2013/08/26 タンゴ・ミュージカル『ロコへのバラード』稽古場レポ

バンドネオンの調べ、本、そしてタンゴ・・・
劇場がブエノスアイレスの夜の官能の世界に。
2011年に話題を呼んだ “アルゼンチン・タンゴ・ミュージカル” 『ロコへのバラード』、
愛すべきロコ&ロカたちが再び東京・グローブ座に帰ってきます!

個性派キャストの楽しい稽古場風景が、作品のタンゴ場面になった瞬間
官能的で刺激的な空気に!
ドキドキの稽古場の様子をキャストインタビューで伺ったお話を交えながら
レポートいたします!


石井一彰さん、大月さゆさん、彩吹真央さん、石井一孝さん

アルゼンチン・ブエノスアイレスにあるオラシオ書店。
そこで働く女性店員マリア(彩吹真央さん)が物語の主人公。



「マリアはこれまでは唯一の肉親である姉の看病を一生懸命にしてきた
アラフォー女性です。
自分のことより人のために生きてきたマリアが姉を亡くし、
人生のベクトルを自分のために向けるまでの成長が描かれた作品です。

(劇構造としては)物語の舞台は、毎週金曜日のオラシオ書店での朗読会。
参加者のリクエストをきいて本を選び、
人々はマリアの朗読に心癒されていくんです。
そして、マリアが読む本の世界がタンゴで表現されます。」

本マニア!店長オラシオ(石井一孝さん)は・・・



「僕はボケ役ですね(笑)。
ストーリーとタンゴショウをスムーズにつなぐための接着剤、
ストーリーテラーとしての役割もあるけど、キャラクターはできるだけボケたい(笑)。
そのボケている中に、真心や優しさやマリアへの想いがあるんですけどね・・・
そこにマリアは気付いてくれないんですよ(笑)。

オラシオの本への情熱、“コレクターとしての心理” はすっごくわかりますよ。
ほぼあて書きなんじゃないかな。」
(彩吹さん曰く、「マリアは真心や優しさは気付いていますよ!でも・・・」とのこと)


登場人物はマリアの朗読会の常連客のみなさん、それぞれ愛の迷い子たちです。
彩吹さんのお話にもあったように、その本の世界をタンゴで表現されるのですが・・・
朗読という “静” からダンスの “動” の世界への切り替わりが作品の魅力!
そして物語をより深める楽曲、歌の力もすごいんです!

迷える夫婦には

ChizukoさんとClaudio Villagraさん


こちらはオラシオ書店のコーヒーショップで働くミゲルとガールフレンドのアメリータ!



石井一彰)
「僕が演じるオラシオ書店のコーヒーショップの店員ミゲルは、スイーツ男子(笑)
甘いものが大好きで、アメリータが大好き!
今が楽しい、充実しているというのがあって、とてもマイペースです。
彼女がしてほしいことを考えても、全部逆で空回りしています。」

ミゲルの恋人アメリータは・・・



大月)
「リア充を感じている彼なんですけど、アメリータはアラサーですし・・・(笑)。
ミゲルとアメリータは幼馴染なんです。
知り合って18年、付き合って6年目、このままでも楽しいですし、
大好きなんですけど、このままでいいのかなぁと感じています。
そこでマリアに悩みを打ち明けて、マリアが本を選んでくれて、
それを聞いたことで・・・二人はどうなるでしょう(笑)。」

見てのお楽しみございます♪


朗読会の常連客はほかに西島千博さん演じるイス職人のラロ
(残念ながら取材日にはいらっしゃいませんでしたが(涙))も!

タンゴの世界+西島さんのバレエ、この化学反応も前回同様に見どころです!!
マリア、オラシオ、ラロの関係も・・・お楽しみに♪

ここで、出演者でもあり振付も担当されているClaudio(クラウディオ)さんをご紹介。
(※振付は初演のマリオ・モラーレスさん、西島千博さん、
港ゆりかさんの振付をベースにクラウディオさんがアレンジする形となっております。)



お花屋さんとアメリータのシーンでは、女性の手の取り方、立ち去り際の仕草
ダンスだけでなく “ラテンな男性” の所作もにこやかに指導!!



