2018年2月日生劇場にて上演される
ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』にダブル主演される
浦井健治さんと
城田優さんの取材会が行われました。
どこまでもサービス精神旺盛なおふたり!!
1994年公開のウディ・アレン監督の映画『ブロードウェイと銃弾』(アカデミー賞助演男優賞、監督賞、脚本賞など7部門でノミネート、助演女優賞を受賞)を監督自らミュージカル化、2014年にブロードウェイで上演されたのが本作です。1920~30年代の禁酒法時代の音楽をアレンジした軽快でアップテンポなナンバー揃いで、ダンスシーンも見どころ!
主軸となるお話は、とある舞台が立ち上がるまでのドタバタ大騒動。浦井さん演じるデビッドは念願のブロードウェイデビューに張り切る劇作家。一方で城田さんはマフィアの愛人の用心棒チーチ役。劇作家と用心棒、一見何の接点もなさそうですが、奇妙な縁で結ばれたふたりの運命が絡み合い…(あらすじはレポラストに記載してありますが、ゼロ予習でもOK♪)。そんなコメディ作品でダブル主演を務めるおふたりですが…。
浦井さんと城田さんは『エリザベート』でルドルフとトート(2010年)、『ロミオ&ジュリエット』ではベンヴォーリオとロミオ(2011年)と、これまでにも大ヒットミュージカルで共演されていますが、今作は実に7年ぶりの顔合わせ!
久しぶりの共演を楽しみにしているのは、どうやらファンのみなさんだけではないようです。
では早速、対談スタート!
【ダブルタキシード仮面がダブル主演だからね。セラミュ界では大騒ぎですよ(城田)】
──久しぶりの共演ということですが。 浦井さん)
これまでに優とは2作共演していますが、どっちが先だったかな?ロミジュリ(『ロミオ&ジュリエット』)?城田さん)
ちがうよ~。『エリザベート』が先だよ、2010年。それで2011年にロミジュリ。浦井さん)
よく覚えているね。ということは、7年ぶりの共演になるんだ!結構、(年月が)経ったね(笑)。城田さん)
その間も会ってはいるからね。でも、久しぶりの共演ではお互いにその間の経験を持ち寄って、どんな化学反応になるか楽しみだな。浦井さん)
そうだね。優の舞台を観ていると、役者としてすごく幅広い役柄に挑戦しているなと思うよ。もともとタキシード仮面つながりで、僕は勝手に絆を感じているし。城田さん)
ダブルタキシード仮面がダブル主演だからね。セラミュ界では大騒ぎですよ。あ、ご存じない方もいるかもしれないので説明しますと(笑)、僕らはミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でタキシード仮面という同じ役をやっていたんです。浦井さん)
僕が6代目で優が7代目だよね。タキシード仮面から始まり、最近では演出も手掛ける優と、この福田組で共演できるのはすごく楽しみだな。しかも、今回はコメディ!城田さん)
僕らのキスはないので、みなさん、安心してください(笑)!一同) 笑!!
【城田優の魅力はずばりギャップ萌えです(浦井)/浦井健治といえば「ハハハハ~」ですよね(城田)】
──共演時の印象は。浦井さん)
ロミジュリ初演では、ロミオ役のふたり、育(山崎育三郎さん)と優が座長としてカンパニーをまとめ上げていていくのを親友役として間近で見ていました。あの時のチームワーク、最高だったよね!そうやって築いた絆の中で、舞台上で互いに目と目で芝居ができるところまでたどり着けたことを覚えています。あれから時を経て、さらにどう昇華されるのかすごく楽しみだな。城田さん)
年齢は健ちゃんがちょっと上ですが、僕は勝手に同世代と思っています。ロミジュリでは、プリンシパルの中で健ちゃんだけが唯一シングルキャストで、全公演を抜群の安定感で引っ張ってくれていました。親友役の健ちゃんからメッセージをもらうシーンがあったのですが、さっき彼も言ったように目を見るだけで自然に感情がわき上がってきました。僕にとってもそれは大きな経験です。懐かしいロミジュリ初演のゲネレポは
こちら!
