大阪松竹座『壽初春大歌舞伎』上演中!

大阪松竹座の新年恒例、初春を寿ぐ初芝居『壽初春大歌舞伎』が上演中です。

出演は、人間国宝・坂田藤十郎さん、中村扇雀さん(藤十郎さんの次男、お母さまは扇千景さん♪)、さらに映画・テレビと大活躍の片岡愛之助さん&市川中車さん(香川照之さん)、そして藤十郎さんの孫にあたる中村壱太郎さん…といった顔ぶれ。

上方歌舞伎の柔らかい雰囲気と、色気、そして笑いもたっぷり♪ 
大阪では珍しい、江戸っ子の心意気を感じるあのお芝居も?

落語や演劇ファンにも馴染みが深く、歌舞伎をみるのが初めてという方にもわかりやすい演目が揃いました!


<昼の部>

一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
◆美女の色香に惑い堕落していく高僧――。歌舞伎十八番ならではの豪快な荒事の魅力を盛り込んだ作品
 朝廷に恨みを抱く鳴神上人は、都の奥深く、北山の滝壺へ世界中の龍神を封じ込めます。そのため雨が降らず、民衆は干ばつに苦しんでいました。そこで朝廷は、絶世の美女である雲の絶間姫を上人のもとに遣わし、その色香で上人を堕落させようとします。絶間姫の色香に惑い、泥酔している間に、姫が注連縄を切って龍神を解放したことを知ると、上人は怒り狂い、姫の後を追うのでした。
 前半はユーモラスなせりふ劇、後半は豪快で様式美に富んだ荒事がみどころです。(松竹公式サイトより)



左から:愛之助さんの“鳴神上人”、壱太郎さんの“雲の絶間姫”

4度目の鳴神上人役となる愛之助さん、初役の壱太郎(かずたろう)さん。おおらかな色っぽさと、歌舞伎ならではのダイナミックな荒事を楽しめる『鳴神』は、筋立てもわかりやすく、歌舞伎を観た! という満足度も高いはず♪ 歌舞伎鑑賞初心者ならまずは観ておきたい演目のひとつです。壱太郎さん演じる姫にメロメロになってしまう愛之助さんを観るのも楽しみ。




二、枕獅子(まくらじし)
◆「枕づくし」の詞章にのせての優雅な様子に始まり、そのあと優美な獅子の舞と、艶やかに舞い踊る見逃せない舞台
 華やかな廓のとある座敷。そこへ美しい傾城が姿を現し、しっとりと恋の風情を踊ってみせます。続いて扇獅子を持った傾城は、蝶に戯れて何処ともなく姿を消します。やがて、獅子の精が現れ、目出度く舞い納めます。
 「獅子物」と呼ばれる中で、最も古い長唄の曲であり、『春興鏡獅子』の原曲として知られる、女方の魅力が満載の踊りです。(松竹公式サイトより)



扇雀さんの“傾城弥生”

蝶々に誘われ、獅子の精へと姿を変えて踊る歌舞伎ファンタジー♪ これもまた「歌舞伎っぽい!」と嬉しくなる華やかさ♪
豪快な“毛振り”で知られる鏡獅子の元にもなった舞踊。今回の舞台は華やかな廓。踊るのは美しい傾城です。
美しい衣装や舞台セットもあわせて楽しみたい!





三、らくだ
◆落語をもとにした笑いあふれる物語。次第に主客逆転していく展開がみどころ
 河豚に当たって頓死したらくだの宇之助を弔うため、遊び人仲間の熊五郎は、大家に酒と肴の無心をしますが断られてしまいます。そこで熊五郎は、嫌がる紙屑屋の久六を使って、宇之助の遺骸に踊りを踊らせて大家を脅し、差し入れを了承させます。二人は早速酒盛りを始めますが、だんだんと久六が酒に酔っていき…。
 数ある上方落語の中でも大ネタのひとつと言われている噺を歌舞伎化した作品です。おかしみあふれる舞台をお楽しみください。
(松竹公式サイトより)


右から:愛之助さんの“熊五郎”、中車さんの“久六”

愛之助さんと中車さんが、上方落語で知られる演目で笑いを追求!? お正月、お酒を飲み過ぎて大騒ぎした! という方は身につまされるかもしれません(笑)。後半、立場逆転のおふたりの演技。ドラマ『半沢直樹』ファンの方は必見ですね!





<夜の部>
♪おけぴスタッフが観劇してきました!

一、桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ) 帯屋
◆謹直な男の一夜の過ちが人生の歯車を狂わせ悲劇へと…上方歌舞伎の秀作
 京都の町中にある呉服店「帯屋」の主人長右衛門は、商用で遠州に出掛けた際、ひょんなことから隣家の信濃屋の娘お半とわりない仲になってしまいました。それを知った義母おとせとその連れ子の儀兵衛は、五十両紛失の件も塗りつけて長右衛門を追い出そうと企みます。意地の悪い継母と義理の弟の嫌がらせに耐えながら店を守る長右衛門。女房お絹の気遣いと父繁斎の寛大な捌きに一度は助けられるのですが…。
 律儀で分別もあり男盛りの魅力と色気が災いし、悲劇へと導かれる様が巧みに描かれている上方狂言。(松竹公式サイトより)



左から:藤十郎さんの“長右衛門”、壱太郎さんの“お半”

14歳(!)の少女との出来事が男を破滅へ追いやります!
…といっても、肝心のその出来事はすでに起こった後のお話。現代の感覚からすると腑に落ちないところもあるストーリーかもしれません。しかし、あらすじを読んだだけではわからない意外な見どころが満載でした。