進藤学さんはアルゼンチンタンゴ講師の資格も持つ俳優さん!
クラウディオさんの指導でラテン度さらにUP!!


こういうシーンは・・・あるのかな?(笑)

アルゼンチンタンゴを世界中に知らしめたミュージカル「ForeverTango」の
オリジナルキャストとしても有名なクラウディオさん。
素の時は陽気で、稽古場を明るく照らす太陽のような方ですが、
タンゴとなると、この通り!


濃厚!

彩吹さんも
「男性のリードに身をゆだねる、任せれば任せるほど楽に動けるんです。
私が力を抜けば抜くほど男性が素敵に踊らせてくれる、
タンゴってそういうものなんですよね。」


素敵です!

こちらはダンサーのAndres Gonzalezさん
彫刻のような端正なお顔立ちでダンスも情熱的♪

そして、お稽古後に彩吹さん、石井一孝さん、石井一彰さん、大月さんに
お話を伺いました。

‐彩吹さん、石井(一孝)さんは前回から引き続いてのご出演、
再演に向けてのお稽古が始まったところですが、今の心境をお聞かせください。




彩吹)
曲を聴くとああこういう感じだったなぁと、
体に染みついていたことが蘇ってきますね。
初演の稽古では振りを覚えることで精いっぱい、“楽しい” と思えたのは
実は舞台に行ってからだったんです。
それが今回はもう楽しい!
そこからスタートできることがありがたいですね。

石井)
一度やっているということで、故郷に戻ってきたような安心感があります。
でも初演をなぞってもしょうがない、そこに何を積み重ねていくかということだよね。
それがないと再演の意味がないからね。
なっちゃん(大月さん)とか一彰とか加わることで、新しい血液が入って、
まさに “レナセレ” 、新しい作品として生まれ変われたらいいなと思いますね。
(この日ご披露いただいたシーンが「レナセレ=生まれ変わる」でした!)

‐再演に際し、ここを深めたいと意識されていることはありますか。

彩吹)
もちろんタンゴなど技術的なことも大事ですが、
この2年間で私自身も舞台人としてもいろんな経験を積んで、
どこか成長していると思うので(笑)、
それがにじみ出ればいいなと思っています。

‐にじみ出る!

彩吹)
はい。 “そこを見せるぞ” ではなく、“にじみ出る” です。
それはマリア自身がそれこそ “私が!” っていうタイプじゃないので。
たとえば朗読している場面だったら、みなさんの真ん中にいて揺るがない存在感。
そういうところが2年前より深まっていたらいいなと思っています。

‐石井さんはいかがですか。


写真左は作・演出の小林香さん

石井一孝)
歌担当としては、曲がねぇ、難しいんですけど素晴らしい曲なので、
それをいい曲だなと思ってもらえるように歌いたいというのがまずあります。
それから、ゆみちゃん(彩吹さん)と僕は三角関係の間柄ですので、
その辺のね、芝居のところももう一つ掘り下げていけたらな。
そして三角関係のもう一人、今日はいなかったけどね、
西島さんが帰ってくるのも楽しみです。
今でも “濃い” このカンパニーがさらにすごいことになりそうです!

彩吹)
また、新しい風を吹き込んでくれそうですよね!

