ナイロン100℃ 44th SESSION
『ちょっと、まってください』開幕! 下北沢 本多劇場にて上演中の劇団ナイロン100℃の第44回公演『ちょっと、まってください』。舞台写真とコメント(開幕リリース)が届きました。観劇プチレポとあわせてどうぞ!
【観劇プチレポ】
「不条理喜劇、存外好きかも」 ナイロンの新作「ちょっと、まってください」は不条理喜劇らしい。“不条理劇”という言葉の響き。あ、難しいやつね。最初から最後までわからない系?いつも置いてけぼりを食らうやつね(苦笑)。そんなイメージ(すみません)。
さて、どんなものかと思ったら。
すごくいびつな物語なのですが、まぁ、コロコロとよく転がっていくんです。そして、それにあわせてコロコロと笑う。重心も定まらず転がり続けることが次第に心地よくなり、なんというか、これって不条理ハイ?
物語は、転がり落ちているのかなと思っていたら、坂道を上っていたり、そうかと思えば、突然断崖絶壁から落下したり…。時間のゆがみもなんのその、なんだかよくわからないけれど、そこに変にノッキングすることなく、油断は出来ないけれど安心して(笑)身を委ねることができました。ただ、いくら転がっても、きれいな球体になることはなく、いびつなままという、これぞ不条理の神髄か?!
そして、それぞれのキャラクターのもつ声のトーンや話し方、会話の間、背丈(?!)など、絶妙のバランス。プロデュース公演とは違う、劇団公演ならではの力(客演さんも含めて)も感じました。
「裕福」と「貧乏」、「言ってみただけ」と「思ってはいた」、「大柄」と「小柄」、「室内」と「庭」、「記憶」と「真実」…いろんな凸凹を抱え、「正気」と「狂気」の合間で笑う!
不条理喜劇、存外好きかも。そんなことを感じる3時間でした。
これからも目が離せません!ナイロン100℃25周年イヤー公演ラインナップ~<4月>満を持しての再演と<7月>新作群像劇~~開幕リリース~
劇団 3年ぶりの新作、開幕!11月10日(金)下北沢 本多劇場にて、来年25周年を迎える劇団ナイロン100℃の第44回公演『ちょっと、まってください』が開幕した。
『ちょっと、まってください』は、劇団公演としては
3年ぶりの新作となり、ナイロンファン待望の公演。
三宅弘城、大倉孝二、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希美…といった劇団の主力俳優が集結、
水野美紀、遠藤雄弥、マギーという実力派客演陣が加わり、キャストをみるだけでも層の厚さに期待が高まる。
『グッドバイ』『8月の家族たち August:Osage County』『キネマと恋人』『陥没』など演劇界で話題となった作品を次々と発表し、近年賞を総なめにしている作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、自身のホームである劇団で、今自分が一番やりたい事を、KERA作品の神髄を表現出来る鉄人メンバーで上演するとあって注目が集まる。
物語は、どこの国かははっきりしないが、クラシカルな洋装に身を包んだ、裕福な家庭の居間から始まる。
金持ちの父親(三宅弘城)、母親(犬山イヌコ)、息子(遠藤雄弥)、娘(峯村リエ)、使用人(マギー)などが四方山話に花を咲かせる。
一方屋外には、
宿無しの乞食の家族。その息子(大倉孝二)と娘(水野美紀)が、何やら込み入った話をしている。
全く環境の違う2つの家族の日常の中に、少しずつ入り込んで来る異物感。
この二つの家族にどんな接点が生まれ交差してゆくのか……それは劇場で堪能して欲しい。物語が進んでゆくに従い、登場人物達を隔てている区別の不安定さ、定義付けしようとすれば煙に撒かれるような感覚、
傍観する観客の観点も足下が揺らぐような、不思議な感覚にとらわれる。
KERAは、今公演の発表時には、別役実的な不条理喜劇を創りたいと述べていたが、別役作品へのパスティーシュもありながら、カフカ的なところもあり、だが、やはり唯一無二のケラリーノ・サンドロヴィッチの世界観が、そこにある。不条理な会話一つ一つに目を離せない密度があり、キャスト陣の技術の豊かさが堪能出来る作品だ。
時に笑い、時に困惑しながら行き先不明の航海を楽しんでほしい。公演初日を迎え、劇団員・三宅弘城は、
「(初日を迎えるまでは)結構、切羽詰まっておりましたが、力を合わせて一つの作品を作り上げていくのは劇団ならではだなと思いました。今は無事に初日を迎えることができてホットしています。(お客様が入り)どんな風にご覧になり、どんな風に笑いがくるのか、楽しみだったのですが、喜んで頂けた感じだったので良かったです。爆笑するタイプのものとまた違う面白さがある作品だと思いますので、是非、劇場に来て頂けたらと思います。
来年劇団は25周年、自分が出る作品は『睾丸』(仮題)という作品なので、タイトルに負けないように頑張りたいと思います」と、初日の感想を安堵した様子で語り、来年25周年を迎える劇団への所感を述べた。
ナイロン100℃25周年イヤー公演ラインナップ~<4月>満を持しての再演と<7月>新作群像劇~公演NEWSはこちらから公演は、12/3まで下北沢 本多劇場で公演。その後、各地を巡演する。
本多劇場公演の当日券は、毎公演開演の1時間前から劇場入口にて販売。
この記事は公演主催者からの提供により、おけぴネットが製作しました
おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人