長右衛門を陥れようとする義弟を演じる愛之助さん。ずるくて、嫌なやつで、でもなんだか可愛らしい(笑)。継母を演じる竹三郎さんの“意地悪婆”ぶりも最高! このふたりがネチネチと長右衛門をいじめるくだり、なぜか場内には笑いが…♪

意地悪コンビに毅然と立ち向かう、長右衛門の妻・お絹(扇雀さん)。こまやかな演技が心にしみます。例の出来事の真相を聞かされたときの彼女の気持ちを思うと…ああ、これはつらい。でも夫を信じてるんですねえ…ああ…。

客席の拍手喝采を受けていたのは、“例の14歳”お半と、彼女に片思いしている丁稚の長吉の二役を演じた壱太郎さん!
洟をたらした丁稚姿で登場、絶妙な間とほんわかとした存在感で客席の笑いをさらいます。愛之助さんとの“お笑い合戦”のようなやりとりに、一瞬この作品が“心中もの”だということも忘れそうになるほど。
お半役では、まるで人形のような固い色香を漂わせ、舞台の空気を変えました。

そしてこの方! 21年ぶりに長右衛門を演じる藤十郎さん。
この長右衛門という役、なかなか現代の、特に女性には共感を得にくい設定ではないでしょうか。実直、勤勉、38歳の男盛り、と言いますが、例の出来事がありますし、それを妻に洗いざらい話しちゃうし、挙げ句の果てには「我が身に愛想が尽きた」と布団をかぶって寝てしまう…。
セリフや筋書きではないところで、観客に“納得させる”ことが必要な役なんですね。
お絹の手をそっと取る仕草や、幕切れに花道の向こうをクッと見つめる姿、そこに漂うなんともいえない色気と存在感が見どころです。







二、研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)
◆職人上がりの侍が知恵を振り絞って逃げる!異色の敵討ちの結末は…
 泰平の世の粟津城中。殿様や家老の刀を研いだのが縁で町人から侍に取り立てられた研屋の辰次がいます。上役に媚びたりお追従を並べたてる辰次に朋輩の侍たちは我慢を堪えていましたが、聡明な家老、平井市郎右衛門は余りに鼻持ちならないので、皆の前で辰次を激しく罵倒し去っていきます。悔しくてならない辰次は意地とばかりに市郎右衛門の帰城を狙い、だまし討ちに。そこへ、平井の長男九市郎と次男の才次郎が駆けつけてきますが、敵討ちを恐れる辰次は逃げ去り、九市郎と才次郎は敵討ちの旅に出るのでした。
それから3年が経ち、ついに兄弟は辰次を捕えますが…。
 江戸時代の武家社会で美徳とされた敵討ちを近代的な視点で捉え直した斬新な作品です。(松竹公式サイトより)



上から:中車さんの“平井九市郎”、愛之助さんの“守山辰次”、壱太郎さんの“平井才次郎”

野田秀樹さん演出版をご覧になった方も多いのでは。
卑怯で小心者だけど必死に生きる姿が憎めない男・辰次を愛之助さんが飄々と演じます。
町人上がりの辰次の生きざまと、武士の理は、どこまで行っても交わらない平行線。まるで三谷幸喜さんの作品を観ているような、オフビートな笑いがたっぷり。笑い&ハラハラ、のちドシンと心になにかが残ります。武士社会の建前への皮肉もチクリ! 
宙を行き交うカゴに乗る愛之助さんと中車さんの一瞬の立ち回り(?)、お見逃しなく!





三、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)
◆これぞ江戸前。胸のすくような楽しさと情。笑って泣かせます!
 ひとはいいのですが酒好きで怠け癖のある魚屋政五郎は、ある朝、芝浜海岸で大金入りの革財布を拾います。しめたとばかりに仲間を集めて大酒盛り。ところが、一晩寝て目覚めると女房のおたつは、夢でも見たのだろうと取り合わない。反省した政五郎は自戒の念から一念発起。酒を断ち生まれ変わったように働き始めます。そして3年の月日が経ち…。
 人情噺を元にした、笑いあり、涙ありの作品です。(松竹公式サイトより)



左から:扇雀さんの“政五郎女房おたつ”、中車さんの“魚屋政五郎”

昼の部の『らくだ』同様、落語でよく知られているお話ですが、こちらは「ザ・江戸前もの」。
お酒が大好きで、働くことはあまり好きではない(笑)魚屋政五郎役を、中車さんが歯切れ良い江戸弁で演じます(「ひ」が「し」になっちゃう政さん。江戸っ子だねえ)。
大金を拾った政五郎と、賢い女房・おたつ(扇雀さん)の夫婦愛にじわっと涙。ドリーミーな展開で、観劇後はきっと「さあ、今日からもお仕事がんばろう!」という気持ちになりますよ。仕事初めのお正月にぴったりの演目です。





大阪ならではの上方歌舞伎の魅力。
そして江戸歌舞伎のエッセンスも感じられる、豪華でお得な『壽初春大歌舞伎』。
大阪松竹座にて1月26日まで上演中です。

難しい約束事など気にせずに観られる演目ばかり。歌舞伎鑑賞初心者の方にもオススメです!
観れば観るほど、楽しみが深まるのが歌舞伎の魅力。ぜひ劇場で“日本のミュージカル”歌舞伎を楽しんでいらしてください!



【公演情報】
大阪松竹座『壽初春大歌舞伎』
平成28年1月2日(土)~26日(火)
大阪松竹座
公演詳細

おけぴ取材班:mamiko(文) 写真提供:松竹

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