浦井さん)
『エリザベート』でも、優はすごく嬉しいことを言ってくれたんです。僕らが組んだある回で、トートとルドルフとして♪闇が広がる を歌った後のショーストップの話なんですが。城田さん)
2010年10月28日、健ちゃんと組んだ最後の公演のときの話だね。浦井さん)
すごい記憶力!「あの時のことを生涯忘れない。あれだけのものを経験したことがない」と言ってくれたんだよね。城田さん)
本当に拍手が鳴りやまなくて。どうしたらいいんだろうと思ったくらい(笑)。体感もすごく長かったし、あとで録音音源を聞いても20秒ぐらい続いていました。これまでのどの舞台でもなく、城田優のショーストップ最長記録は浦井健治とのあのシーンです(笑)!浦井さん)
ありがとうございます(笑)。
今の話にもあったように、優は毎回(自分の歌や芝居を)録音しているんです。そして自分にすごく厳しい。心を許してくれると、「(プレッシャーに)押しつぶされそうだ、いやだ」と本音を言ってくれるのですが、それでも現場では明るく笑いながら、みんなの緊張をほぐそうとする。♪ミルクの場面で、裏でみんなにミルクを注いだりしていたよね(笑)。城田さん)
よく覚えているね!でも、確かにやったね~。自分が一番緊張していたくせに(笑)。浦井さん)
見ての通り長身で、場を華やかにするスター然とした外見に繊細な内面、優は本当に愛されキャラ。役者としてもあっけらかんとしているようで、すごくシビアな目も持っていて努力家。城田優の魅力はずばりギャップ萌えです。萌えの天才児!!城田さん)
なんかお互いに褒め合うのはくすぐったいけど、次は私が浦井健治を語ります(笑)。
浦井健治といえば「ハハハハ~」ですよね。でも、いつもハッピーで楽しくやっているようでいて、芝居は繊細。だからストレートプレイでもミュージカルでも観ていてグッとくるものがあります。何も考えていないようで、しっかり考えている人(笑)。それでもフワっとしたキャラクターなのは、とても魅力的に映ります。先輩方から可愛がられて、年下からも慕われて、ファンの方から愛される。その理由は近くにいてよくわかりますよ。はい、この辺にしておきます(笑)!【優となら自然にデビッドとチーチの関係性が出せる(浦井)】
★ビジュアル公開★皆に振り回される劇作家デビッド(浦井健治さん)、マフィアの愛人のボディガードのチーチ(城田優さん)
──思い出は尽きないようですが、『ブロードウェイと銃弾』にお話を進めましょう。おふたりの役どころは劇作家とギャングという真逆の立場ですが。浦井さん)
最初は「何だ、こいつは」という感じですが、最終的にはそこに奇妙な友情が生まれるような展開です。次第に生まれる絆や、ふたりの成長、優となら自然にその関係が出せると思います。そこを狙ってのキャスティングかなと思うくらい。城田さん)
はじめは用心棒として(芝居の)稽古場に居たのが、だんだん芝居にのめり込んでいって、いつしかふたりが共同作業をしていく。その変化がシュールで面白いんです。健ちゃんが言うように、そこでは僕らの関係が活かせるかな。あと、僕の役は遊び(自由度)があるから、作品の芯のところは浦井さんにやってもらって、僕は自由にやらせていただこうかな(笑)。浦井さん)
優が演じるチーチだけでなく、(平野)綾ちゃん演じるオリーブをはじめ突飛なキャラクターが多いから、彼らにいかにデビッド、つまり僕が振り回されるかという話になっていくよね。城田さん)
デビッドはいろんな人に翻弄されていく。僕らの役割は彼に色んな方向から影響を与えること。その中でブレることなく話を成立させていくのはすごく大変だと思います。でもそれができるのが浦井健治!その柱があってこそ、僕らはいろいろと遊べるんです。
つまりデビッドは観ている人の共感軸。誠実でしっかりとしたビジョンがあって、地に足が着いているけど、ちょっとした抜けたところもある(笑)。そこに共感できないと、これはなんの話?となるから。浦井さん)
やっぱり優は常に作品を俯瞰しているよね。でも、チーチこそ最初は全く共感できないところから始まって、最後には一番共感できるような振り幅を持つように感じるよ。城田さん)
ただただ真っ直ぐだよね。だからこそ…だったりもするしね。そこはお楽しみに。──本作はダンスシーンも見どころ。城田さんのタップダンスも楽しみです。城田さん)
もうね、超難しくてやめたいです。もともとダンスは得意ではないのですが、これまでの比じゃないくらいタップは難しい。これまでに3回ほどレッスンを受けましたが、毎回弱音を吐いています。ヒップホップやジャズは練習すればできるんです。カッコイイかどうかは別にして。でも、タップはできない!!絶対できない!
