2015/02/18 松竹創業120周年『嵐が丘』製作発表レポート

“激烈な愛” を通して描かれる人間の本質!

愛に燃えるヒロインキャサリンに堀北真希さん、愛ゆえに復讐心にかられるヒースクリフに山本耕史さんをはじめとする充実のキャストを率いるのはストレートプレイからミュージカル、歌舞伎まで手掛ける演出家G2さん。舞台版『嵐が丘』の決定版誕生の予感です!

松竹創業120周年を飾る、日生劇場5月公演『嵐が丘』製作発表の様子をレポートいたします。レポ終盤にはおけぴスペシャル、エドガー役の伊礼彼方さんからのコメントも!


G2さん(脚本・演出)、戸田恵子さん、堀北真希さん、山本耕史さん

-作品紹介-
イングランド北部ヨークシャーの荒野に建つ「嵐が丘」という名の屋敷を舞台に、そこに住むキャサリンと孤児ヒースクリフの激烈な愛、そして不滅の愛を描き出した物語『嵐が丘』。刊行されたのは1847年、『ジェーン・エア』のシャーロッテ・ブロンテの妹エミリー・ブロンテが30年という短い生涯で唯一執筆した小説です。



【キャサリン役:堀北真希さん】



「これまでも舞台では芯の強い女性を演じることが多かったのですが、今回もとても気の強い女性だと思います。今までとはまた違った強い女性を演じられればと思います。『嵐が丘』は世界の10大小説といわれる作品なので、その期待を裏切らないよう頑張ります」



-役づくりについて

「激しい性格の女性を演じることになると思いますが、私、普段はおっとりまったりしているタイプなので(笑)頑張って役作りしていきたいと思います」




【ヒースクリフ役:山本耕史さん】



「(今のところ)何が起こるのかほぼわかっていません(笑)。今日、とても大変だと聞き、でもまぁ舞台は大変だからいいものができる、大変であるほど素敵な作品になると思っています(笑)」



-役づくりについて

「僕は最初に作り込んで入るタイプじゃないので、稽古場で相手の声を聞き、目を見たときの感覚を大事にしながらつくり上げたいと。稽古場で立ったときに感じるものが一番大事だと思っているんです。
第一、僕は本をあまり読みませんし(笑)、「ドラゴンボール」ぐらいかな。「デスノート」も後半は字が多くてだめなんですよね。そういう意味でも、本、活字からではなく極力体感から役作りしているんですよね。今回も自分の勘を信じて取り組みたいと思います」




【家政婦ネリー役:戸田恵子さん】



「私自身、こういった不朽の名作といわれる作品に出るのは初めてです。決して自分が得意とするところではないと思いますので、かなりのチャレンジですが出演を決めたのは信頼のおける演出家のG2さん、素敵な共演者のみなさんのと一緒だからです。また、日生劇場という憧れの劇場、これまで一度も立つことのなかったのですが、かつて越路吹雪さんをみたあの舞台に立てるということも背中を押してくれました」



-役づくりについて

「意気込まないことが意気込みです(笑)。
私も耕史くんと似ていますね。もちろん技術的に必要なことがあればその努力はしますが、あまりガチガチに作り込んではいきません。今、台本の第一稿をいただいていますが、真希ちゃんのキャサリンと耕史くんのヒースクリフは目に浮かびますがネリーは何も浮かんでこないんですよね(笑)。でも目に浮かぶ二人がとても素敵なのでいいんじゃないかな(笑)」




【脚本・演出:G2さん】

演出を手掛けるのは、『フォレストガンプ』や『ガラスの仮面』など名作の舞台化において、かつてない脚本と演出手法で新たな輝きを与える演出家G2さん。この作品の演出でもその手腕に期待が高まります。



「『嵐が丘』は文学作品としては傑作ですが、実は舞台としてはまだ決定版は出ていないんですよね。たぶん今回が日本における『嵐が丘』の決定版になるのではないか。普段は大きなことは言わない人間なんですけど、今回はあまりにそれを感じるものですから口にしてみました(笑)」

-今回は脚本も手がけられますが。

「脚本家としては、どうしても自分のセリフでという野心が働きがちですが、今回はエミリーが小説で紡いだセリフがすごくいいので、そのセリフをピックアップしました。
第一稿の段階で9割はエミリーのセリフです。160年経ってもいまだに新訳が出る、なかなかない小説の面白さ、その秘密を探り当てたと思っています。

また映画の『嵐が丘』では1世代の話で終わっていますが、本当は2世代に及ぶ話なんです。そこまで描くと演劇では4、5時間になってしまいますが、2世代をうまく取り入れる方法を見つけたので喜んでいるんです(笑)。キャサリンとヒースクリフのつながりは2世代目までいって初めて見えてくる、そしてそこに感動ポイントがあるのです。
今、その原作に潜んでいる愛され続けるポイントをつかんだ気がしています」

