもクセになるようです。

観る側にとってもそうやって丁寧に創り上げられた作品に触れるのは幸せなこと、さらに上演されるACM劇場はどの席からも舞台が近い!特に2列ある二階正面席は視界を遮るものがなく、2列目との間には大きな段差&壁があるため前のめりになっても後ろの方の視界を遮る心配もなし(もちろん危険のない範囲で“のめり”ましょうね・笑)!
劇場内の壁面もシックなデザインで(すみません、そこは完全に侮っていました!めちゃめちゃおしゃれです)、色んな意味でテンションアップな劇場空間です。

そして、今後も未来サポートプロジェクトはもちろん、朗読、落語、浪曲、ダンス、そして演劇などなどテーマ性、エンターテインメント性その両方を持ち合わせる注目の上演目白押しの水戸芸術館への観劇遠征おススメです。


【おまけ1】

おけぴスタッフ注目の公演はこちら!
水戸芸術館開館25周年記念事業 
ACM劇場プロデュース公演 音楽劇『星の王子さま』
2015年12月12日(土)~ 2015年12月13日(日)@ACM劇場
原作:サン=テグジュペリ
脚本・演出:青木豪
作曲・音楽監督:笠松泰洋
振付:井手茂太
出演:昆夏美、伊礼彼方 ほか


【おまけ2】

風薫る五月、抜けるような青空…条件はそろった!とばかりに今回は水戸駅から徒歩で向かったその道程をご参考までにご紹介。


水戸駅北口を出て、歩道橋を下り銀杏坂を進みます
(ほぼ直進ですが若干左ナナメ方向の大きな通りが銀杏坂です)

しばらく行くと進行方向右側に水戸中央郵便局が見えます。


水戸中央郵便局

そこから大きな通りは左へカーブ、そのまま左手へ進みます。


右手に常陽銀行本店が見えたらOK!交差点は南町一丁目。

そこからはアーケード街で左右にお店が続きます、南町二丁目、三丁目と進むと、もう間もなく!


南町3丁目!その先にある白い建物は京成デパートです。

そのままもう少し進むと水戸フコク生命ビルがありますのでそちらを右折、最初の角を左折で目的地!


こちらのビル(フコク生命ビル)の先を右折です。

このあたりからはどこで曲がっても行き着くようです。京成デパートまで直進し泉町1丁目の交差点を右折しても水戸芸術館正面に出ますよ。

そして、水戸芸術館のシンボルはこちら、


どーん!迷った時はこちらのタワーを目印に!!

とはいうものの…HPによりますと。
水戸駅からは、バスをご利用になると便利です。「北口バスターミナル4~7番のりば」から乗車し、「泉町1丁目」下車。乗車時間は約10分です。降車後バスの進行方向に進み、すぐの交差点で大通り(国道50号)を渡り、そのまま路地を直進してください。徒歩2分ほどで到着します。
とのことです(笑)。


【おまけ3】

「坊っちゃん」と聞き思い出されるのは…坊っちゃん劇場!
2011/08/07 ミュージカル「誓いのコイン」@坊っちゃん劇場遠征レポ

もちろん『赤シャツ』の舞台となるのは四国辺のとある城下町!さらには平塚さん演じるウラジーミルが登場するように、その街にはロシア人俘虜がいるのです。時代背景なども「誓いのコイン」(作・作詞は芸術監督の高橋知伽江さん!)と通じるところの多い作品なのです。坊っちゃん劇場で誕生し、その後日本を飛びだしロシア公演を行った「誓いのコイン」のように、水戸芸術館から全国に、世界に飛び出す作品が誕生するのも近い!!
地方ならではの創作、観劇の魅力を再認識する水戸芸術館遠征でした!

【公演情報】
ACM THEATRE PRODUCE/未来サポートプロジェクト vol.5
『赤シャツ』
水戸芸術館開館25周年記念事業
2015年6月11日(木)~ 2015年6月14日(日)

<スタッフ>
作:マキノノゾミ
演出:西川信廣

<キャスト>
大沢 健、春風ひとみ、金内喜久夫、塩谷 亮、大内真智、小林祐介、
澤田考司、川崎賢一、桑原由樹、平塚真介、渡辺樹里、間瀬英正
【声の出演】渡辺 徹

公演HPはこちらから

稽古場写真提供:水戸芸術館
おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人

おすすめ PICK UP

ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』初日前会見レポート

「M's MUSICAL MUSEUM Vol.6」藤岡正明さんインタビュー

こまつ座『夢の泪』秋山菜津子さんインタビュー

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』ニキヤ役:廣川みくりさん、ガムザッティ役:直塚美穂さん対談

【井上ひさし生誕90年 第1弾】こまつ座 第149回公演『夢の泪』観劇レポート~2024年に響く!~

【公演NEWS】『デカローグ 1~4』開幕!各話の舞台写真&ノゾエ征爾・高橋惠子、千葉哲也・小島聖、前田亜季・益岡徹、近藤芳正・夏子からのコメントが届きました。

“明太コーチ”が“メンタルコーチ”に!?『新生!熱血ブラバン少女。』囲み取材&公開ゲネプロレポート

JBB 中川晃教さんインタビュー~『JBB Concert Tour 2024』、ライブCD、JBB 1st デジタルSGを語る~

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』速水渉悟さんインタビュー

【おけぴ観劇会】『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』おけぴ観劇会開催決定!

【おけぴ観劇会】ミュージカル『ナビレラ』おけぴ観劇会6/1(土)昼シアタークリエにて開催決定

【おけぴ観劇会】ミュージカル「この世界の片隅に」おけぴ観劇会 5/19(日)昼開催決定@日生劇場

おけぴスタッフTwitter

おけぴネット チケット掲示板

おけぴネット 託しますサービス

ページトップへ