「文豪・谷崎潤一郎の“超絶血みどろ劇”を浴衣芝居で“傾きます”!」(by加納幸和さん) 男性だけのネオかぶきスタイルで、小劇場芝居から古典まで柔軟にみせてくれる
「花組芝居」。
谷崎潤一郎生誕130周年を記念して再演される凄絶な愛憎劇
「恐怖時代」が下北沢スズナリで上演中です。
江戸の大名屋敷を舞台に、残酷な殿様と愛妾・お銀が巻き起こす血みどろの愛憎劇は、登場人物(ほぼ)全員が「どうかしてるよ!」と言いたくなるほど、善悪の判断が麻痺しているザ・谷崎ワールド!
今回の花組ヌーベル版では初演に引き続き、美しき悪女・お銀を座長の加納幸和さんが演じるほか、狂気の殿様を北沢洋さん、恐ろしくも悲しい女中・梅野を小林大介さん、若く美しい小姓(そしてお銀の方と…)伊織之介を押田健史さんが演じます(そのほか旗揚げメンバーを中心に11名の精鋭キャストがご出演)。
早速観てきた方達の感想を、
お稽古場写真(本番の様子はぜひ劇場にて!)と共にご紹介いたします!
●立ち役も女形も見た目は変わらず衣装は浴衣でノーメイク、道具は見立て、提灯花火と、夏の芝居見物にはもってこい。
演じる方は助けがなく実は力が問われるはず。あい通じるベテラン揃いだからこそのお遊び満載これぞ花組芝居!
崩しても要所はピシッと戻してくるのは流石で、快感。舞のような殺陣は溜め息もの。
下北沢スズナリにぴったりの芝居でした!
●初演を拝見していませんが、極力装飾性を排した演出は役者の台詞術や身のこなしがよく表れて、すごく高水準。
グロテスクでありながら笑いも溢れています。
昨年の歌舞伎座版とはかなり印象も違い、見比べるのも面白いです。小箱にふさわしい。
●衣装は浴衣、メイクをしていない男性だけでも、しっかり女形に見えます。
タイトルは『恐怖時代』ですが、笑いもたくさん、怖くないですよ。
●一目でわかる化粧をしていないのに、しぐさでちゃんと女性に見える役者魂が素晴らしかったです。
古典らしい口調の中にも、現代の流行をバッチリ取り入れて、
感心するやら爆笑するやら。観て良かった~と思える作品です。
●残虐で暗いストーリーが、花組芝居らしいコミカルな演出で繰り広げられていた。
初演時の暗さはなく後味が良かった。
●役者連の確かな演技力に裏打ちされた花組芝居は、
おっさんたち(スミマセン)がスッピンで美女や美少年を演じていても何ら不自然さを感じさせない不思議な魅力があります。
●昨年入座の押田健史さん演じる、美しくも残忍な伊織之介が良かった。
扇を使っての御前試合は、所作が美しく見もの。今後の活躍に期待したい。
●初めての花組ヌーベル、シンプルで妖しい装置、密度の濃い空間、
美しい古語と今だけの言葉が入り混じり、他では味わえない世界観、
すっかり魅了されました。加納さんから女を盗みたい、なんて思いも生まれました。
●性別の意味と価値なんてものまで考えてしまいました。ドロドロした人間関係、
血みどろのはずなのに、きれいにしか見えない加納ワールドなのでしょうか、ステキでした。
●前説、終演後の挨拶など、プラスアルファーも楽しみのひとつです。
紋付袴で演じる“素ネオかぶき”よりさらにシンプルに、夏にピッタリ♪の浴衣姿での上演となる花組ヌーベル「恐怖時代」。
迫力の殺陣、どろどろ愛憎劇、そして花組芝居ならではの力の抜けた笑い…絶妙なバランスをお楽しみください!
ちなみに、2007年、おけぴネットを立ち上げてまだ間もないころ、
劇団の方へのインタビュー第一弾を快く引き受けてくださったのが花組芝居の加納幸和さんでした。
(その時はちょうど花組20周年記念公演でしたが、来年はなんと30周年!!)
演出のことや、花組芝居の名前の由来など気さくにたくさん話してくださった、その時の記事がこちら。
写真提供:花組芝居
感想コメント:おけぴ会員の皆様