成河さんのメルマガ『male de songha 』会員募集中!2019/1/19追記
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◆ “帝劇ロビーで豚まんを”、“博多座ロビーできんつばを”に続き開催された、成河さんメルマガ会員限定イベント
『成河プチ一人会~梅芸ロビーでドーナツを~』。成河さんがルキーニ役でご出演され、全国公演中のミュージカル『エリザベート』第3の公演地・大阪でも熱く楽しい演劇談議と、みんなで一緒に名物を頬張る一体感にテンションアップのひとときでした。
【愛のキャッチボール】
ドーナツを配るのはもちろん成河さん。お一人ずつお手渡し…といってもこの日はなんと総勢150名のお客様!!どうなることかと思ったら、これが驚くべき進化を遂げるのです。
キッチュスタイルだけど、ドーナツは本物だよ!
なんと
即席ワークショップのスタートです!
成河:こういうワークショップってあるんですよ。役者もセリフの言いっぱなしはダメですよね。相手にきちんと届けたり受け取ったりしないと!では、やってみましょう!例えば、愛してる!というセリフを言えないときに、言葉とともにモノを投げかけるんです。
お客様:やだっ!どうしよう。
成河:いきますよ~!愛してる!(ドーナツを投げ)
お客様:(見ごとキャッチ)キャ♡
成河:素晴らしい、すぐにでも役者になれますよ!はい、つぎは。愛してる!愛してる!愛してる!
フライングドーナツ!
キャ、愛のキャッチボールです!当初は、「愛してる!」なんて言われたらキャッチできるものもできませんわよ、成河さん!と思いましたが、まぁ、みなさん見事にキャッチされること!さすがです。というわけで、無事に愛とドーナツがみなさまのもとへ届けられました。
この日にお配りしたのは阪急グループが誇る宝塚ホテルのハードドーナツ!梅田芸術劇場のお隣、阪急インターナショナルにてお買い求めいただけます。ここで…成河さんから衝撃の質問が!!
成河:で、宝塚ホテルっていうのはどこにあるんですかね。
お客様:宝…塚…。
成河:でしょうね(笑)
はい!それでは気を取り直して、いつもアレ、いってみましょう!!
(音声おすそ分け!)成河:宝塚!
お客様:ハードドーナツ!
成河:さぁ、食べよう~!
美味しいですね!
さぁ、ここからは熱い演劇談議です!!
【美味しいドレッシングのような小池演出】
この日のキーワードは
“水と油のさじ加減”。エリザベートの魅力として挙げられるのは、オリジナル(ウィーン版)が持つ退廃的な歴史劇という側面と日本版で取り入れられたラブロマンスとしての側面、その二面性のバランスです。
日本人が楽しめるエンターテインメントに昇華させた小池修一郎さんによる演出は、その塩梅が絶妙な、分離してしまう水と油を見事に乳化させた
“美味しいドレッシングのよう”という成河さんの例えがストンと腑に落ちました。また、その必要があるのは「死」の概念、とりわけシシィが死を求めたこと、つまり「自死」に対するヨーロッパ(カトリック)と日本の受け取り方の違いなどにも起因するというのもあらためて考えさせられます。
ここで、そのあたりにも言及した成河さんの思うルキーニ像についてのお客様とのやり取りをご紹介いたします。
お客様:ルキーニの存在って何なのでしょう。
成河:どう感じましたか?
お客様:トートと表裏の存在?ナレーターというだけではないし…。
成河:ナレーター、もちろんそれも正解だと思います。ここからは僕が、今、思うことをお話しますね。これだけが正解ではないですからね。
僕は
「誰も知らない真実エリザベート」という歌詞が大好きです。台本を読んだときも、初めて『エリザベート』の舞台を見たときも、そこにこの物語を書いたミヒャエル・クンツェさんの衝動を感じました。断片的な史実から、誰も知らないエリザベートの真実を検証していく旅…。そこでルキーニに託されたのは、
典型的な20世紀の人物像、無学無教養、文化というものを知らないプロレタリアート。自分がどういう罪を犯し、誰を殺し、それが何なのか、そんなことには何にも興味がない。そんな労働者階級の男に歴史がぶち壊されていく話なんです。
そのような最初にあった作家の意図はインタビュー本※にも書いてあります。そして、稽古での小池さんの言葉にもそれを感じました。僕のポリシーとして、作家や演出家に意図があるとき、それをねじ曲げようとは思わないんです。どうすれば、その意図通りに見えるかだけを考えています。
※オール・インタビューズ 「ミュージカル『エリザベート』はこうして生まれた」
M・クンツェ (著), S・リーヴァイ (著), 小池修一郎お客様:「愛と死の輪舞」がある日本版でも、それが当てはまるのでしょうか。
成河:その疑問はごもっともです。それもまた、水と油のさじ加減なんですよね。おそらく日本版がラブロマンス一辺倒だったら、これだけ長く、広く愛され続ける作品にはならなかったんじゃないかな。そこに何かザラッとした引っかかりがある。その二面性は小池さんが意図的に作っているものです。
そういう意味では、この作品はきっちり完成した作品ではなく、すごく揺れ動いているといえます。事実、
僕は歴史劇とラブロマンスの揺らぎを、演者として楽しんでいます。その中で、ルキーニの柱として【エンターテイナー】、【ストーリーテラー】、【実在の暗殺者】、常にその3つを意識しています。今はこれ!とひとつを選択するのではなくね。だから、演じるうえで心がけているのは、ショーアップして作品を盛り上げる役になってはいけないのかなということ。
小池先生とも話し合いながら、そういった全体の中でのバランスを各劇場で検証しながらブラッシュアップしています。
【メイクの秘密】
これは気になっている方が多いかもしれませんね。成河さんのルキーニメイクについて…。
お客様:どうして右目の周りだけ黒くしているのですか?
