新国立劇場バレエ団2014/2015シーズンバレエ オープニング公演はチャイコフスキー作曲の三大バレエのひとつ『眠れる森の美女』。永遠の名作バレエが、新国立劇場バレエ団のオリジナル版として新制作されるのです!!
11月の公演に先だち制作発表会見&公開リハーサルが行われました。
【公開リハーサル】
まずはロマンティックが止まらないっ!
オーロラ姫とデジレ王子の“目覚めのパドゥドゥ”の様子をどうぞ。
オーロラ姫:小野絢子さん、デジレ王子:福岡雄大さん 鉄板コンビです!
ドド~ンと写真にてお楽しみいただきましたが、ここに美しい音楽、衣裳、舞台装置・・・が加わっちゃうんです!!
稽古場ですでにこんなに魅せられて、本番はいったいどうしましょう。
というほどのうっとりタイムです。
続いては、男性がマイム役として演じることも多い悪の精・カラボス。
今回は女性がポワント(トゥシューズ)で踊る役とし、振付家のイーグリングさんが新たに振付を行った大注目のカラボスのシーンです。
カラボス:本島美和さん
あの映画のタイトルロールでもある“マレフィセント”と呼ばれたいわゆる“悪者”ですが、新国立劇場版では悪=醜いものという概念を取っ払って、美しきカラボスが登場します。
本島さんの凛とした美しさ、そして手下(?!)を従えての登場では楽しんいるような空気さえ漂う圧倒的な存在感がぴったり!
【制作発表会見】
新国立劇場バレエ団にとって『眠れる森の美女』は1997年10月の開場記念公演演目。
この記念碑的な作品に今シーズンから芸術監督に就任された大原永子(のりこ)さんのもとバレエ団一丸となって挑む!そんな気合十分な、でもバレエ団のみなさんの持つほんわかさも感じられる素敵な会見でした。
大原永子芸術監督
新国立劇場バレエ団ではロシア版の『眠れる森の美女』を開場記念公演で上演しました。
その後、何度か上演されましたが最近では7年間上演されていません。
また『白鳥の湖』『くるみ割り人形』はすでに新国立劇場オリジナル版を上演している中で、三大バレエのひとつ『眠れる森の美女』が欠けていることは国立として残念です。そこでこうしてバレエ団のプロダクションとして新制作が実現しました。
振付を依頼したイーグリングさんはバレエダンサー、振付家、芸術監督としての経験も豊かで、人間的にも温かい方です。衣裳、音楽はイーグリングさんとこれまでも仕事をされてこられた方々、装置と照明は日本のデザイナーが担当します。国境を越えたコラボレーションで生まれる新しい『眠れる森の美女』をお楽しみに。
振付:ウエイン・イーグリングさん
とてもエキサイティングなオファーです。
私にとって『眠れる森の美女』の制作に携わるのは初めてだからです。
新制作にあたりご要望があったのは “伝統を守った作品にしたい” ということです。
つまりそれはプティパの振付を守ったスタイルでの制作ということです。
私は伝統的なクラシックバレエがとても好きで、伝統を信じています。
その理由は技術力が問われ、それがはっきりと表れてくるからです。
プティパの振付がオールドファッション=古くさいということはありません。
こうして新しい、若いダンサーがそれを表現することを素晴らしいと思います。
また、そんなダンサーを見ることで、これまでの偉大なバレリーナ、素晴らしいダンサーを思い出させるものでもあります。
しかしながら、ただ伝統をなぞるだけでなく、今回は私の新しい振付がプティパの伝統とまざり合い調和することを目指したいと思います。私の振付で伝統的なプティパの振付を引き立てるような作品にしたい、それが私のチャレンジです。
そしてこの作品の制作は初めてですが、ダンサーとしては数多くのヴァージョンに関わっております。
小さな役から主役まで男性の役はほぼすべて踊ったことがあります。
その経験を活かし、単に振付家としてプロデューサーとしてだけではなくカンパニーのみなさんに世代を超えて何か伝えられれば幸いです。
続いてはオーロラ姫、デジレ王子のみなさんのコメントをご紹介!
