彼女はそれを“セクハラ”と呼んだ。
大学教授と女子大生。
二人だけの研究室で、本当は何が起こったのか?
『被害者か...、加害者か...。』緊迫のシーソーゲーム。
全世界を話題の渦に巻き込んだ密室のパワープレイ。
『オレアナ』について
「アメリカン・バッファロー」(’75 年 オビー賞受賞)、「ライフ・イン・ザ・シアター」(’79 年)、 「グレンギャリー・グレン・ロス」(’84年 ピューリッツァー賞受賞)、「エドモンド」(’85年)、 映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」等、現代の錯綜する人間関係を描かせては、右に出る者のな いアメリカ演劇界の鬼才、デイビッド・マメット。【ストーリー】
大学教授のジョンは、大学教職者なら誰しも憧れの終身在職の権利に手が届くところまで来ており、 安定した晩年の設計図、新居の契約のことで頭がいっぱいだ。
その彼の研究室に教授の授業についていけない、講義=教授の言葉や内容が理解できないという一 人の女子学生、キャロルが現れ、それでも試験にパスしなければならないと懇願する。
ジョンはキャロルと会話を続けながらも新居の契約のことで度々鳴る電話に出たり、半分上の空。しか し紳士的にキャロルの相談に乗るような態度を取っているうち、最初は自分が「分かっている」ことを学 生に「分からせる」立場である教授のほうにあったはずの、その会話の優位性は、言葉を尽くせば尽くすほど、いつしか女子学生のほうに移っていく。そしてついには、キャロルがジョンとの一連のやりとりを セクシャル・ハラスメントとして大学当局に訴え、さらにそれを、事実としては起きていないレイプ事件に まで問題を発展させる。
前途洋々だったはずの教授の未来は、たった一人の女子学生とのディスコミュニケーションによって、打ち壊されていく...。