2013/06/09　ミュージカル『天翔ける風に』ゲネレポ

激動の幕末、動乱を駆け抜ける熱い風。
それぞれの理想、思いつめた思想、沸き起こる狂気、事件！

ドストエフスキーの「罪と罰」。
その設定を帝政ロシアから幕末に、
主人公も女性にして書かれた野田秀樹さんの「贋作・罪と罰」を、
TSミュージカルを率いる謝珠栄さんの演出・振付でミュージカル化。

2001年の初演以来、３度にわたり上演されている
人気ミュージカル「天翔ける風に」(あまかけるかぜに)が
ニューキャストを迎えクリエにて再演！！
その熱いゲネレポの様子をお届けいたします！

三条英(はなぶさ)役・朝海ひかるさん！

美しい。ものすごく美しい！
凛々しい袴姿、はらりと顔にかかる髪も美しく、その色気に何度もドキっ、
そして思わず前のめりになってしまうくらい吸い込まれそうになる瞳！
しかし、その眼差しは、ある事件をきっかけに、緊張を帯びてゆきます。
心の動きを切々と語るように歌う姿にもぐっときます！

そんな英を包み込むかのような、石井一孝さん演じる才谷梅太郎の暖かさと優しさ。

何とも言えない力の抜け具合で時代を見据える姿が頼もしい才谷。
響き渡る伸びやかな歌声！英と才谷の素敵なデュエットにもうっとり♪

吉野圭吾さん演じる溜水石右衛門(下の写真左から2人目)は、
まるで退屈を持て余すかのように、金にものを言わせて狂乱を煽る悪役っぷり！

どこかネジの飛んだ溜水の狂気に、巻き込まれていく三条家の人々。
情けなさと憂いを感じさせる父親・岸祐二さん(上の写真右端)。
ちゃきちゃきのお母さんっぷりも楽しい伊藤弘美さん(上の写真左端)。
そして、姉・英を慕い尊敬する真っすぐで可愛らしい妹・彩乃かなみさん(上の写真右から2人目)。
透明感のある慈愛に満ちた歌声も素敵です。
自分を犠牲にする優しさから起きてしまった不幸が悲しすぎる！

動乱を駆け抜ける志士達の熱量も凄いです！
先頭をきるのは照井裕隆さんと渡辺大輔さん！
狂乱のええじゃないか踊り！
旗を使った技や殺陣の迫力！
アクロバットも満載！
シアタークリエの空間を使い切る物凄い熱気！
物語のアクセントになる瓦版の二人(俵和也さんと吉田朋弘さん)のきっぷの良さも
客席を巻き込んで盛り上げます。

やんわりと真綿で首を絞めるように追いつめる刑事・浜畑賢吉さん(左)

罪を犯した自分にも翻弄され、さらに時代の波に翻弄される英。
そんな中での才谷とのあたたかい交流。
逃れられない罪のその先は？！

シアタークリエに渦巻く熱い風を、ぜひご体感ください！！

【公演情報】
ミュージカル『天翔ける風に』
2013年6月10日(月)～6月25日(火)　日比谷・シアタークリエ

＜スタッフ＞
原作：ドストエフスキー　
脚色：野田秀樹「贋作・罪と罰」より　
演出・振付：謝珠栄　
音楽：玉麻尚一　

＜出演者＞
朝海ひかる/石井一孝/浜畑賢吉/彩乃かなみ/伊東弘美/岸祐二/吉野圭吾
青山航士/笠嶋俊秀/加藤貴彦/千田真司/俵和也
照井裕隆/平野亙/福永吉洋/吉田朋弘/渡辺大輔

＜ストーリー＞
三条英(朝海ひかる)は、優れた頭脳と剣の腕を持ち、
女ながらに江戸開成所の塾生として学んでいた。

新たな時代の到来に混乱を極める幕末の世に、変革を求めて思いつめた英は、
金貸しの老婆殺害を実行に移し、
偶然そこに居合わせた老婆の妹までも手にかけてしまう。

この予定外の殺人が「一人の悪人を殺し、万の善人を救う」
という自身の思想を揺さぶり、彼女の心に深い影を落とす。

事件の捜査を進める担当刑事・都司之助(浜畑賢吉)は、
英に次第に疑惑の目を向け始めるが、
英もまた彼の仕掛ける執拗な心理作戦と闘う。

英の親友・才谷梅太郎(石井一孝)は、
罪の意識に苛まれる英の異変に気付きその身を案じるが、
彼もまた、より大きな歴史的事件の渦中にいるのだった。

1867年、夏。
「ええじゃないか」踊りに埋め尽くされた江戸では、
民衆の不満と変革を求めるエネルギーが爆発していた。

英の父・甘井聞太左衛門(岸祐二)や母・清きよ(伊東弘美)、
溜水石右衛門(吉野圭吾)との意に沿わぬ結婚に悩む妹・智(彩乃かなみ)たち
三条家の人々もそれぞれの苦悩を抱えていた…。

時代の終焉に向けて、混沌カオスと化した世で、
自らの理想を求めて戦いを挑む人々の行方は…。

ミュージカル『天翔ける風に』公式HP