<舞台写真&感想が届きました!>『ア・フュー・グッドメン』稽古場&座談会レポ

「正義とは」、「悪とは」。
キューバ米海軍基地で起こった不審な殺人事件。
その真相を探る若き弁護士の姿を中心に、軍内の組織悪を暴く、軍事法廷サスペンス『ア・フュー・グッドメン』

【感想をご紹介いたします】

幕開けから最後まで、凄まじいスピードで交わされる台詞は、一言も聞き漏らすことができません。
静寂がこんなにも効果的に使われる作品は初めてです。
最高にスリリングな舞台です。

1幕物のスピード感あふれる最後まで飽きさせない展開です。
上意下達の徹底された世界にあって自分だったらどう行動しただろうと考えさせられます。

あっという間の1時間50分です。各登場人物、気迫溢れる台詞の応酬でぐんぐん舞台に引き込まれました。
セットはとてもシンプル。派手な曲も奇をてらった仕掛けなどもありません。
ただただ、芝居が迫ってきます。舞台では軍隊の中の事件が扱われますが、
自分の周りでも(ここまで極端ではないとしても)多かれ少なかれあることだと思います。
正義とは何か、信念とは何か、良心とは何か。とても考えさせられました。

良かった。どんどん緊迫していく台詞に、気持ちが前のめりになっていきました。
実際には出演しない人物も存在しているように思え、見逃していい部分はないほど、凝縮した舞台でした。

正義とは何か?と問われる事が多い昨今、この作品の中での正義とは何かを、考えさせられました。
正義にも種類があるのかもしれません。それを自分の目と耳で確かめて欲しいです。

初舞台&初主演の淵上泰史さん。初日にして観客の反応を受け止める余裕が感じられ、また、独特の人懐っこさを醸し出す大物です。
主人公の成長と同時に淵上さん自身の成長を見守れるこの舞台、お時間のある方はぜひリピート鑑賞をおすすめします!
海軍基地内の海兵隊の中という閉ざされた世界での法廷物で、膨大な量の特殊な用語の台詞の応酬による緊張感溢れる会話劇として楽しめるので、特に男性に観ていただきたいです。

効果的にシーンが変わり、ストーリーがわかりやすく描かれてたと思います。
途中で使われる音楽も効果的でした。緊迫する裁判のシーンがとても印象に残りました。
若手弁護士を瀬奈さんや小西さんのベテラン陣が支え、物語を締めてくれました。

好きな映画の舞台に期待大でしたが期待通り面白かったです。
テンポよく進むのですが、少数精鋭の役者さんが明瞭なセリフで説明するので分かりやすくラストの追いつめる場面は緊迫感が凄くて手に汗握り息をつめて観ました。
紅一点瀬奈じゅんさんの軍服姿が素敵でした。

舞台美術でセリフが映え、色々と考えさせられるストーリーでもあり、純粋に楽しむことができました。
グッと感動させられるシーンもあったので、ご自身の感じたものを大切にして頂きたい気持ちです。
ただ、外国が舞台なので、少し予備知識があった方が更に深く面白くなると思います。

海兵隊という平和な日常とはかけ離れた中にいる人の心が作られていくことを考えさせられました。
法廷での緊迫したやり取りはドキドキしました。主人公が本物の弁護士へとなっていく心の変化への動機付けや気づきなどを支えるキャストの方のお芝居がとても良かったです。

いつものように作品に応じて、オリジナル・ドリンクを用意してくれるのが、
劇場全体で盛り上げるようで良かったです。



見ごたえある人間ドラマが開幕!

ピーンと張りつめた空気が伝わるような、素敵な舞台写真が届きました!


浮かび上がる人間像、この潔さ!法廷劇・会話劇の醍醐味を味わえます!


写真左より)平埜生成さん、淵上泰史さん


写真左より)瀬奈じゅんさん、淵上泰史さん


写真左より)淵上泰史さん、小西遼生さん


写真左より)田口トモロヲさん、菅原永二さん


写真左より)淵上泰史さん、田口トモロヲさん


写真左より)淵上泰史さん、菅原永二さん、阿部丈二さん


写真左より)小西遼生さん、平埜生成さん、阿部丈二さん


写真左より)淵上泰史さん、瀬奈じゅんさん


写真左より)淵上泰史さん、田口トモロヲさん





1992年公開の同名映画のヒットで一躍全世界的人気を得たこの作品、もとは1898年にBWで幕を開けた舞台作品なのです。
脚本は、映画『ソーシャルネットワーク』TVドラマ『ザ・ホワイトハウス』など、賞レースの脚本賞総なめのアーロン・ソーキン。カリスマ脚本家、20代の名作です。