成河:気になる?どうでしたか?
お客様:片方だけ忘れちゃったのかなって。
成河:ここまでお話したルキーニの人物像からもお分かりかと思いますが、つるっとしたきれいな肌というのが小池さんはすごく嫌だったようです。なんと小池さんは「なんだかんだ言って、結局、ルキーニは浮浪者だからね」とまで…(笑)。
それもわかりますけど、そこまで言わなくてもね(笑)。なんていうか、スタイリッシュというか、つるっとした…イケメン?!(←ヒューヒュー!)じゃないぞと。それは僕も思いました。
汚しも考えましたが、
どこかいびつな左右非対称なのはどうかと。帽子もあったので、
ルキーニの本心というものが極力お客さんには悟られないようにして、何なんだろうこいつ、何を考えているんだろうという謎を投げかけるメイクにしました。
◆ 続いては、ここだけのとっておきのお話…。
【とっておきのお話】
続いては、こちらもお客様とのやり取りの中で飛び出したここだけのスペシャルなお話をご紹介。成河さん、「恥ずかしい!」連発で一生懸命お話してくださいましたね。
恥ずかしいよー
お客様:久しぶりに見ましたが、オープニングのルキーニの動きが帝劇から変わったように思うのですが。なんだか動けるようになる…感じが…。
成河:よし、今日はネタバレしちゃおうかな。これはもう卒業したことなので、それなら話せるぜっ!はい、オープニングですね、大きく変えています。
お客様:おお!
成河:まず、稽古段階からお話しします。基本的な振付というのは決まっているのですが、
ルキーニについては振付というより、こういう感じに居てほしいという“意味”をいただいたと言った方がいいかもしれません。うわぁ、こういう話ってすごく恥ずかしい!!
ご質問のオープニングのルキーニが舞台前面に出てくる、「誰も知らない真実 エリザベート」の場面。後ろのゾンビたちがする振りをルキーニが先にやって、いずれ合流するという演出でしたが、振付家と僕のどちらからともなく、ルキーニが突然踊り出すというのもショーっぽくて変だよね、という意見が出ました。振付家はコンテンポラリーダンスの小㞍健太さん、ただ形を決めていくのではなく、内面的な部分から一緒に振りを作っていけたのは僕にとって難しいことでしたが、非常にありがたいことでした。
そこでルキーニがどう動くのかを考えたとき、ルキーニは人を殺して、その後100年間成仏できずに煉獄で罪を問われ続けている男。
そんな“人を殺した記憶”から直感的に思い浮かんだのは“マクベス夫人症候群”。ダンカン王を殺した手をいくら洗っても、その血が消えない…というあのマクベス夫人です。そして手をさんざんこすり合わせて、最後に手のひらを見せるという振りを帝劇でやっていたんです。
成河:(変わったというのは)きっとそこですよね。
お客様:はい、そうです
成河:だよねー。
帝劇ではずっとやっていました。かなりやっていました。ぶっちゃけ、気に入っていました(笑)。 でも、帝劇より全体的にコンパクトな博多座でそれをやると、意味が届きすぎてしまう。簡単にいうと、意味的にはいいけれど、そこしか見えなくなってしまうという指摘が小池さんからありました。そこから話し合い、振りが変わったんです。
その時に小池さんに言われたことは
「ちょっとブレヒト的すぎるね」ということ。面白いでしょ。いきなり異化しすぎるというか、僕一人だけ急に世界を変えてしまっている。最初は、もう少し中にいて(同化)、少しずつ変えていったらどうか。博多座という小屋では、最初から飛び出しすぎてしまうとそのシーンの意味を見失う可能性があるということ。それ以来、今はオーソドックスにカウントを倍にして、先取りしています。
ああ、もうこの話絶対しない。恥ずかしい!!
なんでこんなに恥ずかしいかというと、こんなこと全員が当たり前のようにやっていることだから。何を偉そうに!ってことです。
本当にひとつひとつの振りにそのくらいのものがあります。役者、演出家、振付家の間では常に、意味と効果を検証しながらやっているんです。
【みなさんへ…】
プチ一人会の最中に、何度も成河さんが口にしていたのは…
「観劇して何を感じるかは、体調、それぞれの記憶、家族や友人との関係など、その時、その人の状況が関係しているんです。つまり、ひとりひとりが感じたものはすべて正解ということが大前提です。勘違いなんてない!そう感じたならそうなんです!」
「僕が一方的に思っていることを話してしまうと、そう思わなければいけないと思われてしまう、それは嫌です。人によってとらえ方が異なる、こういうお芝居に関しては特にそうですね。「全然そうじゃないと思っていた!」それが良くて、それを聞きたいんです」
「(たいした質問ではないのですが…というお客様に対して)たいした質問じゃない質問は世の中にないです」
率直に語り合う会、これからも続けていきたいなとおっしゃっている成河さん。今後ご参加される方は、ぜひとも積極的に質問をして語り合ってくださいませ!!
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もう成河さんのルキーニを見られないよーというみなさま!!
公演DVDの発売もございますよ♪
翌日、阪急電車に揺られていると…宝塚南口(宝塚ホテル前)駅、ココだ!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人