‐では、その濃いカンパニーに新しく加わったお二人はいかがですか。

石井一彰)
演出の小林香さんをはじめ、カンパニーのみなさんがとても温かいので自然に溶け込めました。

彩吹)
初日から家族みたいな感じだったよね!
今日、二人のシーン(「心の花」)を見せてもらったけれど、
また新しい雰囲気で素敵だなって感じました。

大月)
私は再演のカンパニーに入るのは初めての経験なんです。
これまでは石井(一彰)さんと二人でお稽古してきたのですが、
昨日そこにChizukoさんが入ってくだって。
それだけで場面の空気感がすごく伝わってきました。
ゼロからじゃない良さを体感しました。

‐タンゴはどうですか。

石井一彰)
Chizukoさんが “タンゴはお芝居だ” とおっしゃっていて。
ダンス全般そうなんでしょうが、特にタンゴは二人の関係性が大切なんですよね。
二人のことやほかにもいろんなことを考えながら踊っていると、
すごい汗も出てきて、朦朧としてきて(笑)。大変です。

大月)
私も本格的なタンゴは初めてですが、ストーリーがしっかりあるので、
タンゴを踊る!というより芝居をしている感じです。
今日も歌を聴きながらやったのですが、それだけでも全然違いますし。

‐今日拝見した、『ママ恋人が欲しいの』は見ていてキュンとする初々しさでした!



大月)
『ママ・・・』が10代、幼馴染が出会ったところで、そこからの展開が
とってもスピーティーなんです。
そのひとつひとつ自分の中に落として、深めていけたらと思っています。

‐その後の展開、タンゴも芝居も楽しみです。アメリータとミゲルの恋の展開も!

石井一孝)
そうそう、今思ったんだけどさぁ、
マリアは二人のことを何とかしてあげたいなと思っていたわけじゃない?

彩吹)
思ってましたねぇ。

石井一孝)
俺、店長で、この二人のことも知らないわけないじゃない、6年付き合ってるわけだし。
でも、何にも言わなかったんだろうね(笑)。

もし相談されたとしても、「いいんじゃないかな...成り行き任せで。」
なんて適当なことを言うんじゃないかね。
頼りにならないよね、オラシオ(笑)

石井一彰)
大丈夫ですよ、たぶんミゲルもオラシオには相談しないと思います(笑)

石井一孝)
そっかそっか!

一同)
爆笑!!

‐恋に疎いオラシオもなかなか切ない思いを抱えていますよね。

石井一孝)
片思い的なね。
でも、そういうところを表現できるのはとっても楽しくて!

‐楽しいんですか?

石井一孝)
なぜならとっても慣れているからです、その筋の帝王みたいなところがあるんで(笑)!
経験を活かしたい!!

石井一彰)
それって “片思いの帝王” ってことですか?

石井一孝)
そう! “片思いの帝王” 、あたらしいキャッチコピーできた!

一同)
(再び)爆笑!!

‐なんだか、オラシオにとーっても感情移入してしまいそうです。
でも、意外にオラシオ萌な乙女は多い気もしますよ!
みなさん、お疲れのところ楽しいお話、ありがとうございました!!

濃くて熱い大人なカンパニーがタンゴと芝居、歌、音楽で綴る
さまざまな “愛” の世界、ぜひ劇場でご覧ください!


【公演情報】
タンゴ・ミュージカル『ロコへのバラード』
2013年9月19日(木)~29日(日)@東京グローブ座

<スタッフ>
作・演出:小林 香  
音楽監督:小松亮太
振付:Claudio Villagra  Mario Morales 西島千博 港ゆりか

<出演>
彩吹真央/Claudio Villagra/Chizuko/
石井一彰 大月さゆ 進藤 学 Andrés González
西島千博(特別出演)/石井一孝

演奏:キンテート・オセイロ  GUEST:小松亮太

<STORY>
ブエノスアイレスのオラシオ書店は、古い劇場を改装した本屋。
ここでは、半年前から毎週金曜日の晩に大人のための朗読会を開いている。
書店主は、読書狂のオラシオ。朗読するのは、オラシオ書店の店員マリア。
そして朗読会に集まってくるのもまた、冴えない面々ばかりだが――。
マリアが本を開き、物語を語りだす。イマヒナシオン(想像)とファンタシア(幻想)が
現実と交差しはじめ、ブエノスアイレスの夜を彩るのは、そう、Tango!

公演HPはこちらから

【参考】初演時のゲネプロレポートはこちらから
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人

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