大いに笑って、しみじみ泣いて── 上方喜劇の伝統を継承する
松竹新喜劇の劇団創立70周年公演!
昭和の喜劇王・藤山寛美の当たり役に、孫の藤山扇治郎さんが初挑戦する
『人生双六』、渋谷天外さんと久本雅美さんが兄妹を演じるドタバタ喜劇
『峠の茶屋は大騒ぎ!!』の二本立て。劇団員勢揃いの
『口上』も楽しみな
7月新橋演舞場公演に向けて、出演者が意気込みを語りました。
「曽我廼家、藤山、渋谷─この3つの名前がある限り松竹新喜劇を守り続けたい」
力強く語る劇団代表の渋谷天外さん。
「最近そこに“久本”という名が喰いついてきている気がするんですわ(笑)。この人、うちの劇団員のくせによその芝居に出たりして…(笑)」
「逆、逆(笑)。もともとはワハハ本舗ですから!」
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、ディズニーランドのような遊園地だと思って、劇場に遊びに来ていただきたい」(渋谷天外さん)
久本雅美さんと大工の兄・妹を演じる『峠の茶屋は大騒ぎ!!』では、“峠”といえば思い出す有名なお弁当を「あっちゃ、こっちゃで販売します!」との宣言も。むむ、これはどんな演出(?)になるのか。ぜひ劇場で確かめましょう!
「入団から5年、あっという間の夢のような日々だった」と語る藤山扇治郎さん。
『人生双六』で祖父・藤山寛美さんの当たり役に挑みます!
先輩の芝居、生き方から学ぶことが多いという扇治郎さん。
「祖父の映像も残っていますが、自分が同じ役をさせていただき、今のお客様に見ていただくとなると、先輩方から教えていただいた根本は変えずに、自分自身の心から出るものと融合させていくことが大事だと思う」と若い世代ならではの決意を語ってくれました。
「先月の『蘭~緒方洪庵 浪華の事件帳』に引き続き、共演させていただく久本さん。もうお母さんと思って…あ、お姉さん、ですね(笑)」(扇治郎さん)
この方が登場すると舞台がピリッと引き締まります。
大ベテラン・高田次郎さん、86歳!
「藤山(寛美)先生に誘われ、松竹新喜劇に入団してから30数年、あっというまでございました」という高田次郎さん。今回出演する『人生双六』は「藤山先生と共演した思い出の作品」とのこと。短い出演時間のなかで
「“高田次郎、ここにあり”と、存在感を示したい」と意気込みます。
「ええかげんな社長の役。毎日スタイルを変えて、いろんな社長になって出たろ、と思っています。それくらいしないと(出演時間が短すぎて)正直、給料がもらいにくいんですわ(笑)」と取材陣の笑いを誘いました。
「松竹新喜劇の魅力は“笑わせながら泣かせる、泣かせながら笑わせる”こと。初めての出演時、観劇した友人が感動して号泣しながら楽屋に飛び込んできた」
こんなエピソードを明かしてくれたのは、6公演連続で松竹新喜劇公演に参加する久本雅美さん。
「幼い頃から見ていた」という松竹新喜劇の作品への出演に「感謝と、感動と、光栄な気持でいっぱい」と語る久本さん。女芸人の元祖ともいわれるミヤコ蝶々が演じた役に挑戦します。「じぶんにできるのかという緊張感でいっぱい」と神妙な顔を見せながら、「どこまでもお客様に喜んでいただけるよう、松竹新喜劇を見にきてよかったと思っていただけるように」と“真面目に”意気込みを語ってくれました。
「なにかおもしろいことを言いたかったのですが、思いつきません(笑)。松竹新喜劇から、たくさんの笑いの引き出し・学びをいただいていますので、その恩返しのつもりで全力でつとめたいと思います」◆ 終始、和やかに進んだ取材会。最後の最後に、扇治郎さんの“笑いのポテンシャル”、そして“昭和の喜劇王のDNA”を感じさせる出来事が…
ベテラン記者:「将来、扇治郎さんが藤山寛美の名前を継ぐ予定は?」
扇治郎さん:「こればっかりは周りの方に決めていただくことで、自分では答えられません。祖父は神様のような存在で、大尊敬していますが、例えるなら少年野球をはじめたばかりの僕が、王貞治さんになりたいというようなものですので…。でも、そう質問していただけるだけでも嬉しいです! いつかみなさんにそう思っていただけるようになりたいです。
(質問した記者に向かって)
…長生きしてくださいね!」
「うちの扇治郎が…失礼しました!」
天外さんと久本さんが本物の両親のように平謝り。場内が大爆笑に包まれました♪
笑って、泣いて、ずっこけて♪ 見れば心がホカホカあたたまる、レトロな魅力いっぱいの人情喜劇。劇団創立70周年記念公演「松竹新喜劇」は、7月13日から新橋演舞場にて上演。9月には一部演目・出演者を入れ替えて大阪松竹座でも上演されます。
悪者が出てこない(出てきてもそんなに悪くない♪)、それもまた松竹新喜劇の魅力です。
皆さんのこの笑顔を見れば、伝わりますよね!
※高田次郎さんの「高」は、正しくは「はしごだか」です。
おけぴ取材班:hase , mamiko 監修:おけぴ管理人