花組芝居 加納幸和さん | おけぴ管理人インタビュー#1 | チケット救済 | 公演紹介 | 観劇ノススメ | 検索 | 使い方(FAQ) | サイトマップ | トップ |

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先日、ふとしたきっかけから 「花組芝居という面白い劇団があるよ」と聞き、 どんな劇団なんだろうと調べてみたら、とても面白そう。 DVDを借りてみてみたらますます興味がでてきて、 座長の加納幸和さんにお話聞かせていただけますかと お願いしたら快いお返事。お電話した翌日にお伺いして参りました!
というわけで、突然企画。管理人劇団訪問第一弾オケピネットインタビュー。 夏ノ夜ノ夢の演出も手がけられている加納幸和さんです。

オケピネットにも結構チケットが出ていた夏ノ夜ノ夢、反応はいかがでしたか?

 今回は賛否両論ですね……。 脚色の段階でいろいろあったんですけど、 シェイクスピアをいじるのは難しいと思いました。
 商業演劇はこれで4回目なんですけど、やるたびに難しい世界だと思いますね。 商業演劇みたいな大きな現場になると、いろいろな先輩たちの考え方やイメージもあるので、一つにまとめるのが大変です。結局まとめることはまとめるんですけど、実際に見てみると、「これでよかったのかなぁ」と思うときがあります。
 そういう点で言うと蜷川さんが東宝でやってらっしゃった時は頑張ったんだなぁと思いますね。自分の作る世界のためにあれだけがんばるというのはなかなかできないことだと痛切に思いました。蜷川さんというのはすごい人だと思いましたね。
 それに比べると、花組芝居の方は、もう自由でいいんです。 「こうしたいんだ」と言うと右むけ左むけという風にやってくれるんで。

公演がはじまったらあまり調整はしないものなのでしょうか?

 あまり調整はしません。外部公演などで、いろんな意見があって「変えてくれ」ということだったら変えるんですが……。
 案外演出家って商業演劇だと初日以降あまり来ないのが普通らしいんです。プロデュース公演でも、忙しい演出家さんは最初だけ見て次の仕事行ってしまうみたいですね。
 花組芝居の方でも、変えたことはほとんどないですが、一回だけラストシーンを大幅に変えたことがあります。「下北沢ザ・スズナリ」での一ヶ月公演だったんですが、僕が気に入らなくなってしまって、衣装も発注し直して変えてしまったことがありました。

「花組芝居」はどんな劇団ですか?

 「花組芝居」は歌舞伎にもっと親しんでもらおうという目的で87年に立ち上げました。
 僕は3歳くらいの頃から歌舞伎を観ながら育って、だいぶ年齢がいってからいわゆる「新劇」も観るようになったんです。親族に役者がいたものですから。それで新劇を観るんですけど、歌舞伎ばかりを観て育ったせいか、台詞だけで演劇が成立するというのが僕にはぴんとこなかったんです。
 それで、大学は演劇を志して日芸(注:日本大学芸術学部)に入ったんですけど、それまでアンダーグラウンドを観たことがなかったので、学生の時観まくったんです。すると、あぁ面白いなって思う芝居を観た時は、どこかに歌舞伎の要素があるんですね。考え方ですとか感性とか、演劇の要素の中に芝居小屋というか、お芝居お芝居したものがあるんです。
 野田さん(注:野田秀樹)のお芝居を観た時でも、これは歌舞伎の「ないまぜ」ではないかと思ったんです。違うテーマが「ごちゃまぜ」になるというか、これって歌舞伎じゃないか、と。
 それで勉強して調べていくと、どうも現代演劇は、特に新劇なんですけど、いろいろ歴史があって歌舞伎と決別しちゃっているんですね。
 なぜかというと、戦後の検閲で演劇活動が全部禁止になったんです。それが解禁されたのは能や狂言などの伝統芸能からだったんです。それでいわゆる新劇の頂点にいた人達は、平等主義の新しい日本国を作るのになぜ封建時代の「権化」のような演劇から解禁するんだ、といってマッカーサーに抗議した。
 そのせいもあって、古典芸能なんてつぶしてしまえ、というような考えになってしまったんです。それ以降、新劇の連中が古典芸能と距離をおくようになってしまったんですよ。
 それからだいぶ経って新劇でも南北物などをやり始めたんですけども、歌舞伎が持っている演劇的な要素や面白さを取り入れなくなってしまった。取り入れる土壌を作らずに何十年と来てしまったんです。
 そんな理由で歌舞伎と現代演劇の間に違和感があるんだということが分かって、ここがつながったらもっと面白いものができるのに、という思いで劇団を作ったんです。そうすれば、歌舞伎を取り巻いているお客様や年配の方も現代演劇や小劇場を観にきてくれるんじゃないかな、と思ったわけです。