【稽古場レポート】

事件の真相を追うスリリングな展開と登場人物たちの成長、葛藤という人間ドラマ、その両方が楽しめる知的エンターテインメント作品の稽古場の様子をレポートいたします。


キャフィ中尉役:淵上泰史さん、検察官ロス大佐役:小西遼生さん

映画でトム・クルーズが演じたキャフィ役には舞台初挑戦にして初主演、淵上泰史さん
被告の弁護を担当するハーバード法律大学院卒のキャフィ。偉大な弁護士だった父の影を意識し、これまでの担当事件はすべて検察側との事前取引で処理してきた男。

冒頭から役を演じているというより、キャフィという人がそこに居る
そんな印象を受けます。
ニュートラルなところから、人とのやりとりを介して次第に見えてくるキャフィ像がとても興味深く、自然体なのに堂々たる主人公なのです!


内部調査部の熱血女性弁護士ギャロウェイ少佐役:瀬奈じゅんさん

事件の背景に疑問を抱いたギャロウェイ。事前取引で済ませようとするキャフィと意見が対立しながら、決して引かない熱さを持った真っ直ぐな女性、瀬奈さんにピッタリです。



検察官ロス大佐役:小西遼生さん

キャフィとは友人関係でもあるロス大佐、「クール」です。
小西さんの声のトーン、目線は知的で冷静、ブレない大人なロスです。
そんなロスと変化していくキャフィと鮮やかなコントラストもイイ!



ドーソン上等兵(被告人)役:平埜生成さん

短髪、いよいよドーソンモードの平埜さん。揺るぎない信念、国家への忠誠…プライド、決して感情を表に出さない兵士は作品を象徴する存在でもあります。



ジェセップ大佐役:田口トモロヲさん、写真左はケンドリック中尉役:菅原永二さん

事件の現場となるグアンタナモ米海軍基地司令官、キャフィとギャロウェイの調査に立ちはだかるジェセップ。最前線にいる者の使命感、緊張感が生み出す独特の存在感にはキャフィならずとも圧倒されます。


ランドルフ大佐(判事)役:阿部丈二さん

緊張感マックスの裁判シーンで登場する判事、冷静に裁きます!


ケンドリック中尉役:菅原永二さん

何かを知る男…ケンドリック
菅原さんの独特の存在感は物語のキーパーソン、ケンドリックにピッタリ。つねに周りの状況を敏感に感じ取る、最前線にいる緊張感を身にまとっています。


原作の20人にも及ぶ登場人物が、上演台本では7人に絞られています。
ここまでご紹介してきた7人、それぞれが何かを象徴し、何かを背負って、生きています

前半部分を拝見しましたが、この作品の面白さのひとつは、色濃く描かれた個々の登場人物がほかの立場の人間と対峙し、対話することで生み出されるザラザラとした摩擦のような気がします。
そう思えるのは、きっと一人一人に矛盾がない、それぞれの正義を胸に持ち続けているからこそです。シンプルな舞台装置も、人間を浮かび上がらせる効果を生んでいて、これは舞台作品ならではの面白さにも溢れている!それを確信する稽古場でした。


ここからはそんな対峙のシーンの写真をご紹介。
対立、協調、拒絶…何が生まれ、何を感じるのか、ぜひ劇場で感じてください。







果たして真相は、そして正義とは…

稽古場公開は緊張感高まる法廷シーンで…終了(クーーッ!)。
映画を見ていても、結末を知っていても、初日が待ち遠しいっ!
それは、目の前にいる“あのキャフィ”“あのドーソン”“あのジェセップ”が何を思い、何をするのか。
そこに惹きつけられているからにほかなりません。


【座談会レポ】

さて、稽古場公開の後は緊張の本編から解き放たれた(?!)キャスト&演出の鈴勝さんこと鈴木勝秀さん参加の座談会が開催されました。司会進行は阿部丈二さんです。


--稽古が始まって2週間ほどたちましたが、本読みのころから変わったことは。

淵上さん)
実際に動いて芝居をして気づくことがたくさんあります。舞台は初めてなので、(稽古も)毎回緊張しています。


小西さん)
本読みのころのことは忘れましたね(笑)。
少し前まではセリフを頭にたたき入れることに精一杯で、そこからようやく次のところに進めたのかな。そこでまた気づくことが出始めて、こうやってさらに芝居の密度が詰まっていくのだと思います。
それに伴って、日に日に湿気が…息苦しいです(笑)。
芝居の密度が高まるのにつれて、稽古場の熱気が着実に上がっている気がします。


--役柄とご本人、一番ピッタリだなと思うのは誰?


