★アフターイベント情報★
菅野こうめいさんと坂元健児さんの”FMDミュージカル講座”
8/10(木)19時公演の終演後に開催!楽しみ! 昨年の日本版初演が好評を博したロマンティック・コメディ・ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が演出、キャスト、そしてタイトルを一新し生まれ変わったのが本作、『Finding Mr.DESTINY』。劇場もコンパクトなDDD青山クロスシアターに移り、この作品が生まれたソウル・大学路の小劇場さながらの熱気と臨場感にあふれる初日を迎えた。
仕事を失い、恋人にも振られてしまった青年ムン・ミニョクが一念発起して始めたのは“初恋探し株式会社”。その名の通り初恋の人を探してあげる会社。そんなオフィスにやってきたのは、旅先で出会った初恋の人を忘れられない女性アン・リタ。こうして父親から「結婚」のプレッシャーをかけられながらも運命の出会いを信じる勝気なアラサー女子リタと真面目で一生懸命だけど若干空回り気味なミニョクの初恋探しが始まる。しかし調査は一筋縄にはいかない。それもそのはず、手掛かりはその名前“キム・ジョンウク”だけ。しかもこの“キム・ジョンウク”は、韓国ではありふれた名前の代名詞になるほどよくある名前なのだ。果たしてリタの初恋の人は見つかるのか?
この物語を紡ぐのは3人の俳優。
“初恋を探してあげる男”と“初恋の人”の2役を演じるのは、本作がミュージカル初主演となる高田翔(ジャニーズJr.)。頼りなくて、ときどきイラッとさせられながらもどこか憎めないミニョクを表情豊かに演じたかと思うと、キム・ジョンウクではクールな眼差しと魅惑の低音ボイスでそっとささやきヒロインだけでなく、客席の多くの女性をクラッとさせるという離れ業をやってのけた。すでに定評のあった演技力に加え、キャラクターの細やかな心情を乗せた歌声もショーアップされたダンスもミュージカル俳優としての大きな可能性を感じずにはいられない。韓国では本作主演がミュージカルスターへの登竜門と言われていることを思い出させる高田のミュージカル初主演作、これを見逃す手はない。
アン・リタには実力派の玉置成実。歌やダンス、コメディエンヌぶりはいわずもがな。これまではその恵まれた容姿のためか、どこかお高くとまった雰囲気をまとった役を演じることが多かったように思える玉置にとって、頑張り屋さんで甘え下手、恋に不器用な等身大の女性は新境地だろう。初恋から7年、新聞記者として男社会で闘うなかで強くなってしまったリタに共感し、それでも彼女の中にある変わらない純粋さに心打たれ勇気をもらった。公演後に耳にした「気がついたらリタのことを大好きになっていた。リタ、いいよね」というリタと同世代と思われる女性客の言葉がすべてを物語っている。
今では韓国創作ミュージカル界ではおなじみとなっているマルチマンが生まれたのもこの作品。そんな、この物語に登場するそのほかの全役を担うマルチマンには坂元健児。その数はなんと24役。舞台上にいるか、着替えているかのどちらかではないかと思えるほどの目まぐるしさだが、お父さん、お母さん、カフェ店員、インド人ガイドにタクシー運転手など、ひとつひとつのキャラクターがしっかりと印象付けられる。とくに坂元ならではのお宝シーンでは劇場全体が大いに沸き、エンターテイナーぶりを見せつけた。また、マルチマンの物理的奮闘の面白さにとどまらず、ひとりの俳優が姿を変えながらラブストーリーに関わっていくという演劇としての面白さも同時に体現している点も特筆したい。
演出は初演に引き続き菅野こうめい。再演については「初演の経験をベースにするものの、再演という意識ではなくまた新しく作りあげる感覚」と語っていたことを実感。芝居の間やテンポを突き詰めることでラブ・コメディの楽しさは増し、その上に主人公の成長、そして人生に大切なものはなにかを見つけ出す“初恋探し”の本質をより鮮明に伝える。また、広崎うらんによる雄弁でチャーミングな振付・ステージング、音楽監督も務めるかみむら周平率いるバンドの生演奏の臨場感、原田愛によるポップな舞台美術とそれを動かす働き者の小人さんのようなかわいらしい装いのスタッフの活躍など、あらゆる要素がしっくりとかみ合うことで非常に密な劇空間を作り出すことに成功した。
初恋の甘酸っぱさが伝わる切ないバラード、難航する初恋探しのドタバタを表現するショーナンバーなど数々のミュージカルナンバーに彩られた“初恋探しの旅”、この夏の素敵な思い出になること請け合いだ。そんな旅の案内人は…もちろんマルチマン!
【FMDのツボ】ネタバレしています! 『Finding Mr.DESTINY 』(ミュージカル『あなたの初恋探します』再演)を観劇♪
DDD青山クロスシアターという密な空間で「よーし、楽しむぞ!」の期待あふれる客席。お楽しみは客席についた瞬間から、開演まで甘酸っぱいサウンド♪BGMに包まれ気分はすっかり初恋モード!さらに素敵プレショウでその日の公演が、そこに集ったひとりひとりにとって特別になります。「ウェルカム、用意はいいかい?」の心のこもった陰アナ生放送もお楽しみに。
ここで、それぞれのキャストのツボをカミングアウト。たくさんある中からいくつか絞るのが大変!!
高田翔さんはいろいろとあるのですが、冒頭からご紹介。ミニョクが仕事をクビになり「え!」の瞬間、まさに舞台後方のアメコミ風の似顔絵と同じお顔になるところがイイんです。そこから歌に入るのですが、その中で「そうだ、僕には彼女がいるんだ!」とちょっとアガル(失礼な言い方をすると、調子に乗る?!笑)場面の歌声と表情がツボです。
玉置成実さんは、インドでねん挫したシーン。ジョンウクに靴&靴下を脱がされて、どう?と触れられた瞬間、“気絶”。この思いっきりが最高です。間(ま)といい、アクションといい、もう絶妙以外の言葉が見当たりません。あとは本当に本当にベタですが、最後のキレイなお姉さん風の登場では、同性でもあらっ!!と見惚れてしまいます。
そして、問題は坂元マルチマン健児さんです(勝手にミドルネームに・笑)。
チップをもらった瞬間のガイドさんの愛らしさ、キム・ジョンウクの一人が歌う「チョウチョのように舞い、ひら~」も可愛いですよね。タクシー運転手さんの宮崎弁もいいですし、ビジュアル的には、ジェシカはもちろん、最後の空港職員の扮装が馴染みすぎ?!で目が釘付けに。でもやっぱり、最初と最後のダンディなお姿がツボです。
さらにタクシーでの「運命の人」、オフィスでの「ホントにいるの?キム・ジョンウク」、コーヒーショップでの「ホントの愛を見つけよう」など、3人で歌う場面のチームワークは必見必聴。エネルギーや魅力が掛け算のように膨らんで、ミュージカル最高!という気分になります。
3人ミュージカルだけど、登場人物は30人近い?!そこにはやっぱり素晴らしいチームワークがあるのです!!参加型と言われると構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、なんのことはない、楽しければ笑い、引き込まれれば集中。自然体で気楽にお楽しみください。