2001年にたまたま行ったコンサートで、コンマス(コンサートマスター)の方をみて私は衝撃を受けました。うまい。
そしてなんと茶髪だ。しかもピアスだ。めっちゃ目立ってる。
それが石田さんでした。
その後も、キャンディードを観にいったらオケピにいらっしゃったりして、
一度お話をお伺いしたいなぁと思っていて実現しましたのが
このインタビューです♪
宮本亜門さんのミュージカル「キャンディード」ではオーケストラピットで演奏されてましたね。
今いろいろな仕事をやってまして、中でもスタジオの仕事をよくやってるんですね。それで、その関係の音楽事務所から直接電話がありまして「こういう企画があるんだけど、期間が長いんだけどどう?」ということでお話をいただいたんですが、
「もしやるんであれば、僕に人を集めさせてください」とお願いしたんです。長い期間ですから、やっぱり気の合う仲間とやりたいじゃないですか。それは了承してもらって、メンバーは僕が集めました。仲のいい人たちばかりなので、メチャメチャ楽しかったですね。
結構期間が長かったですよね
もう、かなり大変でしたね、楽しかったですけど。
だって20回以上やりましたからね。疲れましたね(笑)。
コンサートマスター(コンマス)をされている 神奈川フィルハーモニー管弦楽団(神奈川フィル) はどのようなオーケストラですか?
神奈川フィルは繊細なオーケストラです。
もちろんダイナミックさもあるんですけど、
それだけではなくて、繊細さもあるオケです。
コンサートマスターというのはどういう役割なのでしょうか?
僕がいつも答えるのは、オーケストラにはいろいろな指揮者が来るんですが、指揮者の持っている音楽を感じとって、団員に伝える。それが自分の役目だと思いますね。自分が一番指揮者の近くにいますから。
他のコンマスの方と比べても、思わず見つめてしまうくらいくらい大きく動いていらっしゃいますね。
たぶんコンマスにもいろいろなタイプの方がいると思うんですけど、僕の場合は口下手なもんですから、「ここはこうしましょう」とか口で言うのではなくて、体で表現するんです。僕の背中を見て演奏するわけじゃないですか。だから背中で伝えるんです。
石田さんを最初に見たときの印象として、茶髪だったり、ピアスだったりということがある思うんですが、演奏しているときにそれが自分の精神状態に影響を与えたり、ということはあるんですか?
いや、あまりないですね。こういう目立つ格好をして自分でプレッシャーをかけているところがあるんです。格好だけじゃだめで、実力もないと、ということです。野球の新庄と一緒ですよ。彼も目立つことやってるけど、やることはやっているじゃないですか。そんな感じです。
小さな頃からヴァイオリン一筋の生活だったのでしょうか
いえ、プロを目指すと決めたのも遅くて、
高校までは普通の高校に行っていたんですよ。
音大に行くというのは高3の秋に決めたんです。
それまでは府中にある高校で普通に勉強していまして、
系列の大学もあったんですよ。
それで推薦も取れるし、そのまま上に行こうかなという軽いノリで
大学見学に行った時に、「ここで何するんだろう」と悩んで、
やっぱり音大かなぁと。その時に勉強がはじまったんですよ。
ピアノは小さい頃に少しやっていたんですけど、
とにかく試験の課題曲をひたすらさらいまくりましたね。
メチャメチャ集中してました。
浪人をしたくなかったので。とにかく気合入れていましたよ。
忙しいスケジュールをどういうふうに管理されてるのでしょうか
まず遅刻は絶対しないですね。一番よくないことなんで、遅刻はしないです。あとは一週間なら一週間の計画を自分で立てるんですよ。計画立てるのが結構好きですね。この日は何々を練習するということを書いてあります。計画通りにいかないときもあるんですけど、いろいろな曲を練習しなきゃいけないんで、とりあえずそういう風に書かないと、ゴチャゴチャになっちゃうんです。
僕の場合はとにかく時間を制限されているので、いかに空いている短い時間で集中してやるかというのもありますね。時間の使い方はうまいと思います。
ストレス解消法は?
ゲーセンはもう卒業しましたけど。パチンコはよく行きます。勝ったらずっと、とはならないですよ。でもたまに全然でなくてとまらないときがあってどんどんつぎこんじゃったり……(笑)。
ヴァイオリンは何台くらいお持ちなんですか?
僕これ1台だけです。これは長いですね。
知り合いの知り合いから買ったんですが、もうかなり使っています。
これだ!という感覚があったわけですか?
そのときはあまりよくわからなかったというのが正直な話です。でも長年ひくと愛着がでてきたんですよ。自分にあうようになってきたんですね。自分の努力と、愛情で。
ちなみに一番好きなヴァイオリンコンチェルトは?
「一番」っていうのはないですね。自分がその曲を好きにならないとだめだと思うんですよ。お客さんがいるわけですから。だから「どれがいい」という
ことはないですね。そうでないといい演奏はできないと思うんで。
では一番思い出深い曲となると……?
思い出深い……、
今年の5月に、神奈川フィルの定期演奏会でアメリカのフィリップ・グラスという現代作曲家のヴァイオリンコンチェルトを弾いたんですよ。なかなか演奏する機会がない曲で、僕も初めて演奏したんですが、その演奏会のときはもうお客さんがいっぱいで、それも嬉しかったですし、そういう有名じゃない曲で「ブラボー!」とかね。そういうの嬉しいんですよ。
あとはハチャトゥリアンを弾いたときに、前半はシャツ着てコンチェルト弾いて、後半は燕尾服でシンフォニー弾いたんですが、そういうことってあんまりないんですよね。一日にソロを弾いてコンマスをやって、終わったときは自分の中で達成感がありました。
そのハチャトゥリアンのときは、バラの刺繍の入ったシャツを着られてましたね
ハチャトゥリアンのあの曲は民族的要素の多い曲なので、燕尾服よりもシャツ系でやったほうがいいかなと。あのシャツはうちの親の手作りなんです。趣味で洋服つくるもんですから。何枚かあって、そのうちの一つですね。
ソロで弾いたりするときは曲目にあわせて考えるんですか?
