2015/01/23 新国立劇場バレエ団『トロイ・ゲーム』リハーサルレポート

3月14日開幕の新国立劇場バレエ団『トリプル・ビル』、レパートリーである『テーマとヴァリエーション』(ステップや身体の動きでチャイコフスキー音楽をより細かく表現した華やかで美しい作品♪)、『ドゥエンデ』(神秘的な魅力、精霊を意味するそのタイトルどおり、振付とドビュッシーの音楽が一体となった魅力的な作品♪)とともに披露されるのは新制作『トロイ・ゲーム』



ここまで “華やかで美しい” “神秘的” などの形容詞を並べてまいりましたが、『トロイ・ゲーム』を修飾するのは “勇猛果敢” そして “ユーモア”。さらに出演は男性ダンサーのみ!
一風変わった香りに誘われ、バレエ団ブログに掲載されている写真を見ると「ん?組体操?」という印象。
そんな未知なる世界『トロイ・ゲーム』のリハーサルにお邪魔してまいりました。

とその前に!まずはこちら、バレエ団ダンサーの福田紘也さんによるPR動画をご覧ください。



この日は来日した振付指導のジュリアン・モス氏のもと、この10日余り積み上げてきたリハーサルの終盤、通し稽古が行われていました。

通し稽古開始のアナウンスがあると突如リハーサル室に響く “声”、これは発声練習?確かここはバレエのリハーサル室だったかと。いきなりのサプライズです!
もちろん歌を歌うわけではありませんが(笑)、この演目ではダンサーのみなさんの発する声にもご注目?ご注耳?くださいね。

そして、いよいよ『トロイ・ゲーム』のスタートです!


走ったり

跳んだり

闘ったり

ポーズ!

次々に展開する “ダンス” に息つく暇もないこの作品。

サムライ然と刀を構えるようなシーンでは音楽との相乗効果で黒澤映画のような “静” の緊張感(あ、これは本番の衣裳(ギリシャ戦士風)を身につけるとだいぶ印象が変わるかもしれません!)を感じ、バトルシーンではTVゲームのようなぶっ飛び感を味わっていると、いつの間にか身も心もカーニバル!なサンバのシーンに突入、30分弱ノンストップで繰り広げられる男たちの躍動感あふれるダンスに大興奮。
ダンス鑑賞というよりスポーツ観戦に近いような独特の高揚感が楽しめる作品です。




さまざまなユニークな振りが登場するのですが、でもそれは紛れもなく「ダンス」なのです。
モス氏からも「そこはしっかりとつま先を伸ばして」など細かな指示があり、ハッとするような美しさも随所にあらわれます。
前出の組体操のようなフィニッシュポーズからの変化なども意外性があふれていて本当に「面白い!」という言葉がぴったりです。

往々にして、「メチャメチャ面白い」がどんどん展開していくときは「見るは楽し、やるは難し」なのですが…。この作品ももちろんそうなでしょうね。


通常ではあまりお目にかからないこのような振りも!

こちらも作品中の1シーンです

そして、最も印象的だったのは、ダンサーさんにはコメディアン的要素も必要なんだ!というシーンの数々です。それぞれのダンサーさんがキャラ立ちしています!


運ばれたり(八幡顕光さんの面白シーン、最高です!)

躍動が

止まら

ないっ!!からの・・・

これは?!

こうして記事を書いていてもリハーサル時のテンションがよみがえり、思わず身体が動き出すようなこの作品。
写真だけではその楽しさを十分にお伝えできないのがもどかしくもありますが、音楽と振付が一体となったこの興奮はやはり生でこそ伝わります!
新国立劇場バレエ団の男性陣といえば “ノーブル” なイメージが強かったのですが、この作品についていえば “マッスル”!また違う一面を発見できる『トロイ・ゲーム』なのです。

そして、ここだけの話(笑)。
どんどん激しくなっていく振付と音楽に観ている側もヒートアップしてまいります。
そうすると自分の中に「もっと、もっと!」という欲求が生まれます。もうギリギリに挑戦されているのに残酷ですよね。なんだか人間の本能を呼び起こすような不思議な快感を覚える作品でもあります。


モス氏が自ら実演して修正をしていく場面も。こちらは福田圭吾さんと!


モス氏はとても気さくで、明るい稽古場です

モス氏の来日に合わせた10日間ほどに及ぶ集中的なリハーサルの終盤ということもあり、ダンサーのみなさんは疲労もピークに。そこでのモス氏の言葉は「こういう時はまず怪我に注意すること。ただ、疲れてしんどい時こそ伸びるチャンス、さまざまなことを吸収できる時なんだよ」。なんだかバレエに限らず、誰の心にも響きますね。

ここからはもう一組のリハーサルの様子をどうぞ!


 





終盤のシーンながら、この跳びっぷり!!
もしやダンサーズハイの領域?!

そして先日、『トロイ・ゲーム』出演者も発表されましたね!

【3月14日(土)2:00p.m.、3月19日(木)7:00p.m.、3月21日(土・祝)2:00p.m.】
マイレン・トレウバエフ  八幡顕光  福田圭吾  小口邦明
原 健太  宝満直也  池田武志  福田紘也

【3月15日(日)2:00p.m.、3月22日(日)2:00p.m.】
井澤 駿  小柴富久修  清水裕三郎  中島駿野
林田翔平  宇賀大将  高橋一輝  八木 進

ここからより一層磨き上げられ、その全貌が明らかになるのは3月14日!
屈強な男性ダンサーのみなさんが力強く美しく駆け抜けます。
瞬きするのも惜しくなる『トロイ・ゲーム』をお見逃しなく!まさに体感型ですよ♪

【公演情報】
新国立劇場バレエ団『トリプル・ビル』
【テーマとヴァリエーション】
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン
指揮:アレクセイ・バクラン
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
【ドゥエンデ】
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:クロード・ドビュッシー
装置:ウォルター・ノブ
衣裳:スーザン・ユンガー
照明:ニコラス・フィシュテル
【トロイ・ゲーム】
振付:ロバート・ノース
音楽:ボブ・ダウンズ
衣裳:ピーター・ファーマー

2015年3月14日(土)2:00 中劇場
2015年3月15日(日)2:00 中劇場
2015年3月19日(木)7:00 中劇場
2015年3月21日(土・祝)2:00 
2015年3月22日(日)2:00 中劇場

上演予定時間:約2時間05分
(『テーマとヴァリエーション』25分 休憩25分 『ドゥエンデ』30分 休憩20分 『トロイ・ゲーム』25分)
※時間は変更になる場合があります。最新の情報はボックスオフィスまでお問い合わせください。(3月13日更新)

公演HPはこちらから


おけぴ取材班: chiaki(文・撮影)監修:おけぴ管理人

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