田口さん)
僕以外は全員ピッタリなんじゃないかな(笑)。
自分が出ていないシーンを見ていると、つくづくすごいキャスティング、パーフェクトなキャスティングだなと思いますよ。
自分が出ている時は見えないからね、どうなんだろうなと思うけれど、そこは演出の鈴勝を信じてやっています。
見ていて印象的なのは、淵上君。やはり鮮度が高いですね。新鮮です
そこに立ち会えることで、すごく刺激を受けていまます。


平埜さん)
そうですね・・・。
(ちょっとためらい無言になる最年少の平埜さんへ、諸先輩方から激励が!)
あの、そうですね、トモロヲさん

田口さん)
今、一瞬目が合ったからって…笑。


平埜さん)
本当に皆さん素敵でその(役の)人にしか見えません。丈二も。
(突然のファーストネーム呼び捨て!場内笑)
裁判長にしか見えないです。

阿部さん)
いきなり?!あ、ありがとう(笑)。


菅原さん)
えーと、今、全員一票ずつ?(笑)
海兵隊員の役ということで、体格がしっかりされている方ぞろいで。
僕がやばいんですよね。

田口さん)
ここ(自分)とここ(菅原さん)が華奢なんだよね(笑)。

菅原さん)
そうそう、一番権力を持っている人がね(笑)。

--それぞれの見どころは。

平埜さん)
髪型ですかね。
あとは、鈴勝さんの演出ということで、照明や音、美しい世界、そういう鈴勝さんの色も含めて楽しんでほしいと思います。

小西さん)
先日の衣装合わせで、軍の法務官側の軍服ってこうなんだ!とすごく新鮮でした。

阿部さん)
メチャクチャ似合っていたよね。


陪審員に主張する法廷シーン

小西さん)
いやぁ、そうでもないですよ(笑)。(←といって足を組み直す小西さん!!)
そういう見た目も楽しんでください。
芝居に関しては裁判シーンではお客様が陪審員であるかのような作りになっています。
僕が演じる役は、きっちりしていて、事実を突きつけて有無を言わせないタイプです。
お客様もそれを見て、今、こっちが勝ってる!とか、法廷の駆け引きを楽しんでください。
そして、それぞれの主張からご自身でも判断してもらえるとより一層面白くなると思います。

田口さん)
先ほども出ましたが、屈強な方が多いので、僕は権力者として本番までにあと30cmほど身長を伸ばしたいと思います(笑)。
残された稽古時間で、どれだけ身体を作れるかそこに注目していただきたいですね。
疲れちゃって、もっと小さくなっていたらすみません(笑)。

淵上さん)
小西さんも仰っていましたが、制服ですね。
テーラードの方が採寸して作ってくれました。まだそれを身につけて芝居をしていないので、カッコよく着こなせるかわからないのですが、そこもちょっとお楽しみに。
内容については、僕は映画を見ていたので、台本を読む前から結果はわかっていました。
でも、初めて台本を読んだ時、興奮したんです。結果を知っているお客様にも、映画とはまた違う、舞台ならではの熱や緊張を感じてもらえたらと思います。


瀬奈さん)
最初にいただいた台本より、だいぶカットしています。
それによって生まれた余白が、お客様の想像力を掻き立てるようになっている気がします。想像力フル稼働で、その余白を楽しんでください

菅原さん)
法廷劇なので、なかなか日常では聞かないセリフが出てくるんですよね。
「異議あり」とか。(場内爆笑)
それに対して「意義を認めます」とか。
お!意義を認めてるよ!って、キュンキュンしますよね。
そういう瞬間、瞬間を楽しんでほしいですね。


阿部さん)
注目というか、注意していただきたいのは「ドーソン/ダウニー問題」ですね。
被告はドーソンとダウニー、でも舞台にはドーソンのみ登場しダウニーは出てこないんです。
ドーソンとダウニーは違う、そこをご観劇前にちょっと頭に置いておくと混乱しないかなと思います。