そうですね。シャツが多いですね。オーケストラの場合は燕尾服着なきゃいけないとか決まってるじゃないですか。ソロの場合は自由ですから。
シャツなら一枚でいいですし。燕尾服って重ねて着るから結構弾きにくいんですよ。
ピアソラとかを演奏するときには、アドリブはあるんですか?
いや、基本的にクラシックの演奏家というのはアドリブができないんですよ。
逆に、この前もあるジャズピアニストの方と共演したんですが、
ジャズの人たちというのは、音符が書いてあると弾けないんですよ。
コードでずっと弾けてしまうという……。
だけどクラシックの人たちは音符がないと弾けない。
だからその時は楽譜を書いてもらいました。
僕がジャズに挑戦というコーナーがあったんですけど、
書かないと弾けないし、コードを見ても分からないし。。
お客さんは女性が多いですか?
多いですね。男性も増やしたいんですけどね。クラシックファンの割合自体が女性が多いんじゃないですかね。でもなんか嬉しいんですよ。例えば演奏が終わってから
高校生くらいのヤンキー風な人達が「石田さん、ちょっと握手してください〜」とかって来たりすると嬉しいんですよね(笑)。
去年ピアソラで野外ステージみたいなことやったんですけど、無料で聴けるイベントだったのでたまたま来ていたのかもしれないですけどね。何か感動したんじゃないですかね。クラシックを余り知らない人達が何かを感じてくれたっていうのが嬉しかったんですよ。
緊張はする方ですか?
緊張しすぎるのもよくないですね。開き直りですよ。例えば、もちろん本番までに自分なりに仕上げてくるじゃないですか。だからもうやることやったし、別に失敗してもいいじゃん、それで終わりじゃないし、失敗しても次がんばればいい、そういう気持ちで弾いているので、ほどよい程度の緊張はありますけど、そんなに緊張はしないですね。
僕は演奏前はとりあえず楽屋で30分くらい寝るんですよ。人によりますけどね。直前までさらってる人もいるし。
クラシックの演奏会に行くときに何かアドバイスがありましたら
もう聴き方なんか人それぞれでいいと思うんですよ。もちろん予習して、「この曲はいつごろ作られて、作曲者がどういう気持ちで書いたのか」というものを事前に知ってから来るのもいいですし。あとはもう「誰それさんを見たいから聴きに来る」とかでもいいんですよ。クラシックなんてそんなに詳しく知らなくても全然いいと思います。
服装も、こんなんでいいんですよ(自分の服装を指して)。
何でもいいんです。僕もリハーサルとかはこんな格好で行きます。
何でもいいんですよ。
今後はどのように活動をされていきたいというのはありますか?
僕は今の状態が結構理想的な形なんですね。
満足しているわけじゃないんですが……。
ソロもやり、オケもやり、ピアソラもやり、トリオもやり、
というようないろいろなことをこれからもやっていきたいですし、
ずっと続けられたらと思います。
2006/12/8 杉並公会堂での演奏会の告知映像
(音があまりひろえてなくてすみません)
石田泰尚
Ishida Yasunao
95年、国立音楽大学を首席で卒業、同時に矢田部賞受賞。
96年、22歳の若さで新星日本交響楽団副コンサートマスターに就任。
2年後、同楽団のコンサートマスターに就任。
YAMATO弦楽四重奏団(94年結成)のメンバーとして、
2000年には世界初録音となる山田耕筰の弦楽四重奏曲のCDをリリース。
2001年4月より 神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任。
その豊かな音楽性は「繊細で優美な音楽をさらにきめ細やかに表して、浄化された深い詩情が香り立つ魅惑的な演奏」(音楽の友)など、各方面から高く評価されている。
2003年10月、ソロデビューアルバム「情熱のヴァイオリン」をリリース。クラシックにとらわれず、現代タンゴの革命児アストル・ピアソラの作品を演奏するトリオ・リベルタ(2000年結成)のメンバーとしても活躍中。
2005年には、ピアニストの及川浩治氏、チェリストの石川祐支氏とトリオを結成。
現在、最も注目されている若手音楽家の一人である。トリオ・アパッショナート(Pf:羽田健太郎、Vc:村井将)メンバー。
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新宿の京王プラザホテルでインタビューさせていただいたのですが、
直接至近距離でお会いするのははじめてだったのですが、ロビーで
遠くからみて、一瞬で石田さんとわかりました。とてもとても目立っておりました。
終わった後も颯爽と帰っていかれまして、読者プレゼント用にCDにサイン
もらおうと思ったんですが、忘れてしまいました。すみません。
ご希望の方いらっしゃいましたら、サインのないCD1枚差し上げます。
下記感想欄からご応募下さいませ。
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情熱のヴァイオリン -Violin Appasionato-
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Dolce Violin
-優美なるヴァイオリン-
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神奈川フィルハーモニー管弦楽団 ハンス=マルティン・シュナイト シュナイト音楽堂シリーズ Vol.10
全席指定(税込み)
S:4,000円
A:3,000円
学生(小〜大学生):1,000円
より詳細なチラシ情報はこちら
(チケットプレゼントもありますよ♪)
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