30-DELUX Dynamic Arrangement Theater『新版 国性爺合戦』観劇レポ

明朝復興という旗印に翻弄される壮大な人間ドラマ、
主人公・和藤内がたどり着くのは…


 昨年のロンドン単独公演で現地マスコミからの高い評価も得たことで、改めて「和モノ」「殺陣」へ誠実に向き合うことを決意したと語る30-DELUX主宰・清水順二さん。今回は、清水さんが主人公の和藤内にはこの人しかいないと惚れ込んだ佐藤アツヒロさんを主演に迎え、近松門左衛門の傑作『国性爺合戦』に挑みます!

 近年は演劇として上演されることも稀なこの壮大な物語を、人形浄瑠璃や歌舞伎に馴染みのない人にもわかりやすくアレンジしたアクションスペクタクル作品30-DELUX Dynamic Arrangement Theater第二弾として上演、それが『新版 国性爺合戦』。早速ご覧になった方の感想と舞台写真を交えた開幕レポートをお届けします。

『新版 国性爺合戦』おけぴ囲み取材レポートも併せてお楽しみください。



甘輝(カンキ):馬場良馬さん、渚:緒月遠麻さん、錦祥女(キンショウジョ):大湖せしるさん



虎:森大さん、安大人:谷口敏也さん


【お楽しみは開演前から】


「前説で国性爺合戦のあらすじやポイント、観劇マナーなど色々面白楽しく説明があるのもとてもよかったです!!」

「開演5分前に前説があります。作品の説明をしてくださりとても助かりました。
絶対に聞いておく事をオススメします」

「日本と中国をまたにかける大活劇ということで、ちょっとわかりにくいかな? と思っていたところ、開演前に解説タイムがあって内容がわかりやすかったのが良かった」

 かつて明(ミン、大明(ダイミン)、明朝(ミンチョウ)などと呼ばれる)を追われた将軍・鄭芝龍(テイシリュウ)は和(日本)の国へ渡り老一官(ロウイッカン)と名乗り、渚を妻にめとった。そして生まれたのが、和藤内(ワトウナイ)、のちの大将軍・鄭成功(テイセイコウ)。
 その頃、明国は危機に瀕していた。韃靼国(ダッタンコク、今のモンゴル)に攻め入られたのだ。
 その報せは和藤内のもとへも届き、和藤内は両親とともに明国へ渡る…。

そんな時代背景です。


【迫力のアクション、心揺さぶられるドラマ】



「佐藤アツヒロさん、熱く、虚しく、悲しく、強く、どのお姿もかっこいい!伝説の光GENJI、TV以外ではじめて拝見しましたが、ぱっと目立ち流石ですね。
 男性陣の生き様も見ものでしたが、女性陣の強さ、想いの強さがすごい!沢山泣いてしまいました…でも、笑う所は笑う!国性爺合戦をどう収めるのかなと思っていましたが、ギュギュッと濃い2時間となりました」

「近松門左衛門の国性爺合戦を下敷にした作品。開演前にキャスト表と時代背景、人物関係がキャストさんから説明されるので(これも楽しい)、予備知識なしでも大丈夫です。
 主演の佐藤アツヒロくんはじめイケメン揃いの男性陣に、今年宝塚退団した大湖せしるさんなど客演陣も充実。殺陣の場面はさすがの動き!物語もただの合戦ものにとどまらず、人の生きざまというものを考えさせてくれます。かと思うとお笑いネタもたっぷりです」



李蹈天(リトウテン):清水順二さんと韃靼王(ダッタンオウ):林明寛さんの緊張感溢れるシーンのはずが…笑いに貪欲なのも30-DELUXならでは!


虎を餌付けする渚:緒月遠麻さんがオチャメ!!


「長編の原作をほぼ忠実かつコンパクトにまとめながらも和藤内と○○の葛藤などのオリジナリティーを織り込んだストーリー構成の下、疾走感に溢れ30-DELUXならではの躍動感ある殺陣や音楽、衣装が魅力的な舞台作品になっています」

「興味があったけれど行かれなかった30-DELUXさんに初めて行けました。歌舞伎の国性爺合戦を外し過ぎることなく、歌舞伎と人形浄瑠璃の要素も取り入れながら圧巻の殺陣!殺陣!
 佐藤アツヒロさんの和藤内が悩みもがき、苦しみながら前に進む姿、華麗な殺陣姿素敵でした。大掛かりなセットにも関わらず素早い転換で見ている方の気力を持続させたままで素晴らしい!あっと言う間の2時間でした!!」



上段)明朝第17代皇帝思宋烈(シソウレツ)、后・華清(カセイ)、明の将軍・呉三桂(ゴサンケイ)、妻・柳歌君(リュウカクン)
下段)韃靼国からの使者・梅勒王(バイロクオウ)、明の将軍・李蹈天(リトウテン)


「スピード感と緊張感溢れる殺陣やお芝居と、ちょいちょい挟み込んでくるしょーもない笑いとの緩急自在な作りが最高です。大作を大胆に濃縮・アレンジして独自の良さを織り込んでいくところも素晴らしいですね。
 客演の緒月さん、大湖さんは持ち味に合った素晴らしい配役で魅せてくれましまた。アツヒロくんの役者っぷりも堪能出来ます!」


