10代から晩年まで、ひとりの女性の生涯を演じる麻実れいさん。
凄みすら感じさせる演技は必見!
「原作戯曲、翻訳台本、演出、照明、美術、音響、そして俳優。すべてがベスト」
「観劇後しばらくは放心状態」
「あっという間の3時間」
「“麻実れい”という女優と、時代を共に出来る幸運に感謝」
「今この時代に、演劇は世界を変えられることに希望を持ちたいと思います。
作った皆さんに、“素晴らしかった” と伝えたい衝動に駆られました」(以上、観劇した方の感想より)
9月28日に世田谷パブリックシアター/シアタートラムで幕を開けた『炎 アンサンディ』。
初日を観劇してきたのですが、いまだに舞台を思い出してゾクゾクが止まりません!
1968年に中東レバノン・ベイルートに生まれ、10代の時に内戦から逃れカナダに亡命した劇作家/演出家のワジディ・ムワワド氏。
フランス語圏だけでなくヨーロッパ全体で最も注目される劇作家のひとりである彼が、自身の家族のルーツをたどり生み出した本作は、内戦の混乱の中で戦い、生き抜き、愛を探し続けたひとりの女性・ナワルの物語です。
設定だけを聞くと「硬派な社会的作品」「難解」「重そう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、劇中で描かれるのは遠い地域の紛争の話ではなく、あくまでも「ひとりの女性の人生と真実」。
彼女に襲いかかるあまりにも過酷な運命、そして衝撃の結末に、観劇後はしばらくその世界から抜け出すことができず、気がつけば涙が頬を流れていました…。
注目の若手演出家・上村聡史さんのもと、主演の麻実れいさんをはじめ、岡本健一さん、中嶋しゅうさんら実力派キャストが集まり、完璧なスタッフワークとともにみせる舞台『炎 アンサンディ』。
興奮の観劇感激レポートを、観てきた方の感想コメント&舞台写真を交えてお届けいたします!
(以下、
青字は全ておけぴネットに寄せられた、観てきた方の感想コメント)
(写真手前:小柳友さん、中央:麻実れいさん、奥:栗田桃子さん)
娘には「あなたの父を探し、この手紙を渡して」。
息子には「あなたの兄を探し、この手紙を渡して」。
双子の娘と息子に奇妙な遺言を残し亡くなった、中東系カナダ人の女性・ナワル(麻実れいさん)。
生前あまり人付き合いもせず、ある時から言葉を話すこともやめてしまったナワルに対し、複雑な想いを抱いていた双子の姉ジャンヌ(栗田桃子さん)と、弟シモン(小柳友さん)は、遺言に従い母の人生をたどるうちに、ある衝撃の真実と向き合うことになります。
死んだと聞かされていた父と、存在すら知らなかった兄を探す旅の果てに彼らが見たものは?
ナワルが子どもたちに伝えたかったこととは?
そして彼女の人生に隠された恐ろしい秘密とは…?
いくつもの謎を客席に投げかけ、ナワルの人生の物語が語られ始めます。
「なぜ母は黙り込んでしまったのか。
なぜ双子の子どもたちに、にわかには意味の分からない遺言を残したのか。
母の足跡を辿ることにより、衝撃の真実にたどり着きます。
戦争についてだけでなく、人って何なのかなと考えさせられました。
あらすじを読むだけでは分からない世界を、是非劇場で味わっていただきたいと思います。
今この時に、この作品と出会えてよかったです」
「衝撃的結末に身震いしました。
今なお怒りと暴力殺戮の連鎖に巻き込まれる救いのない状況に多くの命がさらされている現実を生々しくとらえることができました。
そんな中で目を背けたいことに直面する強さを持てるだろうか?
愛という感情を持ちつづけられるだろうか? と突きつけられた気がします」
「シアタートラムがスゴいことに!!
