マクベスはどうして王を殺したのか…死に直面した主人公ナムソンが劇中で出す答えとは。連日、魂のこもった芝居に泣いたり、笑ったり。時・体験を演劇で共有するような新国立劇場渾身の「記録する演劇」最新作!
鄭義信さん作・演出『赤道の下のマクベス』、寄せられた感想をご紹介いたします。
「アジア特有のひたすら暑い炎天下、本来ならのどかな景色が見られた場所だったのかもしれません。
明るくナムソンに生きていてほしいと願うほどに。彼の生きるよろこびがあふれでていて、死刑を待つ身なのに魅力的でした。もっともっと見ていたかったです」
「舞台上の彼等が絞り出して声を出す度に私も息を堪えて、彼等が涙を我慢するのを見ると私も涙を堪えて。彼等と共に、自分もいまそこに立っているかのような、不思議な感覚でした」
「ふざけた会話や笑い声と、すぐ隣の死への恐怖や罪の意識、感情の浮き沈みの激しい物語ですが、それが彼らの存在の現実味を増していたと思います。
また、その感情の振れ幅が作品のエネルギーにものなっていました。力強い物語が、観客を揺さぶってきたり、締め上げてきたりするのに必死でついていった先に、言葉にしえない思いと、観劇の満足感がありました」
“そこに人間が生きている!”いよいよ開幕!フォトコール&囲み取材レポおけぴ稽古場レポートはこちらから鄭義信さん&池内博之さんインタビューはこちらから「あんなに悲しい劇中劇を初めてみました。最後のシーンは美しい一枚の絵のようで、望みのようなものを与えてくれる。この先もずっと心に残っていく作品じゃないかと思います」
「暑くむせるような赤道下の刑務所で死刑執行を待つ朝鮮人、日本人のBC級戦犯達。それぞれにのしかかる戦争という過酷で不条理な運命。
非常に重いテーマですが、鄭さんの演出にはほのかでありながら力強い希望が散りばめられています。極限の状況でも人間らしい時間が流れていたんだなとかんじられました。俳優さん達のエネルギーが炸裂する舞台に心がつかまれます」
「作者の優しさが滲み出る舞台に心が救われた気がします」
「出演者全員に拍手です!全員が本当に生きて、そして本当に死んでいったような気がしました。彼らが自分の罪に向き合う過程で、私も初めてあの戦争が自分の罪として理解できました」
「日本人兵士としてBC戦犯で死刑となった朝鮮人の存在を初めて知りました。朝鮮人3人、日本人3人の死刑囚の息詰まる対立が舞台に展開されます。また緊張の中に散りばめられるギャグが見もの。至高の宴会芸は思わず笑ってしまいました」
最後に感じるかすかな光、それを大事に大事に持ち帰りたくなる作品です。キャスト9人、魂を削るようにして役を生きています!ぜひ、劇場でご覧いただきたい1本です。
あらすじ
1947年夏、シンガポール、チャンギ刑務所。
死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ、ぼろぼろになるまでシェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)、戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)、一度無罪で釈放されたにも関わらず、再び捕まり二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など朝鮮人の元捕虜監視員と、元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。
BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし、時には看守からのリンチを受け、肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。
ただただ死刑執行を待つ日々......そして、ついにその日が訪れた時......。