その第一作が「ザ・隅田川」(作・演出 加納幸和)ですね

 いきさつはたまたまのことで変な話なんですけど、ベニサン・ピットを所有してる人を知っていて、「スタジオ作ったんだけど空いてるから使わない?」と言ってもらったんですよ。19年前だから、ベニサン・ピットが始めてまもなくの頃だったと思います。 今じゃ考えられないんですが、光熱費だけで貸してくれたんです。劇場も安く貸してくれて、せっかくやらしてくれるんだったら、豪華にやろうということになったんです。で、隅田川沿いだったので、隅田川の話にしようと。それでちょうどその頃が桜の時期だったので、「じゃぁそういう話にしたらいいじゃん」となったわけです。

 

その後「ザ・隅田川 再演ニ非ズ」を上演されました

 脚本から何から全部変えました。同じ名前にしたのは、脚本の作り方が同じだったからです。
 昔、役者は芝居小屋と一年ずつの契約だったんです。歌舞伎の世界のお正月は11月なんですけど、11月に今年はこのメンバーでいきますという披露をするんです。本来それが「顔見世公演」なんですよ。だから、それぞれの役者の見せ場を羅列してあるんです。ストーリーなどはどうでもよくて、辻褄が合っていないんですが、本来はそういうものだったんですよ。
 しかも顔見世作品というのは一回なんです。「紹介する公演」なので、再演はしない。たまたま大ヒットしてその中の一部が残るケースもありますけど、基本的に一回こっきりなんです。
 で、劇団なので、隅田川をテーマにして、劇団にこんなメンバーがいるから、隅田川物の、おいしいところをぴったりあうキャラクターにはめこんでそれを全部コラージュしようと思って作ったんですよ。
 「素」(注:素ネオかぶき)の時は、利賀村のフェスティバルに参加してた時で、3年間続けることになっていたんですが、東京でやらないことをやって下さいと言われていて、しかも山奥なので大道具とか運ぶのが大変なんですね。1年目はいろいろやったんだけど、作業場もないし、劇場も普通の劇場じゃないから、この空間に合うものを作ろうというんで、じゃあ日本舞踊の素踊りみたいな、紋付袴だけでやっちゃえば……と。

 シンプルにやるんだったら、いわゆる豪華絢爛で売った作品をわざとシンプルにした方が面白いんじゃないかなということで、「ザ・隅田川」をもってきて、もう一回利賀村でやるために脚本から練り直したんですね。

  
(前回公演の舞台の様子。写真:宮内勝)

初演の「ザ・隅田川」は豪華絢爛な演出だったのですか?

