3月から
ライブツアー2018“now and then”がスタート、その後も
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート、
朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』と、今年もその活動から目が離せない
藤岡正明さん にお話をうかがいました。
「お待ちしています!!」 【藤岡正明として歌うミュージカルソング、♪Electricity(『ビリー・エリオット』より)は歌いたい】
──まずは、3月21日(水・祝)から始まるライブツアー2018“now and then”についてうかがいます。約2年半ぶりのオリジナルライブツアーということですが。
久しぶりにやってみようと思って(笑)。
年明けの『TENTH』も含め、ミュージカルコンサートはやってきたのですが、もう少し自分によせるというか、肩ひじを張らずに歌おうと企画をスタートしました。その中で藤岡正明としてお客さんにサプライズというか、変化球も投げてみようと、あるアイデアを思いついたんです。──それが例の!
はい。ミュージカルソングを役者としてではなく、ミュージシャンという立ち位置で歌ってみようと。
いわゆるジュークボックス・ミュージカルと呼ばれるもの、ザ・フォー・シーズンズの『ジャージー・ボーイズ』もそうですし、ABBAの楽曲を用いた『マンマ・ミーア』、最近では、僕が大好きなキャロル・キングの『ビューティフル』もありましたよね。そうやってキャロル・キングの楽曲を使って、彼女の半生をミュージカルにしてしまうってすごく面白い。だったら逆もあるよねって(笑)。
ミュージカルソングを純粋にミュージシャンとしてカバーしてみようということです。今、絶対にやりたいと思っているのは『ビリー・エリオット』の♪Electricityです。そこで『レ・ミゼラブル』となるとちょっと雰囲気変わるんですけど(笑)。
(作曲者である)エルトン・ジョンが♪Electricityを歌っている映像を見て、すごくよかったので、今度は藤岡正明が歌ってみようと。アレンジも変えますが、楽曲が持つ質感をブチ壊して何かをしたいということではないんです。僕自身、ミュージカルの中での質感も好きなので、ちょうどいい塩梅で届けられたらいいなと思っています。まぁ、僕がビリーになって歌うってのもね、ピルエット回れないですし(笑)。そして、せっかくやるならほかにも何曲か、藤岡正明が歌うミュージカルソングをやってみようと。──藤岡さんならではの響きになりそうですね。
カバーをやるというのはどこかで安易だとも思っているんです。でもそこに僕がやる意味があると感じてもらえるならすごく面白いものになるんじゃないかって。
実は、今回はバンド編成もシンプルなものを考えているんです。僕自身もずっと楽器を弾いて、ミュージカルソングも弾き語りになります。♪Electricityはギターかピアノかはまだわかりませんが、このあいだ試しにピアノで歌ってみたら“これイケる!”というのがあったんですよね。過去のライブより
──手ごたえ十分ですね!
ミュージカルソングを藤岡テイストに料理してみなさんにお出しします!──お料理上手でもある(笑)藤岡さんのその言葉はとってもうれしいです!ライブではオリジナル曲も歌われますが、新曲なども?
【今は太陽でありたい】
新曲もあります!今、僕が感じていること、僕の色を新曲に込めようと思っています。──今の藤岡さんの向いている方向、感じていることをうかがってもいいですか。
いろいろあるんですけど、最近どんどんシンプルな方に向かっている、いや、戻っていると言えるのかな。20歳ぐらいのころは9.11のテロなどがあり、世の中も僕自身も反戦意識が高まっていた。今でも、そしてこれからもそれは必要なことで、心の中にはあるのですが、その大きな世界の話より、目の前にあることに関心が向いているんです。
「日常」という言葉が最適かはわからないけれど、日々の暮らしの中にある「小さな光」のようなものをいいなと思えるようになったんです。
バラを100本もらったうれしさもあるけれど、道端にタンポポが咲いていることもうれしいと思えるような…、うれしさや感動の鮮度や感度を大切にしたいんです。──それが音楽性にも反映される。
壮大なサウンドというより、シンプルなメロディとともにそこに藤岡が立っている。そんなイメージかな。ゴリゴリ歌う、泣かせる、歌い上げる以外にも感動ってあるんじゃないかなと思うんです。
昔は「北風と太陽」だと、僕は北風だったんです。俺はこうだから、俺を好きになってくれた人がいればいい、嫌いだったらしょうがないって。どこか斜に構えてモノを作っていた。言葉を鋭利にして、世の中の汚いところを描こうと、どこか芸術家気取りだったんですよね(笑)。
でも、今は足を運んでくれた人に何かを持って帰ってもらう、楽しんでもらう、それで初めてエンターテインメントは成立すると思うようになりました。演出家のスズカツ(鈴木勝秀)さんが仰っていた「芸術家とエンターテイナーは似て非なるもの。芸術家はどんなに評価されなくとも自分自身の芸術をつきつめる。正直、俺にはその勇気はない。だから俺はエンターテイナー」という言葉、僕もそうだなと。
自分自身を持ちながらも、どうしたらそれが相手に届くだろうかということを少しずつ考えるようになってきました。今は太陽でありたいと思うんです。 ──とっても素敵ですね。ミュージカルナンバーもオリジナルナンバーも、今の藤岡さんならではの音楽を聴けそうです!
続いてはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』 イン コンサートについてうかがいます。
【楽しくないとダメでしょ(笑)】
もしかしたらこれで『ジャージー・ボーイズ』とお別れになるかもしれない。──えっ!!!
いやいや、現状で決まっているのは今年の再演まで、そしてそれに出ないのでそういうことになるかなと。再演では、(伊礼)彼方が新しくトミーをやるでしょ。彼方はすごくいいトミーになるだろうなと思っていて。次があったら、僕、呼んでもらえるかな…なんて(笑)。
そのくらいの気持ちで、精一杯自分らしく燃え尽きたいと思います。でも、トミー3人ですしね…実際、コンサートではどうなるんでしょうね。
あとはお客様に楽しんでいただくことはもちろん、自分自身も思いっきり楽しもうと思って。それも最近感じていること。やっていて楽しくないとダメでしょ。──そして、朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』へのご出演も発表されました。
まずはとにかく荻田浩一さんと一緒にやりたいというのがあって。これまでにもずっとラブコールをくださっていて、この機会に荻田さんの情熱に乗ってみようと。まだ台本もない状態でお引き受けしましたが、そこで微力ながら何かできれば、それはさっきお話したような「楽しい」に繋がると思ったんです。プライスレスな価値を感じました。
僕も30代半ばを迎え、自分なりのスタンスで縁のあるものをしっかり務めていこうと。そこでは身も削るし、必死にもなる、惰性だけは嫌だなと思っています。──力強い言葉、ありがとうございます!今年も充実した一年になりそうですね。まずはライブを楽しみにしています。
<ライブハウスにアウェイ感をもっている方も……?!>藤岡さん)
椅子があって、割と普通に座って観ていただけます。途中、僕が「立って~」とか言うかもしれませんが、いわゆるぎゅうぎゅう詰めではなく(笑)。僕がライブハウスでただ純粋に歌い倒すということで、恐れずにいらしてください。 おけぴスタッフも何度かライブにお邪魔したことがありますが、とてもアットホームな空間でした。客席の雰囲気も温かく、それもまた藤岡さんのお人柄だなと思いました。ただ、ひとたびアップテンポの曲になると…自然に体が動き出すようなウキウキ感がわき上がってきます!そして、やっぱり歌声が素晴らしくて素晴らしくて(大事なことは2回書く!)心地よさをかみしめる帰り道でした♪
ライブ写真提供:藤岡正明
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) 撮影:おけぴ管理人