そんな私が本番ではどんな素晴らしいタップを踏むのか、乞うご期待!いつもこうやって自分の首を絞めて、やらなきゃいけない状況を作るんです(笑)。──浦井さんもダンスシーンはありますよね。浦井さん)
踊るシーンはありますね。福田さんはダンスシーンがお好きなので、華やかなラインダンスのシーンなんかもあるかな。このメンバーでラインダンスって、それだけで面白いよね。城田さん)
なんだか怖すぎる(笑)。改めてみると本当にすごいメンバーだね。浦井さん)
みんな飛び道具みたいなキャラクターです。壮麻さんは、たぶん出てくるたびにオチのようなインパクトですよ(笑)。【浦井健治についていく(城田)/お祭り騒ぎのように楽しんでください(浦井)】
──では、ここで個性的な共演者のみなさんの印象をお聞かせください。浦井さん)
(前田)美波里さんはもう大先輩。僕、美波里さんとのキスシーンがあるんです。まだ、役としてではなく美波里さんとキスをするということに緊張しています(笑)。
あゆっち(愛加あゆさん)とは『王家の紋章』で共演しましたが、あのときは彼女(ミタムン)から一方的に思われるという関係で。今回は恋人役ということで、あゆっちからも「今度は相思相愛だね」と言われました。城田さん)
でも、美波里さん演じるヘレンとね…(含み笑)。キスシーン楽しみです。
保坂知寿さんは、今更、僕が言うのも大変失礼ですが、素直に上手いなと思いました。それは歌が上手いというだけでなく、キャラクターとして笑いを誘うところのバランスというか。共演できることがすごく楽しみです。平野綾ちゃんは声優さんということもありキャラクターを作るのが上手くて、コメディセンスも抜群。ただ、それゆえにマジでむかつきそう(笑)。オリーブという役は、ふざけた女優で変な声で…。それを綾ちゃんは突き抜けた感じでやり切ると思うんです。でも、そこで笑うと学芸会になってしまうと思うんです。用心棒として側にいるチーチとしては、フラストレーションをためてイライラし続けようと。僕自身、コメディをやるにあたっては常に役としてやり取りし、その中で面白くしたいんです。面白くもないのにやり続けてグダグダになるというのは、完全にこちら側の自己満足になるから。──心強い言葉です。男性陣も素敵な顔ぶれですね。浦井さん)
ブラザートムさんは独特のドンとした言い回しとリズム感があって、アーティストとして培ってきたもの、そしてなにより存在感が違いますよね。城田さん)
そして、壮麻さんはこの役にピッタリだと思います。真面目な役ももちろんだけど、変わった人の役もとことんまで変にできる方なので楽しみです。
実は僕、メインキャストでは健ちゃん以外のみなさん、作品でははじめましてなんだ。浦井さん)
そうなの!ちょっと意外!──ありそうでなかったフレッシュな顔合わせなんですね。ちなみに、この作品は舞台を作っていく物語です。芸術と興行的成功など、おふたりともリンクするところがあります。 浦井さん)
モノ創りの現場にいる身としてドキッとするところもあります。現場での意見交換、台詞を変えるという件も、翻訳ものなどで「本当はこっちの言葉のほうがいいんだけどな…」なんて経験…、思い当たるところはありますよ(笑)。実際にはそれを言わないというチョイスもあるけど、今回はみんなが全部言うという。城田さん)