今、見ておくべき作品だと思います。
推理劇のような展開が観客の好奇心を掻き立て、あっという間に一幕が終わりました。
さらにじっくりと謎が解かれる衝撃の二幕まで、3時間という長さを全く感じさせない演出の手腕、俳優が素晴らしい」(写真左より:小柳友さん、麻実れいさん、栗田桃子さん)
ナワルが遺言を託した公証人を演じるのは中嶋しゅうさん。
その独白からはじまる冒頭、これから動き出す3時間超の舞台に(しかも中東問題を描いた重いストーリー…)不安がなかったといえば嘘になります。
けれども麻実さん演じるナワルが舞台に登場し、過去と現在が交錯する物語が動き出すと、観客はあっという間に彼女の人生のストーリーに引きこまれていくのです。
「中東、内戦、小劇場で3時間、とハードルが高く感じましたが、存在感と実力を兼ね備えたキャストの演技とスピーディな演出に冒頭からぐいぐい引き込まれます。
たくさんの伏線が見事に収斂する“父と兄”探しの謎ときの瞬間は、鮮やかにして衝撃的」
「脚本が素晴らしい。
一人の女性の数奇な人生を、公証人と遺族が紐解いていくミステリー仕立て。
セットが何もない舞台上で、時代や人物が交錯していく演出が秀逸です。
脇に至る人物像にまで深みがあり、想像力を十二分にかきたてられ、一時も目が離せませんでした」
「主役の麻実れいさんはじめ俳優陣の演技の確かさが、この奇妙で残酷な話に現実感と説得力をもたらします。
シアタートラムという濃密な空間で、最高の演劇時間を過ごすことが出来ました」
(写真左より:麻実れいさん、那須佐代子さん、写真奥:中嶋しゅうさん)
初恋に胸を躍らせる少女時代から、恐ろしい秘密を抱え沈黙を続けた晩年までを演じ分ける麻実れいさん。
その声、その姿、その説得力!
シンプルなセットと照明の中で時代と場所、設定が次々に入れ替わる舞台。演出の巧みさももちろんですが、観る者を混乱させないのは、やはり彼女の演技あってこそ。
「母ナワルを演じる麻実れいさんの存在感がすごい!!
圧倒されます。ひきつけられます。目が離せません。
ラストは心が震えます」
「麻実れい圧巻。
舞台装置はほとんどないのに俳優の演技でその世界が見え、ストーリーにひき込まれて行く」
「麻実れいさんや実力者ぞろいの出演者の演技がとてもすばらしい。
(客席と舞台が)非常に近距離なので、役者のまっすぐな炎の熱気と、どんな闇の中でも必ず光があるということが、すごく伝わりました」
「14~65歳の女性を外見でなく心で演じる麻実れいが素晴らしい。
伝える力満載の舞台でした」
母の過去をたどり、自分たちの命について衝撃の真実を知ることになる子どもたちを演じるのは栗田桃子さんと小柳友さん。
『父と暮らせば』の美津江役が印象的な栗田桃子さんは、母と娘の女同士だからこその微妙な距離感、数学を研究する学生らしい雰囲気を、抑えた演技で的確にみせてくれます。
映画、テレビドラマなど映像作品でも活躍する小柳友さんは、理解できない母の行動に苛立つ息子役を現代的に表現。
作品の世界観を、今を生きる観客の側に効果的に引き寄せます。
さらに、はりつめた空気をふっと緩ませるような中嶋しゅうさんの存在、ナワルとともに戦う友人をいきいきと演じる那須佐代子さん、彼らを取り巻く人々を何役も演じる中村彰男さんに加え、 若き日のナワルの恋の相手から、物語のカギを握る重要な役までを演じ分ける岡本健一さん…と、まさに実力派揃いのカンパニー。
この座組をシアタートラムの空間で観られるなんて、なんて贅沢な観劇体験なのでしょうか!
「何役もこなす岡本健一さん。どの役も全力、人物の気持ちが入っています。
少女そのままの那須さん、双子の姉弟の心の動きも切なすぎる」
「同一人物の少女時代から演じる麻実さん、何役も演じ分ける岡本健一さん。
観るたびに評価が高くなる、その演技力は本当に素晴らしい。
たった7人で国や時間や人物を飛び越えて舞台を作り上げる、その過程と結果は演じる側にとって刺激的で楽しいものなのだろうと、勝手に想像してしまいます」
「中嶋しゅうさん、軽妙な演技の中でふと見せるナワルへの思いに胸を打たれました。
やはりこの方がいると舞台がぐっとひきしまります」
「那須さんの魂の叫びに心ゆさぶられました」
「岡本健一さんの複数役の演じ分けが見事。
特に最後の役が強烈な印象を残します」
「出演者の技量とチームワークでどんどん引き込まれていきます。
特に岡本健一さんは、軽妙に何役もこなした上に、非常に起伏ある重要な役を体当たりで好演。
