劇作家ウィリアム・シェイクスピア晩年の戯曲『テンペスト』が2014年新国立劇場に姿を現しました!!
演出の白井晃さんによる大胆な解釈で、古谷一行さん演じるプロスペローの記憶の物語という形で立ち上げられた
白井版『テンペスト』。
テンペスト(嵐)で始まる物語のなかで、人生の終着点が見えてきた男がたどり着くのは・・・。
プロスペロー役:古谷一行さん
正直に申し上げて、非常に観劇レポの難しい作品です。
というのも、いろいろな解釈(仕掛け)を
フレッシュでフラットな状態で味わっていただきたいという思いが強くわき上がるからです。
それぞれの視点で目に映るもの心に響くものを見つけていただきたい、そんな作品です。
とはいえですよ。それではさようなら!とはいかないわけで(笑)。
観劇へのあと一歩を踏み出そうとされているみなさまに、すでにご観劇されたみなさまからのオススメコメントをもとに・・・
どんな作品かな?と思われているみなさまへ
【第一部】“極力ネタバレなし(もちろん多少は物語や演出には触れますが)の感想”雰囲気も知りたいなというみなさまへ
【第二部】“舞台写真ご紹介”すでにご観劇の方も含めもう一歩知りたいみなさまへ
【第三部】第一部でご紹介できなかった
“ネタバレありの感想”の三部編成で開幕レポをお届けします。
(各部の間には改行を数行入れています、お好みの段階までご覧いただけると幸いです)
その前に!
<観劇を楽しむ事前準備>このようなアドバイスも届いております!
★初テンペストの方は公演特設HPの
人物相関図をチェックされるといいかも!
★セットの移動などで劇場内がちょっとホコリっぽくなることがあるので、のどが弱い方は
マスクを持っていきましょう。
★劇場ロビーに
シェイクスピア生誕450年記念の展示がたくさんあります。舞台だけでなくそちらも見ごたえあります。
【第一部】寄せられた感想(ネタバレ極力なし)
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とにかく最初から最後までびっくりで溢れています。シェイクスピアの王道、台詞やストーリーも原点にかなり忠実なのに、演出が斬新で、全く違った作品に思えます。観客も劇場の一部に溶け込んだような感覚を味わえるので、とても面白いです。
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まず、広い空間を自在に使った(空中まで!)舞台美術に驚きました!
そこに生身の俳優さんが加わることでの動きと音、声の演出。
素晴らしいです。古谷一行さんのプロスペローは、人生の辛さ、喜び、赦し、二時間の中で全てを見せて鮮やかに去って行きました。余韻さえ残して。
誕生日でもないのに思いがけない贈り物をもらったかのような素敵な舞台でした。
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『テンペスト』はシェイクスピアの最後の戯曲ですが、他の有名作品に比べて上演機会はあまり多くありません。
映画作品は見ていましたが、今回、舞台作品を初めて見ました。
魔術や妖精や道化が出てくるファンタジー要素の部分は「真夏の夜の夢」にも似ていますが、人間の情や業の深さをしっかり描ききっています。今回の白井さん演出版もとても素晴らしかったですが、他の演出家でもぜひ見たいと思いました。
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見ごたえ十分な舞台です。演者の方々から作業員の方々まで皆さんの動きから目が離せません。
加えてセットもめまぐるしく変わるのでいくつ目があっても足りないくらいです。
静で始まり静で終わる古谷さんの重みのある演技、そして何より野間口さんがお薦めです。
シェイクスピアだからと難しく考える必要は無く、一つの物語として純粋に楽しめると思います。
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『テンペスト』という戯曲自体初めて観劇しました。意外に(?)面白く楽しく、喜劇的な中に欲や業も渦巻き、滑稽でもあり絶妙。役者さんの当意即妙なやりとりに見応えがあり、劇場の空間を活かした美術が過去と現在、現実と虚構、幻想を去来して印象的でした。
照明・音楽も良かったです。
※音楽はmama!milkさんによる生演奏♪
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主人公の古谷一行さんが、幻想的な音楽の中から現れ劇が始まりました。
存在感があるので何がどうストーリーが進んでいくのか興味に惹かれました。
周りの役者さんも長谷川初範さん、田山涼成さん、羽場裕一さんとベテランの方が固めていたので安心感がありました。
キャリバン役の河内大和さんは初めて拝見しましたが、熱演されていて良かったです。
古谷さんはセリフも多く存在感のある演技をされて良かったです。
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超人的イメージのプロスペローが古谷さんの演技で、民衆に慕われ、よき父よき夫であった若き日を想像できる一人の人間に見えてきたのが収穫。シェイクスピアの中では比較的分かりやすいストーリー、松岡さんの平易な訳を持ってしても、初見での理解はきびしい?斬新な演出に目を奪われ過ぎずに全体をぼーっと眺め、意識は台詞(を言う人)に集中させるのが鑑賞のコツ!
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初め嵐が吹き荒れています。激しく荒れている様子は、音楽とダンスで表現されタイムスリップしたような感じになりました。
【第二部】舞台写真をご紹介いたします!プロスペロー役:古谷一行さん 娘ミランダ役:高野志穂さん
写真左)プロスペローの弟アントーニオ役:長谷川初範さん
目の前にひろがる景色に息をのむ!
【第三部】もう一歩踏み込んだ感想をご紹介!やはり感想で避けては通れないのが数百?にも及ぶ
段ボールです。
雑多なようで整然としているようで、弱そうで強い・・・段ボール観が変わる?!
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大きな舞台装置がほぼないといってよいシンプルな舞台に大量の段ボールを船や島、丸太に見立てて魅せる舞台は秀逸でした! 特に妖精エアリエルの設定には驚きました。
450年の時を経ても色あせることのない人間ドラマはぜひ多くの人に見てもらいたいです。
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現代的な演出により、気負わずにシェイクスピア作品を観ることができました。
段ボールによる演出の意図はプログラムを読んでなるほどと思い、本作品についてより深く考えるきっかけとなりました。アコーディオン、ベース、木琴、オルガンの生演奏が幻想的な雰囲気を増しており、素敵です。
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荘厳、神秘、不思議、軽妙、情愛・・いろんな要素が詰まった玉手箱みたいな舞台でした。
舞台上に何もない無の状態から始まり、一瞬にして段ボール箱(!)で埋めつくされ、最後にまたほぼ無の状態に戻る・・中劇場の広い空間を活かした白井さんの実験的な舞台演出が感じられ、生演奏の音楽が幻想的な情景を作り出していたのがよかったです。
主演の古谷一行さんの圧倒的な存在感、対立勢力のベテラン男優陣、若手の俳優達のそれぞれの演技が堪能できる、素敵な舞台でした。
客席を10列ほど潰して舞台を拡張、そこから果てしなく奥まで続くセット・・・
舞台の真ん中で起こっていること、目の前で起こっていること、物陰で起こっていることなどいったいどこを見ればいいのだろう。
一度の観劇では戸惑いもあり、すべてを見ていないという印象を抱きました。
でも、もしかしたらどの場面がどう見え、どう心に残るのか。
それが観劇一期一会の醍醐味かもしれませんね。
そして、その積み重ねが記憶となる。
思い思いの景色を見ている観客が最後にひとつの終着点を見いだすような演出が後々効いてくるような、
2014年の白井版『テンペスト』、ぜひ劇場で体感してください!!
おけぴ取材班:chiaki(文) 監修:おけぴ管理人
写真提供:新国立劇場
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