--演出の鈴木さんは、この作品を手がけるにあたり、どのようなことを思われましたか。

鈴勝さん)
いつもと変わらず、面白く創れればということだけです。
ぼくは政治的なもの、社会的なものをやるにあたっても、こういう風に考えてほしいという意見を述べるつもりは全くないんです。作品を自分の演劇の表現の中でどうつくるか、具体的なことしか考えていません。
ぼく自身、メッセージというのはそれを察知して自分なりにしか解釈しないので、そういったものは、見た人、お客様がそれぞれに感じて、考えていただければと思っています。
僕は、こういう戯曲があったということ自体が面白いと思って創っています

--膨大な台詞の覚え方は


淵上さん)
ちょっと調べたんですけど、今回、台本53ページ中、51ページで僕はしゃべっているんですよね
初舞台なのでその量が多いのか少ないのか、基準がわからないのですが。とにかく覚えないといけなかったので、カフェで、人のいる中でがやがやしている中で声に出して覚えています。「すみません」というセリフでお店の人が反応したりして(笑)。
それは今、稽古後もやっています。歩きながら声に出してたりもしています、立って動きながら言うとぽっとセリフが抜けるときがあるんですよね。
この質問は、逆に僕のほうがみなさんにお聞きしたいですね。

瀬奈さん)
私はお風呂で覚えます。読んで、読んで、そしてお風呂から出てから書くんです。
今回は、セリフの量自体がすごく多いわけではないのですが、なにせ専門用語が多く難しいので、いつもより苦労しています。
漢字ばかりなので、書くのも時間かかりますし、実際に人と芝居をしてみないとわからないところもありますね。

--最後に、鈴勝さんより、締めのコメントを!


鈴勝さん)
上演時間は1時間45分、集中して見ていただける作品です。
笑いも無いので緊張した舞台、その中でこれだけセリフを言っていく、かなり演劇です
モノに頼らない、みんなの想像力で作られる演劇、それを見ていただき、作家が描いた気持ちがお客様に届くといいなと思います。



キャフィの中で何かが…一番印象的だった瞬間です


『ア・フュー・グッドメン』
2015年6月19日(金)~28日(日)@天王洲・銀河劇場

★トークイベント開催!
≪実施日・登壇者≫
6月20日(土)17:00の回終演後・・・淵上泰史、瀬奈じゅん、小西遼生
6月22日(月)14:00の回終演後・・・小西遼生、菅原永二、阿部丈二、平埜生成
6月24日(水)14:00の回終演後・・・淵上泰史、瀬奈じゅん、田口トモロヲ
6月25日(木)14:00の回終演後・・・スペシャルゲストトーク 瀬奈じゅん、彩乃かなみ

<スタッフ>
原作: アーロン・ソーキン
上演台本・演出: 鈴木勝秀

<キャスト>
淵上泰史 / 瀬奈じゅん / 小西遼生 / 菅原永二 / 阿部丈二 / 平埜生成 / 田口トモロヲ

<あらすじ>
キューバを望む米軍海兵隊基地で、ひとりの海兵隊員が就寝中に襲われて死んだ。犯人は同部隊のドーソン兵長とダウニー一等兵だった。検察官ロス大尉は、2 人を殺人罪で起訴する。事件の背景に疑問を感じた内部調査部の熱血女性弁護士ギャロウェイ少佐は、被告の弁護を申し出るが、ハーバード出身で法廷経験のないキャフィ中尉が任命される。キャフィは偉大な弁護士だった父の影を意識するあまり、担当した事件はすべて検察側との事前取引で処理してきた男だった。キャフィの助手としてギャロウェイも補佐に加わり、調査を開始する。

やがて浮上した“コードR(レッド)”という隠語は、劣等兵への“しごき”を暗黙了承する集団リンチのことだった。被告たちは、上官ケンドリック中尉からコード R の命令を受けていた。そして事件の黒幕には、最高指揮官ジェセップ大佐の影が・・・命令に忠実に従っただけで、殺意は無かったのだという言葉に心を動かされたキャフィは、被告の無罪を申し立て、軍法会議で上級士官と対決することになる。捜査の妨害や関係者の自殺を乗り越え、キャフィとジェセップ大佐の法廷での戦いの日がやってくる。判決は。そしてこの事件がもたらしたものとは・・・

公演HPはこちらから

舞台写真提供:銀河劇場 感想:おけぴレポ隊のみなさま♪
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人

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