F・スコット・フィッツジェラルド作×
小池修一郎脚本・演出×
リチャード・オベラッカー音楽…そして、主演・
井上芳雄!!
新生『グレート・ギャツビー』開幕です。

ジェイ・ギャツビー(井上芳雄さん)
1920年代のアメリカ、狂騒の20年、ジャズエイジと呼ばれる時代を舞台にした『グレート・ギャツビー』。これまでにも幾度も映画化、舞台化されてきた名作の歴史に新しい1ページが加わります。
誰もがその名を知っているけれど、誰も彼自身の本当の姿を知らない。謎の大富豪ジェイ・ギャツビーに
井上芳雄さん。男の魅力全開です。スマートなふるまい、中低音を響かせる大人の歌声、ギャツビーに宿る光と影を芝居で魅せる!圧巻です。

夢咲ねねさん演じるデイジー(ギャツビーのかつての恋人で、現在は大富豪トムの妻)は、当時の上流階級の女性の生きざまの象徴なのかもしれません
井上ギャツビーは、闇の世界を生き抜くミステリアスな男の中にも、回想シーンで見せるきらめきをどこかに感じさせます。観劇中、井上さんが会見でおっしゃっていた「男性のロマンティックなエキスをギュッと集めたらギャツビーになるんじゃないか」、という言葉が何度も思い起こされました。危険な香りをまとった純情、最強です!

暗黒街を取り仕切る男マイヤー・ウルフシャイム(本間ひとしさん)に対しても毅然とふるまうギャツビー

見守り続ける…ギャツビーの想いの深さが切なく美しい
そんなギャツビーの隣人、ニックには
田代万里生さん。

ギャツビーの隣人で、デイジーのまたいとこ、トムの学友というニック(田代万里生さん)
多くの人と接点を持つニックがそれぞれの人物を見つめるまなざしの変化もお見逃しなく!
中西部出身のニックがニューヨークへ引っ越してきて…そこでギャツビーという男と出会うことで動き出すものがたり。ニューヨークの人々、ウエストエッグの新興成金、イーストエッグの親の代からの大金持ち、灰の谷の労働者たち…どこからも一定の距離感で存在するニック。
田代さんが演じるニックはそんな冷静さと中立性をもちつつ、しっかりとものがたりの中で生きています。そして、田代ニック、キュンなシーン多数です。
続いては
広瀬友祐さん演じるトム・ブキャナン。「トムは本当に傲慢でふてぶてしい、好色で、イヤなヤツ。僕自身はすごく真面目で、すごくイイ人なので…」とお話されていましたが、見事な(笑)イヤなヤツ!得も言われぬふてぶてしさのトムなのですが、極端な人種主義など、彼もまた時代の象徴なんですよね。

学生時代はフットボール選手として活躍した大富豪トム・ブキャナン(広瀬友祐さん)
登場シーンから威風堂々!圧を感じます!!

スリリングな三角関係
夜ごと催されるギャツビー邸のパーティー、タンゴナイトはダンスシーンにうっとりしつつ、そこで繰り広げられる人間ドラマからも目が離せなません。まさに「どこを見ていいかわからない!」のうれしい悲鳴状態です。

女性プロゴルファーのジョーダン・ベイカー(AKANE LIVさん)とニックの間に…
サバサバしたベイカーのカッコよさとAKANEさんの魅力がバッチリ合っています
そんなゴージャスな世界とは無縁なのが“灰の谷”の労働者たち。

自動車修理工場を営むマートル(蒼乃夕妃さん)とジョージ(畠中洋さん)のウィルソン夫妻
ジョージの妻への愛とマートルの上昇志向のすれ違いはものがたりを思わぬ方向へ…

さまざまに表情を変えるセットも観る者の心をとらえます!
そして、本作はリチャード・オベラッカーさんが手がけた音楽も話題です。ギャツビーが歌う「夜明けの約束」というビッグナンバーの素晴らしさはもちろん!それだけでなく歌も、芝居のバックで流れるナンバーも、世界観や時代をしっかりと印象づけ、シーンの色を明確にし、かつ古臭さが一切ない音楽です。ひと言でいうとおしゃれ。
「自分のミュージカル第一作はこの作品に!と長年夢に見た作品」とおっしゃるとおり“ギャツビー愛”にあふれた、豊かな音楽もお楽しみに!オベラッカーさんは、ご自身のブロードウェイデビュー作『Bandstand』で先ごろ発表された
ドラマ・デスク・アワードで優秀作曲賞にノミネートされました!
最後になりましたが、脚本・演出は製作発表でも並々ならぬ作品への想いを語られた小池修一郎さん。隙のない世界観、全てのキャラクターが深い愛情をもって作られているお芝居の繊細さ、ショーシーンの華やかさ、そして男のロマン…小池ワールド、ロマンティック全開です!
-ものがたり-
作家志望のニックがニューヨークで居を構えたのは、毎夜のように豪華絢爛なパーティーを開く謎の大富豪ジェイ・ギャツビーの豪邸の隣。
ニックはある夜、ひとり佇み湾の向こう岸の灯りを見つめるギャツビーの姿を目にする。
そこにあるのはニックのいとこデイジーとその夫トムの邸宅。
ニックは、ギャツビーに興味を抱き始める。
そして遂にギャツビーのパーティーに足を踏み入れたニックは、デイジーの友人ジョーダンとの出会いを通じ、ギャツビーの過去を知る…。
やがて、ギャツビー、デイジー、トム、そしてトムの愛人マートルとその夫のジョージ、それぞれの想いが交錯していき、物語は悲劇へと進んでいく――
後記
製作発表では、正直、「みなさんそんなに男のロマン、男のロマンって…」と思っていたのですが、なるほど危険な香りをまとった純情、そこに古今東西、ロマンを感じるのですね。
舞台写真提供:東宝演劇部/梅田芸術劇場
おけぴ取材班:chiaki(文) 監修:おけぴ管理人