『真田十勇士』主演・猿飛佐助役の【中村勘九郎さん】
「映画と舞台、とんでもないことになりました!」(勘九郎さん) 嘘もつき通せば、誠になる…! 名将・真田幸村は本当に最強の男だったのか!? この秋、映画と舞台が同時期に公開&開幕する
『真田十勇士』。
9月22日(木/祝)より全国超拡大ロードショー! 映画『真田十勇士』公式サイト
東京・横浜・兵庫で上演! スペクタクル時代劇『真田十勇士』公式サイト 2014年の舞台版初演から引き続き、主演・猿飛佐助役を演じる
【中村勘九郎さん】が、豊臣のお膝元・大阪で“出陣会見”を行いました。
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─舞台版の再演、そして映画版公開、プロジェクトが決まった時の心境は?
2年前の初演は、(体力的に)とてもハードな作品でした。だからこそ出演者が一致団結した手応えがあって、堤さん(演出/監督の堤幸彦さん)に冗談半分で“映像にしたらいいんじゃないか”と言ったら…今回、映画と舞台が連動したプロジェクトになりまして。
とんでもないことになりました(笑)! 映画化が決まったときは嬉しかったですね。でも、舞台の再演は…初演があまりにもハードだったんで、“また、あれをやるのか…”と、少し気が重くなりました(笑)。しかし映画の撮影が終わった今は「早く舞台の稽古に入りたい!」と願っています。映画で得たものが、再演舞台の演技につながっていくと思いますので…この秋は凄いことになりそうです!
──本作で演じるキャラクター「猿飛佐助」の魅力を教えてください 佐助は少年マンガの主人公のようなキャラクター。明るくて、一本気で、ちょっとふざけていて、あとちょいエロで(笑)。でも戦いになると眼の色が変わる。演じていても気持ちが良かったですね。とにかく、止まったら死んでしまうサメのように、舞台上をところ狭しと動きまわり、駆けまわり、3時間半しゃべり続け…1回の公演で体重が3-4キロ減るくらい大変な役でした(笑)。でもこれは十勇士メンバー全員同じこと。とにかくアクションがハードで、ワイヤーを使った仕掛けもありましたし、うまく演じようとか、そんなことではなく、とにかく怪我だけはしないようにと、みんなで声をかけあって、まるで戦場に赴くような気持ちで舞台に向かっていました。初演メンバーは戦友のようなものですね。
マキノノゾミさんが書いたこの作品のテーマは“嘘もつき通せば誠になる。なにが本当のことなのかはわからない”。本当の猿飛佐助
(※)がどんな人物なのかはわかりませんが、とにかく、この本を読んで、今まで歴史の本を読んで勉強してきたことが無駄だったなあ(笑)、と思いました。
※猿飛佐助は小説等に登場する架空の忍者ですが、実在のモデルがいたという説もあります。──映画版の見どころは? 映画では、舞台版の一幕にあたる部分がアニメーションで表現されていて、そのぶん後半の大坂冬の陣・夏の陣がより深く描かれています。舞台版に比べてシリアスな描写が多く、佐助もそんなにおちゃらけていない(笑)。滅びの美学といいますか、十勇士はそれぞれ自分の夢に向かっていますが、史実はあの結果ですので、とても切ないですね。
それからもうひとつのテーマとして、幸村と大助、淀君と秀頼の関係が色濃くクローズアップされて、それぞれの親子愛に焦点があてられています。実はこの間、出演者たちとの飲みの席で盛り上がったのですが、佐助や才蔵、十勇士たちはみんな親の愛にすごく飢えていて、だからこそ、親子の情愛にあこがれを持っているんじゃないかと。幸村とは主従関係であり、守るべき存在ですが、どこかでお父さんのように思っているのでは。そんなところも映画版ならではの見どころになると思います。
三谷さんの大河ドラマ『真田丸』、もちろん見ています!
映画版で出城を背景に“真田丸”って字がバーンと出るシーンがあるんですけど…この字体どっかで見たようなって(笑)。堤幸彦監督、悪い人ですよね…(笑)
──一方、非常にハードだという舞台版ならではの魅力は? 十勇士たちの出会いの場面を実際に演じますので、ひとりひとりのキャラクターに感情移入していただけると思いますね。映画撮影を経ての再演なので、役へのアプローチもちょっと変わってきそうです。そのあたりは初演をご覧になった方にも楽しんでいただけると思います。台本もちょいちょい変わっていますし。
佐助はオープニングから、筧十蔵が登場するアクションシーンまで一切座れないんです。あ、もちろん休憩時間以外、椅子に座れることはないのですが、芝居をしながら床に座ることもなくてずっと立ちっぱなし、走りっぱなし。これはちょっときつかったですね(笑)。再演台本が出来上がって読んでみましたが、そこは変更なしでした(笑)。
あとみんな汗がとにかくすごい! 舞台上に水たまりができるくらい汗をかくんです。…汗って滑るんですよ。だから僕は立ち回りをして、受け身で転がったりするときに、さりげなく舞台の上を拭いています。だって汗がたまっているところを駆け抜けたりするから危ないんですよ(笑)!
プロジェクションマッピングが投影された岩の上を走るときも足元にかなり気を使いますね。今回この岩のセットが増えるらしくて…やる方は困るんですけど(笑)。演出の堤さんは「廻り舞台も使う! しかもそれを動かす!」とおっしゃっているようで…ちょっと意味がわからない(笑)…もう、とにかく乗り切るしかないです!
再演では柳生但馬守(野添義弘さん)との一騎打ちのあとに、山口馬木也さん演じる久々津壮介との戦いもあるんです…そこまで体力が持つかどうか(笑)。
でも野添さん、馬木也さんと立ち回りができるのは今から楽しみですね。
◆ マキノノゾミ脚本×堤幸彦演出の最強タッグが描き出すのは、嘘から生まれたヒーローたちが、本物の勇者へと成長する物語。
映画、舞台の同時期公開&開幕、それもどちらも同じ演出/監督でという史上初の試みが、いよいよこの秋、ベールをぬぎます。
同じ物語を描きながら、クローズアップされるテーマ、テイストが異なる二作品。一部キャストも、映画・舞台で異なるので、これはぜひ両作見比べて堪能したいところ!
『真田十勇士』映画版は9月22日(木・祝)より全国超拡大ロードショー、そして舞台版は9月11日〜10月23日まで東京・横浜・兵庫で上演。
はたして、十勇士は真田幸村を“歴史に残る名将”に仕立てあげることができるのか? その結末をぜひ、映画館&劇場で見届けましょう!
おけぴ取材班:mamiko(文・撮影) 監修:おけぴ管理人