 初演は大掛かりなものでしたね。ベニサン・ピットの3分の2を舞台にしちゃって、3分の1が客席。2階だての屋台を組んで、それが仕掛けで居所変り(注:回り舞台などを使わずに舞台装置を転換すること)していました。本番中の裏方のスタッフが10人必要な舞台だったんですよ。どうしても空間を埋めたくなってしまうんですね。劇場の中全体を異空間にしたいんです。本当は予算があれば毎回客席までいじりたいんですが、そうもいかないんで……。
 「下北沢 ザ・スズナリ」で一ヶ月公演(「奥女中たち」)の時は、客席も全部セットで飾りました。後ろのブースのところまで。ロビーもやりたかったんだけど、さすがにそこまでは予算がなくてできませんでしたが……。

先ほど稽古場で桜を見かけました

 隅田川物って案外桜がつきものみたいな演目なものですから。10年前にやったときも舞台の上に桜を飾ったんですよ。

花組芝居という名前は桜からきてるのでしょうか?

 僕、学生の頃に小さい劇団にいたんですけど、喧嘩して辞めちゃったんですよ。それで一時「加納幸和事務所」という名前で4年間くらい、年に1回公演していたんです。その後劇団にした方がいいかなということになったんだけど、名前はそのままでいこうと思っていたんですね。だけど、それをデザイン関係の人に相談したら「体制が変わって新しく再出発するわけだから、アピールするためにも名前を変えた方がいいよ」と言われて、あ、そうかと思ったんです。
 江戸時代は「芝居」というと歌舞伎のことだったんです。ほかのものと区別するために人形芝居とかナントカ芝居というふうに頭につけていたんですね。何をつけようかなと思ったんですが、当時「男闘呼組」が人気があったんだけれど「男組芝居」というのも、ねぇ(笑)じゃぁ花にしちゃえということで「花組芝居」となったんです。名前を考えたときに同時にロゴも考えました。
 あと、 「二子玉屋」などの屋号は3年目くらいからつけ始めました。役者さんが入ると「屋号」と「紋」をつけるんです。

紋はどなたが描いているのでしょうか??

 大体僕が描くんですけど、まずどんな紋にしたい?と訊くんですよ。海に関係したもの、とか言われて、僕はありそうでないものを考えるんです。ちょっと冗談入りのね。この劇団の紋も、蝶々の格好してるんですけど、大根なんですよ。大根蝶って。 大根役者っていうので。

今回口上があると伺いましたが

 ええ。今回は舞台上で口上があります。新人が3人いて、今まで研修で2公演出してるんです。
 役者ってやらせてみないとわからない部分があるので、研修を受けにきたらまず舞台に出すんです。毎公演審査があって、入れるか落すか、大体2回で決めます。

研修というのはどういう内容のものなんでしょうか?
古典芸能について教えたり、また歌舞伎などの知識を
役者さんに求めたりされますか?

 いや、役者はそういう知識を持ってない方がいいんです。それにとらわれてしまいますから。
 歌舞伎が好きだったり古典芸能をかじってる人間は足抜けできないんですよ。 自由になれない。なかには歌舞伎知ってる人間も何人かいますけど、どうしても趣味的になってしまうんですね。
 最初劇団作った時も、何回目かの公演で「そうか、君ここまでやるんだ」って言われたんですよ。趣味の範囲だと思われていたんです。「歌舞伎好きの演劇人が芝居作っている程度だと思ってたんだけど、ここまで徹底してやるのか」と言われて「だって本気ですもん」と言ったんですがね。
 だから、歌舞伎をたくさん観ていて女方になりたいというような人に演らせると、「うーん、そこから抜けられないか君……」というようなことになってしまうわけなんです。

最新の時事ネタや、音楽も和洋折衷いろいろとりいれたりされてますね

 歌舞伎が本来そうでしたから。歌舞伎の舞台からファッションが生まれたり、 流行が生まれたりと、文化の中心に歌舞伎があったんです。当時の事件をすぐ折り込んでみたりとか、役者の着ている衣装が大評判で、その柄が女の子のあいだで流行ったりっていうこともあったわけです。
 テーマやストーリーは古典のものをやっていますけど、今風なものを取り入れておこうということはありますね。ただあまり入れすぎると、毎回なので、評論家とかには「もういい加減遊ぶのやめなさいよ」と言われます。軽く見られちゃうんですよね。でもまあいいやと思って(笑)。お客さんが喜んでくださればいいかなと(笑)。

