2017年1月、シアタークリエ10周年のオープニングを飾るのはウィリアム・シェイクスピア原作の
『お気に召すまま』。
古典の名作を、大胆にアレンジ、新たな『お気に召すまま』を生み出すのは、ブロードウェイのまさに第一線で活躍する演出家の
マイケル・メイヤー氏。そして、タッグを組むのは、これまた超がつくほどの売れっ子音楽家の
トム・キット氏。永遠のロック魂をもった二人のクリエイターが紡ぐ、新しいシェイクスピアの世界を垣間見る、大変貴重な稽古場取材会が行われました。
舞台となるのは、1967年にサンフランシスコで10万人を集めた社会現象『Summer of Love』!
「宮廷」⇔「アーデンの森」を
「ワシントンD.C.の政界」⇔「ヒッピーの聖地 ヘイトアシュベリー」に置き換えることで、“異界”感が新鮮に、かつ、わかりやすく描かれる大・意欲作!
【人生を謳歌中~トム・キット氏による素敵なフォークソングに乗せて~】
まず、公開されたシーンは、保守派の実の弟によってワシントンD.C.の政界を追放されたロザリンドの父(小野武彦さん)たちが住む、サンフランシスコのヘイトアシュベリーでの気ままな生活の風景。
ロザリンドの父(通常版の老侯爵)の従者でありミュージシャンでもあるアミアンズ(伊礼彼方さん)
自然回帰、ラブ&ピースを謳う、穏やかな伊礼さんの歌声です!
(こちらはトム・キット氏の新曲、素敵なフォークソングです)
人々が集まってくる様子も気まま♪
そこにやってくるロザリンドの父(小野武彦さん)
ワシントンD.C.では、気が休まることがなかった…と、ここでの生活に安らぎを見いだしている様子。
そこに(老侯爵の従者)ジェークイズがやって来て!
というところで終了(笑)
ありがとうございました!
ミュージシャンのなかには、古畑新之さんのお姿も!
「(60年代は)僕が住むワシントンDCでも非常に保守が強い時代。1950年代の残像にしばられ、回帰しようとする動きがワシントンDCではまだ起きていたんです。でも、アメリカのそれ以外のところでは、それに向かって抵抗し戦っていたんだ」(以後、緑の文字でご紹介するのは2月の取材会でのメイヤー氏のコメントです)【恋の熱病にかかったオーランドー、シニカルなジェークイズ、素性を隠したロザリンド&シーリア登場】
続いては、小粋なセリフのやりとりに、女性が男装して 小姓に…、シェイクスピアお得意の(?!)面白さがギュギュッとつまった場面です。
ワシントンD.C.でロザリンド(柚希礼音さん)と出会い、恋に落ちるも離れ離れになってしまったオーランドー(ジュリアンさん)。二人はヘイトアシュベリーで再会するのですが…男装しているロザリンドにオーランドーは気付かない。
ロザリンドへの想いを詩歌にして木に刻む(貼ってあるシートはオーランドー作の恋歌)オーランドー!
想い…溢れまくっています♪甘いセリフを心地よく届けてくれるジュリアンさんにうっとり。
「森(西)にいるキャラクターでも、老侯爵の廷臣ジェークイズなんかはすごくシニカルで昔を引きずっているので、50年代を引きずるようなちょっと古めかしい感じだったり」恋するオーランドーに対して、ネガティブなジェークイズ。
二人のやり取りはまさに“打てば響く”!シェイクスピアだわ、という楽しさ。
言葉の応酬を楽しんでいると、突如始まるフィジカルなバトル?!
ジェークイズ投げる!
オーランドー投げ返す!
埋もれる!!なんとも“男の子”な二人です・笑
ジェークイズは、メイヤー氏が言うようにシニカルなのですが、橋本さんが演じると、どこか可笑しみのある魅力的な人物になります。『お気に召すまま』といえば!のあの名セリフを橋本ジェークイズがどう届けてくれるのか、楽しみですね。
そんな様子を木の影から見ているロザリンドと従妹のシーリア!
お小姓“ギャニミード”として飛び出したロザリンド
オーランドーに恋の指南をすることに!
しめしめ!いたずらっ子な笑顔のロザリンド
視線の先にはシーリア(マイコさん)
なんだかんだで意気投合!オーランドーはギャニミード(つまりはロザリンド、想い人本人)を相手に愛の告白の練習をすることになるのです!
とっても表情豊かで、動きもキレキレの柚希さん。「してやったり!」な表情はとってもキュート、ギャニミードとしては、立ち居振る舞いも、「さぁ、行くぞ」とシーリアを呼び寄せるときの声も男前! シェイクスピアの時代は、女性の役を少年俳優(男性)が演じていました。男優が演じる女性(ロザリンド)が男のふりをする。この入れ子のような構造。長年、宝塚歌劇団で男役を務めてきた柚希さんがロザリンドを演じるというのも、なんだかおもしろいですね。
「ロザリンドも物語の中で男としてふるまう場面が出てきます。彼女は男のふりをして自分が好きな男性に、どうやって自分を愛してほしいかを教えるんだよ、みんなそうできればいいよね(笑)。それによって男性も女性もその人物に共感できるんだよね」【酩酊酩酊~ホワイト・ラビットに乗せて~】
最後は、酩酊酩酊…サイケデリックなシーンです。なんとも気だるい、幻覚のような異界に迷い込んだのは…。
オーランドーの兄、バリバリ保守派のオリヴァー(横田栄司さん)
コワモテに登場したオリヴァーが徐々に壊れていく(ヒッピーたちに感化されていく)様子を、60年代カウンターカルチャーの申し子といわれたジェファーソン・エアプレインの♪ホワイト・ラビットという楽曲に乗せて。横田さんの怪演をどうぞ。
そこに登場する弟のオーランドー、教祖様?!?!
あれ、ミュージシャンアミアンズのもつ楽器が今度はベースに?!
ラブ&ピースを掲げるヒッピー文化などのカウンターカルチャー、つまり反骨精神がこんなにも『お気に召すまま』の世界とマッチするなんて!でも、すごく難しいとか、政治的メッセージを押し付けてくるのではなく、あくまでも喜劇!ラブコメです。恋をすると人は愚かになってしまう、でも、愛おしいな。時代背景は変われど、そこに描かれているのは“人間”なのです。
年が明けたら、その全貌が明らかになるマイケル・メイヤー版『お気に召すまま』、サイケな人間讃歌で観劇初めはいかがですか?
ラブ&ピーーース♪
公式サイトの
こちらのページから、「AS YOU LIKE IT~舞台『お気に召すまま』特別ガイド~」がダウンロードできます!
【人物相関図】や
【キャストプロフィール】、
【クリエイター紹介】など充実の新聞!デザインもオシャレですよ♪
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人
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