全員が20代!
(前列左から:坂東巳之助さん、尾上松也さん、中村歌昇さん)
(後列左から:中村児太郎さん、中村米吉さん、中村種之助さん、中村隼人さん)
2015年正月の浅草に、次代の歌舞伎界を担うフレッシュな出演者が集結します!
若手歌舞伎俳優の登竜門とも言われ、浅草の町で35年愛され続けてきた『新春浅草歌舞伎』。
1980年(昭和55年)に『新春花型歌舞伎』として中村吉右衛門さん、中村勘三郎さん、坂東玉三郎さんを中心に上演され、その後35年に渡って若手俳優の成長・飛躍の場として注目を集めてきた、浅草の正月の風物詩です。
近年では市川猿之助さん、片岡愛之助さん、中村獅童さん、中村勘九郎さん、中村七之助さんら、今や歌舞伎界を支えるためになくてはならぬ顔ぶれの皆さまを中心として上演が重ねられてきました。
そして…2015年は出演者を一新!
イケメン歌舞伎戦士たちが浅草に集結!!
『スリル・ミー』『ロミオ&ジュリエット』などで、ミュージカルファンのみなさまにもお馴染みの【尾上松也】さんを筆頭に、29歳~20歳と全員が20代!
(松也さん以外はみなさん平成生まれです!)
フレッシュな活気にみちた製作発表会の模様をお届けいたします。
巳之助さんの胸元に見えるものは…?
(答えはレポ後半にて!)
まずは一番の年長、29歳の座頭【尾上松也】さん。
新年らしく「曽我物」に七草行事を織り込んだ
『春調娘七種』の
曽我五郎、そして
『仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目』で
早野勘平の大役をつとめます。
「出演者の中で僕が唯一の昭和生まれ(昭和60年)、後は全員が平成生まれです」と松也さん。
松也)
この『新春浅草歌舞伎』は長い間、先輩方が努力して僕らの世代まで受け継がせて下さった公演です。
これまでに出演した3度の公演は、毎回たくさんのお客様にお越しいただき盛況でしたが、そこに至るまでは決して平坦な道ではなかった、先輩方のひとしおの努力があった、と聞いております。
大役をさせていただく喜びはもちろんあります。それと同時に、せっかく挑戦するからには、より多くのお客様に見ていただき、「この世代ならでは、この世代だからこそ」の
“歌舞伎の面白さ” を楽しんでいただければという思いがあります。
まだまだ技術その他、未熟なところがあるかと思いますが、出演させていただける有り難さを感じながら浅草歌舞伎の恥にならぬよう、これまで支えてくださったお客様、そしてこれから歌舞伎ファンになってくださるかもしれない新しいお客様に失礼のないように、責任を持って一生懸命につとめたいと思います。
僕らの他にもまだまだ若手俳優がおります。彼らに繋いでいけるような公演になればと思っております」
続いて平成生まれの一番バッター、来春の結婚も発表され注目を集める【中村歌昇】さん。
歌昇)
諸先輩方が大切に築いてこられた浅草歌舞伎に3度目の出演となります。
僕たち若い世代だけでさせていただくのは初めてのことで、今からどうなることやら…何かが起こるんじゃないかと思っています(笑)。
若い世代と言っても、ただ仲良しこよしでやるのではなく、お互いにしのぎを削り、
「こいつにだけは負けないぞ」とライバル視しあうことで、その気持が昇華され、全員が一丸となることが出来るのではないかと思っています。そのところをお客様にもぜひご覧頂きたいと思っております。
歌昇さんと同じく25歳の【坂東巳之助さん】。
“託されたバトン”への思いを語ります。
父・三津五郎さんにますます似てきた巳之助さん。
飄々とした魅力の
ブログも要チェック!
巳之助)
本日持って参りましたこちらの
“バトン” をご覧ください! これは2年前に猿之助のお兄様から「次から、この浅草歌舞伎を頼むぞ」と託していただいたものございます。
一度託していただきましたが、今年2014年の浅草歌舞伎では再び猿之助のお兄様、愛之助のお兄様の胸をお借りすることになりましたので、初日の鏡開きの折に一度お返しいたしました。それをまた千秋楽に「今度こそ、本当によろしく頼むぞ」と渡していただいた、それがこのバトンです。
今日ついに7人全員がこのバトンを握りしめて走りだすスタートとなりましたこと、本当に嬉しく思います。
さきほど歌昇くんが言っていた“切磋琢磨すること”、それに加えまして
“楽しむ気持ち”、
“楽しんでいただきたいという気持ち”を忘れないよう、笑顔で楽しいお正月になれば、と思っております。
続いて、なんと全員が平成5年生まれ(21歳&20歳)。
【中村種之助さん】【中村米吉さん】【中村隼人さん】【中村児太郎さん】が、
“熱い” 意気込みを語ってくれました!
