ロンドン初演から今年で25年、今なお進化を続ける伝説のミュージカル『ミス・サイゴン』、その最新バージョンがこの夏、帝国劇場に降臨です!
プリンシパルキャスト勢揃い!アンサンブルメンバーも含め、総勢41人での華やかな製作発表の様子をレポートします。
“アメリカ兵との間に生まれた娘をサイゴン空港で引き渡すベトナム人女性”
その一枚の写真から生まれたこの作品。
『蝶々夫人』をベースにした物語が『レ・ミゼラブル』のアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルク、彼らの紡ぎ出す珠玉のナンバーで綴られるソングスルーミュージカルです。
では、早速プリンシパルキャストのみなさまをご紹介いたします。
(2012年の新演出版にご出演の方はその時の印象も)
市村正親さん:1992年の初演からのエンジニア!
「タイトルは『ミス・サイゴン』ですが、私は“ミスター・サイゴン”ということで初演から22年、またこの帝国劇場で『ミス・サイゴン』をできることに感謝しております。これがもういっぺん原点に戻ってやってみようと覚悟を決めさせてくれました。この詩を読んで、お時さんがこの曲にかけた思いを改めて感じ、初心に戻ってエンジニアを演じたいと思います」
その手には、昨年亡くなられた岩谷時子さんの直筆で書かれたアメリカン・ドリーム訳詞。
帝国劇場への思いについては、
「いつも劇場に来ると客席の一番遠いところから舞台を見ます。
そこにいる方に届くように演技しなくてはいけないなと思うんです。
初演の時は帝劇の壁が鳴ってくれるまで、ひと月半かかりました。
帝劇にはその後もいろんな作品で立たせていただき、今では温かく“おっ、帰ってきたな”と迎えてくれるので、この夏も楽しい帝劇通いになりそうです」
もうお一人のエンジニアには『ミス・サイゴン』初参加のこの方!
駒田一さん:3度目の正直で、ついに射止めたエンジニア!
「サイゴン初参加ですので、今日は小学校の入学式のような気持ちです。
この役には市村さんという偉大な方がいらっしゃいます。同じことをしても真似はできません。市村さんからも『駒は駒なりのエンジニアを作ればいい』というアドバイスをいただきました。一から自分なりのエンジニアを創り上げたいと思います」
キムにはこちらのお三方、この日女性キャストのみなさんはアオザイをお召になって登場。
笹本玲奈さん:2004年からキム!
「2012年全国公演での各地のお客さまとの出会いは私の宝物です。そこで感じたものを携えて帝国劇場に新演出版キムとして立つことができうれしく思います。」
新演出については
「稽古やディスカッションを重ねお芝居部分が強化されたことで、舞台のあらゆるところでドラマが生まれているという新しい魅力につながったように感じます。」
知念里奈さん:笹本さんと同じ2004年からキム役!
「2004年から10年経ちました。私だけ年をとり、役とはどんどん開きが出てしまって・・・キムは最初17歳の役なので、(笑)。大好きな作品、大好きな役、今回が正真正銘最後のキムだと思って悔いの無いようにやりたいと思います」
新演出については
「この作品は音楽がとにかく素晴らしく、それだけでも十分説得力があります。さらにお芝居に力を入れて、最初から最後まで登場人物が生きている、真実がそこにある印象です」
昆夏美さん:初めてのキム役です
「2012年の新演出版を観た時、作品のパワーと今まで以上のドラマ性に衝撃を受け、出てみたいなと思っていました。
オーディションで泣きながら歌っていたら、『キムは人前では決して泣かない。強くキムを演じてくれ』と指導を受けました。母の強さ、女性の強さが伝わるキムを創り上げたいと思います」
原田優一さん:2008年、2012年に続いてクリスです
「前回も大所帯での稽古、本場を通じて濃密な時間を過ごし、まるで家族のようでした。この温かいカンパニーで熱い夏を過ごせることがとても楽しみです」
新演出については
「まるでセリフを語るように歌う、リアルな芝居の中で音楽に感情の流れがついているような演出です。また、人の手で動かすセットから伝わる人間の持つパワー、熱さのようなものも感じていただけるとうれしいです」
上野哲也さん:2012年GI役からクリスに抜擢
「初めて帝国劇場で見たのがこの作品です。僕も演者として『ミス・サイゴン』の世界に行きたいと思いました。
クリス役へのプレッシャーは感じていますが、これからの稽古の中でたくさんの壁を乗り越えて、まずは初日を目標に頑張ります」
岡幸二郎さん:2004年からジョン!