今回の「ザ・隅田川」の見所を教えてください

 前回の公演から10年も経っているのでもう観た方も少ない可能性がありますね。劇団員も半分以上この作品には出ていないんです。
 演劇の可能性を見ていただきたいなと思います。僕も隅田川の素の形は利賀村でやるからって作ったんですけど、評判がよかったので他にもその形式のものを何作か作っています。
 歌舞伎が持っているいろいろな可能性──「歌舞伎がここまで変わることができるんだよ」とか、「音楽をこういう使い方ができるんだよ」というね。「パフォーマンスなのか演劇なのかダンスなのかちょっとよくわからんぞ」みたいな、お芝居の幅の広さというんでしょうか。それが例えばアーティステックで前衛的な芸術として観るだけじゃなくて、しかも親しみやすいっていうような。それはまあ常に我々が狙ってるところなんですけれど、ある種その究極の作品なので、それを見ていただきたいなと思いますね。

事前にストーリーを把握しておかなきゃいけないってことは?

 全くありません。わざとストーリーが大混乱してますんで。大体はじめの何分かで「あぁ、これストーリー追っちゃだめなんだな」と思うと思います(笑)

ありがとうございました。公演楽しみにしています♪
 最後に、観劇大好きな皆さんにメッセージをいただけますか?


(クリックするとビデオを再生します)

p.s. 花組芝居の水本さんが作った稽古場PR映像が できたそうです。マックでないと無理かな。
http://web.mac.com/mimizun/iWeb/Site/Blog/Blog.html

二子玉の閑静な住宅地の中にある花組芝居の稽古場。中に入って階段を降りる と、そこには立派な専用の稽古場が。この稽古、みていて全然飽きないんです よね。好きなシーンを何度もリピートできる贅沢みたいな感じ♪  また、舞台上でアンサンブルの人達の動きを見るのが好きな私としては、 練習中のアンサンブル(とよんでいいのかな。そのシーンでメ インの人以外の人達)の動きをみてるだけでもとても楽しかったです。 また、休憩時間や練習が終わった後、稽古場に残って練習したり くつろいだりする役者さんの姿を見ていると、あーこうしてみんなで 何かに打ち込んで一つのものを作り上げていくって素敵だなぁと思いました。 今後も、面白そうな劇団や公演があればご紹介していきたいと思います。 by オケピ管理人 2006/03/30

4月12日のゲネプロ(リハーサル)をみて by 管理人

草月ホール。いってきました。ゲネプロって観させてもらうの、実ははじめて。
客席にはほとんど誰もいなくて、舞台をひとりじめ。 なんて贅沢な。。。って思ってたんだけど、観終わって思いました。 客席にお客さんが入っていて一緒に反応したり 拍手したり、笑ったりする方が面白いと! 今日も拍手したいところがいっぱいあったけど、 できひんかった。でも最後は拍手できてほっとしました。
私は今まで歌舞伎を観た時、途中からこう じょじょに盛り上がってくるなーっていつも思うんですが、 今日もそんな感じ。植本さん(今日一番のお気にいり)の登場あたりから こうぐいぐいとひかれはじめ、後半は桜姫や山下さんの キャラをかなり楽しんでました。
また、口上のところとかめっちゃ面白かったんだけど、 あれは本番ではどうなるのか、それも楽しみ。 そして最後の盛り上がり、お見事です。 いい舞台です。本番は17日に観にいく予定です。
ちなみに稽古場訪問で観たスーパーの籠は鯉になってました。


かぶき座の怪人 Phantom of the KABUKI
20周年記念公演第1弾

東京公演
 2007年3月15日〜25日@全労災ホール/スペース・ゼロ
大阪公演
 2007年3月31日〜4月1日@新神戸オリエンタル劇場

より詳細なチラシ情報はこちら

おけぴ管理人のかぶき座の怪人稽古場レポはこちら




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