木村了さん主演・新国立劇場『フリック』稽古場レポート




 完璧じゃない、どちらかと言えば“人生・負け犬”な登場人物たち。

 なさけなくて、かっこわるい。けれども、どうしようもなく愛おしい3人の若者。そのユーモラスなやりとりを見て思わずクスクスと笑っているうちに、ふいに“心の奥の柔らかな何か”にそっと触れられるような不思議な感覚…。

 ゆるーいようでいて、油断のならない“フリック”ワールド!




 この秋、新国立劇場にて上演されるピュリッツァー賞受賞戯曲『フリック』。稽古場レポートをお届けいたします。





 こちらのインタビューでもお知らせしたとおり、主演の木村了さんが演じるのは【20歳のアフリカ系アメリカ人青年、映画オタクのエイヴリー】。



さまざまな意味で“マイノリティー”なエイヴリー。
といっても、経済的に貧しいわけではなくしっかりとした教育も受けています。
それゆえの“歪み”が哀しくも愛らしい人物像。
1981年生まれの作者が描く“リアルなアメリカ”を感じます。


 取材に入ったこの日に行われていたのは、映画館で働くエイヴリーが先輩従業員のサム(菅原永二さん)、映写係のローズ(ソニンさん)と他愛もないやりとりをする場と、エイヴリーが電話の向こうのカウンセラーに“夢”を語る印象的な場面。

 何気ない会話のようで、セリフの言い方や体の動かし方のちょっとした差で観客に伝わるものが変わってきます。



サム役を演じる【菅原永二さん】(写真左)、百面相のようなリアクションがおもしろすぎる!
奔放な魅力のローズを演じる【ソニンさん】(写真右)は、休憩中もセリフの口調を何度も確認していました。
(気だるくてキュートなローズのしゃべり方、フリックワールド成立の大いなる要素かと!ぜひ劇場でご確認を♪)







 こちらでもお伝えしたとおり、作中に登場する膨大な“映画小ネタ”も『フリック』の魅力のひとつ。




“某・3D大作映画”についてエイヴリーとサムが熱い議論を戦わせる場面。
見ているこちらはニヤニヤ笑いをおさえるのに必死でした!
世界歴代興行収入第1位!のあの作品。さあ、あなたの意見はどっち派?(おけぴスタッフは…エイヴリー派!)


サムが某・3D映画の魅力を熱く語るセリフに
演出のマキノノゾミさんから「もっと3Dっぽく!」とのリクエストが。
劇場ではいったいどれくらい飛び出してくるのか(笑)、リアル“3D”演技が楽しみです!



電話の向こうのカウンセラーに、自分が見た夢について話すエイヴリー。
この夢の内容が…哀しい!けれども笑わずにはいられないっ!
ネタバレになってしまうかもしれませんが、観劇前にこの映画を見ておくと笑い倍増…かもしれません。


 公演公式twitterInstagramでも触れられていますので、ご紹介してしまいましょう! たくさんある映画ネタのひとつ、そしてこの脱力っぷりがフリックワールドの秘密かもしれないこの作品…

「何なんだこれ? ボクの人生は『ハネムーン・イン・ベガス』程度ってこと?」(エイヴリー)

 若き日のニコラス・ケイジ&サラ・ジェシカ・パーカー主演のコメディ映画『ハネムーン・イン・ベガス』(93年日本公開)。一時期、午○のロードショー等の地上波番組やケーブルテレビでさかんに放映されていたので、全編を見たことはなくてもなんとなく記憶にあるという方も多いはず。

 このB級コメディ映画(B級呼ばわりお許しを…でもおけぴスタッフこの映画が大好きです♪)が、エイヴリーの夢のなかでどんな存在になるのか。これはぜひ劇場で確かめていただきたいのですが、その哀しさと滑稽さがなんとも“フリック”! 

 泣きながら笑う、笑いながら泣く、そして前を向いて生きていく…そんなことが思い浮かぶ一場面になっています。






もうお気づきかもしれませんが…
映画館を舞台にしたこの作品。舞台の上には客席に向かって“映画館の客席”が。
観客はスクリーン側から映画館のなかを覗きこむような作りになっています。
ちなみにこの椅子、今年閉館した某劇場で実際に使われていたものなのですが…
これ、わかる方は遠征も含めてかなりのシアターゴアーとお見受けいたします!
(写真左は演出中のマキノノゾミさん)


 マキノノゾミさんによる演出は、セリフのニュアンスや動きのタイミングを細かく確認しながら進んでいきます。それにより笑いの場面はさらに楽しくなり、思わず見逃してしまいそうになるさりげない描写も鮮やかに立ち上がっていくのです。

 なにげないようで計算され尽くした動き、口調。

 そこに“わかりやすくおもしろい、そして深い”マキノ演出の秘密を見たような気がする取材となりました。



ローズをめぐる“ビミョー”で奇妙な三角関係も見どころのひとつ。
モチーフになったのはジャンヌ・モロー主演の『突然炎のごとく』と思われますが…
映画とはまたちがう3人の不思議な関係、ぜひ劇場でお確かめくださいね!



ほぼ3人芝居ですすむ『フリック』ですが、
4人目の男・村岡哲至さん(新国立劇場演劇研修所卒業生)の存在も味わい深いアクセントに。


 作者はこの作品でピュリッツァー賞を受賞した、1981年生まれのアメリカの劇作家アニー・ベイカー。

 よくある“ダメな若者の青春ストーリー”かと思いきや…セリフや人物描写に隠されたリアルで繊細なメッセージに、現代人の心をえぐるようなカウンターパンチをくらわされるかもしれません。

 派手な展開はないけれど、確かに新しい劇世界『フリック』。10月13日より新国立劇場・小劇場にて上演です。




エイヴリー役の木村了さんインタビューもぜひご覧ください!

♪やわらかツイート&写真で『フリック』の魅力が伝わる公式twitterInstagramも開設されました!

♪翻訳の平川大作さんによる「フリックコラム」ほか読み応えありのコンテンツ多数!公演公式サイトはこちら



エイヴリー…いろいろ、がんばって…!
【公演情報】
新国立劇場 2016/2017シーズン
「フリック」 
The Flick
2016年10月13日(木)-30日(日) 新国立劇場 小劇場 (おけぴ劇場map)

作:アニー・ベイカー
翻訳:平川大作
演出:マキノノゾミ

出演:
木村 了 ソニン 村岡哲至 菅原永二

公演詳細はこちら
新国立劇場演劇公式サイト


おけぴ取材班:mamiko(文/撮影)   監修:おけぴ管理人

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