「殺陣あり歌ありダンスありの盛りだくさんでエンターテイメントな舞台でした。佐藤アツヒロさんのカッコよさ!森大さん、虎って?と思いましたが俊敏な動き迫力凄かったです」

「森さんの虎、しなやかで力強い動きに魅了されました。その存在感もスゴイ!」


【強く凛々しい女たちのドラマ】



「30-DELUXは殺陣集団だ!とは聞いてはいましたが本当に大迫力で魅力されました。
 そして大湖せしるさんと馬場良馬さんの高貴で麗しい2人の夫婦愛、緒月遠麻さんは初(天球儀でも一応母親設定ではありましたが)の母親役ながら母の優しさ温かさそして強さが存分に堪能できる素敵なお芝居でした」

「時代物は男性主体になりがちですが、この舞台は女性の立ち位置生き方もしっかり描かれていて二時間飽きることなくあっと言う間に過ぎました。劇中歌も心にしみました」


皇帝の妹・栴檀皇女(センダンコウニョ):川口莉奈さんと小むつ:名塚佳織さんの友情も見どころ!
小むつ役は加藤雅美さんとのダブルキャストです


【中国武術をベースにした殺陣】






「中国風の殺陣がかっこいい!様々な夫婦愛が泣ける…そしてあの人の意外な役まわり…(驚)」

「流れるような殺陣は観ていて圧巻です。その中でキャラクターの心理描写と音楽照明が相まってとても面白かったです」




「衣装担当者に感服しました」

「やはり殺陣が素晴らしかったです。大人数の立ち回りも、セットの高低を上手く利用して見易く大迫力でした。ストーリーは、愛する者を奪われた悲しみ憎しみだけでなく、戦の虚しさや戦う者の葛藤なども描かれていて、戦とは…戦争とは…現代の世界情勢に通じるところもあり、色々と考えさせられました」


【古典を大胆にアレンジ】


「歌舞伎の国性爺合戦を観たくなりました。文楽もそうですがあまりかからない演目なので、原型を再確認したい思いにかられました」


和藤内ファミリーの平戸での生活

「全段上演すると丸一日掛かる近松門左衛門の原作を、2時間にまとめるだけでも大変な作業だと思いますが、そこに、Innocent Sphere西森さん独自の解釈を加え、中華活劇としても、非常に見栄えのするエンタメ作品でした。
 特に、殺陣指導かつ出演の清水順二さんに注目。若さや勢いだけでスピード感を演出するのではなく、回転技や緩急、キレの良さには、経験を重ねた美しさを感じました」

「300年も前に書かれたとは思えないほどの壮大なストーリー。近松門左衛門って、やっぱスゴイ!オリジナルの展開にも感動しました。
 親子愛、夫婦愛、祖国を思う気持ちに泣けました。笑いどころも満載なので楽しめると思います。ど派手且つ華麗な殺陣は必見です」

 公演は2016年9月14日(水)~18日(日)までシアター1010にて、その後、9月24日(土)、25日(日)に愛知・東海市芸術劇場、9月30日(金)に福岡・福岡市民会館、10月14日(金)~16日(日)に大阪・シアター・ドラマシティにて上演です。

【公演情報】
『新版 国性爺合戦』
2016年9月14日(水)~18日(日)シアター1010 (おけぴ劇場map)
2016年9月24日(土)、25日(日)東海市芸術劇場 (おけぴ劇場map)
2016年9月30日(金)福岡市民会館 (おけぴ劇場map)
2016年10月14日(金)~16日(日)シアター・ドラマシティ (おけぴ劇場map)

<スタッフ>
作:西森英行
演出:伊勢直弘
音楽:和田俊輔

<キャスト>
佐藤アツヒロ/馬場良馬/緒月遠麻/大湖せしる/名塚佳織(Wキャスト)/加藤雅美(Wキャスト)
森大/田中精/林明寛/山口大地/武藤晃子/谷口敏也/川口莉奈
湯田昌次/大山将司/金田瀬奈/中村悠希
村瀬文宣/大成翔輝/大塚晋也/安藤佳祐
清水順二/陰山泰

<あらすじ>
その名は、和藤内(ワトウナイ)。

「俺はいつかデカいことをする」という野望を抱きながらも、
恋女房の小むつと共に、平和な日々を過ごしていた。
和藤内は、幼い頃から、自分にしか聞こえない声を聞いていた。

「お前は、世に比類なき天下人になるのだ…」

ある日、老一官は、唐土より流れ着いた明の皇女・栴壇皇女(センダンコウニョ)から、
祖国・明の危機を告げられる。
裏切りの将軍・李蹈天(リトウテン)により、明は韃靼国の侵攻を受け、
滅亡の危機に瀕しているという。
和藤内は、明朝復興の為に、父母と共に海を渡る。
そして、かつての明の将軍・甘輝(カンキ)に助けを乞うべく、
甘輝の妻・錦祥女(キンショウジョ)に会うため、獅子ヶ城へ向かう。

その全てを、一匹の虎が見つめていた…。
果たして和藤内は、父が渇望する明朝復興を成し遂げられるのか?

海越えた地に、祖国の旗を再び掲げるための戦いが、今、幕を上げる。

公演公式ページはこちらから

感想コメント:おけぴ会員のみなさま
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影)監修:おけぴ管理人

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