英語混じりの台詞や歌がかっこよかったです!」(写真奥:栗田桃子さん、中央:麻実れいさん、手前:小柳友さん)
必要最低限のセットとシンプルな照明の中で、俳優の演技そして観客の想像力があわさり、物語がダイナミックに動き出す快感は、やはり演劇ならでは。
派手な自己主張はありませんが、的確かつ堅実なスタッフワークにも支えられ、観客はナワル、そしてジャンヌ、シモンと一緒に旅をします。
「リアルに描写するだけではない演劇の力を目の当たりにし魂が揺さぶられるひとときを過ごしました。
乾ききった大地、弔いの水、復讐の連鎖、学ぶことの尊さ、色々な想いが交錯して心が一杯です」
「1人何役もこなしながら7人だけで、あれだけの複雑な舞台ができるとは、という驚き。
映像、音響を上手く駆使して、シンプルな舞台装置ながらすごく効果的な演出だったと思います」
「迫力のある上村聡史の若い演出力に圧倒され、魅入り、カーテンコールの拍手を忘れるほどでした。
沢田祐二氏の明かりと、無造作に置かれた椅子3脚だけで始まる前傾斜のシンプルな八百屋舞台が、より想像力を掻き立て、3時間の物語があっという間でした」
題材が題材だけに、時にショッキングなセリフや展開もあります。
けれども観劇後に残るのは大きな「愛」。ただそれだけです。
まだまだ語りたいポイントは山ほどありますが、ネタばれが致命的となるサスペンス構造を持つ作品だけに、これはもう劇場で実際に観ていただくほかはありません。
それでは最後に、このほかの感想コメントを一気にご紹介。
「ベストプレイでした。すべての演劇ファンにお薦めします。
特にストプレのファンには鉄板でお薦めします。
原作戯曲、翻訳台本、演出、照明、美術、音響、そして俳優。すべてがベスト。
最高、最強の座組みです。
休憩をはさんで3時間超えですが、物語が面白く、展開がよく、演出が丁寧で、役者がすごく上手いので、テンション高いままに観劇出来ます。
必見です!」
「観劇後は暫く放心状態でした。
重いテーマがずっしりとのし掛かりますが、観て良かったです。
今の時代に観ておくべき演劇です。
今日劇場全体が感じた空気を忘れずにいたいと思います」
「生々しく深みのある戯曲に圧倒されます。
幕を巧みに使った照明の妙、出演者は皆個性あふれ素晴らしい。
今年観た小劇場の作品でも屈指です」
「謎解きも含めてよく練られた筋立て(特に後半)、詩的なせりふの美しさなど言葉の持つ力を大いに感じさせてくれる見事な戯曲です。
シンプルだがどこか重厚感のある舞台で、力のある俳優陣がその演技力を余すところなく見せ、特に照明によるさまざまな陰影を効果的に使いながら人物たちの想いや葛藤といった内面をうまく引き出す演出が冴え渡っていた。
演劇のもつ魅力に溢れた作品になっていたと思います」
「この作品は演劇を観る喜びをかみしめられる、数少ない舞台の一つになりました。
個人的には、今年観劇した舞台の中でNo.1に輝きます」
「筋よし、役者よし、演出よし。
これは何年かに一度の特大ホームランではないでしょうか(場外かも!?)」
「謎めいて不可解な母の遺言が、観客も双子の子供と一体化して出生の秘密、母の壮絶な生涯を生皮を剥がすように展開しました。
戦乱の極限の中で唯一の希望は母の子への愛でしょうか。
ラストの残酷な真実に打ちのめされました。残されたものに救いはあるのでしょうか。
作者に問いたいです」
「母親の残した遺言の謎が徐々に明かされていく展開は緊張感の連続で、中だるみする場面は全くなく時間を忘れて観劇していました。
麻実れいさんが表現する母親の愛の包容力の見事さには脱帽です」
「最初から最後まで緊張感が続き、3時間以上の上演時間が長いとは感じませんでした。
笑いの無い、ひたすら重い内容でありながらも、どこか澄んだ雰囲気が感じられたのが印象的」
「過去と現在が交差して、ミステリー要素があって、最初は頭に疑問しか浮かばなかったけれど、後半に全てが繋がって驚愕。
ラストは身体が震えました。
確かに結末は言えない! 舞台で体験してほしい!」
そう、ぜひ劇場で体験、体感してほしい舞台『炎 アンサンディ』は、東京・三軒茶屋 シアタートラムにて10月15日まで上演中。その後10月18日に兵庫県立芸術文化センターにて上演されます。
このほかにもたくさんの感激コメントが寄せられましたが、物語の核心に触れるものはここではご紹介せずにおきますね。
「ああ、演劇が好きでよかった!」
後々まで語り継がれる舞台になる、そんな予感が確信に変わる体験を、ぜひ劇場で味わっていらしてください!