-そのポイントとは。

「たとえばネリーは小説では語り部、全てネリーの言葉を通して伝えられます。舞台、映像化ではその役割が縮小されることが多いのですが、実はネリーをとおしたキャサリン、ヒースクリフというのがとても重要になってきています。今回はそのポイントを押さえました。非常に基本的なことですが、実はやられていない。それは最初に映画が違う方法で別の作品を作ってしまったので、以後そちらに寄った作られ方がしたのではないかと思います」

-続いては、これまで見たことのない『嵐が丘』誕生ヘ向けての演出プランは。

「今回はエミリー・ブロンテが本来書きたかった“凄まじいまでの人間の生への迫力や人と人とのつながりの強さ”、今の現代人が失っているものを気付かされる、という面を大きく掘り下げたいと思っています。ただ名作ということでとっつきにくい印象もありますので、演出もビジュアルを駆使してミュージカルのような場面転換や楽団が音楽をオリジナルで生演奏する形でお届けしようと考えています」

-ミュージカル?!

「歌は今のところないと思います(笑)。
とにかく録音された音楽ではこの物語はできないなと思ったので、音楽は生で演奏します。稽古場でも稽古ピアノで稽古する予定です。このように俳優の揺れに合わせ音楽も揺れていくという意味でミュージカルです」

-ビジュアル面では。

「この物語は意外と場面の種類が少ないんですよね。
嵐が丘の屋敷、そして歩いてどのくらいかな、4マイルだったかな(笑)。スラッシュクロスの屋敷、あとは荒野という状況設定です。
舞台上に嵐が丘の平原が現れているにもかかわらず、スラッシュクロスと嵐が丘も現れるということを考えています。松竹さんの作品なので歌舞伎のテクニックも使い、ビジュアル的にもアッと驚く仕掛けを考えていますのでご期待ください」






不朽の名作『嵐が丘』の新たな輝きに出会いに、日生劇場へ行ってみたくなる。
素敵な製作発表でした!



さらにおけぴスペシャル!エドガー役の伊礼彼方さんからコメントが届きました!


エドガー役:伊礼彼方さん

「このキャストのみなさんとご一緒できる!しかも演出はG2さん、これは絶対面白いでしょ。いまから稽古が楽しみです。G2さんの演出はこれまでに受けたこともありますし、この間観た『フォレストガンプ』も面白かったですからね。

僕が演じるエドガー役についてG2さんからは「一番普通の人間でいて欲しい」と言われています。周りが屈折した人間ばかりですからね、お坊ちゃん育ちですが、まぁ一番まともな人なんじゃないかな。普通の人はそれはそれで難しいですけどね。

今、それを意識しながら原作を読んでいますが、なんとなく『アンナ・カレーニナ』を思い出します。大切な人が壊れていく、それを支えなきゃという状況が似ているのかな。
キャサリンはアンナより若い設定ですし、また関わり方は変わってくるとは思いますが。
初めてご一緒する堀北さんがどのような狂乱の芝居をされるのか、僕の芝居はそれを受ける形になると思うので、実際に稽古をして見えてくるものが大きいですね。

山本さん、戸田さんとも初めてですし、同じく初共演のソニンさんと兄妹役なのも楽しみです。その中で小林勝也さんがいてくれるのは心強いです。なんか雰囲気が僕の父親に似ているんですよね、勝手に親近感を感じています(笑)」







【公演情報】
松竹創業120周年『嵐が丘』
2015年5月6日(水・祝)~26日(火)@日生劇場

<スタッフ>
原作:エミリー・ブロンテ
脚本・演出:G2
美術:伊藤雅子
照明:高見和義
音楽:和田俊輔
衣裳:前田文子

<キャスト>
堀北真希(キャサリン)
山本耕史(ヒースクリフ)

高橋和也(ヒンドリー)、伊礼彼方(エドガー)、矢崎 広(ヘアトン) 
小林勝也(ジョウゼフ)、ソニン(イザベラ)
 
戸田恵子(ネリー) 

陰山 泰(ケネス医師)、小林大介(ロックウッド)、近野成美(キャシー)

横山 敬、篠原正志、林田一高、小谷早弥花、鹿野真央

新嘉喜由芽、市ノ澤直希、大西由馬、柄沢怜奈、坂本達哉、
柴入拓矢、松本海弥、吉田湊

公演HPはこちらから


おけぴ取材班: chiaki(文・撮影)監修:おけぴ管理人

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