(デジレ王子役のワディム・ムンタギロフさん(英国ロイヤル・バレエ・プリンシパル/新国立劇場シーズン・ゲストダンサー)はご欠席でした)
オーロラ姫:米沢唯さん
“眠れる森”まではいいんですけど、私にとっては“美女”が問題だと思っています(笑)。
今回ご一緒するムンタギロフさん(デジレ王子)はとても美しいダンサーです。彼と組むことで色々と学べることがあると期待しています。
イーグリングさんの振付は技術的なことで言うと、相手に体重を預けるムーブメントがあるかと思えば自分のバランスが試される、その切り替えをしないとうまく踊れない。そこに難しさを感じています。
(おけぴ:いえいえそんなことはございません。米沢さんの透き通るような美しさ、ピッタリです)
オーロラ姫:小野絢子さん
小学校高学年の頃、新国立劇場のこけら落とし公演を観に来て、「こんな劇場があるんだ」と驚き、「いつかこんな舞台で踊りたいな」と思ったことを覚えています。その時に見た『眠れる森の美女』に主演できること、驚いているとともに不思議な縁を感じています。
イーグリングさんの振付、技術的なことに関しては米沢さんがおっしゃったとおりだと思います。それに加えて、求められているのは“表現すること”です。どうしてもザ・古典の作品ではポジションがきれいであることが求められますが、その上に“表現”が求められるのです。そのためにしっかりとしたテクニックが必要となるのでリハーサルではしごいてもらおうと思います(笑)。
(おけぴ:先程ご紹介したリハーサル風景からもう小野さんのオーロラ姫にうっとり120%!!)
デジレ王子:福岡雄大さん
僕自身、『眠れる森の美女』の王子は初めてで不安と戸惑いでいっぱいですが、今までいろいろな作品を踊らせていただいた経験を駆使して、たくさんの方に感動と夢を与えられるように尽力したいと思います。
(おけぴ:言葉少なな福岡さんですが、ね、繰り返しますが、↑あの王子っぷりですからね!)
オーロラ姫:長田佳世さん
私もオーロラ姫は初めての挑戦です。自分がどんな風になるのか不安とともにワクワクしています。さきほど(展示してある)衣裳を見て「あれを着るんだ!」そんな気持ちで入ってきました。パートナーの菅野さんと一緒にロマンティックな“私たちの『眠れる森の美女』”を創り上げたいと思います。
(おけぴ:取材班も着ることはなくとも(笑)、会場に展示された衣裳には目を奪われました。長田さんもお似合いになるんだろうなー)
デジレ王子:菅野英男さん
僕はロシアで踊っていた頃、何度か踊ったことがありますが、今新しく振付けているものはいろいろな要素が加わっていますし、それによる新しい発見を楽しんでいます。
リハーサルでのイーグリングさんの印象について、僕にとってはやはりパートナリングですかね。
これまで何度か主役を踊らせてもらい、それなりに自信もついてきましたが、やっぱりウエインさんがお手本で見せてくれると「自分はなんでこんなに苦労しているんだろう」って思うんですよ。本当にあっさりとやるので何がどう違うのかわからない、自信を失うぐらいに(笑)。出来るだけ盗もうと思います。
(おけぴ:デジレ王子経験者の言葉、響きます!ノーブル度抜群な菅野王子、今回も楽しみです)
オーロラ姫:瀬島五月さん(別日にはリラの精も)
オーロラ姫とリラの精の2役を任せていただきうれしく思います。
(所属している貞松・浜田)バレエ団ではオーロラ姫を踊っていて、3度目の挑戦となります。今回はリラの精も同時にということでオーロラ姫から見たリラの精、その逆、見える世界観が2倍3倍に広がればいいなと思います。
(おけぴ:2つの視点からの役作り、物語に深みが増しそうですね!瀬島さんの取り組み、演劇的にも興味深い!)
デジレ王子:奥村康祐さん
新シーズンのオープニングに主役として踊れることを光栄に思います。
ゲストの瀬島さんとコミュニケーションをとって人間ドラマを表現し、王子がただの飾りじゃないように作っていきたいと思います。
僕はウエインさんの『ロミオとジュリエット』が大好きで何度も映像で拝見していました。リハーサルで振りを付けてもらっているときも一瞬ロミオが見えるんですよね。“目覚めのパドゥドゥ”もロミオのような人間味のあるようなパドゥドゥで、思わず「おお!ロミオ!」と感動しました。
(おけぴ:憧れのイーグリングさんについて語る奥村さんの瞳、キラッキラです!)
大原芸術監督のもとでの新しいシーズンの幕開けに向け、頼もしい言葉がたくさん聞かれました。
さらに「振付のチャームポイントは?」という質問へのイーグリングさんのお答えは「11月8日にご覧ください」とのこと!!
これは馳せ参じなければ!!
【衣裳展示コーナー】
記者会見会場にはトゥール・ヴァン・シャイクさんによる衣裳が展示されていました。
ちらしにも載っているオーロラ姫、デジレ王子、リラの精、カラボスの衣裳!
せっかくなのでグッと近づいてみました
王子の胸元のボタンもキラキラ
リラですね~
こちらはカラボスの衣裳!カッコいい!
おけぴ取材班: chiaki(文・撮影)監修:おけぴ管理人