種之助)
“挑戦する気持ち”と、若いからこその “強いエネルギー” を持って千秋楽まで臨みたいと思います。
兄・歌昇が播磨屋の家にとって大切な「一条大蔵卿」を、私自身は好きな踊りを昼夜二本つとめさせていただきます。
全身全霊で挑戦する…
“挑む! ”その気持ちを忘れずにつとめたいと思います! 」
米吉)
4年連続で出演させていただいております。
先輩方、そして同じ歳の4人と一緒に精一杯悔いの残らないようにつとめたいと思います。
『一条大蔵譚』では、先日結婚を発表された歌昇さん演じる大蔵卿の奥さんのお役(笑)、常磐御前をつとめます。(歌昇さんに)
よろしくお願いいたします!」
隼人)
20代の7人だけで公演をさせていただく、こういったことは普段の歌舞伎公演ではまずないことですので、今から期待と不安でいっぱいです(笑)。
歌舞伎座や国立劇場では出来ないような大きなお役をさせていただきますので、毎日全力でやっていきたいと思います。
僕も…
“挑む気持ち” を忘れずにやっていきたいと思います!」
児太郎)
今回初めて出演させていただきます。
わたくしは、全ての役で松也兄さんの相手役をさせていただきます。一生懸命に胸をお借りして…
“挑む気持ち” を忘れずにつとめられれば、と思います」
【大役に “挑む” 意気込み】
“挑戦する” 気持ちが溢れ出る全員の挨拶の後、3人の “お兄さんチーム” から、改めて大役への思いが語られました。
松也)
『仮名手本忠臣蔵』という作品は、僕だけではなく歌舞伎役者にとって本当に大事なお芝居、通し狂言です。その中の五段目・六段目の勘平役を20代のうちにさせていただけるのはとても光栄なこと。
それと同時に、子供の頃から七代目の菊五郎のお兄様が演じるのを「かっこいいなと」憧れて見ていた思い入れのある作品だけに、自分にできるのだろうかというプレッシャーも感じてもいます。
七代目のお兄様(菊五郎さん)に、集中して稽古をつけて頂き、教えていただいたことを全て舞台の上でしっかりと発揮できれば、と思います。
歌昇)
『一條大蔵譚』は播磨屋にとって大切な作品のひとつ。2年前に研修発表会という形でさせて頂いたことがあります。その時に「いつかこの役を1ヶ月、25日間やりたい」という気持ちを感じながら、一生懸命に勉強しました。
今回もう一度、吉右衛門のおじさまに一(いち)から教えていただくつもりです。
「播磨屋の芸を継承する」という意味でも、この狂言は僕の中で非常に重要性を持ったもの。この役を今回させていただくことは、自分の中では大きなターニングポイントだと思っています。教えていただいたことをひとつでも結果として出せるよう、真摯につとめていきたいと思います。
巳之助)
(
『独楽売(こまうり)』に、いわくのあるエピソードがあるのでは? という質問を受けて)
「いわく」って(笑)!
…『独楽売』は確かに当家に縁のある踊りでございますが、久しく歌舞伎の興行には出ておりませんでした。
曲は残っていましたので、10年ほど前に坂東流の踊りの会で、振りを付け直しまして踊らせていただいたんですけれども…、えー、
当時わたくしは大変にグレておりまして(笑)、この『独楽売』と『連獅子』を父と二人で踊った結果を受け、非常に打ちひしがれて「もう歌舞伎はやらない」という決心に至ったという…(笑)。そういう「いわく」があるわけなんです(笑)。
父からは「もしあの時のことがトラウマになっているんだったら、やらなくてもいいよ」と言われたんですけれども、
この機会だからこそ是非やらせてください! とお願いしまして、今回踊らせていただくことになりました。
【目指す歌舞伎の姿】
松也)
新しい歌舞伎座が開場して、歌舞伎公演が今とても盛り上がっていることを有り難く思っています。
お客様あっての興行ですから、たくさんのお客様に来ていただくのが何よりのこと。
過去には、歌舞伎も毎月興行が打てなかった時期もあったと聞いています。僕たちはいまとても恵まれた環境におりますけれども、今の現状に甘んじることなく、常に危機感を持って、各々が「歌舞伎役者としてどうしていくか」と考えることが大事なのではないかと思っています。
僕自身は今、色々な分野に挑戦させて頂いています。その都度、そのジャンルにあったやり方で一生懸命務めているつもりですが、その上で、僕のことをきっかけにしてたくさんの方に歌舞伎に興味を持っていただければという思いがあります。
「これからどんな歌舞伎を目指すか」ということについては、勘三郎さんがおっしゃていった「型破りというのは、元の型がないと出来ない」という言葉が、本当にそのとおりだと思っています。
まずは今回のような(大役を務めるという)経験をさせていただくことで、“歌舞伎”というものをしっかりと身体の中に染み込ませるということが大事なのでないかなと。
もちろんただ伝統を守るだけではなく、現代ならではの感覚で革新的な歌舞伎というものを生み出していくということにも挑戦したいと思います。
これまで歌舞伎が多くの方に愛されてきたのは、先人たちがその時代、ニーズに合った歌舞伎というものを生み出してきたからこそ。何百年後かに、“古典”として残るような作品を、僕たちの世代でひとつでも生み出すことができたら最高だなと思っています」
恒例となった開演前の「お年玉ご挨拶」(羽織袴姿の出演者が日替わりで年始のご挨拶♪ )も楽しみな『新春浅草歌舞伎』。
例年に比べ、ぐぐっと下がった平均年齢の出演者たちの顔ぶれは、まさしく“次代の歌舞伎界を担う”の言葉にピッタリです。
2015年の観劇初めは「浅草」で!
お正月の華やいだ雰囲気のなかで、若手イケメン歌舞伎俳優のみなさまの奮闘をぜひご覧くださいませ!
(「自分たちだけで公演を盛り上げていく秘策は?」という質問に)
「7人で頻繁に食事に行って、そのお店にポスターを貼っていただく」
「そのことで芝居に一生懸命取り組むことも、宣伝していくこともどちらの条件も満たせます!」(by 巳之助さん)
【追加情報!】
12月15日に中村隼人さんの
ブログが開設されました!
尾上松也さんの
ブログや、
中村米吉さんが更新されている
公式サイト内の
ブログ、
中村児太郎さんの
facebookなど、
ニュージェネレションな皆さまからの情報発信もチェック♪
まるで戦隊物のような公演ポスタービジュアル。
「イチオシは米吉くんのピンク。この色が似合うのはこの男しかいません!」(by 歌昇さん)
おけぴ取材班:mamiko(文), hase(撮影) 監修:おけぴ管理人