「慣れることなく千穐楽まで精進してまいります」
新演出について
「演出家のダレンは東洋系のオーストラリア人ということもあり、東洋人の気質を理解し、さらに彼はトゥイをやっていたので作品も熟知している。それによって出演者一同が彼を、作品を信頼し、同じ方向を向いて作り上げたことが新演出の成功につながったのではないでしょうか。前回の“新演出だ!”という勢いから、今回は少し落ち着いて、じっくりと練り直していきたいと思います」
上原理生さん:2012年からジョン役として出演
「またこの作品に帰って来られたことを嬉しく思っております。一回一回を大切にやっていきます」
新演出について
「生々しく、舞台の上に自分の感情をさらけだす、まさに生きていると感じました」
木村花代さん:2012年からのエレン
「初めて帝国劇場舞台に立ちます。伝統ある劇場で大好きなエレンを演じることを光栄に、幸せに思います。より深くより新鮮にエレンを演じたいです」
新演出版について
「印象的だったのは、エレンの新曲Maybeを歌いだした瞬間の客席のどよめきというか、ざわざわとした空気です。エレンのキャラクターがより強くお客さまに伝わったのかなと」
三森千愛さん:初のエレン役です!
「エレン役をいただけ幸せです。すばらしい先輩、共演者のみなさんの背中を見ながら、客席のみなさまの心に『ミス・サイゴン』の物語をお届けできるよう、精いっぱい頑張ります」
泉見洋平さん:2004年からのトゥイ
「トゥイを演じて丸10年。より進化したトゥイ、10年間の集大成をお見せしたいと思います」
新演出については
「人間関係がリアルに描かれ、当然人間の生々しさもあるなかで、それをどうエンターテインメントとしてお届けするのか、またチャレンジしていきたい」
神田恭兵さん:2008年に続き2度目のトゥイ
「2008年以来、戻ってまいりました。二回目の出演となりますが、12年に進化した『ミス・サイゴン』を客席から見て、舞台上にいられなかったことを悔しく思いました。こうしてまたトゥイを演じる機会をいただけたので、必ず自分のトゥイを創り上げたいです」
池谷祐子さん:2008年からジジ役でご出演
「またこうして同じ作品、同じ役で帝国劇場の舞台に立てることを幸せに思います。
(ジジのナンバー)ムービー・イン・マインドに込められた思いを、お客さまの心にお届けできるようお稽古に励みます」
新演出について
「大きく変わったのはジジとエンジニア、ジジとジョンなど人間関係の演出が細かくついたところです。また、サイゴン陥落のシーンで、ジジとしてあの場にいるということが私の中では大きな変化でした」
またこの日、もう一人のジジ役はお稽古が始まってからカンパニー内オーディションを経て女性アンサンブルキャストから選出されることが発表されました。
まさに“ミス・サイゴン”コンテスト!!射止めるのは誰でしょう!!
★楽曲披露★
♪サン・アンド・ムーン
一幕冒頭、娼婦と客としてであったキムとクリスが一夜を共に過ごした後、お互いの中に救いを見いだし恋に落ちる二人の愛の始まりのナンバー
クリス:原田優一さん キム:笹本玲奈さん
♪世界が終わる夜のように
永遠の愛を誓い合うキムとクリスの情熱的なナンバー
キム:知念里奈さん クリス:上野哲也さん
♪モーニング・オブ・ドラゴン
ベトナムの夜明けを高らかに歌い上げるトゥイとアンサンブルの力強いナンバー
トゥイ:神田恭兵さん
♪命をあげよう
この作品を代表する一幕ラストの名ナンバー
キム:昆夏美さん
♪アメリカン・ドリーム
アメリカ行きの夢を捨てきれないエンジニアが成功した姿を思い描き歌う名ナンバー
エンジニア:駒田一さん
会場もノリノリヒートアップ!!
飛び立つヘリの音とオリエンタルな旋律に誘われ、気が付くとそこはベトナム戦争末期のサイゴン。そこに生きる人々のマグマだまりのようなナイトクラブでエンジニアが発する「ウェルカム・トゥ・ドリームランド」。そんなオーバーチュアが大好きな取材班。あの熱狂のサイゴンが再び帝劇に!『ミス・サイゴン』2014、いよいよ始動です!
おけぴ取材班:chiaki(文) hase(撮影) 監修:おけぴ管理人