僕はもともと言うタイプ。でも、ただ身勝手に言うわけではなくて、作品がよくなるように、お客様にちゃんと伝わるために必要だと思ったときに言っています。これって脚本を書く人とプレイヤーの究極のキャッチボールだと思うんです。ただ、この作品には、それがちょっと極端な人たちが登場するんです。思わぬところにボールが飛んでいったり、捕ったと思ったら落としたり、しまいにはボールが変わっていたり。そこが楽しいんです。──そして、ウディ・アレンも福田さんも脚本家で演出家、デビッドと同じですよね。浦井さん)
今、映像でも舞台でもコメディの名手として一世を風靡している福田さんはこの作品を日本で上演するにあたって最適任だと思います。ブロードウェイデビューを目指すデビッドの気持ちは、福田さんご自身の若き日の想いに重なるところもあると思いますし。城田さん)
その通りだと思います。この作品を日本で、今、となると福田さんしかいない。映画を観たときにエンタメ要素が強く、尚且つ脚本がすごく面白いと感じました。軽快で斬新で20年ほど前の映画ですが、最新の映画としてもウケそうなスピード感で、スタイリッシュな印象。福田さんのもとで、描かれている濃いキャラクターの面白さを存分に出したいですね。──最後に改めて意気込みを!城田さん)
僕はミュージカルの舞台に立つことに対してすごくプレッシャーを感じ、苦手意識が強いんです。でも、福田さんとはこれまでにも映像作品やプライベートでご一緒していて、芝居作りや人間的なところでの信頼関係はできています。福田さんの演出に乗っかることでミュージカルの新しい楽しさが芽生えたら嬉しいな。そして、なにより浦井健治についていこうと思っています。浦井さん)
福田組ですので、みんなが自由に試せる楽しい稽古、カンパニーになるでしょう。そのコメディ作品でデビッドとチーチの友情という軸もしっかりと立ち上げたいと思います。そして、舞台やミュージカルへの愛をみんなで分かち合いながら福田ワールドをお届けできればと思います。お祭り騒ぎのように楽しんでください。 取材会の場もエンターテインメントだと、サービス精神旺盛に時間いっぱいまでお話をしてくださいました。モノトーンとあたたかな色味、対照的なお衣裳で個性際立たせつつも、お互いを敬い絶妙のコンビネーションでトークを繰り広げる様子を目の当たりにし、本当にデビッドとチーチにピッタリだと感じました。
開幕は2月、寒い季節ですが、いっぱい笑ってこころ温まる観劇タイムになること間違いなし!それを確信いたしました!
ものがたり
舞台は1920年代のニューヨーク。
夢のブロードウェイデビューに張り切る劇作家のデビッド(浦井健治さん)。しかし、出資者権限でマフィアの親玉ニック(ブラザートムさん)が奇妙な声で演技もド下手な愛人オリーブ(平野綾さん)をごり押し?!さらにプライドの高いベテラン女優ヘレン(前田美波里さん)、過食症で女癖も悪い俳優ワーナー(鈴木壮麻さん)、ひとクセある脇役女優イーデン(保坂知寿さん)とキャラクター濃過ぎ(笑!!)な面々が集う稽古場にオリーブの用心棒としてマフィアの部かチーチ(城田優さん)が送りこまれて…。
皆が無理な注文を繰り出す状況で困り果てた真面目なデビッド、そこに的確な提案をしてきたのは、芸術に程遠いと思われたチーチだった。
デビッドとチーチ、共に苦心して脚本を書き直し、舞台は見事大成功!しかし、それが引き金となり思わぬ大騒動が巻き起こる…。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人